マジカル☆ベルExtraEpisode   作:タク@DMP

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第3話です。遅れましたが、時系列はWildCardsが無印10話の後。マジカル☆ベルが18話の後となっています。大体両方共夏休み頃です。


EX3話「タイムスリップだよ(3)」

 一先ず、別行動となった。霜ちゃんとみのりちゃん、そしてブランさんは街にいるであろうワイルドカードを倒しに、そしてわたしと耀さんは剣崎先輩のマンションに行くことになった。

 あんまり走るのは得意じゃないけど、急がなきゃいけない。耀さんとブランさんの後輩・紫月さんは、この世界では行く当てがない以上、まずは耀さんたちが引き取るしかないのだ。

 

「しっかし、お前も大変だな。クリーチャー退治……ワイルドカードとはまた違うのか?」

「う、うん。なんか、クリーチャー世界から逃げてきた本物のクリーチャーだって」

「はーん。成程ねぇ……」

 

 あれ? あんまり驚いてないみたい。まあ、確かにあんなのをいっつも相手にしているんだったら、もう今更かもしれないけど、そうじゃなくてもクリーチャーの世界があるってことに驚かないんだ。

 

「いや、色々あるんだよ……ありすぎて、突っ込む気になれねぇ」

「そうなんですか」

「ま、だけど何だろうが俺のやることは1つだ。困ってる人がいたら助ける。それだけだ。後はデュエマ部で皆と笑ってデュエマが出来りゃ、俺はそれで良いんだ」

 

 デュエマ部。

 そうか。部長とか何とか言ってたけど、そんな部活をやってたんだ。

 なんだか、剣崎先輩と重なってくる。お人好しな所とか、責任感が強い所とか……。

 すっ、と耀さんが歩みを遅くした。

 まるでわたしに合わせるかのように。

 

「小鈴は、何で戦ってるんだ?」

「え?」

「いや、ちょっと気になってな。年とかそんなの、本当はかんけーねぇって思ってるけど、怖くはねぇのか?」

「……こ、怖いよ」

「そうだな。さっきとかガクブルだったもんな」

「で、でも! 逃げたくは、ないよ」

 

 それがわたしの本音だった。

 だって、わたしが逃げたら今まで会ってきた人たちのことを裏切ることになる。

 わたしにデュエマを教えてくれた剣崎先輩や、恋ちゃん。

 最初にわたしと友達になってくれた、みのりちゃん。

 一緒に強くなってくれた、ユーちゃん。

 わたしにコーディネートのことを教えてくれた霜ちゃん。

 皆と一緒に笑いあえる日々を守るためにも、今は戦うしかないんだ。

 

「本当は、助け合いとか要らない世界がいい。皆と笑いあって、楽しく過ごせる日々があるなら、それでいいよ」

 

 しばらく、何か考えていたようだった。

 

「……俺も、理不尽に俺達の日常を壊されるのが嫌だから戦ってるんだ。まあ、もう壊れてるような気がしねえでもねぇが」

「そ、そんなに大変なことになってるの?」

「ワイルドカードは人に取り付いて、負の念を増長する代物だ」

「!」

 

 確かに、今までもわたし達は似たようなクリーチャーと戦ってきた。

 バイクに乗っていたお兄さんに取り付いた《音速 ソニックブーム》。

 ユーちゃんに取り付いた《萎縮の影 チッソク・マント》。

 霜ちゃんに取り付いた《No Date》。

 みのりちゃんに取り付いた、いや取り付かせられた《裏革命目 ギョギョラス》。

 それに似ている、ってこと。

 

「そして、奴らは単純にコスト……つまり元のクリーチャーが強ければ強い程、宿主から魔力を吸い取る。もし、魔力が限界まで吸い取られたら、宿主は死ぬ」

「……!」

「多分、今まで戦ってきた連中は、その宿主に寄生しているワイルドカードの尖兵に過ぎない。人間に取り付いている本体を叩かなきゃ意味がねぇんだ」

 

 そんな。それじゃあ、早くそれを見つけないと。

 鳥さん、何をしてるのかなぁ……。

 

『とはいえ、敵がこの時代に逃げ込んだのは間違いないでありますよ! 超超超可及的速やかに、ワイルドカードを排除するであります!』

 

 新幹線さんがそう言ってるうちに、剣崎先輩のマンションに辿り着く。

 とにかく行き倒れの人が誰なのか確認しないと……。

 

 

 

                    ☆ ☆ ☆

 

 

 

 正直、インターホンに出たのが恋ちゃんだったのはまだ良かった。

 だけど、問題はリビングと思しき部屋でテレビを付け、そして既にデュエマの真っ最中の少女。恋ちゃんはというと、付いたテレビをぼーっと見ていた。

 

「《キラー・ザ・キル》でT・ブレイク、です!」

「甘いですね。《ジェリフィ》で手札を捨てて、そっちのクリーチャー2体を行動不能に――む」

 

 その真ん中に座っているフード姿の少女は、くるり、とこっちを向くと「あ、先輩。どうしてここに?」と、何事も無かったかのように言ってのけたので、

 

「……どうやら、大丈夫みてーだな」

「病人に向かってなんてことを言うのですか先輩。私は心が痛いです。これでも、ついさっきポカリを飲むまでぶっ倒れていたのですから」

「ああ安心したよ、もう大丈夫そうだな、帰るぞ!」

 

 という軽口の応酬。この人が紫月さんで間違いないみたい。

 とりあえず、元気になったようで良かったよ。

 

