ウマ娘プリティーダービー~青き伝説の物語~   作:ディア

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【悲報】史上二頭目の無敗で三冠馬となったディープインパクトが亡くなりました……一度リーディングサイアーになったらその順位をキープし続けたことといい、亡くなった年齢といい、誕生日といい、父サンデーサイレンスに最も近づいた馬でした。競馬小説を書いている作者が冥福を祈ります。

前回の粗筋
二代目「タイシン、ボッチプレイは止めるように」


第23R 期待のルーキー達

「どうやら逃がした魚は大きかったようだな」

 

 ナリタタイシンとの併せウマが終わり、ナリタタイシン達と別れるとそこにいたのはチームリギルのトレーナーであるハナだった。

 

「おハナさん……いつの間に」

 

「最初からだ。今の走りでシンボリルドルフが何故お前をチームリギルに推薦したのかよく理解出来た。今となっては後悔している程だ。だがお前をチームに入れることは出来ない。ナリタブライアンやヒシアマゾン以上の逸材が所属してしまったからな」

 

「それは随分と期待出来る逸材ですね」

 

「皮肉か? チームリギルでお前を打ち負かせるのはシンボリルドルフとマルゼンスキーくらいしかいない。そいつも今は勝てる相手ではない」

 

「でしょうね。しかし、今は、というのはちょっと間違いですよ。シニアになれば勝てるなんて思っていたら大きな間違いです」

 

「言ってくれるな」

 

「では野暮なことをお聞きしますが、そのウマ娘がどんなタイトルを勝つか予想しましたか?」

 

「皐月賞と日本ダービーの春二冠を初めGⅠ競走を7勝する姿だ……それだけの器を感じさせた」

 

「甘い、甘すぎる。そんな程度の器でしかないウマ娘が世界史上最強クラスのウマ娘を見てきた私に勝てるとでも?」

 

「……なんだと?」

 

「彼女の名前はラムタラ。かつてチームギエナのトレーナーだった男の最高傑作で、私と同期でありながらメジロパーマー先輩に圧勝した正真正銘の怪物。アレが成長したらシンボリルドルフ会長やマルゼン姉さんを超えるレベルですよ」

 

 

 

「ちょっと待て。ラムタラが何故あの男と関わっている?」

 

「それが、どう間違えればそうなるのかあの人は欧州のトレセン学園のトレーナーリーダーになったみたいで、日本のトレセン学園とのパイプ役になっているんですよ」

 

「なるほどな。あの男はウマ娘のケアを除くと、ウマ娘に関しては優秀だからな。多少の不祥事があっても向こうのトレセン学園のトレーナーとして就職することが出来たという訳か」

 

 ハナが納得し頷き、口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

「それでそのラムタラというウマ娘がメジロパーマーに圧勝したのか?」

 

「ええ。この目で見ましたから。メジロパーマー先輩の前に立って400m毎に1バ身ずつ差をつけて、最後は5バ身差ついた状態でゴールしましたからね」

 

「……ジュニアBの時点であのメジロパーマーに5バ身か。確かにとんでもない逸材だ」

 

「おハナさん、メジロパーマー先輩が馬鹿ペースで飛ばして自滅したとか考えていないんですか?」

 

「それを言っている時点で自爆していないと言っているようなものだぞ、アイグリーンスキー」

 

「とにかくメジロパーマー先輩のタイムは悪いどころかかなりの良タイムでした。しかしあのラムタラはそれよりも1秒弱早くゴールしています。体調万全の状態のマルゼン姉さんがジュニアBの時でもそんなことが出来ますか?」

 

「……あのお方くらい、いや何でもない。そんなことが出来るのは日本にはいないだろうな」

 

 ボソリと呟くのを聞き逃さなかった二代目だが敢えてそれをスルーした。

 

 

 

「今の私ではラムタラに勝てませんがいずれ私はあいつを超えますよ。おハナさん、そのウマ娘にそのビジョンが見えますか?」

 

「……」

 

