ウマ娘プリティーダービー~青き伝説の物語~   作:ディア

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前話が投稿されていないのに関わらず12/22に誤ってこれを投稿しまった為、すぐに対処しました。

前回の粗筋
タマモクロス「冗談やない……ウチら二人でもこの様かいな」


第43R シニア勢前哨戦2

 高松宮記念が行われ、スプリント路線に興味を持つウマ娘以外は世界トップクラスの14人のウマ娘が出走した海外GⅠ競走、ドバイシーマCでタマモクロスが4着と健闘したことを話題としていた。

 

 

 

 それもそのはず、これまで日本のトレセン学園に在籍したままで海外レースで勝利したウマ娘はおらず、それどころか掲示板に載ったウマ娘はスピードシンボリしかいない。

 

 最強ウマ娘と呼び声の高いシンボリルドルフですら芝がマイナーとされる米国のレースで7人中6着のブービーと惨敗し、海外のトレセン学園に移籍したウマ娘を含めてようやく名前が出てくる程に海外遠征は失敗している。

 

 オグリキャップやイナリワンと言った地方のウマ娘達が中央──所謂日本のトレセン学園に移籍するのは遠征に影響する為であり、その海外移籍したウマ娘、ハクチカラはその遠征の影響を軽減した。その結果惜敗を重ね、勝利を納めたことから移籍するということがどれだけ有利であるかわかるだろう。

 

 また別例としてヒカルタカイが挙げられる。ヒカルタカイは【地方の三冠レース】と名高い南関東三冠を制したウマ娘であり、東京大賞典出走後は中央に移籍し天皇賞春と宝塚記念を制している。特に天皇賞春では現在でも記録に残る八大競走の最大着差をつけており、地方のウマ娘が中央に移籍して成功した前例を作り挙げたウマ娘と言える。

 

 しかし地方に在籍したままでも活躍するウマ娘がいる*1のも事実で地方のレベルが上がりつつあるのに対して世界の舞台において日本のウマ娘はまだ掲示板に載ることすら出来なかった。

 

 その快挙を、しかも層が厚いとされる中長距離のGⅠ競走でそれを成し遂げたタマモクロスが話題にならないはずがなかった。

 

 

 

「この新聞はおちょくっとんのかい!」

 

 尚、当の本ウマ娘──タマモクロスは自分を持て囃す新聞を見て破り捨てる。勿論その理由は過剰に持て囃したからではなく、タマモクロスにとっては恥でしかない。

 

 例えるなら圧倒的に支持されたウマ娘が格下の伏兵に敗れ、【○○、二着に健闘!】とタマモクロスからすれば煽っているとしか思えない内容だ。少なくとも伏兵に足元を掬われた天皇賞秋時点のシンボリルドルフであれば荒れる。

 

『そう荒れるな。この新聞の内容は俺の世界の情勢に似た新聞だ。尤も俺の時はJCで二着に沈んだから残念だったと言われたからな』

 

「なんや自分、新聞の中身わかるんかい?」

 

『それはお前の知識が俺の中に伝わっているからな。お前の知識と俺の知識が共有されているんだ』

 

「便利やのう……ウチは共有されとらんのに」

 

『スーパークリーク、そしてオグリキャップは俺の同期じゃないことやメジロパーマーやイナリワン、昨年のクラシック級世代が俺と一緒に走ったことがないもあって参考にならないからな。余計なことを共有して混乱させたくないからな』

 

「まあそれはわかるけど……」

 

『それはそうとタマ、今度出るレースはどうするんだ? 宝塚記念(ヅカ)か? それともこのまま海外レースに出走か? 俺のオススメは宝塚記念だが……お前の中では決まっているんだろ?』

 

「それはもちろん決まってる。リベンジや」

 

 タマモクロスの笑みは魂にも伝わり、それ以降レースのローテーションに関しては口出しすることはなくなった。

 

ちなみにフェブラリーSを勝利し、ドバイWCで14人中10着と見せ場もなく惨敗したイナリワンは話題に上がることはなくタマモクロスよりも荒れていたのは言うまでもない。

 

 

 