「小鈴さん! 紫月さん、とてもデュエマが強いです!」

「わたしの師匠に似た戦術を取るとは、なかなか見込みがありますよ。どこの誰かは知りませんが、えとドイツっ子。とにかく見込みがあります」

「何処の誰かも分からねぇ奴と何処の誰のかもわからねぇ家でデュエマしてたのかオメーは……」

Danke(ダンケ)! ありがとうございます!」

 

 しかも、もう仲良くなってるし……。

 暗そうだけど、趣味が合う人とはとことんまで仲良くなれるタイプの人なのかな。

 

「取り合えず紫月。お前、どこまで状況を把握してるんだ?」

「えと……此処は何処ですか?」

 

 そ、それも知らないまま人の家でデュエマしてたんだ……。

 何というか、とてもマイペースな人だよ。

 とにかく事情を説明する私と耀さん。それに特に驚く様子も見せず、彼女は言った。

 

「成程、最早どこから突っ込めばいいのか分かりませんね」

「まあ、そうなるわな……」

「とはいえ、味方がいて助かりました。思ったよりも多かったですが」

「はい! ユーちゃん達にできることなら、何でも言ってください!」

 

 とにかく、これでブランさんが言ってた仲間は3人集まったのかな。

 

「……あ、また勝ってる……」

 

 ぴっ、とリモコンでチャンネルを変えた恋ちゃんが呟いたのが聞こえた。

 テレビでは、どこかのデュエリスト養成学校の対外試合の模様が映されていた。

 本当、こういうのって強い人ばかりが映っていて、わたしにとっては雲の上の人みたいだよ。

 

「ちょっと見せてください」

 

 それに食らいつくように紫月さんはテレビの前へ飛んで行く。

 そこには、最新式のホログラムでクリーチャーがあたかも実体化したように投影されるフィールドでの試合が行われていた。

 

「……! 師匠」

「ししょう?」

 

 恋ちゃんが訝し気に聞く。

 師匠、って今テレビの中でデュエルしてる黒髪の人を指差して言ってた。

 あれ? そういえば、この人新聞とかで見たことがあるような。

 

「……あ、ユーちゃんこの人知ってます! 闇文明の貴公子(Adelige)、って呼ばれてる黒鳥レンさんってデュエリストです!」

「マジかよ、まだ現役の頃の試合じゃねぇか!?」

「そ、そんなに有名な人なんだ……」

「……これが、現役の頃の師匠、ですか。丁度師匠に出会う、1年前の」

 

 試合の内容も凄まじいものだった。

 次々に繰り出される闇のクリーチャー。

 それが盤面を焼き尽くしていく。

 名だたる悪魔の龍が、次々に蹂躙していく。

 

「……ということは、しりあい?」

「はい……まあ、なんといいますか。師匠、のような人です」

 

 どこか複雑そうな顔で紫月さんは、画面を見つめていた。

 

「そういえば、剣崎先輩は?」

「ん……つきにぃなら、スーパーに買い物に行った。2人で看病と、るすばん、してほしいって……」

 

 確かに恋ちゃん1人だと心配だけど、ユーちゃんと一緒なら大丈夫って思ったのかな。

 

「しかし、これからどうしましょうか……一刻も早く帰らなければ、私達、帰る場所がないですよ」

「そうだなぁ……泊まろうにもそれだけの金持って来てねぇしなぁ。まあそれは追々考えるとしようぜ」

「そういえば、まだデュエルの途中です、紫月さん!」

「はいはい、分かりました」

 

 再びデュエルを始めようとする2人。

 でも、耀さんの言う通り、このままじゃ帰れないんだよね……どうしよう。

 そう思ったその時だった。

 

『……おい、マスター!! ワイルドカードの反応だ!!』

 

 叫び声と共に、紫月さんのデッキケースから2等身の鮫さんのようなクリーチャーが飛び出す。

 

「シャークウガ。それは本当ですか」

「ああ、とても強い反応だ!! 外の方からだぜ、マスター!!」

「……ワイルド、カード」

 

 次の瞬間。

 急に部屋が暗くなる。

 窓から差し込んでいた光が遮られてしまったかのように。

 思わず窓の方を振り向くと――わたし達は悲鳴のような声を上げた。

 

『ク、クリーチャー! 偽りの名(コードネーム) シャーロックでありますよ!』

「何でシャーロックがこんなところに!」

 

 ベランダに飛び出すわたし達。

 そこからは窓を覗きこむ強大な異形。仮面を付け、骨組みのような身体を持った化身の姿だった。

 でも、こちらを攻撃するような様子もなく、佇んでいる。

 そして、その頭の上には――女の子が立っていた。

 

「……おいおい、どうなってんだ……!?」

 

 耀さんも、わたしも、驚きで声が出なかった。

 その女の子は金髪碧眼。わたしが図書館で見たあの子に間違いない。

 でも、その時は何とも思わなかったのに、今は分かる。

 

 

 

「ブラン……さん?」

 

 

 

 女の子の顔立ちは、あまりにもブランさんに酷似していた。

 ユーちゃんも、恋ちゃんも、そして紫月さんも、それがよく分かっていたのか、衝撃のあまり足が竦んでいた。

 

「ブランだ……背が低いだけで、髪型も顔も同じだから分かる。でも、確実に俺達の知ってるブランじゃねえ。あいつ、ここに住んでたのか!?」

「そういえば、そんなことを言ってた。でもっ、何でこの時代のブランさんにクリーチャーが……!」

『恐らく、獲り逃したあのワイルドカードが憑依しているでありますよ!』

「それがシャーロックだっていうのか!? だけど、あいつの能力に時間に関係するようなものはねぇはずだぞ!?」

 

