異世界シヴィライゼーション ~長命種だからデキる未来にきらめく文明改革~ 作:さきばめ
「っ──おいコラぁ!! たしかに少ぉ~しばっかし
宙ぶらりんのまま叫び、ジタバタと暴れ出したレドを無視して……
「
「……まったく」
「は? どーゆーこと?」
疑問符が止まらないレドに状況説明などしてられず、俺は
「ここでお前を見逃したとして……レドを殺さないという保障はどこにある」
「小娘に恨みはない、
俺は右のリボルバーを
「ちょっとちょっと、どういうことかさっぱりわからんないんだけど。ナニ揉めてんのさ?」
「大人しくしていれば小娘、貴様に危害は加えない」
「はあああ!? つーかジジイってばさぁ……わけわからんけどボクを人質ぃだって? それは無謀ってもんだよ」
そう言った次の瞬間、レドが
それはまだほんの少しでしかなかったが、濃密に凝縮された魔力圧。
何を
「ちょっとでも魔力が戻りさえすれば、ボクはどうとでもなるのさ。ボクが逆にジジイを人質に取ってやんよ」
(誰に対してだよ……)
俺は心中で突っ込みつつ"天眼"から得られた共感覚によって、レドの"存在の足し引き"が魔術に
どのみち魔術で可能な領域を超越していた時点で予想がついていたことだが、今ならば確信をもって言えることだった。
「面白いな小娘、予定変更だ。
「えっ──なっ!?」
紅い瞳を見開いたかと思うと、その上下に生えた犬歯をレドの首筋へと突き立て──"吸血"し始めたのだった。
「っぐ……ぅぁ」
それはものの数秒の出来事であり、"天眼"で
"存在の足し引き"によって理外に魔力を補充したレドから、血液を通じて魔力をも
「フハッハハハッッハハーーーッハハハハハアァッ!!」
もはや人質など不要になったとばかりに、俺へと向かって投げ捨てられたレドの肉体を、しっかりとその腕で受け止めた。
(よし……
レドの呼吸はひどく薄いものの、それでも死には
しかしこのままでは命の危険も考えられるので、俺はすぐにウエストバッグに入った瓶から"
それを首筋の吸血痕に
その
「これで魔力の優位差はなくなったぞ、いや
俺は
それは実際に闇黒の
またスライムカプセルの過剰摂取により、魔物と成り果てた神族の男──オルロク・イルラガリッサの時とも酷似していた。
(吸血による魔力
魔力という多くの謎が残る未知の物質あるいは現象の
(他人の魔力はそのままじゃ扱えない。だから自らを
発想としては、俺が魔力を充填した"黒スライムカプセル"と近いもの。
俺の場合は自分の血液と魔力だからこそ適合させられたが、
魔力色の違いは己の魔力を暴走させ、"黒色の魔力"として置き換えることで強引に染め上げる。
それまでの落ち着き払っていた態度と打って変わって、精神汚染によるものか──口調すら変化しているのも納得できる。
「あれは──
いつの間にか穴から出てきて隣に立つエイル・ゴウンが、至って冷静な口調で告げる。
「えぇ……つい
「加勢したいところですが、今の魔力のない
「──ここだけの話ですけど、実は魔力を回復する手段はあるんです」
「本当ですか? であれば
「ただ試作段階な上に、肉体と精神に負担を掛けることになりますが──」
「あの、お言葉ですけれど……
「……そうでした、臨床データが取れないのが残念です」
極々普通に動いて会話をするエイルの姿に、俺は既に死んでいるということを失念してしまっていた。
(不滅とまではいかずとも不死か……なら少しくらい甘えてもいいか)
血生臭い闘争になど巻き込むまいとも思っていたが、本人がやる気であるのならばと俺は決断する。
レドの体を
「これがそうなのですか……?」
「はい、思いっきり吸ってもらえますか」
エイルは周囲に薄っすらと
本来の黒色スライムカプセルの用途──気化させて周囲の魔力ごと、肺から血流へと強制的に溶け込ませる。
俺は遠心分離させた魔力が、新たな流入によって
さすがに"神器"と
俺は魔力の遠心加速を高めながら、"黄スライムカプセル"を
黄色は無類の吸収性を持つ即効栄養食であり、収監されていて不足していた栄養素とカロリーを補う。
赤色は一時的に肉体や感覚器官を活性化させ、身体能力や神経系を
今まで眠っていた心身が一気に覚醒していくような状態を掌握しつつ……──
突如として黒霧が
同時にそれはさながら、魔力という見えないエネルギーが完全に枯渇したと錯覚してしまうほどであった。
「──っっっぁぁあああアアアアア"ア"ア"ア"ッッ!!」
俺の腕の中で、少女が
鬱屈した感情を思いっきり発散させながら、魔力を解放するかのような