異世界シヴィライゼーション ~長命種だからデキる未来にきらめく文明改革~ 作:さきばめ
#426 結社の最後 I
──誰からも忘れ去られた、数千年以上前に建てられし霊廟の奥。
そこには同じように誰からも忘れられたはずの一人の男が、沈黙し、
白髪交じりの男の右手の中指にはリングが
「待っていたよ」
男は目を瞑ったまま、背後から音も無く近付いてきた人物へと声を掛けた。
「逃げ隠れしていた奴がよく言う、だがもう
「私は命を惜しまない。だがその前に少しだけ話をしないか? "
かつて結社に"
彼はアンブラティ結社の創始者にして首魁である
「いいだろう、
たとえ時間稼ぎの魂胆があったとしても、問題ないと見越した上でベイリルは会話に興じることを決める。
「ありがとう。私が最後ということは……
「奴には苦労させられたよ。あらゆる流通や人の流れを監視して、百年の間に増やし過ぎた
放置すればあわや
しかしながらその過程で少なくない犠牲が出たことも──忘れることはできない。
「驚くまい。"
「お前が姉さんのことを口にするな」
ベイリルは表情を変えることなく、淡々とした口調と声色でもって
「失礼、私が直接的に関わったわけではないが……遠因になったことは確かだ。他意はなかった、そのあたりも含めて聞いてほしいのだ」
「……いいだろう。言葉選びには気を付けろ」
座ったままのベイリルはグッと腰を落とすように前かがみになり、状況に対応できるよう視線は外さない。
「"幇助家《インキュベーター》"が裏切ったあの落日──いや
「そうだな、俺がまだ
転生して野望の為に奔走した20年。昏睡し洗脳されて過ごした記憶なき100年。
"
「
「遠い昔に
亡霊《ファントム》は空虚な笑みを浮かべつつ、腕を広げて顔を上方へと向ける。
「随分と長い目で見ているようだな……
「結社《アンブラティ》を創ったのは──
「なんだと?」
少なくとも300年をゆうに越える間、世界中で争いの種を撒いてきたアンブラティ結社。
であれば
「語ろう──そして是非、最後まで耳を傾けてほしい。因縁深きキミがたった一人でいい、誰も知らぬ私の生涯を覚えていてくれるだけで満足だ」
ベイリルはわずかに考えてから、小さく
「まず最初に明かしておこう。この
「本体が別にいるってことか?」
「そうとも言える、私が生まれたのは……"二代神王グラーフ"が代替わりする少し前の時代だった」
「──っ!? そんなにか」
グラーフの時代ともなると4000年ほど前にまで
「いや生まれたというのは、いささか
「グラーフと初代魔王か……なるほど、お前の正体は──
「さすがだ、キミは昔の知識もよくよく
ベイリルは
「俺の既知の範囲内で所在不明で、かつそんな効果がある魔王具は
「"
ベイリルは絶句する。かつて白竜イシュトが、我が
それは噂に聞いていたよりも──もちろんソレ相応の膨大な魔力量を必要するのだろうが──さらにぶっ飛んだ性能を持っているようだった。
「この
「秘密を教えなければ……俺はお前の肉体のみを徹底的に破壊し、指環は捨て置かれ……生き延びる芽もあったんじゃないのか。あるいは俺の体を乗っ取るとかな」
「それは、ない。今さら言いにくいことだが、信じてほしい……私は