ウマ娘プリティーダービー~青き伝説の物語~   作:ディア

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前回の粗筋

ハナ「ナリブとアマゾンは成長あるからそっちを採用だ」
主人公「試合に勝っても勝負に負けた」


第4R 古き良きウマ娘達

波乱が起きた有馬記念が終わり、各学年のウマ娘達が進級し、ジュニアA組だった二代目はジュニアB組になった。

 

「流石名門メジロ家だね。期待されていなくともグランプリ連覇なんて凄いね」

「ねー。あんなバカ逃げで勝つなんてあり得ないよねー」

 

ジュニアBのクラスに限らず、そのような話題が飛び交うがナリタブライアンとヒシアマゾンは自分のクラスのウマ娘を話題にしていた。

 

「アマさん、アイグリーンスキーについて何か聞いたか?」

そのウマ娘とはナリタブライアンとヒシアマゾンを模擬レースで先着したウマ娘アイグリーンスキーこと二代目だった。二代目はヤマトダマシイ以外に外泊することを知らせておらずそれはナリタブライアン達とて同じだ。

「いや、こっちの情報はなし。美浦寮の寮長にも聞いてみたがさっぱりだった」

「そうか……」

「なあブライアン、一つだけ行っていない場所があるんだがそこに行ってみないか?」

「そこはどこだ?」

「チームギエナだ」

 

 

 

そして場所は変わり、二代目は青森にいた。

「こんなの無理無理!」

『諦めろ。これが強くなる一番の近道だ』

「津軽海峡を泳いで北海道までいくなんて正気じゃないよ! しかも冬の時期に!」

 

更にいうなら亜寒帯の真冬ということもあってか気温は氷点下、天気は雪という有り様でこんな時に泳ごうものなら自殺行為と見なされても仕方ないだろう。

 

『いいからさっさといけ』

先代が冷酷に体の主導権を奪い取り、無理やり海の中に入らせた。

 

「うぎゃーっ! 寒い寒い寒い、凍る凍る凍る、死ぬ死ぬ死ぬ! 助けてーっ!」

 

手足をバタつかせ、必死にもがき陸へと泳いでいく二代目。先代は二代目を凍死させたいのだろうか?

『死にたくなきゃとにかく体を動かして暖めろ! 無理にでも動かさないと凍死あるのみだ!』

先代が再び体の主導権を奪い取り陸から離れていく。

 

「スパルタ過ぎるぅー!」

 

泣く泣く二代目が泳ぐが、余りの寒さに二代目の白い肌が真っ赤に染まっていく。それを見たウマ娘が船上からロープを繋いだ浮き輪を二代目の前に投げた。

 

「そこのウマ娘、これに捕まるだ!」

二代目は先代に体の主導権を奪われないように必死に浮き輪に捕まり船上に打ち上がった。

 

 

 

「た、助かりました……」

「礼はいいさ。それよりなして泳いでいたんだ?」

「北海道にいくまでのお金がなくなってしまいまして……」

 

半分は事実であり、途中資金を体の主導権を奪った先代が重りに使ってしまい返品しようにも出来ないようにしてしまった。いくら捨てても次の日には必ず戻ってくるので泣く泣く装着しながら旅を続けていた。そして現在に至る。

 

「それで泳ごうとしたんだか?」

「はい」

「いやバカだべ。いくら金が尽きてもそれはないだよ」

呆れた顔で方言の強いウマ娘が二代目を見ると二代目は何も言えなかった。

「全く以てその通りです」

 

「ところで名前聞いていなかったんだが何て言うんだ?」

「アイグリーンスキー。貴女は?」

「グリーングラスだ。こう見えてもGⅠ3勝ウマ娘だべ!」

『このウマ娘がグリーングラス……!』

そのウマ娘の名前を聞いた先代が尊敬の声を出した。

 