 次の瞬間、げげげげっ、と気味の悪い笑い声が響く。

 よく見ると、ブランさんに似た女の子の腕には、どろどろとした何かが抱きかかえられていた。

 

「げげげげげっ……」

「Meの、友達。次は、あの子たちが欲しいの?」

「げげげげげげげっ」

 

 のたうち回るクリーチャー。

 とても気味が悪くて、見るに堪えない。

 そして、クリーチャーがのたうち回ると同時に、空中に化物が浮かび上がった。

 1体は、半身半馬のケンタウロスさんのようなクリーチャーだよ。

 

「あれは……《クリスタル・ツヴァイ・ランサー》じゃねぇか!?」

「こっちを、狙ってるの……!?」

 

 わたし達が身構えたその時だった。

 ユーちゃんがわたし達の前に躍り出る。

 

「小鈴さん! ここはユーちゃんに任せてください!」

「ユーちゃん!?」

 

 デッキを持って、クリスタル・ツヴァイ・ランサーを睨むユーちゃん。

 

「その間に、小鈴さんはブランさんたちにこのことを教えてください! 早くしないと、ブランさんたちも危ないです!」

「わ、わかったよ!」

「どうやら、ここは任せるしかないようですね。アレの正体をすぐに突き止める必要があります」

「そうみてぇだな……! でも、あの子大丈夫か!?」

「大丈夫……ユーちゃんは、強いから!」

 

 そうだ。

 まずは急いで、ブランさん達が居る場所に行かないと。

 

「待ってください。相手がワイルドカードというならば、私が出ましょう」

『やめときな、マスター。今のあんたはガス欠だ。エリアフォースをその子に貸せ』

「む。仕方が無いですね」

 

 そう言って紫月さんはエリアフォースカードをユーちゃんに渡す。

 

「頼みますよ、ドイツっ子。師匠の切札が入ってるそのデッキで、私の前で負けることは私が許しません」

「はい! 大丈夫! 絶対に勝ちます!」

 

 よし、ここは2人に任せよう。

 わたし達はシャーロックとブランさんに似た女の子がいる場所へ向かわないと。

 

 

 

                    ☆ ☆ ☆

 

 

 

 わたし達は急いで玄関から外に出た。

 エレベーターを使って、マンションの外に出て巨大なシャーロックの方へ向かおうとするわたし達。

 携帯で連絡してる暇は無い。倒せるなら、早くシャーロックとあの謎のクリーチャーの両方を倒さなきゃいけない。

 

「なぁ、チョートッQ。もしもあのままクリーチャーを放置してたらどうなる?」

『間違いなく、死ぬでありますな。あのクリーチャーとシャーロック、どちらが本体であるかは定かではないでありますが、両方が魔力を勝手に吸い取っているでありますよ!』

 

 そんな。じゃあ、もしもここでブランさんが死んだら大変なことになるよ。

 そういえば前に読んだ小説に、過去の人物が死んでしまうと、現代のその人も消えてしまう。それどころかいなかったことになってしまう、というのがあった。

 

「……急がねぇと、取り返しのつかないことになるじゃねぇか!!」

 

 耀さんは必死の形相で部屋を飛び出した。

 あの巨大なクリーチャーを。ブランさんの命を奪わんとしている、心無き怪物を倒す為に。

 わたしだって同じだよ。ブランさんに、消えて欲しくない!

 

「シャーロックテメェ!! よりによって、未来の自分の主人を宿主にしようだなんて、本当に不逞な野郎だぜ!!」

「でもブラン先輩、メタリカに寝取られましたよね」

「誤解を生むような発言をするんじゃねぇ!!」

「主人……?」

「あいつはしばらく、シャーロックを入れた墓地退化のデッキを使ってたんだ。あいつが好きな名探偵、シャーロック・ホームズと名前が同じだからな!」

 

 で、でも、流石にあれってブランさんが使ってたシャーロックってことはないよね……?

 付喪神……ってことで、メタリカにとってかわられた恨みで過去のブランさんを襲いに来たとか?

 流石にそんなのないよ。

 

「……し、しぬ……一日に2度も全力疾走とか……」

 

 でも恋ちゃん、まだ外に出てから10秒も経ってないよ!

 人の命がかかってるけど、このままじゃ恋ちゃんも危ないよ。

 

「!」

 

 次の瞬間、今度は空から大きな影が降ってくる。

 まるで島のように大きい、アンキロサウルスようなクリーチャーだった。

 

「《武家類武士目 ステージュラ》……! こんなところで通せんぼうってことかよ!!」

「……仕方、無い。私が、やる」

 

 前に進み出たのは、意外にも恋ちゃんだった。

 

「こ、恋ちゃん……!」

「……消耗がはげしいなら、負担を分散、させるしかない。小鈴はもう1回戦ってる……今度は、私が戦う。取り合えず、そこの新幹線頭」

『我の事でありますかぁ!? もうちょい言葉遣いに気を付けるでありますよ!』

「事実だろーが」

「どうでもいい。さっさと……エリアフォースカードを……よこせ」

 

 ぎろり、と睨む恋ちゃん。

 その視線で新幹線さんは萎縮した。

 

「何か、その言い方、滅茶苦茶いやーな思い出が蘇るぜ……まあ良い、ここは頼む」

「ん……任された」

 

 こうして、恋ちゃんと恐竜さんのデュエルが始まろうとしていた。

 

 

 

「確か……こう。デュエル……エリアフォース」

 

 

 

                    ☆ ☆ ☆

 

 

 

