異世界シヴィライゼーション ~長命種だからデキる未来にきらめく文明改革~   作:さきばめ

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第五部 登場人物・用語

読む上で必要なことは、作中で説明しています。

この項は世界観の補完や、あのキャラ誰だっけ? というのを簡易に振り返る為のものです。

読まなくても問題ありませんので、飛ばして頂いても構わないです。

以前のモノと重複箇所があるかも知れません。

 

※先に読むとネタバレの可能性あり。適時更新予定。砕けた文章もあるのでご注意ください。

 

キャラは(おおむ)ね登場順に記載。

 

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◆"空前"のベイリル・モーガニト

本作の主人公、黒灰銀の髪と碧眼を持つハーフエルフの天空魔術士。偽名は"グルシア・ベルトラン"。

基本的には自身を財団における隠密機動戦力程度にしか考えてないが、地味にワーム由来の浮遊石、黄竜由来のエレクタルサイト、トロル由来のスライムなど多くの資源に関わっている。

新たに魔導師として成長し、一段上の領域へと進化の階段をのぼった。

 

◆"結晶氷姫"ジェーン

幼少期からベイリルらと過ごしてきたお姉ちゃん。氷属魔術士で、結唱会という名の孤児集団の育成にも携わっている。

リンと組んでいるユニット名は"フォースファイン"、クール担当。歌のレパートリーは誰よりも多く、ジャンルも問わず歌って踊って人々を魅了する。

 

◆"風聞一過"テューレ

シップスクラーク財団の情報部長を務めているが、本人は最前線で取材するのを好む。

また新聞として記事やコラムを書くことも好きで、その反応をひそかに街で聞くのも大好き。

 

◆"調香戦忍"スズ

学園出身。戦技部冒険科で、ヘリオらとパーティを組んでいた黒髪を頭頂部でまとめた女、人族。

極東から大陸に渡った忍びの家系で、シップスクラーク財団の情報部に所属している。

諜報活動の任の中でロックバンドの開催地調査を並行し、滞りなくライブができる状況を整えている。

 

◆パラス・アーティナ

学園出身。戦技部冒険科で、ヘリオらとパーティを組んでいた濃い金髪でややクセっ毛の女、人族。

黄昏の姫巫女を代々輩出に生まれ、カドマイアは異母弟にあたる。

フリーマギエンス員とならず一線を引いていたが、"文化爆弾"作戦以後は正式に財団員にもなり、ロックバンドのプロデューサー兼マネージャー兼応援団長として活動予定。

 

◆カドマイア・アーティナ

学園出身。戦技部冒険科で、ヘリオらとパーティを組んでいたくすんだ黄土色の髪の男、人族。

黄昏の姫巫女を代々輩出に生まれ、パラスは異母姉にあたる。姫巫女の第一候補だったが、もろもろあって大監獄に投獄される。

脱獄以後は元々やっていたリードギターとして、ロックバンド活動に励むことを決める。

 

 

◆カラフ

権勢投資会に所属していて、皇国とその周辺各国で様々な物品を取り扱う闇のオークショニア。

アーセン・ネットワークからベイリルに辿られ、諸々あって協力者となる。

財団がもたらす文化と娯楽に魅了され、こたびの"文化爆弾"作戦において正式に財団員となり、二足の草鞋(わらじ)で忠誠を誓う。

 

◆"黄昏の姫巫女"フラーナ

元姫巫女。人族の女性で魔力の色を見通す、"初代神王の瞳"を宿しているらしい。

姫巫女それ自体も多くの人間から信仰され、権威だけであれば教皇と同等とされている。

神族との直接的なパイプであり、姫巫女の処遇も神族によって決定される。

 

本人は音楽にすっかりはまり込んでしまって、自らもそうした道に進みたいと考え始めている。

 

◆ヘッセン

姫巫女の従兄にあたる男。元々は放蕩して冒険者をやっていたがド三流だった。

パーティ面子を殺され自身も危うかったが、ベイリルらに救われて恩義を感じている。

護衛騎士となるまで己を鍛え上げ、従妹であるフラーナを救う為なら全てをかなぐり捨てられるような漢。

 

◆オルロク・イルラガリッサ

神領から審問の為にやって来た神族の男。

スライムカプセルを通してトロル細胞を取り込んだことで、魔力の"暴走"および変異が促されて魔物と化し、そのままベイリルに討伐された。

 