 その一週間後の大阪杯。オグリキャップとスーパークリーク、そしてヤマトダマシイが激突していた。

 

 オグリキャップは昨年の大阪杯を勝ったウマ娘で連覇も期待出来る。先代のいた世界ではオグリキャップの息子の一人が大阪杯に該当する産経大阪杯を勝ちまくっており、この場にヤマトダマシイがいなければ二代目はオグリキャップが勝つと確信していた。

 

 

 

 スーパークリークは菊花賞を勝っていてステイヤー気質であるが昨年の天皇賞秋を勝利しており中距離もこなせるステイヤーであることを証明している。今の彼女を一言で表すならば【グリーングラスにトウショウボーイのスピードをつけたウマ娘】であろう。

 

 もっと分かりやすくいうなら燃費が良く長く走れるエンジンにロケットエンジンのスピードを付け足したようなもので誰も手が付けられない。

 

 もちろん、それは理想論でしかないがあくまでも例えであってスーパークリークは長く走れるグリーングラスにロケットエンジンのトウショウボーイのスピードを付け足したようなものだ。それ故に一言で表すなら【グリーングラスにトウショウボーイのスピードをつけたウマ娘】である。

 

 

 

 そして最後にヤマトダマシイ。公明正大で知られるシンボリルドルフが唯一依怙贔屓をすることで有名なウマ娘だが、その実力は確かなもので、シンボリルドルフ以来日本のウマ娘としてJCを制覇し、海外においてはシンボリルドルフを超えるウマ娘と評価が高く、ヤマトダマシイではなくタマモクロスが遠征したことに首を傾げる者が余りにも多かった程だ。

 

 

 

 この三人の対決が今季最大のトゥインクルシリーズの話題であり、海外に遠征中のタマモクロスも気にかけていた。

 

 

 

【スーパークリーク、これは強い強いっ、オグリキャップを寄せ付けない!】

 

 スーパークリークの先行力と直線での末脚が冴え、オグリキャップ以下を突き放す。

 

【しかし大外からヤマトダマシイ! ヤマトダマシイ、スーパークリーク! 外か、内か!?】

 

 そんなものは関係ないと言わんばかりにヤマトダマシイが大外から突っ込み、スーパークリークを追い詰める。

 

「秋の天皇賞の借りはここで返す!」

 

「2000mじゃ負けないわ!」

 

 ヤマトダマシイとスーパークリークの一騎討ちムードとなった阪神レース場に大歓声が沸き上がり、一番人気のオグリキャップを指示しているファンからは悲鳴が上がる。

 

 そしてその決着がついた。

 

【僅かに内、スーパークリークっ! スーパークリークの時代到来! オグリキャップは三着!】

 

 スーパークリークが大阪杯を制し、GⅠ競走3勝目を上げシニアの最有力候補に挙げられる。その一方でオグリキャップはヤマトダマシイにも遅れを取る三着だった。

 

「なんで勝てない……? 私の身体に異変が起きているのか?」

 

『勝てないのは当たり前だ。スーパークリークやヤマトダマシイがお前よりも強かったってだけの話だ』

 

「……クリークに関しては距離の問題だが、ヤマトダマシイに勝てないのはそれしかつかない……今度はヤマトダマシイに勝つ」

 

『クリークには負けていいのか?』

 

「今度のレースは安田記念だ。それに出てこないとしても宝塚記念。どちらも私の得意距離だ。それに対してクリークはあの距離は苦手なはずだ」

 

『もしかして1600&2400理論か?』

 

「その通りだ」

 

『変な希望を持つのは止めておけ。その理論は確証がついていない』

 

「そうだが……」

 

『それよりもウイニングライブがあるだろう。さっさと行ってこい』

 

「むぅ……」

 

 オグリキャップがウイニングライブのステージに上がり、スーパークリークのバッグダンサーとして踊ると魂のオグリキャップが口を開いた。

 

『どっちにせよ安田記念はヤマトダマシイが出る。お前の理論を借りるならヤマトダマシイも1600&2400m型、それも典型的なものだ。現時点で勝てる要素はほとんどねえぞ』

