異世界シヴィライゼーション ~長命種だからデキる未来にきらめく文明改革~ 作:さきばめ
「──それで、
「あぁ……いざ活動を始めると、実体があることで不都合な部分が多かった。私は生命の魔法が使えたが、同時に分身体ではなく──あくまで
「分身体を乗っ取ろうとはしなかったのか?」
「私は生命を与えることはできるが、意識ある者の乗っ取ることは実のところ難しいのだ。だからと言って、分身体であろうと
「元は単なる道具の割に、随分と感情的なことだ」
生命を与える為の魔力の器と引き換えにしてでも、肉体を取り替えていくほうを選ぶとは。
「──よって私は固有の
そして実際に気取られることなく、世界を裏側から翻弄し続けたアンブラティ結社の内実。
「本当に必要な人材のみを残し、徐々に
「当初の目的など忘れ、各人が自己の利益を優先するようになっていった……か?」
「そう……決定的なのは、他ならぬ
「皮肉だな」
自らの分身体によって目的を
「言葉もない。
「手綱を握っておけなくなり、さらには実態を
「ああ、肉体を定期的に入れ替える必要があった私にはとっくに止める
「元は同じ人格でも、時の流れは残酷なことだ」
「まさしく私は、仲介人の亡霊でしかなくなってしまった──」
哀れとしか言いようがないが、己の
「しかし
「ああ、
「血文字《ブラッドサイン》を、お前が手引きした……だと?」
ベイリルの頭の中に存在しない情報に目を細める。
「そうだ……
「随分と、あっさりと切り捨てたんだな」
淡々と唾棄するかのようにそう吐き捨てるが、
「聞けば納得してくれることだろう。そう……いつからか
「
「不完全の分身体は深い思考をすることができないゴーレムのようなものだが、情報を収集する使い捨て人形としては丁度良かった」
「それが……
それから
「そう……彼女は
「どういうことだ?」
「私が彼女を遍在させた後、彼女自身でもう一人完全な分身体を作り出した。そこで気付いたのだ、自分がもう一人いることの危険性というものに」
「──そうか、お前よりも人格が歪んだ
「耳飾りの数を考えても二人が限度だった。自分が増えれば増えるほど、より人格は変質し──耳飾りが奪われ、取って代わられる危険すらも考えたのだろう」
遍在する完全分身体による裏切りと下克上。
正確には魔王具"
耳飾りを片方ずつに分けて着けていたのも、効率面だけでなく──お互いへの信頼であり、抑止力であり、最小にして最大限の
「なんにしても、相互利益を求めたアンブラティ結社は暴走に近いこともするようになった。とはいえそれもまた人類間競争を起こさせる点において、大きく逸脱するわけではない」
「だからお前は亡霊らしく静観でも決め込んでいたわけか」
「彼女を殺す決心をしたのは、
「……"電信回線"と"魔線通信"か」
「今度は同じ
「残念だったな」
「ああ他ならぬ
「
「それが……そうでもないのだ」
「この期に及んで切り抜けられるとでも、まだ思っているのか」
ベイリルは事実のみを述べる。
それは決して間違いではなかったが、
「いや逃げるつもりなどない。ただ決して残念ではないという意味だ、