戦術人形と指揮官と【完結】   作:佐賀茂

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一度書くと、そこからプロットって色々生まれるものですねえ。
ということで、書きました。

今回はちょっとだけ話の時間軸を前に進めようかなという感じです。このシーンを皮切りに色々世界が広がればいいなーと思っています。まだ特に考え付いてませんけど。

そういえば知らん間にアンケート機能とかついてたんですね。おじさんびっくり。
ちょっと使ってみましたので暇潰しにでもポチポチどうぞ。


31 -アトミッククルーガーパンチ-

 さてさて、こいつを一体どうしてくれようものか。ダンボールの山の中、全貌を覘かせたソイツを一睨みして、思わず小さなため息を吐く。支部入口のエントランス中央にドカンと陣取っている上質の寝具に対して、俺は直ぐに出せる有効打を持ち得ていなかった。いや、正確に言えばいくつか案っぽいのは浮上したんだが、そのどれもがあまりよろしくない。正直、秘密裏に処分した方がまだいいんじゃないかってとこまでワンチャンある。それ程までに「限られた贅沢」というものは時として猛毒となり集団に襲い掛かるのだ。

 

 案その一。どこかの宿舎に勝手に運ぶ。却下。

 運び込まれた部隊の連中はそりゃあ喜ぶだろう。それだけを考えてみれば、悪い一手ではないように思える。がしかし、狩人と処刑人のみで構成されている第五部隊を除外したとしても、今うちの支部では四部隊が稼働している。そして、当然ながらこのエレガントなベッドは一つしかないのだ。いきなり一部隊だけ寝具のグレードが跳ね上がったのでは不平不満が噴出するのは必至である。そんな見え見えの地雷を踏み抜く訳にはいかない。

 

 案その二。俺の私室で使う。却下。

 悪くはない。悪くはない案だとは思う。もしこのハイパーなベッドの存在を俺一人しか知り得ないのであったなら、極めて有効な手段だった。だが、今ここには俺だけでなく頼れる後方幕僚様も存在しているのだ。そして、基本的にコインで得られる家具というのは宿舎のため、つまりは戦術人形への福利厚生の一環として扱われなければならない、らしい。カリーナが言ってた。

 結び付け方は多少強引だが、支部の物資としてカウントされているはずのコインを利用して自室の環境を整えたとなれば、広義で捉えれば横領にも見える。別に本部や他所の支部からどう思われようが知ったこっちゃないが、俺の評判の良し悪しだけでなく、この支部、ひいてはこの支部に所属する戦術人形やカリーナの評判まで無為に落としてしまうのは俺が望むところではない。更に、如何にくそったれな世界で如何にブラックな企業とは言えども、自ら犯罪に手を染めるってのはちょっと遠慮しておきたい。腐っても元軍人だし。あと、俺の趣味趣向を加味させてもらうとこんな綺麗目かつ可愛らしい寝具はちょっと似合わない。おじさんだぞ俺。しかも何か柔らかすぎて逆に腰痛めちゃいそうだしさあ。

 

 案その三。戦術人形たちにどこに運ぶか選ばせる。却下。

 間違いなく戦闘になる。特にG11辺りがヤバイポテンシャルを100%発揮しそうである。あいつ普段はぐうだらの極みみたいなヤツなのに、一度スイッチが入るとかなり危険だ。SOPMODⅡもかくやと言わんばかりのキリングマシーンっぷりを見せ付けてくれるからな。流石に最適化工程の差もあってAR小隊の連中には敵わないだろうが、逆を言えば本気のG11を止められるのはあいつらくらいしか居ない。

 俺が命令すれば無駄な戦闘行為にまでは発展しないだろうが、何の生産性もない確執だけが残ってしまうだろう。そもそも、選ばせるって手段を取る時点でそこに優劣が存在してしまう。全員を公平に扱いたい俺としては、結果としてそうなってしまうのはよろしくない。俺は人形にそこまで明るいわけじゃないが、少なくとも擬似感情モジュールに嫉妬や羨望という感情は設定されていない、なんて勝手に思い込めるほど馬鹿じゃないのだ、残念ながら。

 

 案その四。カリーナに使わせる。ちと悩んだが却下。

 こいつも雇われの立場だから、福利厚生の適用範囲内です、というゴリ押しは多分出来る。というか、流石にその程度であればクルーガーが相手だろうが黙らせられる自信はある。ヘリアントスも同様だ、カリーナの労働環境はマシになったとは言えまだ良いと言えるレベルではない。もし何かお小言を言われたとしても、人形よりも人間の環境を先に整えることに対してごちゃごちゃ言うなと突っぱねてやりたいくらいだ。

