異世界シヴィライゼーション ~長命種だからデキる未来にきらめく文明改革~ 作:さきばめ
「──っっっぁぁあああアアアアアアアアッッ!!」
俺の腕の中で、少女が
「ふっっっざけッッッンなぁァァアアアあああああああああっ!! こんっのぉクソジジイ!!」
自らの両足で立ったレド・プラマバはビシィッと人差し指を向け、
「クカカカカ! 小娘ェ、死にかけが随分と元気になったものだ」
「こんにゃろがぁ……もう許さないかんな!! 冥府でボクに詫び続けろ!!」
俺は今にも飛び出そうとするレドの両肩をガッシリ掴んで止める。
「
「は・な・せ!! ベイリル!」
「つい今さっきまで死にそうだったのを助けてやったんだ、少しくらい言うことを聞け」
「うっ……くぅぅううう、わかった」
いかに黒色を吸って
俺はレドよりも一歩ほど前に進み出て、
もはや口先の交渉など意味を
「
「答えるとも限らんが、あまり冷や水を差してくれるなよ」
「アンタは……"
こうなってしまっては
だからこそ
俺とフラウにとっての過去──故郷アイヘルのことを知っているのか、あるいは関わっているのかを聞いておきたかった。
「──あぁアレか、大規模な作戦だったから覚えているぞ。しかし一方的すぎて、ヒドくつまらない虐殺だった」
実際の感触を思い出すかのように語られる、
すなわち眼前の男こそ、
俺の中で渦巻いていた魔力は、さらに加速度を増し、全身で脈打つように、轟然たる
「そしてそうかベイリル、貴様の目的にも得心したぞ。"復讐者"として結社を探し、装っていたわけか」
「……まぁ、そういうことでいいよ」
「ようやく
『フッラァーーーーーウ!!』
呼んだその名は、幼馴染であり愛する女──戦う理由と、戦えるだけの実力──
10秒とせずに音もなく、倍増重力落下からの反重力で軽やかに地面に降り立つは……青みがかった銀髪に紫の瞳を持つ
「どったの、ベイリル。ってレドっちじゃん、やっほ~」
「おーっす、フラウ」
「うん、おひさー……なんでいるの?」
「なんだっていいさ、このジジイをぶっ飛ばしたら闘技祭決勝のリベンジね!」
「……えぇ?」
「旧交を温めるのも、細かい話も後だフラウ。そこの男が俺たちの
俺は状況を把握できていないフラウに端的に伝えると、幼馴染は少しだけ驚いてからスッと余計な雑念を捨て去って魔力を加速させていく。
俺達と抜群の連係ができる"伝家の宝刀"級の実力を持ったキャシーも、本来ならば呼びたいところであったが……。
彼女はワーム海賊ソディア・ナトゥールと共に
「また新たな小娘が現れたと思ったら……よもや復讐者が二人も揃うとはな」
「はてさて、これで四対一だが──卑怯とは、言うまいね」
「好きにするがいい。数に頼るも、不意を突くも、逃げおおせて
『フラウ、奴は以前に話した"黒竜"に類似した魔力を持っている。魔術が効かない可能性を考慮して闘ってくれ』
魔術を減衰させる──それは攻防両面においてであり、たとえフラウの重力魔術であろうと例外ではない。
パチンッとウィンクをするのをフラウの了承と受け取り、俺も闘争のスイッチを完全に切り替える。
エイルは精神を集中させているようで、レドは無手のままグッと腰を深く落とし、重心を後方の足へと置く。
そして
「ボクに合わせろ! フラウ!」
「しょうがないにゃあ~……いいよレドっち!」
「"極大魔王パンチ"!」
「──"
レドのそれは、足の指先から拳まで……
フラウのそれは、発生させた
即席連係でありながら──かつて闘技祭の決勝で闘った者同士──美事なまでに重ね合わせたレドとフラウの攻撃。
しかして
「
「まずはそのふざけた減らず口が
「……まじ、で? 魔術効かないんだ~」
右拳を掴まれた状態から大振りの蹴りを見舞おうとしたレドは思い切り投げ飛ばされ、フラウは深追いせずに空中へと浮き上がって距離を取る。
俺は一連の流れを"天眼"によって冷静に観察・分析し、
(まったくもって厄介極まりないな、"黒色の魔力"──)
フラウの一撃は減衰し威力を
それはやはり"黒竜"と同質のもので、魔術と魔力に付随した現象や効力をも強引に塗り潰すモノ。同時にもたらされる肉体強化は人智を超えている。
これでは俺が使える魔術のほとんどがまずもって通用しないことも明白であった。
「貸しだよ、レドっち~」
「余計なお世話!」
フラウは"
続けざまにフラウが右手を
それはさながらスプーンでゼリーを
「直接
さらにフラウは重力を天頂方向へと解放させると、メリメリと引き
「──面白い、このような魔術は見たことがない」
言いながら振り上げた足を落とした
反重力が直接作用させられない
「今度こそ
落ちゆく
「レドっち、離れて!!」
「ボクごとやっていい!!」
その言葉を受け取ったフラウは
と──天空から