 

 

 

 翌週、二代目がいよいよ2戦目を迎えた。その2戦目はアーリントンC。それは昨年のヤマトダマシイが制したNTとは多少異なるものの、NHKマイルCの前哨戦であり重賞競走の一つである。

 

【もう怖い物はない、アイグリーンスキーが独走体制に入りました。8バ身、9バ身、圧勝! マイルのナリタブライアン現れる!】

 

 二代目がNHKマイルCの前哨戦、アーリントンCを大差勝利し、NHKマイルCに出走登録する。

 

 ヤマトダマシイは昨年NHKマイルCを制覇し、日本ダービーも連対に入る素晴らしい成績を納めた。

 

 しかし現状、有馬記念以外の八大競走*2は留学生は出走出来ない決まりであり、NHKマイルCはあくまでも東京優駿つまり日本ダービーの代用であり留学生ダービーと揶揄されている。

 

 しかしそれだけにヒシアマゾン等の強い留学生が自分が出られるレースに力を入れており、それに特化している。

 

 特にヒシアマゾンは舐めプの状態の二代目に相手にすらされないというこれ以上ないまでの屈辱を味わっている。そのモチベーションは他のウマ娘達を凌ぎ、レース場の特性と脚質、それにハイレベルと言われる今年の留学生ナンバーワンになった元々の素質もあってかNHKマイルCという舞台ではナリタブライアンを上回る。

 

 

 

「姉さん、グリーンがアーリントンCを勝ったようだ」

 

「そのようだな……だが注目しているのは私達を含めてもごく一部のウマ娘だけ、というのは寂しいものだな」

 

 しかしそのことは留学生など一部のウマ娘以外話題にならなかった。アーリントンCはあくまでもステップレースであり本番(GⅠ競走)ではない。それよりも桜花賞の行方を追いかけていた。

 

「リギルでもトレーナー、マルゼン先輩や会長、アマさん、そして私くらいしか注目していない」

 

「いやそれだけ注目しているとは流石チームリギルだ。もっと少ないかと思っていた」

 

「同期を含めてもほとんどが、姉さんの無念を晴らす私の動向に注目しているからな……」

 

 では代わりに誰が注目されるか。それはもちろん本番、皐月賞の最有力候補ナリタブライアンだ。

 

 ナリタブライアンは共同通信杯を勝利した後、更にスプリングSに出走し勝ち星を重ね、そのあまりの強さに怪物*3と畏怖されるようになっていた。

 

「頼むぞ、怪物ナリタブライアン」

 

「頭でっかちな姉さんまでそれを言うのか……」

 

「誰の頭がデカいって!?」

 

 ビワハヤヒデがナリタブライアンを追いかけ、ナリタブライアンはそこから逃げる。

 

 

 

 一方ビワハヤヒデは阪神大賞典で大笑点することなく大勝利を納めた。先行押切と皮肉にもシンボリルドルフと同じレーススタイルであり、シンボリルドルフと重ねてしまったものは少なくない。

 

 それ故、ヤマトダマシイとビワハヤヒデがどちらか【皇帝】の二つ名を継承するかファン達はその行方を探していたが、ヤマトダマシイがスーパークリークに二度も敗北したことや京都記念と阪神大賞典を楽勝したことからビワハヤヒデが一歩リードする形となった。

 

「待てーっ!」

 

「断るっ!」

 

 ビワハヤヒデとナリタブライアンの姉妹は相変わらず仲が良かった。

*1
史実では1985年のJC2着馬ロッキータイガーが該当。もしシンボリルドルフに先着していたら地方馬の評価もかなり上がったと推測される

*2
皐月賞、東京優駿、菊花賞、桜花賞、優駿牝馬、天皇賞春、天皇賞秋、有馬記念の八つ

*3
史実ではシャドーロールの怪物と恐れられていたが、ウマ娘にシャドーロールに該当するものがない為シンプルに怪物となっている




後書きらしい後書き
来年の抱負は、オリジナル競走馬のウマ娘化を目指します!

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尚、次回更新は明日です。それでは読者の皆様良い年末を!

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