 だが、肝心要のカリーナ本人がおそらくいい顔をしない。勿論、指揮官権限で使わせることは出来なくはないが、守銭奴らしい一面はあれど彼女は基本的に真面目である。俺がゴリ押したとしても、それが本人の満足度に繋がらなければ意味がない。割り切って自身の快適度向上を素直に受け入れられるほど、彼女の肝が据わっていたのなら話は違っていたんだろうが、まぁそれをカリーナに求めるのは少々酷というものか。あの子には素直なまま経験を積んでもらいたいしな。何か父親っぽい気持ちになってしまった。でも歳の差で言うと娘みたいなモンだしなあ。

 

 いやー、どうしようこれ。間違いなく品物として上等なのは分かるんだが、ここまで扱いに困るとは。皆でホームパーティでもしようぜって菓子やら安酒やら持ち寄っていたら、いきなり本マグロまるまる一本を生身で持ち込まれたような感じだ。グレードが違いすぎて困惑する。

 

「あ、あのぉ、指揮官さま……?」

 

 エクセレントなベッドを前に一人ウンウンと悩んでいると、頼れる後方幕僚が声をかけてきた。何か妙案でも思いついたのだろうか、それとも自分で使いたいとでも言い出す気か。何にせよ俺一人じゃ素敵な解決策も思い付きそうにないので、その先を視線で促してみる。

 

「いえ、あの、普通に沢山コインを使って家具を揃えればよろしいのでは……?」

 

 天才かよ。いや俺が馬鹿だったわ。

 そうだよ、何が問題かと言えば、このパーフェクトなベッドが一つしかないってのが一番の根本要因だ。数さえ揃えば全宿舎に分配出来るじゃん。コインはまだ10枚使っただけだから、単純に考えてあと190枚くらい残っているはずだ。同じ家具が手に入る保証はないが、ある程度似通ったものが複数手に入れば大きい不満は出てこないだろう。それこそ着任時期や貢献度の差などを盾にすれば逆に丁度いい塩梅になるのではないか。

 よし、そうと決まれば今あるコインは全部使ってしまうか。どうせ死蔵させていても意味のない物だし、任務や指令をこなしていればまたいずれ貯まってくるだろう。ただ、こいつと同じベッドが来る保証は何処にもないので、先んじてこれをどこかの宿舎に運んでしまうと、万が一が起こりかねない。一旦は施設内の端っこに寄せておこう。何か展示物みたいになっちゃうけど仕方がない。しかし前線基地のエントランスにベッドが鎮座してるって絵面ヤバいな、まぁ他に来客なんぞこないからいいんだけどさ。

 

 と、いうことで。司令室にとんぼ返りして余っているコインを全部カリーナに持ってきてもらい、その全てをせっせこせっせこスキャンすることになった。予測はしていたが、これメチャクチャに面倒くさい。放置していた何百枚もの書類にひたすら指揮官印を押し続ける動作と少し似ている。これは一気にやってしまうのは精神衛生上あまりよろしくないな、心が死ぬ。だが、これで明日の朝には19点の家具がうちに運ばれてくるはずだ。勿論ベッドだけじゃないだろうから大小様々あるとは思うのだが、これ何台トラック必要になるんだろうな。配送業者さんには申し訳ないことをしてしまった。だがうちの支部の安寧がかかっているんだ、頑張って運搬して頂きたい。

 あとベッドはとりあえず保留にしておいたものの、このダンボールの山は早々に片付けておいた方がよさそうだな。第五部隊の宿舎にでも放り込んでおくか。暇を持て余した処刑人辺りが全部粉々にしてくれるだろう。あいつ普段の役目シュレッダーにしてもいい気がしてきた。鉄血のハイエンドモデルをゴミ処理に使うなど贅沢にも程があるが、現状訓練以外ではあいつの使い道がない。ストレス解消にもなるだろうし別にいいだろ。

 

 

 そしてまたまた翌日。無事19点の家具が大量のトラックに載せられて運ばれてきた。かなり広いはずの支部エントランスが大小のダンボールで埋まってしまう事態は容易に想像がついたので、事前に戦術人形たちも集合させておいたが正解だったな。昨日の段階でエントランスに座しているベッドについて幾人かの人形に質問されたりもしたが、明日説明すると適当に濁しておいた。このダンボールの山で理解はしてくれただろう。