 

◆"至誠の聖騎士"ウルバノ

教会の司教も務める古株の聖騎士で、還暦を迎えるくらいの人族の男性。

孤児院を運営する人格者で、司祭としての立場もあるが、過去には魔族相手に殺戮の限りを繰り返して様々な二つ名を持っていたらしい。

かつてジェーンに協力して、教皇庁の腐敗の一部を暴いた。

 

◆"悠遠の聖騎士"ファウスティナ

様々な想いを抱える実力派の女聖騎士、人族。過去にゲイル・オーラムらと共に、カエジウスのワーム迷宮(ダンジョン)を踏破した経歴を持つ。

その際の制覇特典で、聖騎士に相応しい黄竜素材の弓と、ワーム素材の自動可変式全身鎧を貰い受けた。

ゲイルとは以降もちょっと二人旅をしてイロイロあった。

 

◆聖騎士長

ウルバノより若干だけ年季のある聖騎士で、聖騎士全員の統率役にして皇都の守護者。

厳格で民からの尊敬を集めるが、教皇庁とも根が深く、政治との板挟まれる立場にあって色々と悩みも少なくない。

 

◆スミレ

黒き翼を持ち、"概念の魔導"を使う鳥人族の女性。自分なりの正義感をもって信念を貫こうとする。

特定の概念を付与することで、物理法則や特性を無視して効果を与えることができる。いわゆる精神コマンド。

経験不足ながらベイリルと交戦できるほどの強度であり、またいずれ道が交わる時が来るでしょう。

 

 

◆"煽動屋"ストール

煽動屋(あおりや)を自称する坊主頭の人族。達者な口先で人々をその気にさせ、渡りをつけたり情報収集も得意としている。

脱獄時にはベイリルと共に地下組として脱出。それまでの功績と今後を期待され、シップスクラーク財団で働くことになった。

 

◆ジン

トロル細胞と腕を移植された元魔領西方のプラマバ軍の軍人にして、魔族一党のボスを担っていた男。

脱獄時にはベイリルと共に地下組として脱出。プラマバ家の(もと)へ戻り、現当主であるレドと共に脱獄した魔族一党を率いて魔領へと向かった。

 

◆ライマー

竜教団の"導き手"の地位にあった元帝国竜騎士である爬人族の男。

脱獄時の所在は不明であり、その後の行方も不明。

 

◆バラン

騎獣民族出身でバルゥやバリスとも同期であったが逃げ出し、紆余曲折を経て獣人群団を率いていた犬人族の男。

脱獄時には地上組として脱出、モンドと共に殿(しんがり)を務め、その後の行方は不明。

 

◆マティアス

自由騎士団出身、元序列15位の人族男性。人族陣営をセヴェリとトルスティを含めた三人の合議でもってまとめあげていた代表者。

脱獄時は地上組として脱出、支援物資を受け取った後の行方は不明。

 

◆セヴェリ

自由騎士団出身、元序列27位の人族男性。人族陣営をマティアスとトルスティを含めた三人の合議でもってまとめあげていた。

脱獄時は地上組として脱出するが、仲間を庇って死亡した。

 

◆トルスティ

自由騎士団出身、元序列73位の人族男性。人族陣営をマティアスとセヴェリを含めた三人の合議でもってまとめあげていた。

脱獄時は地上組として脱出、その後の行方は不明。

 

◆モンド

モンド流魔剣術の開祖であり、御年400歳を越えるハーフエルフの老人。

脱獄時は地上組として脱出、殿(しんがり)を務めて大暴れしたらしく、その後の行方は不明。

 

◆"ヴロム派"の(おさ)

両目・鼻・片耳・四肢・男根など各部位を欠損させ、さらに全身火傷によって触覚まで喪失させた教祖。

本来知りえるはずのないことを知っていた謎の人物。脱獄時の所在も、その後の行方も生死も不明。

 

 

◆レド・プラマバ

学園出身。専門部調理科でクロアーネやファンランらと共に学んだ、紫のマジョーラカラーの髪が特徴的な魔族の女。

自称次期魔王を(うた)い、主に魔物料理に造詣(ぞうけい)が深い悪食(あくじき)。かなりの恐れ知らず。

"存在の足し引き"という魔導を使い、学園時代ではベイリルに勝利した実力者。

 

