異世界シヴィライゼーション ~長命種だからデキる未来にきらめく文明改革~ 作:さきばめ
俺はかつてこの手で殺した
『"
(知り合いか? ずいぶんと強い執着をそこはかとなく感じるようじゃが)
『あぁ、未来で俺が打ち倒すべき相手だ』
(……それなら、喧嘩は買わんほうが良さそうかい)
『少し挨拶するくらいならいいだろう、母さんを
魔王具"
万全でも自分か相手か……どこかしらが置き去りにされて欠損する可能性が低くなく、それが重要な器官であれば当然即死に至る。
「エルフが目的か──その足手まといをとっとと置くがいい」
「それは有情なことじゃて。しかしのう……はいそうですかと
アイトエルはもう一方へ視線を移したところで、
「使い終わった演者だ、
「フンッ、そこの道化が余計なことをすれば
「失敬なり!」
「まっこと組織として
やれやれと言った様子でアイトエルが吐いた息に、
「女……何者だ」
「名乗るほどの者──ではあるが、教えるつもりはない。
「
「失礼な、いくらなんでも見損ないすぎだ。安易に口に出すわけがないし、
「かっかっか! 知りたければ
アイトエルはヴェリリアの体をその場に横たえて、ゴキリと首と手指を鳴らす。
「それも一興か」
「むむむっ、是非とも観覧したいところだが……巻き込まれても困る。撤収準備も完了している頃だし、
『
(単なる
アイトエルが待ちの姿勢を見せると、
長年鍛え研ぎ澄まされ
尋常者であれば思考する間もなくこれで終わる。
しかし相手がさらに遥か上の技術を有するアイトエルであれば迫る右拳をいなし、反転逆撃を叩き込むことも造作もない。
「
造作もない……はずであったのだが、はたしてアイトエルの顔面に裏拳が入れられ、小さな体躯は宙を舞っていた。
「ぬぅ……ぐっ、
「
『まじかよ……アイトエル、一撃もらうなんて』
その軌道も衝撃も完璧に
何千年という研鑽の果てに、およそ武術の到達点にいるアイトエルがよもや
ただ──そう……まるで運動エネルギーが
(ッ……おー
『すまん、俺もそう感じた。今の状態だと魔力色は
(なんじゃいそりゃ)
『俺の記憶も古いからアテにならん部分もあるが……あぁそうだ、あの時は魔力がない状況だったから──もしかしたら今が魔力の充実した
「壊しがいが……あるッ!」
ブワっと相対距離が詰まると同時に、
それを皮一枚のところで近距離転移して回避したところで、アイトエルの空中蹴りが
「調子に乗りよってからに……あんまり
アイトエルの全力の左足刀が急所へ命中し、その体がグラついた次の瞬間──
紅々とした瞳が「捕まえた」と言っているようで、そのまま強引に引っ張られながら、アイトエルの無防備な胴体に右掌底が叩き込まれた。
「っっ──がはァ!!」
単純な衝撃力だけで言えば、アイトエルの長き生涯で最大とも言えるほどのもの。
体躯は吹き飛ぶことなく空中に固定され、そのダメージが余すことなく全身に駆け巡り、血反吐が漏れる。
『大丈夫か!?』
(むぅ……油断していたわけじゃないんだがのう)
アイトエルの強靱な肉体と巧みな血流操作をして、甚大と言わざるを得ないダメージに……俺は改めて
だが肉体を共有しているがゆえに、わかったこともあった。
『本来なら逃げるはずの衝撃までもが体内に留まった。まるで俺が使う"音空響振波"のような……まさか
(いや、そんな小難しいもんではない。もっと単純なもんじゃ)
『看破できたのか?』
(二度も喰らえば充分すぎる。強度は比較にならんが、過去に似たようなのがおったよ)
「かつて魔人を仕留めた技なのだがな……それにしても不味い血だ」
ペッと吐き捨てつつ口元を
「"念動力"、しかしとんでもない領域よの。自ら全身に掛けて動かすなど……まかり間違えば一瞬で潰れるだろうに」
「慣れれば大したことはない」
『
物体を内側から動かすのは、厳密にはテレキネシスだっただろうか。
どちらにしても魔力強化された吸血鬼の肉体に、魔術を重ね掛けして出力を上げ、さらに攻撃にまで転化しているとくれば……これほどの強度も
普通ならば簡単に肉体が悲鳴を上げ、ぶっ壊れてしまうところのはずだが──
「貴様はどうやって
「ん~?
「名前と違ってあっさり教えるとは……
(無意識の内にまで肉体を動かせるとなると、ちと
『は? あぁまぁ……"黒の魔力"ナシで魔術が通じるなら、いくつかやりようはあるが──了解」
肉体の主導権を渡された俺は肉体の状態を確認しつつ、パチンッと指を鳴らして立ち上がったのだった。