異世界シヴィライゼーション ~長命種だからデキる未来にきらめく文明改革~ 作:さきばめ
「"神衛隊"!!」
三代神王ディアマが叫ぶと、周囲の尖塔に16人の影が立つ。
彼らはいずれも、ディアマ直伝の剣技を修得している生え抜き達。
半分は神族だったが……残りの半分は亜人や獣人、人族も一人だけ混じっていた。
「これより我は竜征に討って出る。しかしあいにくと
後光に照らされるように命令する姿は、これ以上無いほど凛としていて覇気に満ちている。
聞くだけで人心を鼓舞するよく通る声と抑揚、美しい立ち姿はまさしくカリスマという言葉をそのまま人型にしたような印象を受けた。
「ディアマ様、ご助力は?」
「
「了解しました。ただちに
隊長格と思しき神族の男が一礼をすると、神衛隊の面々は瞬時に散開していった。
「さすがのディアマも、ここへ到達前には無理かいね」
「我も甘く見られたものだ。そんな短時間で出し切れるような全力ではない」
「あははっ、それなら威力に関しては期待できるね神王さま」
魔力量が多いほど循環・増幅・安定させる為に時間が掛かるのは必定。
ゆくゆくは実際に大陸の一部を斬断するほどのディアマの一撃なればこそ、その魔力量は計り知れなかった。
『さっどうする? アイトエルが魔術を使えるようになったおかげで、俺も加勢できるぞ』
(魔力、足りるかの?)
『魔王具"
(ほぉ……なるほど、そういえば
『忘れてたんかい』
(初めて会った頃とは違うのじゃぞ。
『ある程度は見守ってきたから知ってるよ。昔の可愛げや初々しさが完全になくなって……もう俺のよく知るアイトエルだ』
(それは喜んでいいのか、それとも怒ったほうがええんか?)
『くっははは、正直なところ落ち着くよ。とにかく火力砲台なら任せてくれ、魔力を減衰させる黒色もなんのそのだ』
(ではお言葉に甘えようかの。いやお手並み拝見といったところか)
『あぁ、だから……その前に
◇
聖王国の首都が黒く染まるのを、大きめの"浮遊岩"の上に立った3人が見下ろしていた。
文明がまるごと破壊され、瘴気によって汚染されていく。
逃げた民たちがが残っても治める土地がなければ、事実上は1つの国家の崩壊に等しい。
「魔獣は数えるのも面倒なほど討伐してきたが……元が竜というだけでこれほどのものになるとは──初代の苦労も知れるというものか」
「……魔法が当たり前だった
「なぁにディアマ、私見ではおんしも負けてはおらんよ」
アイトエルは過去を思い出し、イシュトは昔を知らないフリをし、唯一当時を知らないディアマは握りしめた永劫魔剣を見つめた。
「それはこれから証明してみせる」
魔剣を両手で大上段に構えたディアマの
後の歴史にもいくつかの流派が伝わっていて、
「その意気よ。では
言いながらアイトエルと
「さてと、そいじゃ体を預けるぞい」
『あぁ、まかせてくれ』
黒竜が来る前に予め準備しておいた地面下。アイトエルの三本指同士を合わせ、俺はイメージを固める。
それは──いつか見た──"大地の愛娘"ルルーテの模倣とも言えよう。
(あのトンデモ規模には到底及ぶまいが……減衰される魔術ではなく、純粋な質量と運動エネルギーを与えるやり方だ)
魔力は前もって闇黒から蒼色へと染め上げて充填済み。
地下は可能な限り直上方向へ衝撃が行くようにくり抜いてあり、十分過ぎる威力をもって"
「繋ぎ揺らげ──
俺は魔術を使う刹那を逃さず、魔王具を発動させて地下空間からアイトエルの肉体は脱する。
「バッチシのようだな」
"片割れ星"にまで届くのではないかと思わせる、魔力を全開放した無属魔術の超々極大刀身。
「ォォォォオオオオオオオオッッ!!」
そこには
それは言うなれば華麗にして苛烈なるディアマの、
戦意を昂揚させる
同時に地下大爆発によって、地面がめくり上がるほどの質量・運動エネルギーが衝撃となり、闇黒瘴気を飛散させつつ黒竜の体ごと地盤が天へと昇っていく。
永劫魔剣の極大刀身と黒竜の巨体が、相対速度を維持しながら交差する。
ディアマはそこからさらに
「
足場から跳躍しつつ、
その間にディアマの永劫魔剣によって大地は斬り断たれていき、大爆発の大穴を含めて黒竜の巨大がさらに地下深くへと沈んでいく。
地表に降り注ぐ太陽光や宇宙線もろとも集約し、核分裂反応による放射性崩壊の殲滅光を固定し終えた時──
空高く光速移動していたイシュトも、既に"光球"の一点凝縮を終えていた。
「今はおやすみ、
「またいずれ、ブランケル
イシュトと俺はそれぞれ"光輝"と"
世界そのものを白く染め上げるが
咆哮が轟き、やがて沈黙する。
魔力が空っぽになった三人の傑物は、瓦礫に囲まれながら新たに形成された峡谷──"大空隙"の崖際に座り込んでいた。
「上手くいかないものだ、不必要に長くなりすぎてしまった。剣をしっかりと魔竜の等身大に凝縮できていたなら、真っ二つにできたはずなのに。己の練度不足を恥じるより他はない」
「真面目すぎるし、求めすぎじゃ。これが
「うん……そうだね、いつか目覚める時にまたなんとかすればいい」
ディアマは歯噛みし、未来知ったるアイトエルは満足し、
「しかしなんだ……二人とも示し合わせたように、凄まじい魔術を使っていたな」
「ふっふっふ」
「……それほどでもー」
「しかもアイトエルは最初のも──それほどの
「なぁに、使うにも条件というものがあるんじゃよ」
「天啓とやらか?」
「それに、ヒト相手に使うようなモノでもない」
(まったく、ぶっ飛んだ魔術よ。一体どういう状況で使うのやら)
『転生者ゆえの魔術ってとこだ。それにアレで打ち倒せない人間もいるし』
(未来は恐ろしかじゃのう)
『単に火力だけなら魔術を使わずとも、いずれ科学がアレ以上に到達する。だから物理法則を超越してくる魔法のが、俺は恐ろしいよ』
「ふーーー……それじゃ、わたしはそろそろ行くね」
「イシュト、
「あははっ心配してくれなくても大丈夫だよ、アイトエル。とっくの前から気持ちの整理は、つけてるつもりだからさ」
イシュトはやはり無理しているようにも見えて、感情が抑えきれなくなった俺はアイトエルの体を借りて彼女を抱きしめた。
「いつか……いつか必ず会えます、だから──」
「ん~なになに、慰めてるつもり? 大げさだなぁ、でもありがと」
逆に背中をポンポンッとなだめるように叩かれ、俺はアイトエルから意識を浮かせる。
(今のはバタフライなんちゃらにならんのか?)
『……変わらないさ、イシュトさんは諦めない』
(ふ~む、詳しくは聞かないでおこう。知りすぎるとつまらんからな)
「どのような因縁があったかはわからないが……ご助力、感謝する。イシュトどの」
「こっちこそありがと。アイトエルの
イシュトは笑いながら"大空隙"の崖際に立つと、そのまま後ろ向きに倒れ落ちながら手を振った。
「はっ……?」
「オイッ──」
さしものディアマとアイトエルも驚愕の表情を浮かべる中で、
彼女は
わずかばかりでも