異世界シヴィライゼーション ~長命種だからデキる未来にきらめく文明改革~ 作:さきばめ
ある男が──連邦東部にて"一本の魔剣"を拾ったところから、イアモン
その者はもとより三代神王ディアマを信奉していて、苦難の末に"不完全な刃"を手に入れた。
彼と刃の下にはすぐに数多くのディアマ派の信者が
まずは不完全を
ついには特定した竜の巣へと突貫し、多くの教徒と資産を費やす犠牲を支払った。
しかしその
あと一つ手に入れられれば完成し、世界すら動かせるようになる。
だが──その最後の一つが、情報にもまったく引っ掛かることなく時は過ぎていった。
そうして
血で血を洗う抗争の末に魔剣を奪取することに成功して、新たな教義を作り新教団──現在の"イアモン
教義を"
彼らはまず地下へと潜って目立たないように動き、残った教徒を念入りに殺して回った。
殲滅が完了した後は"魔剣"を必要以上に
過激派教徒の
前教団の全盛期の規模と人数ですら、一切の情報が入ってこなかった最後の一部──
それはもはや人智の及ぶ領域にはない。このままでは
だからこそ新しきイアモン
別に
むしろそれこそが――よりディアマへと近付く為の試練であり、進むべき"
"道士"として頂点に座した男は、機知に
従来とはまったく別形態の組織構成へと作り変えて、量よりも質を重視した。
より強固な信仰と契約によって結ばれた、裏切りを許さぬ新体制を確立させた。
何十年何百年掛かろうとも構わなかった。教義さえ受け継がれていくなら──己が滅びることはない。
初代"道士"は死んだ。"イアモン
そして……何世代と"道士"が代替わりした今もなお、教義と魔剣は絶対のモノとして存在している──
◇
カツカツと普段よりも軽快な早足で、その男は歩を進めていた。
(長いようで短かった……)
情緒で満たし、感慨に
前回とは比べるべくもないほど、才能のある子供達と言える。
労を惜しまず奴隷市場を回って、手ずから素材にこだわり選別した
(以前失敗した教訓も
最初に受け持った生徒達は30人近かったのだが、結局残ったのはわずか2人だけ、それも今なお生きているのは"アーセン"のみ。
その時の失敗を踏まえた上で、今回は教育方法をかなり
ます最初に外界て汚染された精神を、暗闇の恐怖によって浄化し、従順で吸収しやすい
これは魔術具製作にも通じる理念であり、それを参考にしたものだった。
情によって
結果としてかなり個性が強い部分があるものの、まだまだ子供ながらも最初の生徒達よりも文武両面において遥かに優秀となった。
補って余りある能力を試練で示してくれた。子供達はすでに魔術士としてはかなりの領域にいる。
若過ぎる年齢は
セイマールは、普段の彼に似合わぬ珍しいほどの笑みを浮かべていた。
そうして目的地である扉の前に立つとノックして名を告げた。
中からの返事を待って部屋の中へ入ると、淫蕩な匂いに包まれる。
「失礼します、"道士"」
「セイマール、やけに嬉しそうだが……それが訪ねてきた理由かね?」
道士と呼ばれた還暦を超えた男は椅子に座ったまま、
セイマールが生徒たちへ向ける目を──道士はセイマールへと向けているようであった。
彼のすること
「お喜びください道士。わたくしが手塩に掛けて育てたあの子たちが、"洗礼"に相応しく成長いたしました。
つきましては明日夜に、道士の口から我らが教義を
「ほう……もう十分だと君は確信しているのだね、四人ともが"
「もちろんです。それもこれも前回より引き続いてわたしの教育案に賛成頂き、
「なに気にすることはない、正当な働きに正当な評価を
セイマールは道士の言葉に
もうかれこれ35年近く──15歳の時分に拾われてよりの付き合い。
ここまで生きてきて、この御方は一度として間違った判断を下されたことはなかった。
道士のやることには全てに意味があり、
そして運命までも、
「それにしても明日か、少し
そう言って道士は自分の上で奉仕し続けている女へと目を向ける。
それは一人の人間を見るような目ではなく……。セイマールもその光景に微塵の疑問を抱くことなく、
「いえ、それには及びません道士。"調整"にあたっていた者が、ちょうどよく入れ替え時ですので。巡礼で他の
「そうか……いや
「わたくしこそ
顔を上げてセイマールは、道士を
ああ……やはりこの方あってのものだ、我々全てが道士と教義の為に
「本当に優秀な子だ、セイマールよ。魔術具の製作にしても、教育にしてもよく貢献してくれている。お前が育てたあの子らは、間違いなく我らが道の大願の為に貢献してくれること疑わぬ」
「はい、我らが
「そうだな。それで……近く洗礼を
セイマールは
それは道士もよくよく理解しているし、だからこそセイマールに信頼を置いていた。
「巣立ちの
「許可しよう、資金も好きなだけ使うといい」
セイマールの幼少教育法は、元を正せば道士がセイマールを拾い育てたことに
手間や金は掛かるが、セイマールという実例を見ればそれだけの価値はある。
量よりも質をこそ至上とするのが、新教団設立から
ゆえにこそ惜しまないし、
「では"オーラム"には今日中に伝えておこう。
「
事を終えて部屋から出ると