 恋ちゃんと恐竜さんのデュエル。

 1ターン目から《トレジャー・マップ》でクリーチャーを手札に加えた恐竜さん。

 一方の恋ちゃんは、このターンからの動き出しだよ。

 

「2マナをタップ……《時の玉 ミラク》召喚」

「小さな人間ごときが、我々を止められるものか! 我のターン、ドロー!」

 

 カードを引いた恐竜さんの手札から、飛び出すようにして粉雪と共に小さな妖精さんが飛び出す。

 

「《桜風妖精 ステップル》、召喚! その効果で山札の上から1枚をマナゾーンに! ターン終了!」

 

 

ターン3

場:《ミラク》

盾:5

マナ:2

手札:3

墓地:0

山札:29

 

ステージュラ

場:《ステップル》

盾:5

マナ:3

手札:4

墓地:1

山札:26

 

 

「……スノーフェアリービート……。でも、関係ない。3マナで、《エナジー・ライト》……効果で2枚引く。ターンエンド」

「くくっ、カードを引くだけか、人間め。我がターン、3枚のマナをタップ」

 

 恐竜さんのマナが3枚、タップされた。

 

「3マナで、《剛勇妖精 ピーチ・プリンセス》を召喚!! このクリーチャーの効果で、我が2番目に召喚するクリーチャーのコストはマイナス2される!」

 

 現れたのは、桃のような意匠のスカートを穿いた、お姫様のようなクリーチャー。

 とてもきれいでかわいいけど、恋ちゃんの顔は険しい。

 

「……コスト軽減。くる」

「コストをマイナス2し、1マナで、《雪精 ジャーベル》召喚! マナ武装3で山札の上から4枚を見て、その中からクリーチャーを1体手札に加える! 《武家類武士目 ステージュラ》を手札に!」

 

 うわわ、コスト軽減で場には3体のスノーフェアリーが並んでるよ。

 しかも、これだけじゃ終わらないみたい。

 妖精さんたちを守るように、巨大な影が降ってくる。

 

「スノーフェアリーが3体以上いるので、(グラビティ)・ゼロ発動! 《武家類武士目 ステージュラ》を召喚!!」

 

 浮かび上がったのは、Ⅷ番。力を意味するローマ数字。

 それをくぐって現れたのは巨大な恐竜さん。

 その大きな背中の上に妖精さんたちが乗っかっているよ。轟!! と震えるような咆哮が辺りに響き渡った。

 

「その能力で、マナから《剛勇妖精 フレッシュ・レモン》を手札に加える! ターンエンドだ!」

 

 

ターン4

場:《ミラク》

盾:5

マナ:3

手札:4

墓地:1

山札:26

 

ステージュラ

場:《ステップル》、《ピーチ・プリンセス》、《ジャーベル》、《ステージュラ》

盾:5

マナ:3

手札:3

墓地:1

山札:24

 

 

 

「厄介なのが出てきたな……」

 

 言ったのはお兄さんだった。

 確かに、《ステージュラ》のパワーは11000。しかもW・ブレイカー。

 さらに、場にはほかに3体の妖精さんがいるけど……。

 

「それだけじゃねぇ。《ステージュラ》は自分のスノーフェアリーのバトルを肩代わりする能力を持っている。実質、今あいつの場のクリーチャーのパワーは皆11000だ」

「そんな……!」

「光はパワーの高いクリーチャーもいるから、デッキ次第では幾らでも挽回できるが……」

 

 大丈夫。恋ちゃんは強い。

 きっと、きっと勝つはずだよ。

 

「……私のターン。3マナで《信頼の玉 ララァ》を召喚。ターンエンド」

 

 あ、あれ? 

 クリーチャーを召喚しただけ。恋ちゃんの場にはブロッカーは1体しかいないし、これ次のターンは大丈夫なのかあ?

 

「グハハハハハ!! それで終わりか? 人間! 我がターン、1マナで《冒険妖精ポレゴン》を召喚!」

 

 また出てきたよ!

 妖精さんが、これで場に4体……!

 

「そして、《ピーチ・プリンセス》の効果で1マナを払い、《剛勇妖精フレッシュ・レモン》を召喚! こいつがいれば、我が3回目に召喚するクリーチャーのコストを-3することが出来る! 《ポレゴン》を進化!」

 

 猛吹雪が場に吹き荒れた。

 そして、そこから美しいドレスを身に纏った女性が姿を現す。

 

「出でよ、《ベル・ザ・エレメンタル》!」

 

 そんな。今度は進化クリーチャーで打点を増やしてきたよ。

 

「さあ行くぞ!! 《ベル・ザ・エレメンタル》でシールドをW・ブレイク!! 攻撃時にマナを増やす!」

「《ミラク》でブロック……エスケープは使わない……」

 

 何とか防げた1度目の攻撃。

 しかし、それだけでは終わらない。

 今度は妖精さんたちが恋ちゃんのシールドへ雪崩れ込んでいく。

 次々に割られていくシールド。だけど、そこにS・トリガーは無い。

 

「そして、この我でシールドをW・ブレイクだァ!!」

 

 これで、あっという間に恋ちゃんのシールドは0枚になってしまった。

 あの軍勢をどうにかしないと、恋ちゃんが負けてしまう。

 

「……S・トリガー、ないけど……その程度。なんてことない」

「こ、恋ちゃん……!」

「こすず。私は、大丈夫……私は、もっと強いのとたたかってきた。だから、まけない」

 

 

 

 ターン5

場:《ララァ》

盾:0

マナ:4

手札:8

墓地:1

山札:25

 

