ウマ娘プリティーダービー~青き伝説の物語~   作:ディア

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前回の粗筋
メジロパーマー「ワシも魂と話せるようになったで!」


第16R ヤマトダマシイ回避

メジロパーマーとの併せウマを終えた数日後、二代目はヤマトダマシイの二戦目であるOP戦を観戦していた。その最中、二代目の衣装を見た観客達が二代目を見つめるがそれもレースが始まるとレースの方へ注目する。

 

「ヤマトダマシイ先輩、無事に帰って来て下さい……」

ヤマトダマシイは先代の世界において予後不良となり死んでしまっている以上、何が影響して予後不良になるかわかったものではない。一応不安要素を出来る限り消し去ったが二代目はそれでも不安にならざるを得なかった。

 

【さあ残り200mを切ってここでヤマトダマシイが一気に来る一気に来る】

ヤマトダマシイが最後の直線に入り、次々と前を走るウマ娘達を蹴散らし、二代目の感情は不安から希望へと変化していく。

「あと少し、あと少しでゴール……! だからヤマトダマシイ先輩、頑張って下さいっ!」

二代目の祈りが通じたのか、遂に先頭のウマ娘を捕らえゴール板を通過した。

【ゴールイン! ヤマトダマシイまたもや直線のみの追い込みで勝ちました!】

「やった、勝った、勝ったよ、先代!」

 

ヤマトダマシイが予後不良にならず先頭で走ったことに二代目が歓喜の声をあげると鬱陶しそうに先代の声が響く。

 

『見りゃわかる。お前がヤマトダマシイを救ったんだからこのくらいの相手に勝てて当然だ。しかし今は圧倒的な能力でねじ伏せているがいずれ頭打ちになる。ジュニアCの頂点になるのは厳しいかもな。それにジュニアCの頂点に立ったとしても相性の悪い逃げウマ娘メジロパーマー、自在脚質のタマモクロス等直線バカのヤマトダマシイでは勝てない相手もいる』

「勝てない相手……」

 

『マオウ、いやまだあいつは生まれていないんだったな。シルキーサリヴァンみたいに上がり3F29秒を出せるなら話は別だがあいつはそうじゃねえ。まくりやレース展開、ペースを頭の中に叩き込む必要がある。それさえ叩き込めばヤマトダマシイはシンボリルドルフにも勝るウマ娘にもなる。お前がそうであるようにな』

「確かに」

 

『逆に言えばそれを叩き込んでも成長しない奴がいる。チームリギルのトレーナー東条ハナがお前をリギルに入れなかったのは既にそれらの部分が完成していて成長する余地がなかったからだと俺は想像している』

「まだまだ末脚とか身体能力とか成長する余地があるのに」

二代目が、一着の二代目ではなく二着三着のナリタブライアンとヒシアマゾンのコンビが何故かチームリギルに所属することになったあの事件のことを思い出す。

 

 

 

『身体能力に関してはナリタブライアンやヒシアマゾンもそうだろう。二代目のレースが完璧過ぎてレースが未熟だったあいつらほど成長を見込める要素がなかったからな。シンボリルドルフが二代目を評価したのは二代目の年齢でレーススタイルを確立している点で東城ハナとは見る所が真逆なんだ』

「何にせよ、ヤマトダマシイ先輩の強化練習に付き合うことになりそうだね。先代がヤマトダマシイ先輩のトレーニングを考察するならどんなのにするの?」

『直線での抜け出し、カーブ、ペース配分、坂路、15-15を中心に練習をさせる。後はスタミナをつけさせるためにプールや引き運動をさせる』

「本当に追込かつ脚部不安を抱えているヤマトダマシイ先輩用のトレーニングだ……私にはあんなスパルタなのに」

『当たり前だ。お前の場合フィジカルトレーニングさえすれば勝手に成長する。何せお前は他のウマ娘とは違ってレーススタイルを確立しているというアドバンテージがある。そっちに練習時間を割く必要がないからフィジカルトレーニングに集中出来るという訳だ』

「なるほど……あっ、そろそろヤマトダマシイ先輩のもとにいかなきゃ」

二代目がヤマトダマシイのもとに向かうとヤマトダマシイがどや顔で二代目に向ける。しかしそれもつかの間だった。

 

 

 

「グリーン、その格好はなんだ?」

ヤマトダマシイが見た二代目の姿はツインテールに、フリルを大量につけた青いゴスロリ服に加え、ウマ娘特有の耳を隠すカチューシャ、二代目の身長が170cmを超えかつ、顔こそ整っているが童顔でないことや、ウマ娘特有の耳や尻尾を隠していることもあり、あまりにも不似合いな格好をしている人間にしか見えなかった。

「マルゼン姉さんとたづなさんに無理やり着替えさせられたんですよ……」

二代目の目のハイライトが消え、あの出来事を思い出す。マルゼンスキーとたづなに何も言わず修行の旅をしたお仕置きとして二代目が寝ている時に侵入され無理やり着替えさせられ、一日その姿で過ごすように命令され現在に至る。

