異世界シヴィライゼーション ~長命種だからデキる未来にきらめく文明改革~ 作:さきばめ
「クゥァアアア──!!」
"灰竜"アッシュが咆哮する。
その先には"魔獣使い《ビーストマスター》"が操るモグラのような魔獣がそびえ、相対するは6人の影。
赤き影は、焦がすような炎熱を内包せし──"赤竜"フラッド。
青いシルエットは、氷雪を操りし──"青竜"ブリース。
黄色の長身は、雷霆を放出する──"黄竜"イェーリッツ。
緑の少年は、豪嵐を
七色竜の4柱は、それぞれ互いを見据えながらなんとも言えない空気が漂っている。
「……おいベイリル、なぜこの場に呼んだのだ? ──まったく聞いていないぞ」
「そりゃあもう、サルヴァ
「紫竜ヴィフト──敬愛なる我が師の名を出すか。飲み込まざるを得ないではないか」
今は亡き病毒を司る"紫竜"の弟子として、その最期を看取ると共に加護を受け継いだサルヴァ・イオ。
元々神族であった彼は、自らの肉体を変異進化させて加護の
「おいおまえ、"白の眷属"……一体どういうつもりだ」
知り得る中で決して味方ではない、
「少しばかり親交を深めておこうかなと」
「はあ……?」
魔獣討伐を機会として緑竜と仲良くなっておく──それがこたびの一番の目的とも言えた。
昏睡していた100年の
豪嵐が大陸中を縦断し、凄まじい爪痕を残していったという。
それはいずれきたる工業化によって、急速に大気が汚染された結果として
過去に学んで、そうならないよう
「――それとついでで
「ボクらをいいように使う気か?」
「いえいえ俺一人でもやれないことはないです。どう考えても過剰火力ですし、
「なんだ? どーそーかいって」
「あーーー懐かしい顔ぶれで集まることです、今を生きる七色竜が勢揃い」
「三柱も足りてないじゃないか」
「そこは"白竜"の加護をもらった自分がイシュトさんの代わりで。"紫竜"は同じくサルヴァ
どうにも
「……緑。このような機会、次にいつ訪れるかわからんだろう。実際に
「ちぇっ、どんだけ昔の話をしてんだか。赤や青はどうなのさ」
「我は構わぬ、既に人と共に歩んでいるゆえ」
「わたしも──悪くないかなとは思っている。知らない内に白が死んでたのは正直、悲しかったから。
黄竜はワーム迷宮の主として、カエジウスを含めた人とも少なくなく関わってきた。
赤竜も帝国建国から人類と共に在り、先の継承戦を契機に共同歩調を取ってきている。
青竜は
「どいつもこいつも懐柔されてやがる……まっいいさ」
迫ってくる魔獣に対し、
さらに持ち上げた際の暴風に、
続いて
「ヒューッ! 俺も負けてられないな――みなさん、直視しないようご注意を」
"燃ゆる足跡"がくっきりと残され、落下する巨体へと――俺は握った右拳の上に"光輝"を収束・圧縮させた。
それは
「"
凝縮され尽くした光球は魔獣へと吸い込まれ、その肉体は四散した。
(生物資源、もったいなかったが……まぁいい。今この瞬間、全員が一丸となって事を成したという事実が大切だ)
最後に
「いやはや、凄絶としか言いようがないですな」
気絶した
「ふうん、ボクらが魔獣を相手にしている間に仕留めるとは……紫の眷属もなかなかやるじゃん」
「いえ……そのつもりでしたが、実は既に
「よッ! とんだ
サルヴァの背後から現れたのは、黒い長髪にやや充血させた薄紅の瞳を浮かべる少女。
『アイトエル――ッッ』
緑と黄と赤と青の声が一斉に重なり、その名前が五英傑の1人だと気付いたサルヴァは驚愕の表情を浮かべる。
「おまえ……アイトエル、"白の眷属"とおんなじこと言いやがって」
「んん? はっはっは、ベイリルとは半身のようなもの、思考や言葉も似通って当然よ」
カッカッカと笑うアイトエルに、
「はぁ――ボクはもう消えるよ、やることはやったからもういいだろ」
「オイオイ、もう帰ってしまうんか。旧交を温めても良かろうて」
「イ・ヤ・だ・ね!! おい
「なんでしょう」
「イロイロとやってるようだけど、覚えておけよ。いつだって
「肝に銘じておきます」
俺の真剣な言葉を飲み込んだ
「随分と嫌われたのう」
「俺よりもアイトエルのほうだろう。実際は一緒にいなかった時のほうが、ずっと長いくらいだが……同居していなかった期間にいったい何をしたんだよ、アイトエル」
「ふむ、ではそれを酒の
クイッと顎を動かすジェスチャーをとるアイトエルに、
「あいにくと我も帰らせてもらう、まだまだ新たな所領が落ち着いていないのでな」
「そうかいフラッド、ではいずれ
「好きにするがいい」
赤竜は地面に燃ゆる足跡を残し、そのまま竜の姿へと変化して飛んで行ってしまった。
帝国が東西と北方の都市国家群に分かれてまだ間もなく、やることは尽きない。
「イェーリッツはどうじゃ、ブリースはもちろん付き合うじゃろ?」
「無論」
「……えぇ、付き合わせてもらう」
「そうこなくてはの」
「ご相伴あずかりましょうか、サルヴァ
「ん……うむ、恐縮極まりないが興味もこれ以上ないほど深い。しかし改めてベイリル──とんでもない人脈、いや竜脈とでも言えばいいのか──を得ているものだ」
「それほどでもあります。巡り廻った
俺はそう噛み締めつつ、出会いの大切さへと感謝するのだった。