「グリーングラス……それってマルゼンスキー先輩の一つ上の世代の、グリーングラス先輩ですか!?」

「おお、マルゼンちゃんはまだ現役なのか?」

「ええ、元気にやっていますよ」

「良かっただ。オラ引退して故郷に戻ったはいいもの、田舎過ぎてマルゼンちゃんと連絡つかなかったから不安で堪らなかっただよ」

「……もしかして携帯電話を持っていないんですか?」

「なんだそら?」

「これですよ」

そして二代目が防水性の端末機を取り出すと興味深そうにそれを触り始めた。

 

「これボタンがないべ? オラをからかっているのか?」

「今から電話してみせますよ」

そして電源ボタンを押し、通話アプリを起動させる。その中でマルゼンスキーの項目を選択し通話した。

 

【はーい、もしもし。皆のお姉さんマルゼンスキーでーす!】

矢鱈とお姉さんを強調し通話するマルゼンスキー。

「マルゼン姉さん、私です。アイグリーンスキーです」

【あ、アイリちゃん。今どこにいるの?】

それを聞かれた瞬間、グリーングラスが変わるように二代目に耳打ちした。

「青森だ。マルゼンちゃん」

【え、まさかその声、グリーングラス先輩?】

グリーングラスに変わったとたんにマルゼンスキーが声の調子を変えた。

「そうだ」

【ちょっと待って! 先輩、絶対に切らないで下さいよ!】

キャラ崩壊するほどドタバタと動き回るマルゼンスキーの足音が電話越しに響く。

 

 

 

その間に二代目が先代にグリーングラスのことについて尋ねていた

「先代、グリーングラス先輩のことを知っているようですが、何か関係でも?」

『知っているもクソも、俺の母方の祖父だ』

「祖父ぅ!?」

『どうやら祖父や孫、親子の関係にあるウマ娘達はお互いに縁があると感じるらしい。お前自身、グリーングラスと縁のあるウマ娘だと思わないのか?』

「まあ確かに……」

『しかしこれから入ってくるほとんどの後輩はあるウマ娘と縁を感じることになるんだが……それは置いておこう。今はグリーングラスの話しだ。グリーングラスはライバルであるトウショウボーイ、テンポイントですら成し遂げられなかったクラシック、天皇賞、有馬記念の3つのレースを全て勝利した名馬だ。そこら辺は語るまでもねえって面だな?』

「うん。戦績とかは知っているしね」

『競走馬のグリーングラスは血統こそガチガチのステイヤーだが、大柄な馬でとてもそのレースを制するほどステイヤーであるようには見えなかったらしい』

「ええっ!? グリーングラス先輩が大柄?」

『ウマ娘のグリーングラスはお前どころか普通よりも小柄な体格だから信じられないのは当たり前だ。しかし競走馬の特徴とウマ娘の特徴が違うケースはよくあることだ。その一番の例がビワハヤヒデだ。ナリタブライアンの上の兄弟にあたるビワハヤヒデは俺の世界では顔がデカイと言われていたが、ウマ娘のビワハヤヒデは髪のせいで顔がデカく見えるだけで小顔だ』

「こっちのビワハヤヒデ先輩は中身が頭でっかちだけど、こんなエピソードで世界の違いを知るなんて……」

二代目が競走馬の世界もウマ娘の世界の違いを知り、驚愕の声を上げるとグリーングラスは話し終えたのか端末機を二代目に渡した。

 

 

 

「アイグリーンスキー、マルゼンスキーが話したがっているぞ」

「マルゼンスキー先輩が? はいもしもし」

 

【アイリちゃん、グリーングラス先輩から事情は聞いたわ】

「それは何よりです」

【でも誰にも言わず行くなんて酷いじゃない。ナリタブライアンとヒシアマゾンが昨日私のところに貴女のことを心配して来たのよ? 私に相談とは言わないでもあの二人に一言告げてから行くべきだったと思うわ】

「すみませんマルゼン姉さん」

【罰として今度ドライブに付き合って貰うから覚悟しなさい】

「それだけは勘弁してください!」

 

