異世界シヴィライゼーション ~長命種だからデキる未来にきらめく文明改革~ 作:さきばめ
「とりあえずバリス
「その、名を、二度と、出すんじゃねえ──」
バランが決死の形相をもって接近距離で
表情には余裕がなく、脂汗が
「バリス
「は、はあ!? てめえは何を言ってやがる」
「一体何年
そのものズバリ図星を突かれたバランは、もはや隠そうともせず苦虫を噛み潰したような顔になる。
「あー、あー、ぁぇぃぅぇぉぁぉアー……──」
俺は喉を
『ヴァッハッハハハアッ!!』
「っお──!?」
「ふむ、我ながら意外と似ていたな。はてさて、随分とビビってしまわれたようで」
「な……てめ」
露骨にビクついてしまっては、もはや言い逃れもできぬと観念したのか……バランは尻尾までシュンとしてしまう。
「うっく、てめえ本当にあの野郎を知ってるのかよ……」
「世は巡り会わせ──色々な
「クソがよ……」
「本当は共通の友人の話題で花を咲かせようと思っていたんだがなるほど、バリス
粗暴にして野卑なあの性格で、"対等の友"になれる人間など一人くらいしかいなくても不思議はなかった。
「あの野郎は……同世代だったんだよ」
「おぉ、つまり同期! ってことは"白き流星の剣虎"バルゥ
「バルゥのことも知ってるのか!? ってことはアイツ……そうか生きてたんだな──そんな二つ名まであるとは」
「……ひょっとすると、洗礼後の王国との遭遇戦でバルゥ
バルゥが相棒獣を失って王国に捕まり、奴隷剣闘士として売られるキッカケとなった戦い。
"絆の戦士"となったばかりで、圧倒的な不利であるにも関わらず王国軍相手に大打撃を与え、自らを犠牲に仲間を逃がしたという戦い。
「そうだ、アイツがいなかったらオレはあの時に死んでいた。そしてその後、民族へ戻ることもなく皇国でやらかして……かれこれ20年だ」
「相当な古参だったんだな、あんた」
バルゥやバリスに劣等感を
それでも騎獣民族の出として、数多くの獣人を統率するに至るまで──並々ならぬ苦労があったようにも思う。
「まぁいい、どちらにしろ手間が
「省けた、だあ?」
「共通の知人を持ち、
「舐めたクチを叩きやがって」
グルルと喉奥を
「大人しく
「……他のとこに食われる」
ゆっくりと小さく吐き出したバランのその言葉を肯定するように、俺はさらに案を出す。
「俺としては"決闘"をオススメする。バリス
「信じらんねぇ……テメェは一体何が目的なんだ、地下の王様でも気取りたいってのか?」
「情報漏洩を防ぐ為に、詳しくは獄内統一してから話す。今は黙って勝ち馬に乗れ、魔族と獣人が俺の下で同盟を組めば最大勢力だ」
「他に選択肢は無いんかよ」
「断じて無い。素直に協力するなら、若かりしバリス
「チッ……てめェも
「くっははは、それで目的を達成できれば褒め言葉ってもんだよ」
俺はバッと大きく両手を広げて、何もかもを包み込むような様子を見せる。
「たしかにバリスの野郎に苦手意識があるのは否定しねえよ。けどなぁテメェはサルマネが上手くたって
「なら戦い方も似せようか、
「やめろッ!」
「いやどちらかと言うとバルゥ
「このお調子者がァ、オレにだって立場ってもんがあんだ。はいそうですか
空気がわずかに緊張する──それは他ならぬバランが気を張り詰めたからに他ならず、俺は軽く受け流す。
「随分と乗り気になってくれたな、それじゃどうせ
「いーや、それには及ばねえ」
すると穴倉の奥から、羽翼が
「生身とはいえ感覚は鋭敏だと自負していたんだが……気配を完全に殺しきっていてわからなかった、やるなお前」
「……」
「オレの腹心だ。20年もいるとな、そういうのも自然とできるってもんだ」
バランは穴倉の入口を塞ぐように立ち位置を変え、俺は二人に挟まれる形になる。
「二人掛かりか、まぁ俺は一向に構わんけど……ちょっとは
「手段は選ばねえ、しばらく口が利けない程度に痛めつける。死んだら──それまでよぉッ!!」
正面のバランの左ハイキックと、背後からの鳥人の左
「悪くない。散々っぱら魔族連中を相手にして肉体の
そこからは
(映画やドラマの囚人モノで
もしも物理的に
"
何度となく回避するにつれて、バランと鳥人族の表情はみるみる内に苦渋と焦燥に満ちていく。
やがてバランは肩で大きく息をし、鳥人族が先に膝をついたところで……俺は呼吸を整える必要すらなく、悠々とその場でステップしながらリズムを取る。
「
こんな穴倉の奥で魔力強化もなしに、無呼吸で動き続けるのは
「ッ……すみません
「いい、そのまま休んでろ。あとはオレがやる」
「あいにくと
ギリッと噛み締めたバランは地面を削りながら
──と同時に、休んでいろと言われたはずの鳥人族も、捨て身の突進で迫り来るのだった。
「示し合わせて油断を誘ったのは結構だが……お生憎様」
俺はバランの手刀を避けながら
そして回転するバランの体を利用して、背後からの鳥人族を迎撃しながらまとめて地面に叩き付けたのだった。
「──ッッ」
バランの肉体がクリティカルヒットした鳥人族は完全沈黙し、立ち上がった俺はバランの喉仏を
「従え」
有無を言わさぬ殺意でもって