 人形にも手伝ってもらいながら全部のダンボールを無心で開梱した結果、それはもう様々なアイテムが手に入った。趣は違えどベッドも手に入ったし、少なくともこいつが原因で闘争が巻き起こされる事態は避けられたと見ていいだろう。他は椅子やらテーブルやらクッションやらソファやらぬいぐるみやら燭台やらタンスやらポスターやらカレンダーやら壁掛け時計やら、本当に雑多な感じで統一感の微塵もない様相を醸し出していた。すべての宿舎グレードを平均的に底上げするには些か不十分な量と質だが、まぁ人形ごと部隊ごとの好みや優先度もあるだろうし、早々大きな諍いには発展しないはずである。

 肝心の分配だが、力量差に関わらずかつ公平性の保てる選び方をちょいとばかし考えた結果、最初に隊長格同士でじゃんけんをしてもらい、勝った順で選び、そこから一巡を繰り返して19点を選んでもらうことにした。G11がただならぬ気配をUMP45にブチ当てていたが、当の本人は何処吹く風だったのが印象的だ。

 

「あ、指揮官さま。クルーガーさんから通信が入っていますよ」

 

 ハチャメチャに気合の入った白熱じゃんけんを少し離れたところから眺めていると、カリーナがふいに声をかけてくる。んん? クルーガーからか、なんだろう。最近は俺の知る限りじゃ鉄血側にも目立った動きはない。ヘリアントスではなく、態々クルーガーが直接通信を繋げてくるあたりただの連絡じゃないとは思うが、考えてみても思い当たるフシがない。

 まあ、分からんことを考えていても仕方がない。社長直々に通信が入っているなら取らないわけにはいかんしな。ということで俺は司令室に行くから、カリーナはこいつらの結果を見守っていてくれ。大した騒ぎにはならないとは思うが、もし何か問題が発生したらすぐに報せてくれ。それじゃよろしくー。

 

『おはようコピー指揮官。早速だが、幾つか伝達事項がある』

 

 司令室に戻り通信に応答、スクリーンにいつもの仏頂ヒゲ面が映し出された直後の第一声。極短い挨拶とともに、ファッキンクソヒゲ野郎から放たれた伝達事項ってのはこうだ。

 今、俺が管轄している支部およびその地区一帯、グリフィンの組織図で言うとT01地区ってとこなんだが、うちの周辺がほぼ完全にクリアとなったことから、支配地域をやや拡大していく方針を固めたらしい。で、その方針とそれに伴って編成に変化が起きるらしいから、それを報せに通信を入れたってことらしかった。

 

 グリフィンが支配下に置いている地区には、それぞれ名前が付いていて、その名前にも一定の規則性がある。まず、アルファベットで大まかな地域を設定する。そこから数字で細かな地区管轄を定め、基本的に一つの支部で一つの地区を統治するスタイルを取っている。で、アルファベットはそのまま順番に付けられているから、単純に若い英字である地区ほどグリフィンの地区としての歴史が古いことになる。A01地区とかだと最古の管轄地区ってことになるし、S02地区なんかは割と新しい部類に入るな。

 その例に則って言えば、俺が管轄しているT01地区ってのは一番若いことになる。着任当初から思っていたが、明らかに建物自体が新造だったしな。その時は比較的新しい支部なんだろうくらいにしか感じていなかったが、マジで一番新しい地区だとは思わなかった。ていうかほんと今更だけどそんなバリバリの橋頭堡的な地区に新人を一人で放り込むんじゃない。

 まぁいいや。んで、今回は支配地域を拡大、つまり新たな地区を設定するらしく、そこがT02地区になるだろうとのこと。確かにうちの支部周辺はほぼ完全にクリアだが、逆を言えばうちから直ぐに手を出せないエリアとなるとちょっと自信がない。そして更に、俺がすぐに状況の把握が出来るような近い距離に新たな支部を新設してもそれこそ意味がない。そこらへんどうなのと聞いてみると、どうも地区を管轄している指揮官たちとは別で、そういう地域調査や観測を主に行う部署が本部付きで存在しているらしい。ほーん、なるほどね。まぁ普通に考えてみたら、決して狭くない範囲を統括している立場のやつらが、現場からの声だけで全てを判断しているとは考えにくい。別で情報取得の手段なり方法なりは持っていて然るべきだ。

 

 要件は分かった、がしかし、その程度の連絡であれば別にクルーガーが出張らずとも、ヘリアントスでよかったんじゃないかとも思う。それとなく聞いてみれば、どうも話はそれだけじゃあないようで。何だよもったいぶりやがって。とっとと喋れこのヒゲ野郎。

