二代目「公開トレーニングに乱入だーっ!」
シンボリルドルフ「お前、後で説教な」
シンボリルドルフとたづなの雷神風神コンビが二代目に問いかける。
「さてアイグリーンスキー、サンデーサイレンス。何か弁解は?」
「ありません」
「ありま千円」
サンデーサイレンスが財布を取り出し、一万円札のみを見せると空気が凍りつき、シンボリルドルフの顔には影が出来上がり、たづなの目が三角になる。
「……っ!」
シンボリルドルフの笑いを堪える声が響き、凍りついていた空気が融点を超え春を迎えた。
「サンデーサイレンス先生?」
しかしそれを許さないのがたづな。彼女は本来ここにいるべき人物ではないのだが、サンデーサイレンスの暴走を緩和させる二代目を制御させることが出来る人物であることからシンボリルドルフが連れてきた。
「サンデーサイレンス先生がすみません!」
「どうだ、たづな理事長秘書。取引といこうではないか」
二代目が謝るのを無視してたづなに取引を持ち出すサンデーサイレンス。カオスそのものだった。
「賄賂は受け取りません!」
「これを見てもそんなことが言えるのかな?」
サンデーサイレンスが写真を取り出し、たづなのみにそれを渡すとたづなが無言で写真を破る。
「無駄だ。無駄無駄。そのデータがある限り写真はいくらでも作れる」
たづながサンデーサイレンスに掴みかかろうとするもシンボリルドルフに止められた。
「たづなさん、落ち着いてください」
「放してください、シンボリルドルフさん。サンデーサイレンス先生、今すぐその写真のデータを消去しなさい!」
「むっふっふっ、お断りだ。余の言うことを聞けば写真のデータを消してやろう」
「サンデーサイレンスぅっ、今すぐ消せ。さもないとこの場で貴様が脅迫した音声を学園中に流す!」
「余を脅すのか? 残念ながらそれは無駄だ! こんなこともあろうかとこの部屋限定で録音が出来ないように特殊な音波を流しているのだからな!」
「何っ!?」
シンボリルドルフが録音したデータを流すと確かに音が聞こえず録音されていなかった。
「そういうことだ。ちなみに録音だけでなく録画も出来んよ」
「いつの間にそんな設備を……!」
シンボリルドルフが旋律し、畏怖する。
ここまで用意周到に策を練られたことはシンボリルドルフの生涯において一度もなかった。
「サンデーサイレンス先生、いい加減にして下さい。私が証言してもいいんですよ? サンデーサイレンス先生がこの場でたづなさんを脅迫したと」
「お前が証言しても無駄だ。何せこの場の目撃者はいくらでも増やせる」
「増やせませんよ。チームトゥバンの全員が私とサンデーサイレンス先生だけがこの場に呼ばれたのを知っています」
「はっ、チームトゥバン以外にも呼ばれたウマ娘がいるだろう?」
「それに今この場にいたウマ娘はシンボリルドルフ会長、たづなさん、そして私とサンデーサイレンス先生の数名。その髪の毛がこの室内に落ちているとすればこの場にいた決定的な証拠となる一方で、三十分以上いたにも関わらず髪の毛の一本が見つからないとなるとこの場にいた証拠になり得ません」
「だが髪の毛を落とさない可能性も──」
「ない場合もあるでしょう。しかし上履きの足跡や制服等の衣服の糸屑が見つからないとなれば、もはやいないと断定して良いでしょう。何せこの後生徒会室は閉めますから」
「え、ああそうだな」
「そうですね。もうそろそろ時間ですし」
シンボリルドルフとたづながその呼吸に合わせ、二代目に賛同する。
「しかし我々の他に他のウマ娘の毛が落ちている場合も無いわけではないだろう」
「シンボリルドルフ会長、シリウスシンボリ副会長は掃除が得意でしたよね?」
「ああ。指紋一つ残らずやってくれるほどだ。鑑識のプロでも痕跡が発見出来なかったほどだ」
「ではお伺いしますがシリウスシンボリ副会長がこの部屋を掃除したのはつい先程でしたね」
