異世界シヴィライゼーション ~長命種だからデキる未来にきらめく文明改革~ 作:さきばめ
昏睡していた空白に比べればたった1/100だが、皮肉にも濃密な時間を過ごした。
「──あとはベイリルさんにおまかせします。困ったことがあったらいつでも手伝いますから」
プラタは引退し、正式にシップスクラーク財団総帥の座を引き継いだ俺は、知識を詰め込みながら100年進んだテクノロジーと世界を堪能した。
「──
「──なぁところでベイリル、もしかして我々は……アイヘルから数えて最も古い付き合いになるのか?」
オックスと協力し、スィリクスと連携しながらサイジック法国と財団をさらに大きく、フリーマギエンスを広めるべく精力的に活動した。
「──"白の加護"を使えないのは、肉体を魔改造された影響もあるのやも知れんな」
「──ベイリルさんの魔導体はもっと融通が利くと思います。そうたとえば……"何か別の
サルヴァから竜の加護の具体的な
「──ベイリルさぁ、いらん世話だっての。……でも食材だけはもらっておこう」
「──やはり
「──頼まれていた氷像はできている。……なに? それでは約束が違う。いや、だからといってわたしが人界に出向くつもりは……
レドの大魔王への道に少しばかり支援したり、ロスタンの研究・開発にアイデアを出したり、青竜フラッドとの交流を深めたり。
「──自分の料理はクロアーネさん直伝ですから。そうです……母、家庭の味というやつです」
「──クァァアア、ァアアウウゥ」
俺のそばにはいつもヤナギとアッシュ、さらに"烈風連"があった。
「──
並行して
当時の結社員の多くは寿命で既に
必要であれば殺し、場合によっては
「──わたしの名前は"
そうしてアンブラティ結社を潰すべく、有力な協力者も得ることができた。
そう、1年余り──収集した情報を統合し、さらに深く調べあげ、"
◇
「──"魔獣"の封縛措置《ふうじこめ》、成功しました。
巨大なモグラをベースに、
学苑陸亀"ブゲンザンコウ"のように魔獣という巨大な生体を利用し、内部に作り上げられた移動拠点こそが、行方知れなかった"
「おつかれ、それじゃ最期を拝みにいくとするか」
「自分を除く"烈風連"の面々はこのまま釘付けを継続しつつ、即応できるよう待機させておきます」
シップスクラーク財団における、現有最大戦力である俺とヤナギはたった2人で魔獣内部へと入っていく。
「……ワーム
踏み入れて進んでいくと、魔術具による光量が確保されている為、その気持ち悪さがよくよく目に映る。
カエジウスが自ら挑戦者の為にあつらえたワーム
「骨の破片があちこちに刺さりっぱなし……失敗した被検体を消化させて、魔獣の栄養にでもしているのでしょうか」
「ありえそうだな。まったくロクなもんじゃあない」
俺はドンッと強めに震脚をすると同時に音波を発し、"
「見るに
「はい、ベイリルさん」
俺とヤナギは揃ってパチンッと指を鳴らして"
するとそこには薬品類が並べられた棚や、大布が掛けられた複数のベッド。
照明や各種
そして椅子に座った1人の女"が、こちらを観察するように見つめてきていた。
「まさか研究所ごと止められるとは思っても見なかったけどお、なあ~るほどキミの仕業だったなら納得だあ。ひさしぶりだねえ"
生来なのかボサッとした黒髪が肩ほどまで伸び、広めの目元に鳶色の三白眼。
「まああああ、上手くいったのはかなり運の要素が強かったけどお……でもでもお、ハーフエルフって素体としてはやっぱり良いよねえ。成功すれば長保ちしてくれるしい、ちょっとくらい寿命が縮んでも問題なくてさあ」
100年以上前だし、格好も違ってはいる。
「ってえ、あーーーー!? せっかくの特別な左腕が置き換わっちゃってるう。それは……義手? やっぱりさあ機械よりも生身のほうがイイよお、また同じのつけてほしい? もしかしてそれが目的で来たあ?」
"トロルの腕"は移植されていないし、"蟲のような連接尾"が生えているわけでもない。
「キミはもともと素体としての完成度が高くてさあ、けっこう無茶をやったんだけど──そうだ、せっかくなら新しいのを試してみるのはどうかな? かなあ?」
しかしその顔と声には
「ねえねえ、どーしたのお? ずーっと黙りこくっちゃってさあ。あーーー意思決定能力と言語能力喪失してたんだっけえ、じゃあ操ってるのはそっちのお嬢さあん?」
「いいえ、違います。……ベイリルさん?」
一方で俺はずっと以前の
「──
その姿と声は間違いなく。
若かりし学苑時代──遠征戦において戦い、この手で葬った──自らをキマイラと化した、寄生