ステージュラ

場:《ステップル》、《ピーチ・プリンセス》、《ジャーベル》、《ステージュラ》、《フレッシュ・レモン》、《ベル・ザ・エレメンタル》

盾:5

マナ:4

手札:0

墓地:1

山札:23

 

 

 

「……ここから、作ってみせる……私の、”世界”」

 

 カードを引く恋ちゃん。

 そのまま、3枚のマナをタップした。

 

「……でてきて、私の太陽。コストを2軽減し、3マナで《太陽の精霊龍 ルルフェンズ》召喚」

 

 浮かび上がるのは19番。太陽のアルカナ。それを突き破るようにして現れたのは剣を背に差したドラゴンさん。

 その背後に薔薇と太陽の光が差し込む。

 

「そして……その効果で光のコスト6以下のクリーチャーを出す。《ルルフェンズ》、NEO(ネオ)進化」

 

 カッ、と光が降り注ぐ。

 浮かび上がるのは、11番。正義を意味する数字だった。

 

 

 

「――《星の輝き 翔天》」

 

 

 

 わたし達はびっくりしていた。

 あのカードは、亀さんが使ってたメタリカのカード……!

 

「このカード……小鈴が図書館に行ってる間に……あの探偵女からもらった。……同じ光使いの、よしみ」

「そういやあいつ、翔天余らせてたな、折角4枚買ったのにまた当たったデースとか言って困ってたな」

「で、でも、そのデッキ、メタリカじゃないみたいだけど」

「メタリカ、だけじゃない」

 

 言葉足らずの説明。

 だけど、恋ちゃんはすぐに行動で示してくれた。

 

「まず、《翔天》で攻撃。シールドをブレイク」

「何だ? その軟弱な攻撃は! 効かぬわ!」

「次に、《ララァ》でもシールドをブレイク」

 

 これで恐竜さんのシールドは残り3枚。 

 だけど、このままじゃ全然足りない。恋ちゃんは《翔天》で何を出すんだろう……?

 

「ターン終了」

「さあ、我のターン――」

「相手のターン開始時に……《翔天》の効果発動。コスト8以下のクリーチャーを、場に出す」

 

 そっか。コスト8以下の光のクリーチャーなら何でも出せるんだ。何を出すんだろう。

 天から出てくるのは、《ワンダータートル》か、それとも別の大きなクリーチャーか。

 私には分からないけど、きっと強いクリーチャーのはずだよ。

 

「――《友愛の精霊龍 ニコラス》をバトルゾーンに」

 

 出てきたのは、可愛らしいデフォルメされたドラゴンさんでした。

 え? しかもコスト4?

 恋ちゃん、何やってるの!? もっと強いクリーチャーを出さなくて良いの!?

 

「ハ、ハハハハハ!! 所詮はその程度よ!! お前ら如き人間、この我が――」

「黙れ。まだおわってない」

 

 ぴきっ、と場の空気が凍った。

 

「――《ニコラス》の効果発動……手札からコスト3以下の光か水のクリーチャーを場に出す。効果で出すのは、《終末の時計(ラグナロク) ザ・クロック》」

「……なっ!?」

 

 え? ちょっと待って。

 《翔天》の効果が発動したのは相手のターンの始め――ということは、《クロック》の効果で、もう恐竜さんのターンは終わりってこと?

 

「これで実質……エクストラターン。そっちのターンは、おわり」

「ふ、ふ、ふ、ふざけるなぁ!! ど、どういうことだァ!?」

「……面倒。もう、だまって」

 

 再び恋ちゃんのターン。

 容赦なく、4枚のマナがタップされた。

 浮かび上がる数字はⅥ。恋人たち(ラヴァー)、を意味する数字だった。

 それを見てか、物憂げに恋ちゃんは溜息をつく。

 

 

 

「《ララァ》を進化――《聖霊龍王 ミラクルスター》」

 

 

 

 出た。恋ちゃんの切札だ。

 その効果で、金の輪っかが《ステージュラ》と《ステップル》に嵌る。

 

「これで、フリーズ……次のターン、アンタップできない」

「だが、2体を止めたところで何だ!!」

「そして2マナで……《ジャスト・ラビリンス》。効果で《翔天》をタップして、1枚ドロー」

「この程度、この程度で――調子に乗るなよ!!」

「《ミラクルスター》でシールドをT・ブレイク」

 

 叩き割られる3枚のシールド。

 しかし、その中の1枚が光り輝きだす。

 

「S・トリガー!! 《チャケの応援(ケチャ)》で、このターン、クリーチャーはプレイヤーを攻撃できない!」

「かんけいない……積んでる、とは思ってた。だから、”予備”はよういしてる」

 

 ターン開始時。

 再び《翔天》の拳が光った。

 そこから、出てくるのは――

 

「――《友愛の精霊龍 ニコラス》を《翔天》の効果で出す……そして、《クロック》もバトルゾーンへ」

「なぁっ……!?」

「強制ターン終了……もういっかい……私のターン」

 

 す、すごい。

 これでまた恋ちゃんのターンだ。

 もう、恐竜さんにターンは回ってこない。

 

「……念には、念を押す……《ニコラス》、進化――《聖霊龍王 アルカディアス(ディー)》」

 

 現れた神々しい天使龍を前に、もう恐竜さんは成す術がなかった。

 そのまま、羽ばたく天使龍が襲い掛かる。

 

「《聖霊龍王 ミラクルスター》で、ダイレクトアタック」

「か、革命ゼロトリガー!! 《革命の巨石》で――」

 

 しかし、唱えられようとしたその呪文のカードは砕け散る。

 何も起こらなかった。

 

「《アルカディアス(ディー)》の効果で、もう光以外の呪文は……唱えられない。できれば、さっき引きたかった」

「グ、グオオオオオオオオオオ!!」

 

 無情なる天使龍の裁きが下る。

 その場に光が満ちた。これで恋ちゃんの勝ちだよ。

 ところで、ユーちゃんたちは大丈夫かな……?

