ウマ娘プリティーダービー~青き伝説の物語~   作:ディア

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前回のあらすじ
閑話により、んなものはねえ。


第38.1R

 トレセン学園某所にて。二代目は呼び出されていた。

 

「アイグリーンスキーここに参じょ──」

 

「ここで会ったが百年目ぇぇぇっ!」

 

 二代目がいきなりラリアットを喰らい蛙が潰れたような声を出しぶっ飛ぶ。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

 美浦寮の寮長たるメジロラモーヌが二代目に声をかける。

 

「い、一体何が?」

 

「ようもほざくわ! 糞爺!」

 

 190cm超の身長に加え、それを強調するかの如くのスリーサイズ。顔には十字の傷痕と稲妻を彷彿させる刺青をしたウマ娘が世紀末覇王の如く仁王立ちしていた。

 

『糞爺だと? ということは二代目、こいつは──』

 

「げほっ……そう、貴女がボルトチェンジって訳ね?」

 

 先代の言葉を察し、二代目がそのウマ娘──ボルトチェンジに向け発言する。

 

「如何にも。私こそボルトチェンジ。その様子だと、自分の魂から前世は貴様が前世の私の父親だったと聞いているようだな?」

 

『ほう』

 

「じゃあ何で私のことを攻撃するの?」

 

「己の魂曰く『勝ち逃げは許さん』とのことだ。その思いが貴様に対する憎悪となって現れている」

 

『勝ち逃げ? あー、あいつがまだデビューする前の模擬レースのことか?』

 

「何をやってんの……先代」

 

 いくらなんでも大人げない先代の行動に二代目が思わず呟く。

 

『あのな、こっちは現役を離れてからかなり時間が経っているんだぞ。人間年齢80歳超の爺が指導するにはそれくらいしか出来ねえぞ』

 

 

 

 

 

「それよりもクロス、貴女その憎悪をレースで果たしたいとは思わないの?」

 

「む……言われてみればそうだ」

 

「じゃあそういうことでレースで決着を着けましょう」

 

「仕方ない。その方が己の魂も憎悪が消えるらしいからな」

 

 二代目の言葉にボルトが頷き共に移動する。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、クロス。本当の本気でかかってこないとあの時のように──」

 

「黙れオカ(差別的用語の為削除されました)」

 

「お、オカ(差別的用語の為削除されました)!?」

 

『そう言えばセン馬*1モチーフのウマ娘見かけないな。そういう言葉は俺じゃなくあいつらにふさわしいというのに』

 

「前世の貴様は父親であったが、少なくとも母親ではなかった。故に口出し無用」

 

「……そうね」

 

「いくぞ。糞爺!」

 

『二代目、軽く捻り潰してやれ。クロスの奴はまだひよっこもいいところだからな』

 

 

 

 

 

「糞爺、緩急ペースなど止めてまともに走ったらどうだ?」

 

『!』

 

「あれから成長したみたいねクロス、いやボルト」

 

「その緩急ペースはマジソンが得意としたペースだ。幾度なく付き合わされたからな。身体が覚えている」

 

「それならこれはどうかな?」

 

 そして二代目が一定のリズムに合わせて走るとボルトもそれについていく。

 

「それでこそアイグリーンスキー、瞬発力だけでなく時計まで正確だ」

 

 二代目のラップタイムは緩急ペースから通常のペースに変えて以来全くといっていいほど変わっておらずまるで時計のように動いていた。

 

「ありがとう。でもそれに気づくのは貴女が初めてよ?」

 

「そうか。なら初出走初勝利も頂こう」

 

「傲慢だね。でもそれが出来ないようにしてあげるよ」

 

 二代目が腹黒い笑みを浮かべ、ペースを上げるとボルトもそれについていく。

 

「そんなペースを上げたところで何も意味はないぞ。それは糞爺が一番わかっていることだ」

 

「もちろん。だけど全く意味がないって訳じゃないよ」

 

「それはどういう意味──」

 

「ディープブリブリテ」

 

「ぶごはっ」

 

 二代目の魔法の言葉(下ネタ)でボルトが吹き出し、腹筋が柔らかくなり体勢を崩す。その隙を見計らった二代目は一気に加速してそのまま模擬レースを終えた。

 

 

 

「き、汚いぞ!」

 

「汚い? あの程度のことで笑う貴女が悪いんでしょう。レース中にはタックルしたり脚を引っ掻けたりするウマ娘もいるんだからこのくらいで汚いとか言っていたらやっていけないよ?」

 

「違う! そっちの意味じゃない。ウマ娘が下ネタを言うなんて下品にも程があると言っている!」

 

 初めて顔を紅潮させたボルトが抗議の声を上げる。

 

「あ、そっち?」

 

『クロスは元々下ネタに弱いからな。それがウマ娘になったことでああなったんだろう』

 

「当たり前だ。今度下ネタを口から出したら関節技で痛い目を見て貰う」

 

「面倒なウマ娘……」

 

「面倒なんじゃない、そもそも──」

 

 ボルト(前世の息子)二代目(前世の父親)に説教するというシュールな光景が生まれ、それをサンデーサイレンスに写真を撮られるのは時間の問題だった。

 

 

 

 

「よ、ようやく終わった」

 

 それからボルトの台風のような説教が終わり、ボルトが立ち去るとサンデーサイレンスが現れた。

 

「まるで嵐のような奴だったな」

 

 サンデーサイレンスの方を見ると目のハイライトが消えたウマ娘を連れており、その狂気がサンデーサイレンスの狂気と混じりあっていた。

 

「どうもサンデーサイレンス先生。ところでそのウマ娘は?」

 

「アグネスタキオンだ。将来有望そうだからかっさらってきた」

 

「返して来なさい」

 

「えーっ!?」

 

「えーっ!? じゃありません。そもそもサンデーサイレンス先生は──」

 

 二代目がサンデーサイレンスに説教を始めるとサンデーサイレンスがいつぞやに作成した身代わり君を使い逃亡しようとした。

 

「逃がしませんよ、サンデーサイレンス先生。そこに正座しなさい」

 

「ウマ娘に正座は──」

 

「口答えしない。全く、サンデーサイレンス先生がそんなだからゴールドシップが──」

 

 サンデーサイレンスの逃亡を阻止した二代目がサンデーサイレンスを正座させ、再び説教を始める。それを見たアグネスタキオンが一言呟いた。

 

「……全く、説教の内容といい大柄な体格といい似ているじゃないか。まるであのウマ娘と同じだ」

 

 アグネスタキオンの呟きは誰にも拾われることなく、サンデーサイレンスは説教をされ二代目は二度とこんな真似をしないように夜まで説教を続けた。

*1
去勢した牡馬のこと。去勢する理由は気性を大人しくさせる為でこれに成功したのがレガシーワールド




あとがきらしいあとがき
まさかこんなに早く出来てしまうとは自分でも予想外でした。
前回のあとがきで予告した小説の方ですが、一応競走馬編まではダイジェストで書き終わっていますのでそちらの方でオリジナル作品として投稿させて貰います。その時にアンケートで皆様の意見を採用した上で編集してウマ娘として投稿するのか、それとも別作品として投稿するか検討します。



それはともかくこの第38.1Rのお話をお楽しみ頂けた、あるいはこの小説自体をお楽しみ頂けたならお気に入り登録や高評価、感想の方を宜しくお願いいたします。
また感想は感想に、誤字報告は誤字に、その他聞きたいことがあればメッセージボックスにお願いいたします。

尚、次回更新は未定です

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