異世界シヴィライゼーション ~長命種だからデキる未来にきらめく文明改革~ 作:さきばめ
竜血の刃で斬り
中は電熱によって湿度と温度がかなり高く、匂いもひどいので"
俺はアイトエルと手を繋いだまま魔力を供給してもらい、"風被膜"を二人で共有する。
「……なんか気恥ずかしいですね」
「
(まぁ他に誰が見ているわけでもないし構わないが……)
"反響定位《エコーロケーション》"を繰り返しながら、探索と同時に一歩一歩を踏みしめていく。
「しかし同時におんしは
「愛すべき幼子のようなだけでなく、特別ですか」
「左様。第三視点と言っても完璧なものでなく、また魔力も無尽蔵ではない。ゆえにおんしは基本的に
「アイトエルを通して……だけ?」
過去の出来事ではあるが、俺にとってはこれから訪れる未来。
「そうじゃ、もしくは
「魔力色が近い――魔力の譲渡が可能なくらいの……」
改めての疑問。なぜ俺とアイトエルの魔力色が近いのか?
偶然という可能性ももちろんあるのだが、恐らくは何がしかの因果があるような感じがする。
「さしあたって
「しかし口振りから察するに理由は……ある?」
アイトエルはコクリと
「
「母さん──」
親父である人族のリアムと純粋なエルフの母から、姉フェナスと
「ある時、ヴェリリアは急激に体調を崩したことがあった。皮膚はいくつもヒビ割れ、血涙や鼻血のみならず
「病気……いや毒ですか?」
俺は自分で言いながら途中で気付く。その程度のことをわざわざ語るわけがないと。
「ある種においては"毒"と言っても良いのかも知れん。行き過ぎた"情報"という名のな」
「情報……?」
「
(情報量の負荷……? でも
「まっその時はなんとかギリギリ戻れて一命を取り留めることはできたがの、それでも治癒するまでには相当掛かったもんじゃ」
魔導はおろか魔術ですら不得手な母親であった。
加えてアイトエルがわざわざ語る関連性を推察するのなら……。
「そして後から判明したことじゃが、その頃ヴェリリアのやつは
「そうか、つまり情報負荷とは……俺という人格のこと、ですね」
「で、あろうな。何らかの形でおんしの
異世界転生──赤子に地球人の情報が流れ込んで定着する。さらに受け皿となった母体には急激な負荷が掛かる。
(そういえば……ヴァルターもスミレも──)
ヴァルターは母がいなくとも王族としての環境の中で生き、スミレは父親に育てられていたと聞いている。
「事態は緊急性を要した。情報流入負荷それ自体は治まっても、
「
頂竜の血を混ぜられ、唯一生き残った"竜越貴人"。恐らくは地上で最も精気と活力に溢れた血液。
「おんしもよく知っての通り、ヴェリリアは死なずに済んだ。もっとも輸血の副作用によって、魔術を使えなくなったがの」
「血液は魔力における最高率の媒体ですからね──」
「
「それは……皮肉な話ですね」
「ふっは!
アイトエルは今となっては感謝している、とでも言いたげな……郷愁に
「……すると母が魔術がからっきしだったのも、やはり魔力色が半端に混ざっていたからなんですね」
「うんにゃ、元から不得手じゃった。じゃから本人も気にはしとらんかった」
「えっ……あ、はい」
「まあまあほとんど使えなかったものが、まったく使えなくなった程度のものよ。血が三種も混ざれば仕方あるまい、ついでに気性がちと
どうやら生来の脳筋エルフだったようで、黒騎士だった父リアムも魔術主体ではなさそうだったし、俺は魔術の才に恵まれてつくづく良かったと思う。
「そして……ベイリル、竜血は
「血そのものは俺に混ざらなくても、魔力色自体は影響を与えた──」
「さすがに察しはついておるか。
(受精卵は……それ
生物学的に言うのであれば、父母の血が繋がっているというわけではない。遺伝的特性と情報が連なっているだけである。
もしも俺にもアイトエルの血が混じっていたら、
「まっ、しょせんは可能性の話じゃ。理由はなんであれ、
「魔力色と器あってこその、
第三視点はあくまで時間軸を含んだ四次元的な
過去の自分自身に再び入り込むのであれば問題ないと思われるが、他人に俺の
「なぁに細かいことは考えず、過去の
「なるほど、では遠慮なくそうさせてもらいます」
言いながら俺は
次いでワイヤーをガイド代わりに、螺旋回転を伴った風を左掌から
「これで揃ったのう、
俺は引っ掛けたワイヤーを回収してキャッチした、"
「……はい、必ず成し遂げてみせます」