◆"魔神"エイル・ゴウン

"大監獄"の誰も知らぬ最下層に囚われていた、陽光に輝く橙色の長髪を持つハイヴァンパイアの女性。

かつては皇国で司教も務めていた魔法探究者であり、"傀儡の魔導"を使って死んだ自分を生かしている。

"神器"と呼ばれる稀有な超魔力容量の持ち主だが、魔人級の強さの自分を維持するのに大半を使用している。

 

◆英傑グイド

数百年前に英傑として数えられていた男。現在ではほぼ失伝している"魔術方陣"の強力な使い手にして(ふる)き聖騎士。

"三次元多重魔術方陣"など桁違いの使い手であり、その多様性もピカイチであった。

 

 

◆"将軍《ジェネラル》"グリゴリ・ザジリゾフ

アンブラティ結社の殺し屋。純粋な吸血種(ヴァンパイア)で、遠い昔には西方魔王として名を()せたが、自らの国をも結果的に(ほろ)ぼした。

ベイリルらの故郷アイヘルを、脚本家(ドラマメイカー)と組んで焼き滅ぼし、黄昏の都市で神族を殺した真犯人。

 

自らを黒い魔力の暴走状態に置くことで、強制的に自分の色に塗り潰し、吸血と周囲から魔力を急速充填するという荒業を使った。

ただしこれは非常に強力かつ凶悪ではあるものの、将軍(ジェネラル)本来の戦型(スタイル)とは程遠く、あくまで奥の手の一つに過ぎなかった。

 

◆掃除屋《スイーパー》

通称名だけ登場。アンブラティ結社に所属していて、将軍(ジェネラル)が殺した神族の死体の後始末をした模様。

 

◆脚本家《ドラマメイカー》

主に将軍(ジェネラル)の走馬灯で登場。本編ではアイトエルの手によって殺され、死体はベイリル達への手土産となった。

結社におけるシナリオ担当であり、様々な段取り・計画を立案してきた人物であった。

 

◆模倣犯《コピーキャット》

通称名だけ登場。アンブラティ結社所属。

 

◆運び屋

契約を結べればどんな品物であろうと運び、失敗したことがないという口数の少ない女性。

調査した情報の中には村落を一つ丸ごと、周辺に気付かせずに他国へ運んで引越しさせたという逸話もある。

 

また彼女を介して相互輸送することで確実な担保とすることができるので、厄介な取引においても絶対の成功をもたらすと重宝されている。

 

 

◆"黄金"ゲイル・オーラム

シップスクラーク財団の鬼札(ジョーカー)。"未知なる未来"を()る最初の同志にして、ベイリルにとって最も身近な強さの憧憬。

無数の金糸を自在に操る筋力と精密性、速度を超越した圧倒的な手数のみならず、超人的な対応力と強度を持つ。

裏社会にも通じていて、表裏問わず顔役となることもしばしば。

 

◆"大賢(おおさか)しき"ゼノ

テクノロジートリオの工学・数学担当で、理知的でさわやかな水色髪の人族青年。ベイリルが転生者であることを知る数少ない人物。

秘匿領域へのアクセスレベルも高く、テクノロジーの根幹を担う一人。

様々な立場の人間に振り回される苦労人ではあるが、本人はそんな環境も気に入っている。

 

◆"(たえ)なる"リーティア

テクノロジートリオで主に魔術具を扱うが、冶金をはじめとして、魔導科学の両輪を高度にこなす申し子。天真爛漫な狐人族。

魔術の才能も非常に高く、地属魔術士でありながらキャシーの雷属魔術やフラウの重力魔術をマネしたりする。

 

◆"施巧者"ティータ

テクノロジートリオの技術屋で、実際のモノ作りが得意なピンク色の髪を二つ結びにしたドワーフ族。

実践派だが知識量も非常に豊富で多岐にわたる。スミレと幼馴染で、その影響を強く受け幼少期から様々なことを吸収していた。

 

◆"揺るぎなき灯火"リン・フォルス

歌って踊るアイドルユニット"フォースファイン"のキュート担当。王国三大公爵家の三女にして次期最有力当主候補。

代々継承される"魔術刻印"によって四色の炎を操り、ライブでも派手に魅せる為に使用する。

自分が可愛いことを自覚し、それを惜しみなく利用できる(したた)かなアイドルとしての性根を持っている。

 