「ああ。我々と入れ替わりで掃除を終えてくれたな」
「つまりシリウスシンボリ副会長が掃除をした直後に我々が入ってきたということであり、この部屋に髪の毛等の痕跡を残しているのは我々だけです」
「……全く、してやられたな。アイリちゃん」
「アイリちゃん言わないで下さい」
「おや、マルゼンスキーにはそう呼ばれる癖に余がそう呼ぶのは不服か?」
「不服です。サンデーサイレンス先生には普通に呼ばれた方がいいですから」
「そうか。ならアイグリーンスキー、見事だったぞ」
「おい、これで終わりのような空気を醸し出しているが終わりではないぞ。そもそもお前達が話を反らしたおかげで話すらしていないのだが」
サンデーサイレンスが締め、解散ムードになるとシンボリルドルフがそれを止め、30分ほど説諭し始めた。
「私からの説教はこれで終わりだ。お前に個人的に聞きたいことがある」
「何でしょうか?」
「ヤマトダマシイは無理していないか? あいつはトレーニングに関してチーム以外のウマ娘に頼ることがないから不安なんだ。ましてやあんな無理なレースをしていてはな」
「……それだったらヤマトダマシイ先輩と併せウマすれば良いじゃないですか」
「それも考えた。しかしヤマトダマシイは部外者に関しては徹底的に拒絶している。例え比較的距離の近い私が問い詰めても、部外者だから教えられないの一言だ」
「ヤマトダマシイ先輩、そんなに保守的じゃないと思いますけど、もしかしてヤマトダマシイ先輩に嫌われているんじゃないですか?」
「そ、そんな馬鹿なことがあるのか?」
シンボリルドルフが狼狽え挙動不審になる。自分に厳しくし、他人に甘くしてきたという自信があっただけにショックを受けていた。
「世の中はそんなものです」
「菜物の鍋物ー」
「ぶごはっ」
サンデーサイレンスがギャグをかますとシンボリルドルフのツボに嵌まったのか声に出して笑う。
「サンデーサイレンスさん、貴女という人は!」
「シンボリルドルフ、これを見ろ」
「ぶはっ!」
シンボリルドルフがその写真を見ると更に笑い出し、腹を抱えながらソファーに寄りかかる。
「何ですかその写真」
「シャー芯の写真だ」
「く、口に出さないでくれ!」
「写真のシャー芯」
「は、ハハハ! おかしい、なんだ写真のシャー芯って、なん、ヒヒヒ!」
サンデーサイレンスの追い討ちにシンボリルドルフがキャラ崩壊を起こしてしまうほどに大爆笑。
「シンボリルドルフさん、落ち着いて!」
「まだまだあるぞ。そのステロタイプは捨てろ」
「も、もう止めてくれ!」
シンボリルドルフの今の状態はまさしく抱腹絶倒。サンデーサイレンスに殺されかけていた。
「アイグリーンスキーさん、サンデーサイレンス先生の口を塞いで下さい」
「はいっ!」
二代目がサンデーサイレンスを止めるべく口を塞ごうとするもサンデーサイレンスが逃げ回りながら駄洒落を連発。しかもシンボリルドルフのツボに嵌まる駄洒落ばかりで、シンボリルドルフが救急車に運ばれる事態になるまで止めることは出来なかった。
後書きらしい後書き
今回はお説教のいう名前のシンボリルドルフとたづなの好感度上昇回(ゲーム脳)でした。ちなみにサンデーサイレンスがたづなに渡した写真は健全そのものでR18なものではありません。
それはともかくこの第20Rのお話をお楽しみ頂けた、あるいはこの小説自体をお楽しみ頂けたならお気に入り登録や高評価、感想の方を宜しくお願いいたします。
また感想は感想に、誤字報告は誤字に、その他聞きたいことがあればメッセージボックスにお願いいたします。
尚、次回更新は一週間後です
次にウマ娘として出てくる青き稲妻の物語の競走馬はどれがいい?
-
ボルトチェンジ
-
マジソンティーケイ
-
シンキングアルザオ
-
アブソルート
-
リセット