 

『そう急かすな。先般発生したS02地区への強襲事件もあって、情報伝達の手法に少し変化をつけようと思っていてな、どちらかと言えばこちらが本題だ』

 

 ほう、なるほどな。確かに現状の本部で一括管理という体制では、情報の精度は上がるが速度が犠牲になってしまう。前回みたいな速い展開にはその伝達速度が追いつかないのだ。流石クルーガーとでも言っておくか。俺はこいつを散々ボロクソに言っているが、油断ならないのはこいつの割り切り方と俺に対する遠慮の無さであって、能力自体は疑問視していない。むしろメチャクチャ優秀な部類に入ると思っている。だからこそ尚更性質が悪いとも言えるんだが。

 更に話を聞いてみると、現在は各支部単位の情報を全て本部が一括して吸い上げているわけだが、その間に一枚挟もうということらしい。単純に言ってしまえば、中間管理職を据えるってことだろうな。A地区の情報、B地区の情報、みたいな感じで地区代表の支部が取りまとめ、これまでのような地区単位の独立制ではなく、地域単位である程度の連携を取らせて行こうって感じだろう。情報伝達の速度向上、また地域内での並行的な情報共有も可能になるから、前回のように一地区が奇襲を受けたとしても、地域全体である程度カバーも出来る。

 そもそも、他の地域の出来事なんか余程でない限りは直接関係がない。それこそ今までのような本部一括体制で十分である。前回は距離があったとはいえ、S02地区とT01地区がたまたま移動可能な距離で、うちの部隊が動けたから対応しただけだ。更に言えば、うちには戦力的なジョーカーが居たからこそ取れた手法であって、本来は近隣地区同士で連携して対処しなければいけない事案である。別地区が出張ること自体が異常なのだ。

 その地区代表支部とやらにどこまでの権限を与えるかは調整が必要だろうが、何にせよ組織というのは、正しい比率のピラミッド状となって初めて健全に機能する。学校だって、校長先生が居て、学年主任が居て、学級担任が居るのだ。校長一人ですべての生徒の面倒を見ろというのは土台無茶な話である。そして、あるクラスで起きた問題に対して、別の学年の学級担任が首を突っ込むのは普通有り得ない。つまりはそういうことだ。

 

 ま、理屈としては正しい采配なのだと思う。誰を据えるかという問題はあるにしろ、どちらにせよ現行の体制のまま拡大し続けていてはいずれ本部が決壊する。一現場の意見として言わせてもらえば、むしろ少々舵を切るのが遅すぎたんじゃないのとも思うが、今までそれで回っていたってのもあるんだろうな。現状に大きな不具合がなければ、経営層としてはどうしても処理を後回しにしてしまうのは何処にでもあり得ることだ。重い腰があがった分、よかったと思うべきなんだろう。

 

『理解してくれたようで何よりだ。そこでT02地区の新設に伴い、T地域の統括をお前に頼みたい。T02地区の最終確認と支部建設が完了次第、新任の指揮官を配属する予定だ。時間はかかるだろうが、いずれ挨拶にも向かわせよう』

 

 ハイ却下。こいつ何さらっと押し付けようとしてんの。話の流れで俺が首を縦に振るとでも思ってんのかクソヒゲめ。やるわけねーだろそんな面倒くさいこと。そもそも俺はグリフィン全体で言えばまだまだ新参だ。そんなやつがいきなり上に据えられて下の奴が納得するとは思えない。こいつにしてはかなり雑な押し方だな、それが通るとでも思ったんだろうか。

 

『そうは言うがな。お前の下に居る狩人と処刑人についてはどうするつもりだ。俺とお前とが直通で話が出来るからこそ問題になっていないだけだ。その間に一枚噛むことになれば、隠し通すのは難しいぞ。お前の事情も加味した采配だと思って頂きたい』

 

 ぬぐぐ。チクショウめ、どうにもお粗末な押し方をしてくるなと思っていたが、隠しカードを持っていやがったか。言われた通り、うちの支部では鉄血製のハイエンドモデルが2体、何故か俺の指揮下に収まっている。話の分かるクルーガーだからこそ今どうにかなっているだけで、普通なら大問題だ。さっさと処分しろという話になる。俺の上に乗っかる代表指揮官殿に話が通じればいいんだが、かなり分の悪い賭けになることは間違いない。更に、俺が狂人扱いされるだけならまだしも、鉄血の人形と一緒に居る他の連中にまで奇異の目を向けられるのはたまったもんじゃない。処分してもいいっちゃいいんだが、現状では新たな狩人と処刑人の発生が確認されていないから、こいつらが存在することによって鉄血の戦力を削ぐことにもなっている可能性がある。クルーガーとしても判断に悩むところだろう。ペルシカリアの手も入っていることだしな。