 

 

 

                    ☆ ☆ ☆

 

 

 

「俺のターン。《アクア少年 ジャバ・キッド》を召喚。その効果で、山札の上から1枚目を見せて、それがリキッド・ピープルの《超閃機 ジャバジャック》の為、手札に加える!!」

 

 相手のクリーチャーさんのマナは水ばかり。

 ユーちゃんも、また自慢のデッキで立ち向かいます!

 

「ドイツっ子。相手は強力なクリーチャーのようですが、大丈夫ですか」

「ユーちゃんはユーちゃんです!」

「はぁ。それじゃあ、ユーさんで」

「うー……ユーちゃんで良いのに。取り合えず、《一撃奪取(スタートダッシュ) ブラッドレイン》を召喚(フォーラドゥング)です!」

 

 

ターン3

 

ツヴァイ・ランサー

場:《ジャバ・キッド》

盾:5

マナ:2

手札:4

墓地:0

山札:28

 

ユー

場:《ブラッドレイン》

盾:5

マナ:3

手札:4

墓地:0

山札:29

 

 

「俺のターン。3マナで《ストリーミング・シェイパー》を唱える。効果で、山札の上から4枚を表向きにし、それが水のカードならば手札に加える」

 

 捲られたのは、《アクア・サーファー》に《スパイラル・ゲート》、《ジャバジャック》に《金縛の天秤》……全部水のカード。

 これで、相手さんの手札が4枚も増えちゃいました。あんなに手札を増やして何をするのでしょう……?

 

「ターンエンドだ」

 

 むう、ユーちゃんも負けてませんよ!

 こっちだって、実子さんから教えてもらった革命チェンジがあります!

 

「3マナで、呪文《サイバー・チューン》を唱えます! 効果で3枚引いて、2枚を墓地(フリートホーフ)へ! ターンエンドです!」

 

 

ターン4

 

ツヴァイランサー

場:《ジャバ・キッド》

盾:5

マナ:3

手札:7

墓地:1

山札:23

 

ユー

場:《ブラッドレイン》

盾:5

マナ:3

手札:4

墓地:3

山札:23

 

 

「そろそろ動き出すか。お前ら人間ごときに、俺達を止められるかな? 3マナで《大集結!アクア・ブラザーズ》を召喚!」

 

 出てきたのは、3人組のリキッド・ピープルです。

 さらにそこから、激流が吹き荒れます。

 

「俺の手札が7枚以上あるとき、俺は1ターンに1度、タダでリキッド・ピープルを場に出す事が出来る! 出てこい、《ジャバ・キッド》を進化!! 《クリスタル・ツヴァイランサー》!!」

「ふにゅうっ!?」

 

 出てきたのは、半人半馬(ツェンタオア)のクリーチャーでした。

 その両脇には大きな槍が抱えられていて、とても強そうです。

 

「《ツヴァイランサー》は如何なる障壁も突破する!! シールドをT・ブレイク!!」

 

 巨大な槍がユーちゃんのシールドを破壊していきます。

 いきなりシールドは残り2枚……大ピンチです! でも、おかげで良いカードが引けました!

 

「S・トリガー、《サイバー・チューン》です! 効果でカードを3枚引いて、2枚墓地に置きます!」

「それがどうした?」

 

 ふふん、この増えた墓地が今回はポイントです。

 ここから、ユーちゃんの新しい必殺技の出番ですよ!

 

「ユーちゃんのターンです。4マナで《ブラッドレイン》を進化(エヴォルツィオン)! 《悪魔龍王 ロックダウン》です! 能力で《アクア・ブラザーズ》のパワーを-6000します!」

「馬鹿め、自滅行為だ! 《ツヴァイランサー》の方がパワーが高い!」

「これだけで終わりじゃないです! 《ロックダウン》で《ツヴァイ・ランサー》に攻撃(アングリフ)するとき」

 

 確かにこのままじゃ、《ツヴァイランサー》には勝てません。

 でも、このままバトンタッチするだけです!

 

「革命チェンジ! 《D2M2(ディーツーエムツー) ドグライーター》です!」

 

 出てきたのは、巨大な食虫植物のようなドラゴンさんです!

 ハエトリグサ(Venusfliegenfalle)によく似ています!

 

「何!? だが、そいつのパワーは11000しかないじゃねぇか!!」

「これだけじゃ終わらないです! 《ドグライーター》の効果で、手札からカードを墓地(フリートホーク)に捨てれば、墓地からD2フィールド、《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》を出せます!」

「な、何だァ!?」

 

 これが実子さんから教えてもらった、革命チェンジからのD2フィールドを貼る必殺技です!

 前に使ったデッキの応用編、発展形、だそうです! 

 

「《ドグライーター》はD2フィールドがあれば、場を離れたとき、相手はクリーチャーを1体選んで破壊します!」

「ここまでしといて道連れかよ!! 割に合わねぇんじゃねぇか!!」

 

 悪態をつきながらも、《ツヴァイランサー》を破壊するクリーチャーさん。

 これで、お互いの場にクリーチャーはいなくなりました。

 

「人間如きが調子こくんじゃねぇ!! 《アクア・ジェスタールーペ》を召喚だ!! 連鎖で山札の上から1枚を捲り、それがこいつよりコストの小さいクリーチャーなら場に出す……来た! 《アクア・ブラザーズ》だ! くくっ、運が良いねぇ!! 《ジェスタールーペ》の効果で1枚ドロー!」

 

 あっ、またクリーチャーさんの手札が7枚になりました。

 《アクア・ブラザーズ》の能力が発動します。

 

「さあ出てこい! 今度はてめぇだ! ノーコストで手札進化(ボルテックス)、《超電星 クリスタル・ファランクス》!」

 

 出てきたのは、ロボットさんのようなクリーチャーでした。

 やっぱり、強そうです。しかも手札を進化元にするなんて、ずるいです!