「いずれおハナさんの言う逸材のウマ娘とは決着を着けますが、王者としてGⅠ競走7勝程度では勝てないことを叩きこんであげます」

 

「口先だけでないことを祈っているぞ。そのウマ娘の名前はエアグルーヴだ」

 

 ハナがその場を去り、二代目も自室へと向かう。

 

 

 

 

 

『エアグルーヴか。懐かしい名前だ』

 

 誰もいなくなった道で先代が呟く。

 

「先代、知っているの?」

 

『知っているも何も奴とはJCで二度対戦している。もっとも二度とも俺が勝っているがな』

 

「じゃあ楽勝だね」

 

『奴はオークスを勝ち、後のGⅠ競走産経大阪杯、そしてヒシアマゾンですら成し遂げられなかった牝馬での、牡馬牝馬混合のGⅠ競走天皇賞秋をも勝利した名牝だ。しかしその程度でしかない。現在でいうところのGⅠ競走2勝でシンボリルドルフに並ぶどころかそれ未満だ』

 

「でしょ?」

 

 

 

『だがメジロパーマーのように覚醒したらそうも行かないぜ。何せエアグルーヴは史上最強の二冠馬ドゥラメンテの祖母だからな』

 

「ドゥラメンテ?」

 

『そうだ。ドゥラメンテは皐月賞の第四コーナーのカーブでドリフトをして大幅なタイムロスをしたのに関わらず余裕綽々に先頭でゴールしただけでなく、日本ダービーを2分23秒2とレースレコードを出した競走馬だ』

 

「2分23秒2……!? 今のレースレコードよりも2秒以上も縮めたの!?」

 

『しかも後にGⅠ競走7勝する競走馬に全て先着したものだから史上最強の二冠馬という称号がついたんだ。もしエアグルーヴが覚醒したらそのくらいのことをやりかねない。一流と二流の間をさ迷っていたメジロパーマーが二代目に勝ったようにな』

 

「う……」

 

『これが条件戦すら勝利していないそこらにいる繁殖牝馬(ははおや)ならともかく、エアグルーヴは競走馬としても一流で覚醒する要素はいくらでもある』

 

「覚醒したらしたで捩じ伏せるまで。やることは変わらないよ」

 

『それでこそ二代目だ。エアグルーヴと対決する前に躓いたらみっともないからどんな相手でも注意することだな』

 

「もちろん。でもその前に勉強しなきゃね」

 

 二代目が返事をし笑みを浮かべ、自室にあるノートを開き勉強をしはじめた。

 

 

 

 

 

 そして週末、NHKマイルC前哨戦であるニュージーランドTが開催された。

 

【一番人気のヤマトダマシイ、ヤマトダマシイはまだ来ない!】

 

「ヤマトダマシイ先輩、いつ見ても不安になるレースばかりだね」

 

『全くだ。あれで最終的に勝てるんだから大したもんだ』

 

【ヤマトダマシイ来たっ! 大外からヤマトダマシイ一着でゴールイン! ヤマトダマシイ無敵の四連勝! NHKマイルCに向けて一点の曇りなし!】

 

『だがあれはNHKマイルCは勝ててもダービーでは勝てない。スピードでゴリ押ししているだけだ。ダービーに勝つには勝負根性と瞬発力どちらも欠けちゃならねえ、特に今年のダービーはな』

 

「確か、ウイニングチケット先輩にビワハヤヒデ先輩が一応有力候補なんだよね」

 

『こっちの世界ではな。俺の世界にいたセイザ兄貴は大本命だったぞ。皐月賞トライアルのスプリングSを5馬身差で勝利したからな。だがセイザ兄貴ならぬセイザ姉貴はここにはいない。本来無敗の二冠を勝つ馬がいないこの世界はまさしく群雄割拠、戦国時代そのものだ』

 

 ウイニングチケットやビワハヤヒデの他にもヤマトダマシイ等本来いない競走馬がウマ娘となって日本ダービーに出走登録しており、何が起こるか予測がつかない事態となっていた。




後書きらしい後書き
今回、ちょっと短めです。


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尚、次回更新は一週間後です

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