 つまり、何処にも荒波を立てることなく現状どおりを貫くには、俺とクルーガーが直接やり取り出来る立場とラインを維持しなければならない。当然、今回の地域代表には俺が立たなきゃならなくなる。うわー詰んでるじゃんこれ。クソかよ。

 

『そういうことだ。よろしく頼むぞコピー代表指揮官殿』

 

 うわ、腹立つ。余計な肩書きと責任と業務範囲だけが引っ付いてきやがった。まあ、とは言っても普段の仕事がそこまで増えるわけでもなさそうだ。それぞれの地区には当然支部が立てられ、そこに指揮官が居るわけだから、その地区で完結する業務は当然そっちでやってもらうことになるし、うちの支部だって仕事が無くなるわけじゃない。あくまで有事の際に対応出来るようにということと、恒常的な情報網を新たに構築するというだけで、俺が直接面倒を見る場所が増えるわけでもない。冷静に考えればまだギリギリ許せる範囲でもある。やっぱこいつ油断ならねえ。いつかまたヒゲ毟ってやるからな。

 

『それと、幾つかの補足事項だが』

 

 なんだ、まだ何かあるのかよ。割と不機嫌な感じを醸し出して応答してやれば、ずっと無表情を貫いていたヒゲ野郎の口角が僅かに吊り上がったのが見えた。

 

『そう拗ねるな。一つ目だが、前回お前の支部で発生した鉄血襲撃事件への補填だ。物資の融通は難しいが、その代わりに新たな戦術人形を2体、向かわせる予定だ。指揮下に組み込むといい』

 

 おお、マジでいい報せだった。鉄血襲撃事件といえばあれだな、狩人と処刑人がうちの支部に逃げてきた時のやつだ。あの時は支部の外壁も人形のダミーも相当やられたから結構な物資が吹き飛んだのだが、新たな戦術人形という形での補填は正直ありがたい。

 どのタイプが来るのかは分からんが、出来ればハンドガンタイプが望ましいところだ。現状、点の火力で言えば十分過ぎるほどに足りている。どちらかと言えば、足回りの部隊を強化しておきたい。俺も義足のおかげで多少の教練は出来るようになったし、2体ならそこまで教育に手間もかからないだろう。

 

 

『もう一点。S02地区だが、現状S地域の中では飛び地的な立地になっていることに加え、T地域の拡大に伴ってエリアを再編する。新設予定のT02地区に加えて、S02地区は復興作業が終わり次第、T03地区へと名称を変えてお前の管轄下に置くこととなった』

 

 

 ちょっと待て今なんつったこいつ。




クルーガーパンチ! おじさんの胃にこうかはばつぐんだ!

ということで、ちょっとだけ話が進みました。そしておじさんが管轄している地域の名前が出ました。やっとです。そこ、今まで忘れてたとか言わない。


それと前回のあとがきで、少し離れている間にドルフロの二次が結構増えてるなーって書いたんですが、ありがたいことに筆者の作品を見て新たに書き始めた方が居たり、筆者の作品を見てゲームのドルフロを始めた指揮官さまもいらっしゃるらしく、嬉しいやら恥ずかしいやらの気持ちです。
皆様から高い評価も頂けていて、一歩間違えると天狗鼻になりそうなので今後もひっそりと頑張ってまいります。よろしくおねがいします。


あと、新設地区の指揮官はどうしようかなとちょっと悩んでます。多分ただのモブですが、全面的に出していくかどうか、ですね。
スピンオフを書くほどの内容でもないですし、そこまでの余力もないのでキャラだけ出して終わると思いますが。
あわせて新しい戦術人形もどうしようかなぁと。候補は居るんですけどね。
ま、適当に考えてたらどうにかなるでしょう。今後もゆるーい感じで行きたいと思います、よろしくお願いします。

今後、どうしていきましょうかね

  • どんどん時間軸(ストーリー)進めましょ
  • AR小隊とか支部の人形とほのぼのしよ
  • 新しい人形どんどん増やそ
  • サイドストーリーやスピンオフかましてこ
  • その他(メッセージや活動報告へどうぞ)

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