ウマ娘プリティーダービー~青き伝説の物語~   作:ディア

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前回のあらすじ
二代目「天皇賞秋に出て大丈夫か?」
ヤマトダマシイ「大丈夫だ問題ない」


第38R 女は弱しされど母は強し

 菊花賞が終わった翌週、トレセン学園では菊花賞を勝ったビワハヤヒデと秋の天皇賞の有力ウマ娘の話題で溢れかえっていた。それと言うのも宝塚記念では顔を見せなかった有力ウマ娘達が秋の天皇賞で姿を表していたからだ。

 

 

 

 帝王賞を圧勝*1した他、天皇賞春でも三着と粘ったイナリワン。

 

 海外遠征から帰国し毎日王冠でイナリワンに先着したシリウスシンボリ。

 

 京都大賞典を勝利し完全復活を成し遂げたスーパークリーク。

 

 そしてクラシック級にしてメジロパーマーを破りオールカマーを勝利したヤマトダマシイ。

 

 

 

 他にもマティリアルと言った今回の秋の天皇賞は混戦模様であり、春シーズンの中距離路線よりも遥かに予想がつかないものとなった。

 

「嘘でしょ……これでヤマトダマシイ先輩展開読めるの?」

 

『読めるというよりもコントロールすると言った方が正確だろうな。例外を除いた競走馬やウマ娘はタイムトライアルをしに走る訳じゃない。自分以外の出走者に勝つ為の走りをする。強い奴ほどその傾向が強い。メジロパーマーなんかはまさしくそれだ』

 

「だね」

 

『今度の天皇賞秋、誰がヤマトダマシイの餌食になるか俺には予想出来る。ヤマトダマシイの餌食になるウマ娘は──』

 

「アイリちゃーん!」

 

 先代の言葉を遮るようにマルゼンスキーが二代目を呼ぶ。

 

『……まあその時教えよう』

 

 

 

「マルゼン姉さん」

 

「ニジンスキーさんとルドルフちゃんから聞いたわよ。貴女の元トレーナーのウマ娘に勝ちたいんですって?」

 

「ええ。マルゼン姉さんにはご迷惑をおかけしますが併せウマの方、何卒よろしくお願いします」

 

「こちらこそよろしくね。アイリちゃんと併せウマなんて滅多に出来ることじゃないからね」

 

「ええ。併せウマ以外に一緒に走るとしたらWDTくらいしかありません。その時はその時で宜しくお願いします」

 

「よろしくねアイリちゃん。ところで──」

 

 マルゼンスキーの言葉を遮るようにファンファーレが響き、そちらに注目するとゲート入りを終えたウマ娘達が構えていた。

 

 

 

【さあ秋の天皇賞スタート! まず初めにいったのはやはりメジロパーマー、そこから離れてな、なんとタマモクロス! これには場内どよめいています】

 

「タマモクロス先輩が先行?」

 

「タマちゃんが?」

 

 二代目とマルゼンスキーが互いに顔を見合せる。

 

 タマモクロスは普段ヤマトダマシイ同様に追い込みで勝負するウマ娘であり、タマモクロスが勝利した宝塚記念にしても中団に控えてから差している。

 

 それだけにタマモクロスが先行するということ事態が信じられなかった。しかも先行も出来るヤマトダマシイが追い込みをしているのだから尚更だ。

 

【そのタマモクロスに続くのがスーパークリークとマティリアル、メリーナイス、そしてやや離れて一番人気のオグリキャップを囲むようにシリウスシンボリ、イナリワンといった各ウマ娘が中団に控え、最後尾にヤマトダマシイがいます】

 

『面子が違うとは言え、タマモクロスの奴が先行するのは俺の世界と変わらんか。通用するのか疑問だがな』

 

「マルゼン姉さん、タマモクロス先輩はオグリキャップ先輩に脅えているように見えますがどうなんでしょう?」

 

「そうね……確かに警戒はしているわ。でも脅えている訳じゃない」

 

『むしろ逆だ』

 

「それはつまり、タマモクロス先輩がオグリキャップ先輩に喧嘩にし行ったってことでしょうか?」

 

「ええ。ただタマちゃんの誤算があるとすればオグリンが他のウマ娘達に囲まれてしまったってことね。そのせいで先頭のメジロパーマーも影響を受けているわ」

 

 

 

【さあ飛ばしに飛ばしてメジロパーマーが10バ身以上突き放して第三コーナーへと向かいます】

 

「あいつらは何をやっとるんや?」

 

『オグリキャップを恐れるあまり囲んでいる。それにタマモクロスがギリギリまで脚を溜めて差しきろうとしているがお前が大逃げしているように見えているだけだ』

 