◆ヘリオ・"ザ・ロック"

ロックバンド"スィプロトーン"のギター&ボーカル担当、白髪に赤いメッシュの入った鬼人族の青年。

ベイリルの影響下でジェーンとリーティアと育ち、多彩な才能と選択肢があって選んだのは音楽。

生来の声量と声質、リズム感と音感をいかんなく発揮し、自ら作詞・作曲を手がけることもある。

 

◆"撃狼"グナーシャ

ロックバンド"スィプロトーン"のドラム担当、灰色の狼人族。

学園時代にパーティを組んだ流れでヘリオから影響を受けていつの間にかバンドメンバーとなっていた。

最初はそう乗り気でもなかったが、その奥深さに感動してからは、修練と表現の楽しみを見出す。

 

◆"紅炎の翼"ルビディア

ロックバンド"スィプロトーン"のベース&ボーカル担当、薄い赤髪を三つ網テールにした鳥人族の女性。

グナーシャと同じくヘリオから影響を受けて、割とノリノリでバンド結成した。

ヘリオに張り合えるだけの声量があり、日々ついていく為にトレーニングを重ねている。

 

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■聖騎士

皇国に所属する独立色の非常に強い騎士位。由緒正しい歴史を持つが、それをさらに大魔技師の弟子の一人がその権限を世界各国に認めさせた。

聖騎士は人々の規範で在り続ける限り、各国の法でも自由にすることはできないとされ、また独自に軍団を持つ聖騎士もいる。

 

聖騎士になる者の多くは、世界四大学府の一つである"皇国聖徒塾"にて、"見習い"として数多くのこと学ぶ。

そうして定期的に顔を出すいずれかの聖騎士本人に見込まれることで、"従騎士"として直属の補佐あるいは部隊を形成する。

それまでの功績と聖騎士の推薦をもって"準聖騎士"として独立し、世界を巡って勲功をさらに積み上げ続ける。

各国でその風評が聞かれるようになる頃に、教皇庁と現行半数以上の聖騎士の認可をもって晴れて聖騎士と相成る。

 

この伝統だけは神聖不可侵のモノとして、(けが)されたことは過去一度として無いという。

五英傑の一人である"折れぬ鋼の"も番外聖騎士としての立場があり、世界中の悲劇を知るために専門の機関を持っている。

 

■廃騎士

共和国に拠点を置く自由騎士団において、"鉄の掟"に(そむ)いて除名かつ自刃を命じられながらも脱走した騎士。

各国から様々な事情や背景を持つ者が集まる性質上、厳格な統率をする為の絶対のルールであり、これを破るは騎士団の矜持を踏みにじる行為となる。

たとえば雇われた戦争行動における略奪や仲間殺し、情報漏洩といった信用を失墜される重大な違反行為などが該当する。

 

■ヴロム派

神王教グラーフ派の過激な思想を持つ団体であり、秘密結社としての側面を持つ宗教集団。

"洗礼"は肉体部位の損失を伴う形であり、より多くを喪失した者がより高位の存在となる教義がある。

喪失とはより真理へと近付く行為そのものであり、最終的には現世を断ち切って輪廻転生すると信じられている。

だからこそ今世に生きることそれ自体に執着がなく、死をも恐れぬ兵としてテロリズムを()でいっていた。

 

■魔王

魔族の王。知性なき魔物を無条件で従わせることはできず、あくまで魔領という土地を支配する王。

数多く分布する領主らの、さらなる旗頭(はたがしら)として率いる存在であり、地勢と気候の問題でおおむね東西南北にそれぞれ4人の魔王が君臨するのが基本。

強者を尊ぶのが種族傾向としてあるので、基本的には個人武力がべらぼうに強い。四方全てを統一した暁には大魔王と呼ばれる。

 

間断なく群雄割拠のような状態の魔領を統一するのは困難な道であり、大魔王は歴代でも数えるほどしか存在しない。

行き場をなくした武力にして暴力は、勢力拡大の為に人領を削り取っていくのが歴史の常でもあった。

 