二代目がマルゼンスキーのドライブに付き合うのを嫌がる理由はマルゼンスキーの運転にある。スーパーカーを時速300kmを超える勢いで走るだけでなく、マルゼンスキーの運転が荒い為に助手席にいると酔うか気絶してしまう為である。

 

【ダメよ。貴女は皆に心配かけたんだからちゃんと罰を与えないとね】

「マルゼン姉さん、マジで勘弁してください」

【……そうね、どうしてもと言うなら他の罰を与えるわ。トレセン学園に帰り次第受けて貰うわ】

「わかりました」

【じゃあ武者修行の旅頑張ってね。マルゼンお姉さんからの電話は終わりよ】

マルゼンスキーがそう言って別の人物に電話を変える。

 

【アイグリーンスキーさん、青森の林檎は美味しいですか?】

「たづなさん!?」

マルゼンスキーと変わった相手、それは駿川たづなという学園理事長の秘書を勤める人物だった。二代目はこの人物が大の苦手で意図的に避けていたがマルゼンスキーかグリーングラスの口から漏れたのだろうと推測した。

【それにしても酷いじゃないですか。私に隠れてこっそりと外泊許可を貰うなんて】

「いやチームギエナのヤマトダマシイ先輩に伝えましたから」

【チームギエナが排他的かつ閉鎖的なチームなのはアイグリーンスキーさんが一番知っているでしょう? 下手に私達が動けば彼らは絶対に口を閉ざし、却って他のウマ娘の情報までも少なくなるんです。だからこうしてアイグリーンスキーさんが連絡するのを待っていたんですよ】

「……」

【それはともかく帰ったらマルゼンスキーさんと一緒にお仕置きをしますので覚悟してくださいね】

語尾にハートマーク、あるいは音符が着きそうな声でたづなが反論は受け付けないと言わんばかりに電話を切った。

 

 

 

「ハハハ……終わった、あの二人が手を組んだらどんな目に遭うか……」

 

目のハイライトが消え、マルゼンスキーとたづなから受ける罰に脅えそれまで真っ赤に染まっていた肌は再び白く染まる。

 

「あの二人は年長者だ。レースに影響が出ないようなお仕置きで済むはずだべ」

グリーングラスが船を運転し始め、船停め場に向かっていく。

「年長者なんて絶対にあの二人の前で言わないで下さいよ! そんなことを言って巻き添えになったら嫌ですから!」

「年長者はオラもだ……ところでどうするだか?」

グリーングラスが言葉足らずにそう尋ねた。

 

「どうするとは?」

「おめ、北海道に行きたいんだろ? でもおめの資金で北海道に行くにはオラの船で行かねばならないだよ」

「そう言えばお金がなかったんだ……」

「でも海は大時化だ。そんな状況で無理やり行ってもオラの船諸共、海にドボン! 普通に凍死するべ」

「それはごもっともです」

「資金集めも出来てレースとダンスのトレーニングにもなる方法があるけどどうするだ?」

「ぜひお願いします」

「そうと決まればオラの家に案内するだ」

グリーングラスが船を停め、陸へ上がると二代目は二階建ての家に案内された。




マルゼンスキー、何故そこまで姉ぶりたがるんだ(第2Rの前前書きに出てくる先代の血統表とマルゼンスキーの血統表を見ながら棒読み)

はいという訳でこの第4Rのお話をお楽しみ頂けた、あるいはこの小説自体をお楽しみ頂けたならお気に入り登録や高評価、感想の方を宜しくお願いいたします。
また感想は感想に、誤字報告は誤字に、その他聞きたいことがあればメッセージボックスにお願いいたします。

尚、次回更新は西暦2019年1/4です。

ちなみにグリーングラスの口調が青森弁ではない理由は作者が青森弁を知らない為で、ドラゴンボールのチチの口調にしています。青森県民の皆さん皆すみません。

そう言えば有馬記念を勝ったブラストワンピースって顔デカイですよね(ビワハヤヒデを見ながら)

青き稲妻に出てくる競走馬が主人公以外で登場して欲しい?

  • ぜひとも登場して欲しい
  • 出さなくて良い。つーかイラネ

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