 

二代目の事情を聞いたヤマトダマシイは顔を顰め、ウマ娘特有の耳を閉ざし聞かなかったことにした。何せマルゼンスキーと駿川たづなの二人が関わっており、この二人を相手に出来るのは学園内でシンボリルドルフしかいない。それ以外のウマ娘は関わるだけ二人の良いように弄ばれるだけでヤマトダマシイもそれを理解していた。

「まあそれはともかくグリーン。私が死ぬってのは杞憂だっただろう?」

そんな訳でヤマトダマシイは話題を自分のレースについて変えることにした。

 

「はい。ヤマトダマシイ先輩、OP戦優勝おめでとうございます」

「このくらいの相手だったらまだ楽勝だ。私が目指しているのは頂点だからな」

「それはつまり日本ダービーを獲るということですか?」

「ああ。今後はニュージーランドT、NHKマイルC、日本ダービーのローテーションで行こうと思っている」

「ダービートライアルレースには参加しないんですか?」

 

「ダービーに参加するならダービートライアルを使った方がいいだろうが、一つは皐月賞で賞金の関係上私は出られない。青葉賞は日程的には最適だが青葉賞ウマ娘でダービーを勝ったウマ娘はおらず相性が悪い。同じくプリンシパルSも相性が悪く、誰も勝てていない。NHKマイルCと同じくダービーのステップレースによく使われる京都新聞杯はダービーウマ娘を輩出しているが日程がNHKマイルCと一緒な上に格が落ちる」

 

「でもNHKマイルCは1マイル、つまり1600mですよ。他のステップレースに比べてあまりにも短すぎます。日本ダービーは2400mなんですからもう少し考えた方が──」

「なあ、グリーン。春の天皇賞を制したウマ娘が距離が1km短くなった宝塚記念を制するのはおかしいことか?」

「う……おかしくありません」

「つまりそういうことだ。お前が私の為を思って言っているのはよく分かる。だがそれでもやらなきゃいけないんだ」

「……マム、イエスマム」

二代目は渋々自分の意見を取り下げ、ヤマトダマシイに従いその場を後にした。

 

 

 

ヤマトダマシイの二戦目の翌日、史実におけるサンデーサイレンス産駒やその子供達がチームカノープスにチーム入りした。

 

「……まさかサンデーサイレンス先生の宣伝効果がここまでとは思わなかったな」

 

史実におけるサンデーサイレンス産駒、それはフジキセキ、タヤスツヨシと言ったGⅠ競走を勝利する豪華な面子だ。ウマ娘になった彼女達がこのチームにチーム入りしてくれるのだから頼もしいばかりだ。

 

「むっふっふっ……余の呼び込みの効果は絶大だろう?」

「ですね。特にあのフジキセキを他のチームに取られなかったのはかなり美味しいです」

 

二代目がトレーニングをしているフジキセキを見て笑みを浮かべる。それほどまでに二代目がフジキセキというウマ娘を評価していた。ちなみに二代目の今の格好は通常通り学校の制服であり髪型も元に戻っている。

 

「彼女は特に余とシンパシーを感じたからな。ゴールドシップも悪くないのだが、なんというかあれは孫みたいなものだ」

『俺の世界では少なくともゴールドシップはサンデーサイレンスの孫だったし、孫と思うのは当たり前なのか?』

「孫……」

「まああいつも余がスカウトした以上責任持って育成する。だがその前にやるべきことがあるのでな。明日から余は少しの間出張してくる」

「えっ? 出張?」

「そうだ。一週間以内には戻ってくるから安心しろ。チームカノープスのトレーナーやジュニアAのウマ娘にも伝えている」

サンデーサイレンスが笑い、親指を立てる。

「具体的な仕事はどんなものですか?」

「まだトレセン学園に入学していないウマ娘達をスカウトするだけのこと」

「特別講師がそんなことをして大丈夫なんですか?」

「むっふっふっ……余は運命を変えたウマ娘だ。それくらいのこと訳ない」

サンデーサイレンスがあれだけ自信満々に言われた二代目は押し黙るしかなかった。




後書きらしい後書き
はい、という訳で今回はヤマトダマシイが予後不良せずOP戦を勝利した話でした。この世界で生存したヤマトダマシイがどのように活躍するかご期待下さい!


それはともかくこの第16Rのお話をお楽しみ頂けた、あるいはこの小説自体をお楽しみ頂けたならお気に入り登録や高評価、感想の方を宜しくお願いいたします。
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またアンケートのご協力ありがとうございました! 要望が多かったので次回は第16.1Rと第17Rを掲載します!

尚、次回更新は西暦2019年5/6です

青き稲妻に出てくる競走馬が主人公以外で登場して欲しい?

  • ぜひとも登場して欲しい
  • 出さなくて良い。つーかイラネ

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