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▲大要塞

皇国最南端、魔領と最接近した土地にある城塞都市。囚人の魔力を利用して、魔術方陣による無属魔術結界を防衛の(かなめ)としている。

現在は囚人の大量脱獄および内乱によって結界が消失。さらに魔領軍の襲撃も相まって戦力も多大な損失を(こうむ)ったが、それでも通常の要塞機能は存続している。

 

▲大監獄

皇国大要塞の地下に存在する、世界で唯一の大規模管理刑務所。

過去にエイル・ゴウンと魔人を閉じ込める為に、英傑グイドが三次元多重構造魔術方陣を展開したのが最初のキッカケ。

内部の人物から魔力を奪って結界の維持に使う術式であり、その後に大魔技師の高弟の一人が魔術具を用いて多層結界構造に改造した。

 

予備階・一般囚人獄・特別囚人獄の三層と、エイルがいた秘匿囚人獄の合計四層で構成されていた。

 

飛空島(スカイ・ラグーン)

浮遊極鉄(アダマント)を核として人が居住できるほどの土地形成して浮遊させた上で、推進力を持たせたシップスクラーク財団の秘儀(テクノロジー)

外燃機関によるプロペラによって移動するライブ会場を兼ねた特別仕様。排出熱を利用して空気密度を調製するステルス機構も備えている。

 

まだまだ不具合も多くテクノロジートリオといった技術者が駐留し、重力魔術士であるフラウも補助することでスムーズな飛行を可能としている。

 

▲浮遊島

極稀にそこらへんに浮いている浮島。

浮遊石と岩盤のバランスが運良く釣り合った場合に、高度を維持して浮かんでいる。

ただし自然の循環(サイクル)からも浮いているので水補給や農耕もできず、鳥人族や飛行魔物が住処(すみか)として利用するばかりである。

 

▲浮遊大陸

浮遊島のさらにスケールでっかい版。ただしその存在を生きて確認し帰ってきたものはいないとされ、神話のような扱いを受けている。

 

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浮遊極鉄(アダマント)(ワーム由来)

浮遊石の状態では柔らかい軽石のような物質だが、無重力と電気によって精錬・合金化することで作り出すことが可能となった物質。

合金化に成功すると白い金属のような光沢を持ち、世界でも指折りの頑健な強度・硬度を備えるが、地上では浮き上がるので武器や防具としては使いにくい。

 

浮遊石を構成する重元素は超高圧・超高温で爆縮することで核分裂反応を引き起こすので、ベイリルがγ(ガンマ)弾薬として利用している。

 

水流蠕動筋(スポンジ)(魔獣メキリヴナ由来)

体積の何十倍もの水分を貯留できる特殊素材で、ほとんど加工しないままに使っている部位。

魔獣メキリヴナが水中移動する際に使用される筋肉の一つであり、高密度圧縮していると見られる。

 

●スライムカプセル(トロル由来)

飴玉のような球状成形して保存されたスライムで、それぞれ固体・液体・気体として適時使用する

赤の"活性"、青の"治癒"、黄の"栄養"、緑の"仙薬"、紫の"病毒"、白の"中和"、黒の"魔力"と七色の効用を持つ。

 

●黒色スライムカプセル

気化させることで周囲の魔力を吸着させ、呼吸を通じて肺に取り込むことで魔力を急速充填させることができる魔薬(ポーション)の一種。

ベイリルが脱獄の為に胃腸で時限吸収するように調節していた"黒スライム"は特別製で、液状膜を用いて自らの血液ごと魔力を封入保存していた。

 

身体能力・魔力操法に(すぐ)生体自己制御(バイオフィードバック)にも通じるベイリル、神器を備え既に死した身のエイル、"存在の足し引き"の魔導を使えるレド。

いずれも平然と使用していたものの、本来は暴走に近い自家中毒やその後の擬似枯渇、精神汚染や急激な体調変化による昏倒など、使用に際しての危険(リスク)がかなり多い。

 

 

★魔術方陣

英傑グイドをはじめとして過去に使い手が何人も存在していたが、修得難度がべらぼうに高く現在は失伝してしまったとされる魔術の一つ。

自らの魔力を図柄や文字情報として固着させて()(しる)し、物質等との"簡易契約"状態に置くことで様々な効果をもたらすというシロモノ。

 