「ほならワシもペース落として脚を溜めよか?」

 

『最後の直線までこのリードを保て。速すぎず遅すぎずな』

 

「了解や」

 

 メジロパーマーが少しだけ抑え、脚を溜める一方で先行集団の三人が目を合わせる。

 

 

 

「ねえタマちゃん、いかないの?」

 

「いく必要はまだあらへん。行くとしたらそれこそ勝ち目がある時だけや」

 

「あらそう。貴女が動かないなら私が行かせて貰いますわよ?」

 

【ここでマティリアルが動いた! これに続いて動くウマ娘はイナリワンだ!】

 

 マティリアルが動き、釣られてイナリワンが動き始めるとオグリキャップのマークが緩くなり始めた。

 

『今しかない。行けっ』

 

「わかった」

 

【本命オグリキャップが動き、スーパークリーク、タマモクロス、シリウスシンボリが動いた!】

 

 オグリキャップが動くとそれをマークしていたウマ娘シリウスシンボリ達、そして先行していたスーパークリークやタマモクロス、ついでにメリーナイスも動いた。

 

 

 

【さあ直線に入り、先頭は未だにメジロパーマー、続いてマティリアル、タマモクロス、スーパークリーク、メリーナイス、その後ろにイナリワン、オグリキャップ、シリウスシンボリがいます!】

 

「ここからやで、クリーク。ウチを差せるもんなら差してみい」

 

「タマちゃん、そんなことを言っていいの?」

 

 スーパークリークとタマモクロスがメジロパーマーを抜かし先頭に立つ。するとオグリキャップがそれに加わり、三つ巴の対決となった。

 

「来よったな、オグリ」

 

「……」

 

 オグリキャップが横目でタマモクロス達を見つめ、それらを抜かそうとするがタマモクロスとスーパークリークが抵抗して平行線の状態となる。

 

 

 

【さあオグリキャップ、スーパークリーク、タマモクロスの三人のウマ娘が並んで残り200m! 均衡を破るのは誰なんだ!?】

 

「ここから本番ですね」

 

「ええ……」

 

 マルゼンスキーがこの後に続く言葉を飲み込む。何故ならある一人のウマ娘が動いていなかったからだ。

 

『ヤマトダマシイ以外除いた全員が消耗戦になったか』

 

 そのウマ娘の名前はヤマトダマシイ。

 

 

 

【あーっと、ヤマトダマシイが大外からやって来たーっ! ヤマトダマシイが芦毛の怪物、白い稲妻二世をぶったぎるっ!】

 

 三つ巴の戦いにヤマトダマシイが突っ込み、豪快とも呼べる末脚でオグリキャップとタマモクロスの二人を差した。

 

「な、なんやと!?」

 

【しかしスーパークリークが粘るっ!】

 

「なんの、まだまだよっ!」

 

「しぶといママさんだ」

 

「女は弱し、されど母は強しって言うでしょ!」

 

【勝ったのはなんとスーパークリーク! 二着にヤマトダマシイ、三着争いにオグリキャップとタマモクロス!】

 

 

 

「ヤマトダマシイ先輩、どうも勝ちきれないな」

 

「オグリンやタマちゃんに先着しているから弱い訳がない。それでも勝ちきれないのは勝ったウマ娘が強いか、爪が甘いかのどちらかよ?」

 

「ですね……」

 

「それよりもアイリちゃん、今度の併せウマの時期だけど──」

 

 マルゼンスキーが二代目にそう言って併せウマの打ち合わせをすると二代目はそれに納得しその場から立ち去った。

*1
史実のイナリワンは帝王賞を勝っていない




あとがきというか予告&宣伝
次回はようやく青き稲妻の物語の主人公がこの小説で登場しますが、未だに執筆中です。

それが書き終わり次第、青き稲妻の物語に転生したトウカイテイオー産駒の架空の競走馬の転生者が主人公の小説を投稿します。もちろんウマ娘にもなり、いずれはこの小説でも登場させようとも思います。尚、これはこちらの小説とはまだ関係ない宣伝ですのでそちらの方で要望──具体的にはそちらの方が早く見たい等──がありましたら活動報告の方にてお願いいたします。



それはともかくこの第38Rのお話をお楽しみ頂けた、あるいはこの小説自体をお楽しみ頂けたならお気に入り登録や高評価、感想の方を宜しくお願いいたします。
また感想は感想に、誤字報告は誤字に、その他聞きたいことがあればメッセージボックスにお願いいたします。

尚、次回更新は未定です

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