レールの上を時の列車、デンライナーが駆け抜けている。
車内では賑やかな乗客達が城茂を囲み、自己紹介をしていた。
「なるほどな。大体把握したが、とにもかくにも信じてみるしかなさそうだな、お前達を…」
腕を組み、城茂は周囲を見渡す。
城茂の周りを取り囲む赤鬼を模したモモタロス、海亀を模したウラタロス、クマを模したキンタロス、リュウタロスのイマジン達。
そして、その契約者である野上良太郎がいた。
現在に発生した世界が消えてしまう事件に遭遇した城茂だったが、事件発生直後にやってきた良太郎達に連れられ、彼が、仮面ライダー電王として行ってきたこれまでの事、現在、消失の原因となった過去の世界で筑波洋を救うべく時間旅行の移動中だった。
良太郎の話では悪のイマジンによって、過去が改変されてしまい、その後の未来が無かった事になっているそうだ。
しかも、その原因となった時間では、仮面ライダーストロンガーがスカイライダーと合流前にイマジンに遭遇し戦いに破れ、スカイライダーはクラゲロン、サイダンプの二人の怪人に敗北してしまったという。
結果、改変された過去では歴代のライダー達が奮戦したものの、生き残ったライダーはストロンガーだけという状況となっていた。
「それでオレだけが残ったってワケか。どんな相手なんだ。過去のオレを退けたってイマジンは…」
複雑な心境な茂だったが、そんな様子を知ってか知らずかモモタロスが近づいてくる。
「おうおう! 茂兄ちゃん、あのバイクなんだよ、カブトローっての! イカスデザインじゃねーか!」
良太郎達は茂と共にカブトローもピックアップしてきた。そのバイクに興味津々なモモタロスは意気揚々としている。
「先輩、ダメだよ。今、大事な話し中なんだから…」
「うるせー! オレだって今、大事な話をだなぁ…」
今にも飛びかかりそうなモモタロスを身体を張って止めるウラタロスだったが、なかなか抑えられずにいた。
お茶を飲みながら、その様子を眺めるキンタロス。
「なんや、もう茶は無いんか? ナオミ、おかわり!」
「はーい!」
客室乗務員のナオミは奥のスペースで新しいお茶を作っていた。
ナオミの近くで折り紙をしていたリュウタロスは良太郎達めがけて、出来上がった紙飛行機を投げつける。
「ぶーーーん! えーーい!」
紙飛行機はモモタロスの頭に直撃に突き刺さった。
「い、痛ぇ!! おい、リュウタ! テメェ、呑気に遊んでんじゃねーぞ!!」
「………いつもこんな感じなのか、この部屋は」
落ち着きのない面々を見て、行き先が不安になってくる茂。
「ははは…すみません」
「スゲぇな…こんな状況でお前も大変じゃなかったのか?」
「いつもこんな感じですね…」
頭をかきながら、はにかむ良太郎。
「はい、どうぞ。コーヒーのおかわりよ!」
コハナと呼ばれた少女がナオミの代わりにコーヒーを持って来た。
「あぁ、サンキューな、コハナちゃん。ってなんだ、これ…」
先ほどとは違う、カラフルな色に彩られたコーヒーを見て絶句する茂。
「さて、まもなく目的の時間に到達します。ご乗車のみなさん、準備はよろしいですか?」
チャーハンに指した旗を倒さぬよう奥の座席で食べ続けていたデンライナーのオーナーが告げた。
「え!? もう着いたのか?」
「はい、到着です。それじゃ、改めて城茂さん。どうぞ宜しくお願いしますね」
座席から立ち上がると良太郎は、茂に向かって右手を差し出した。
「あぁ、こちらこそ宜しくお願いするぜ。今回は洋だけじゃなく、俺たちが生きていた未来を救わなきゃならねぇからな」
笑顔の茂は良太郎の手をがっちりと握手した。