なお後世に名を残す"大魔技師"が魔術具製法の一部として組み込んでいたので、広い形ではその一端(いったん)が受け継がれている。

またエイルが完全とは言わぬまでも再現に成功していて、今後は財団の魔術部門において研究されていく予定。

 

魔力(マジック)遠心加速分離(セントリヒュージ)

粒子加速器のイメージに、さらに遠心分離機のイメージを加えて完成させたベイリルだけの魔力操法。

遠心加速させながら比重の違う魔力を"濃縮分"および"上澄(うわず)み"に分離させることで、魔術と魔導の両方を効率的に使うことができる。

また副次効果として魔力の漏出を抑えることができ、惰性(だせい)で回しておくことで一度分離させてしまえばその後の労力は少なく済む。

 

ただし遠心加速で魔力を固液分離するまでには時間を要し、後から"黒スライムカプセル"など急速な魔力充填などをするとまた(にご)ってしまう。

エルフ種のような生来、魔力操法に長けた種族でないと真似することはできない。

 

★魔導"死人傀儡(しびとくぐつ)"

エイル・ゴウンが「息子を蘇らせたい」という狂おしいほどの渇望の果てに会得したものだが、死者の蘇生にまでは至らず傀儡(かいらい)として操るに留まる。

操作する死人とは意思の疎通もできないし、蘇生させたいと願うほどの相手にしか魔導効果を及ぼすこともできない不完全なシロモノ。

現在では魔人級たる自分自身を蘇らせているので、他に魔力(リソース)()けるだけの余裕もない。

 

★魔導"存在の足し引き"

レド・プラマバが実は学園生時代から使っていた魔導であり、自分の能力を数値として見立てることで割り振りし直すというシロモノ。

筋力(STR)を引いて速度(AGI)に足したり、視力を犠牲に聴力を過敏にする、といった芸当も可能。

戦況に応じてほぼ一瞬で切り替えられるので非常に強力ではあるが、選択や調整を(あやま)るとワンミスで乙ることにもなりかねない。

 

まだまだ発展途上の魔導であり、いずれは(Luck)すらも捻じ曲げようとレド本人は思っている。

ただし寿命などは前借りすることになるので、パラメータとして足し引きできるものの不可逆な数値もいくつか存在する。

また一度0(ゼロ)にまで減らしてしまったものは元に戻らず、最初から0(ゼロ)のものは項目がないので足すことも無理らしい。

 

★魔導"幻星(アストラル)影霊(サーヴァント)"

ベイリルがいくつもの魔導案から選択し到達した、灰銀色の鎧を身に(まと)いし(ちから)の具現化。名を"ユークレイス"。

"魔力(マジック)|遠心加速分離(セントリヒュージ)"で分離させた蒼色の濃縮魔力が前提となる。

潜在能力の完全解放、無意識領域の視覚化、俯瞰(ふかん)する"天眼"のビジュアルイメージ。

 

言わばもう一人の自分自身であり、自分でイメージしにくく不可能なことも他のモノにやらせるのならその限りではない、という役割分担理論からもくる発想。

通常なら自爆するγ線(ガンマレイ)もユークレイスならば問題なく使うことができるし、極度集中している(あいだ)をオートパイロットにすることもできる。

破壊力A、スピードA、射程距離C、持続力C、精密動作性B、成長性A。

 

 

★黒の魔力

魔力を色として(とら)えた場合に、特定の能力を持っている者には黒く()えるので便宜的にそう呼ばれる。

黒竜が備えていた魔力でもあり、あらゆる魔力色を塗り潰すという特異性を持っているが、同時に精神性も侵されるリスクも孕む。

魔力を強引に自分の色にするだけでなく、向けられた魔術そのものも塗り潰して減衰させるという副次効果も持っている。

 

通常は個々人の魔力の色の違いによって特性が変わることはないが、黒色だけは唯一の例外とも言える。

 

★魔力濃度

生物がもつ魔力の色相とは別に、魔力そのものに濃淡や圧密があるという概念。

魔力が濃い(・・)ことが魔導へと到達する前提条件の一つであり、それは周囲に対して本能的な圧力(プレッシャー)として感じられることもある。

特に"魔導"同士のぶつかり合いでは、この濃度によって相手に干渉したり防いだりと、実践的な意味合いが出てきたりする。

 

 


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