異世界シヴィライゼーション ~長命種だからデキる未来にきらめく文明改革~ 作:さきばめ
人生の指針は決まった。
この異世界文明を改革して、長命の限り楽しみ尽くす。
次に
「まずはミクロスケール、個人で可能な範囲──選択肢を広げる。その為に必要なのは……そう何よりもまず、物理的に行使できる
はっきりと口にしながら覚悟を決める。
後悔をしている暇はもう十分にとった。
「転生してもはや後ろ盾一つない
炎と血に包まれたあの時も……スィリクスのように魔術が使えていたら──フラウを見つけ、ラディーアと三人で、仮面の男から逃げ切れたかも知れない。
そして今なお
「っし、ふゥー……──」
光なき地べたで、とりあえず座禅を組んで、呼吸・肉体・精神とを落ち着かせ整える。
空間としてはお
(魔術とは……体内に滞留する"魔力"を知覚し、発露させる
燃えてしまったであろう本の内容。またフラウの母親からも教えてもらったこと。
いずれもを思い出しながら、俺は
実際に物理現象を発生させるほどのイメージというのは、
(だが文明とは、世界とは──何事もまずはイメージするところから始まった)
誰かが想像した──木の棒に石を括り付けて斧の形にすれば。獣を狩る為に、長い棒に鋭いモノを取り付けよう。弓にすればより遠くへ。どういう罠なら効率的か。
誰かが空想した──自分たちで作物を作れたなら。余暇を利用して何をしたいか、何ができるのか。多く収穫する為にどう掛け合わせて、何の道具が必要で、どういうやり方が良さそうか。
誰かが夢想した──思想を、芸術を、理論を。応用と飛躍を。失敗から、成功から。気になった他人と。愛する家族と。他ならぬ自分自身。そして未来を。
世界とはまず
何事も願い、想い、
(高度に
そこを
(俺には……前世の知識や経験を総動員するやり方しかない)
純真無垢なままに信じ、強烈に思い込むという方法は──もう
だが
(VRで遊んで、脳が錯覚するほどに感じた没入感を思い出せ。明晰夢で空を飛び、色とりどりの魔法を使った感覚を。
物理現象を
(それに、そうだ……魔術による物理現象それ自体ばかりをイメージするのではない──)
いつぞやの"黒髪のお姉さん"が言っていた言葉が、頭をよぎっていた。
「"魔術を行使する己自身"を思い
術理を"
(ハーフとはいえ俺はエルフ種。魔力操作には
かつて神族が人族へと退化する過程で、魔力の扱いに
暗示を掛けるように、自らを洗脳するように、事実を心身へと
血液に巡る魔力の胎動を知覚し、流動を
先人達が理によって構築してきた以上、魔力もまた何らかの物質か作用による結果のはずだ。
(
それが仮に魔分子か魔原子か魔素粒子なのか。
あるいは魔宇宙線とか超魔
とにかく自分の頭じゃわからないが、とにかくエネルギーとして存在しているものと仮定する。
原子に働きかけ、分子を結合し、それを化学反応として
(この世界から見れば俺は異邦人だ。だからこそ俺にしか使えない、俺だけの
異世界に転生してより──母と暮らし、魔術を知り、幼馴染と世界を知りながら考えていた。
変に奇をてらうことなく、"火・水・空・地"の四元論を基本とする中で、俺の最もやりたいこととは……。
いずれ思考が止まる──
一切の不純物のない──全てが
現代日本の単なる人間の頃では、到底無理だっただろう。
しかし今は
──時間と空間から切り離されて、己の
もはや何秒か、何分か、何時間か、何日か、何週か、何季か、何年か。
やがて地上世界そのものから浮き上がってしまうような……そんな感覚すら覚えてくるようであった。
どれほど経ったのか、全くわからなくなってしまう中で、その
密閉空間にも
イメージする上で──"炎"と血の光景も脳裏をよぎったものの──"風"が一番好きだ。
俺のやりたいこと、"
腕をゆっくりと動かしながら"それ"を誘導し、俺の
ギュッ──と拳を握ると、圧縮された空気が
「──夢、じゃあないな。確かな俺だけの現実だ」
実感を込めて俺は吐き出した。
一度魔術の発動を強く自覚すると、己の魔力の流れもより鮮明になった気がした。
「よっしゃの……しゃあっ!!」
俺は未だ囚われの状況すらも頭からすっぽ抜けたように、明確に得た新たな
2022/6/26時点で、新たに書き直したもので更新しています。
それに伴い話数表記を少し変えています。