 

「こいつはな。相手が俺を攻撃するとき、メテオバーンで進化元を墓地に置けば、その攻撃を中止出来るんだよ。覚悟しな。じわじわと、ぶっ潰してやるぜ!!」

 

 確かにこのままだと、攻撃(アングリフ)できません……。

 

「さあ、テメェは1人ぼっちだ! そのまま深海(アビス)に沈め! 《クリスタル・ファランクス》でW・ブレイク!」

「っ……!」

「ハハハハハハ!! ターンエンド!!」

 

 こっちの場のクリーチャーは何もいません。

 今はユーちゃん1人ぼっちに見えるかもしれません。

 でも、でも、違います!

 

「Nein! ユーちゃんは、1人ぼっちじゃありません!」

「!」

「友達なら、たっくさんいます! 小鈴さんに、恋さん、霜さん、実子さん、みんなユーちゃんの友達です!」

「な、なにを言って――」

「それだけじゃありません! ユーちゃんの墓地(フリートホーフ)に、沢山眠ってますよ!」

 

 分からないなら、見せてあげます。

 ここからが、このデッキのシンコッチョウってやつです!

 

「ターンの始めに、《マッド・デッド・ウッド》の(デンジャラ)スイッチを(ドリュッケン)します!」

 

 ユーちゃんの手元にDのアルファベットが刻まれたボタンが現れました。

 それを力強く押すと、展開された植物が一気に生い茂ります。

 

「な、なんだ、コレは……!!」

「効果で、各プレイヤーはクリーチャーを全て山札の下送りです! そして、墓地からクリーチャーを好きな数だけ出せます!」

「な、何だとォ!? そんな馬鹿な!!」

 

 引きずり込まれていくクリーチャーさんのリキッド・ピープルたち。

 逆に、ユーちゃんの墓地に落ちていたクリーチャーたちが復活です!

 

目覚めの時間です(アウフェクン)! 《D2M2(ディーツーエムツー) ドグライーター》、《一撃奪取 ブラッドレイン》、《暗黒鎧 キラード・アイ》、《完璧問題(ラストクエスチョン) オーパーツ》をバトルゾーンに出します!」

「なあっ!?」

 

 一気に4体のクリーチャーが墓地から出てきました!

 序盤から《サイバー・チューン》で墓地を肥やしたり、《ドグライーター》で手札から捨てたのが生きました!

 一方のクリーチャーさんの墓地から出てくるのは、《ジャバ・キッド》だけです!

 

「まず、《キラード・アイ》の効果で山札の上から4枚を墓地に置きます! そして、《ドグライーター》の能力で、手札からクリーチャーを捨てて、墓地(フリートホーフ)から《チキチキ・JET・サーキット》を展開です!」

 

 生い茂ったジャングルは、速度制限なしのサーキットに早変わりです!

 これでユーちゃんのクリーチャーは皆、スピードアタッカーです!

 

「さらに《オーパーツ》の効果で、手札か場のクリーチャー、どちらかを2枚選んで山札の下送りです!」

「手札2枚に決まってるだろ!! ち、畜生、何でこんなことに……!!」

「さらにさらに、 《キラードアイ》の効果で、私は闇の進化クリーチャーを墓地(フリートホーフ)から召喚(フォーラドゥング)できるんです! 《ブラッドレイン》を進化(エヴォルツィオン)!」

 

 進化クリーチャーは《マッド・デッド・ウッド》の効果で出せないけど、《キラードアイ》の力を借りれば、戦えます! これは、ユーちゃんが考えました!

 これで、ユーちゃんの一番の切札、出せます!

 

 

 

「《悪魔龍王 キラー・ザ・キル》!」

 

 

 

 巨大な邪眼はあらゆるクリーチャーを問答無用で墓地(フリートホーフ)送りです。これが、ユーちゃんの最大の切札です!

 

「《キラー・ザ・キル》の能力で、《ジャバ・キッド》を破壊します!」

「く、くそっ!! なんてことだ!! 結局全滅じゃないか!!」

「さあ、《キラー・ザ・キル》で攻撃(アングリフ)! T・ブレイクです!」

 

 割られた3枚のシールド。

 そこから、光が出てきました。

 

「S・トリガー、《アクア・ヒルズ》を場に出す!! 効果でドローだ!」

「うにゅうっ、ブロッカー……でも、負けません! スピードアタッカーになってる《ドグライーター》で攻撃(アングリフ)するとき、革命チェンジです!」

 

 このクリーチャーは、コスト5以上の「闇のコマンド」の効果で革命チェンジです。

 デーモン・コマンド・ドラゴンの攻撃でも、発動します。

 

 

 

「――《(ケー)の反逆 キル・ザ・ボロフ》です!」

 

 

 

 またお願いします、ユーちゃんの新切札! 

 真っ黒な(ヴォルフ)の悪魔です!

 あれ、数字が浮かび上がりました。15番……悪魔のタロットの数字、でしたっけ?

