ストロンガーの無骨なパンチやキックの応酬もカブトはあっさりと回避し捌いていく。
『クソッ!』
『どうした? おまえの力はその程度なのか?』
『ならば、コレだ!
エレクトロファイヤー!!』
カブト目がけて電撃攻撃をお見舞いしようとストロンガーは地面に自身の手を突き立てた。
『見え見えの攻撃だな。俺には当たらんぞ?』
いつの間にかストロンガーの背後に回っていたカブトは、確実にパンチやキック攻撃をストロンガーに当てていく。
『いかん。このままでは…』
一分間しか制限時間がないストロンガーの奥の手を使ったとしても、この相手に勝てるのか、そういう迷いが頭によぎったその時、二人の間に空から一枚のカードが降ってきた。
『このカードは!!』
地面に突き刺さったカードはスペードのエースが描かれたトランプカードだった。
『ストロンガー、オレを倒した時の威勢はどうした? 貴様の実力はその程度だったのか?』
聞き慣れた声が木霊し、ストロンガーは驚嘆する。
地面に突き刺さったトランプカードが徐々に巨大化していき、カードが反転すると不気味な男が現れた。
『おまえは…』
カブトが男に声をかける。
『フッフッフ、オレの名はジェネラルシャドウ。そこにいるストロンガーのライバルよ』
『シャドウ! どうしておまえが!』
驚きを隠せないストロンガーではあったが、いつでもシャドウに攻撃が出来るよう臨戦態勢で機会をうかがっていた。
『フッ、あのままでは貴様が負けてしまうと思ったのでな。野暮だとは思ったが、口を挟ませてもらった』
ずっと笑ったように見える顔でシャドウはストロンガーを見つめている。
『ストロンガー。怒りにかまけた拳ではその男には勝てないぞ?』
『グッ…』
悔しがるストロンガーだったが、事実を認めていた。
『みじめな貴様を見て愉悦に浸るのもまた一興。しかし、オレにも役割があるのでな。貴様達が戦い合っている間に、こちらの目的は果たさせてもらった』
二人に対してトランプと一緒に赤い星を見せつけるシャドウ。
『その星は……』
カブトが手を伸ばそうとシャドウに近づく。だが、一瞬シャドウの身体がブレ、次の瞬間、カブトが吹き飛ばされていた。
『!!!』
カブトは吹き飛ばされながらも、ダメージを負うことなく着地した。一方、その様子を見ていたストロンガーはその場で何が起こったのか把握出来なかった。
『フッ、おまえなら流石に回避出来るか』
『シャドウといったな、おまえが使うその能力はクロックアップだな?』
カブトはシャドウに対しそう告げる。
『その通り。ストロンガーとの再戦を望む
オレに今のクライアントが応えてくれたのよ』
ニヤリと頷きながら、シャドウは答えた。
『クロックアップ? なんだそれは…』
能力らしき名前だという事はわかったが、それ以上のことがわからなかった。
『ストロンガー、今の技、貴様に見破れるかな? フフフ…』
またもシャドウの姿がブレたように見えた直後、シャドウは忽然と消えてしまった。
シャドウがよく使うトランプでの瞬間移動とも違う技だった。
『シャドウ、本当におまえなのか……?』
『どうやらヤツのクロックアップは、ハイパークロックアップ並のようだな…』
一人何かを理解したかのような口ぶりでカブトはつぶやく。
『おい、クロックアップだか、クロックダウンだか知らないが、一体なんなんだアレは?』
『………』
咄嗟に質問してきたストロンガーを無視し、カブトは急に人差し指を天高く掲げ、高らかに宣言した。
『おばあちゃんが言っていた。力に溺れる者は、いつか暗闇よりももっと奥深くへ沈むことになるだろう』