 

「《キル・ザ・ボロフ》の効果で、墓地の《ロックダウン》を山札の下に戻します。そうすれば、相手のクリーチャーを1体破壊できます! 《アクア・ヒルズ》を破壊です! がるるー!」

「と、突破された!! こんなバカなことが、あるのか!?」

「そして、攻撃(アングリフ)! W・ブレイクです!」

 

 これで、シールドは残り0枚。

 そこから、また光が放たれました。

 

「S・トリガー、《アクア・サーファー》! 効果で、《オーパーツ》をバウンス……!」

「でも、スピードアタッカーになってるクリーチャーはまだいますよ! これで試合終了(エンデ)です!」

 

 ぎりぎりだったけど、また1体攻撃できるクリーチャーが残っています。

 

 

 

「《暗黒鎧 キラード・アイ》で、ダイレクトアタックです!」

 

 

 

                    ☆ ☆ ☆

 

 

 

 やった! 今回も勝てました! 

 空間が閉じると、シャーロックの姿は忽然と消えてます。

 紫月さんが安心した様子で駆け寄ってきます。

 

「良いものを見せてもらいました。あなたは、師匠の切札である《キラー・ザ・キル》に加え、魔の革命の到達点、《キル・ザ・ボロフ》を使いこなせています」

「え、えへへー。褒められると照れちゃいます」

「是非、師匠を越える闇使いになってほしいものですよ」

 

 紫月さんが窓の方を覗きました。

 クリーチャーも、女の子も、いなくなっています。

 えっと、もしかしてもう倒しちゃったんでしょうか。

 ……それよりも、気になる事があります。

 

「紫月さんの師匠ってどんな人なんですか?」

「変わった人ですよ。美学に対して拘りが強い人なんです」

「ビガク、って何ですか?」

「分かりません。あの人本人もちゃんと分かってるかどうか怪しいです」

 

 紫月さんの言う通り、少し変わった人? みたいです。

 

「でも、さっきも見たでしょう。あの人に闇文明を使わせれば右に出る人は居ません。あの人は、今でも私が超える唯一つの目標です」

「それって、憧れの人、ってことですか?」

「憧れ、ですか。そんな綺麗なものではありませんよ。私は何時か、絶対に師匠を倒します。そう決めたのです。貴女には、そういう人が居るのですか?」

「うーん……あっ、います!」

 

 私の憧れの人──やっぱりあの人しかいません!

 

「ジークフリートさん、ですね!」

「……ジークフリート? 何故北欧の英雄の名前が出て来るのですか」

「私はその人にデュエマを教えて貰ったんです!」

「……魔法使いやクリーチャーが跋扈するこの世の中。英雄の一人や二人現存していても今更驚く事でもないですか」

「紫月さんっ! 紫月さんやデュエマの事、もっと教えて欲しいです!」

「そうですね……先輩達の所に向かうまで、幾らか話せるでしょう」

 

 あ、そういえば小鈴さん達はどうしたんでしょう?

 結局シャーロックは倒せたんでしょうか?

 

 

 

                    ☆ ☆ ☆

 

 

 

「小鈴さーん!」

 

 声が聞こえて振り返ると、ユーちゃん、そして紫月さんが走ってくる。

 

「……やれやれ、こっちは片付きましたよ」

『マスターじゃなくて、そこの嬢ちゃんが倒したんだけどな』

「シャークウガ、フカヒレ」

『勘弁してくれ!!』

「何とか倒せました! そっちは?」

「……倒した。倒したのはよかった……」

「実は……」

 

 そう。恋ちゃんがステージュラを倒したところまでは良かった。

 だけど、シャーロックが居たところに駆けつけてみると、もう誰も居なかった。

 新幹線さん曰く、近くにはいないみたいだよ。

 どうやら、逃げられたみたい。

 

「とにかく、どうすっかね。一旦、ブランの所に行って合流するか。あいつはショックを受けるかもしれねぇけどな……」

 

 確かに、過去の自分のクリーチャーが取り付いてるなんて知ったら、絶対ショックを受けると思うよ。

 今日だけでこの人達も色々びっくりすような目に遭ってるのに……。

  

「足止めされただけじゃなく、逃げられた……」

「あんなに強そうなのに、ですか?」

「分からないよ……何でかなんて、わたしも」

 

 そう。分からないことだらけだ。

 ブランさんが抱きかかえているクリーチャーも、そしてシャーロックがこの事件の黒幕かどうかも。

 

「とにかく皆さん。ここは連絡を取るしかないでしょう。分からない、で思考停止している時間はありません」

「そ、そうだね……とにかく霜ちゃんの方に連絡してみるよ」

 

 携帯を取り出そうとしたその時だった。

 着信音。どうやら霜ちゃんみたい。丁度良かった。

 早速、分かった事を報告しないと

 

「もしもし、霜ちゃん――?」

『大変だ、小鈴!』

 

 電話の奥から霜ちゃんの切羽詰まった声が飛んできた。

 

 

 

 

『ブランさんの身体が突然、透けて消え始めたんだ……!!』




第3話終了。今回はハーメルン掲載に当たって、一部に加筆を加えています。恋のデッキは、後にWildCardsでもブランが握る事に。こちらは大分彼女の使うカードに寄せてあります。一方、ユーちゃんのデッキは本編で使っていたオーパーツ革命チェンジの応用編ですね。ドグライーターMDWとなっています。MDW自体好きなカードですがなかなか使わなかったので、書いてて楽しかったのですね。大量展開、そしてドグライーターとの組み合わせが最の高。今回の番外編では、大分D2フィールドと革命チェンジを出している気がします。
さて、ブランが大ピンチで締められた今回。次回でコラボは最終回です。お楽しみに。
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