「だ、誰かー! 助けてくれェ!!」
深夜の夜道。
スーツやズボンがボロボロな姿のサラリーマンは足を引きずりながら、周囲に聞こえるような声で助けを呼んでいる。
しかし、誰も助けには現れない。
「はぁ、はぁ…」
普段は郊外にある閑静な住宅街だったが、
サラリーマン以外の人間は見当たらなかった。家の明かりは点いている家が多いのに、不思議な光景だ。
サラリーマンは少しずつ夜道を進んでいく。進んできた後ろを振り返るが、コツコツと足音が木霊している。
「!? こ、今度こそ追いつかれたら…」
先ほどの状況を振り返る。
自分の仕事が遅れてしまい、なんとか終電で最寄り駅まで帰ってきたのだが、自宅への徒歩での移動中、ふと夜空を見上げると、月の中から現れた謎の影が自分に迫ってくるのを把握した。
すぐに影から逃げたが、逃げている間に影から攻撃を受け、持っていたカバンや荷物は手放してしまった。
「!!!」
後ろから聞こえる足音があきらかに近くなっている事を把握し、焦って早足になる。
だが、足をつまずき転んでしまい、必死に起き上がろうとする。
「なんだって、こんな…」
愚痴をこぼしながら顔を上げると、目の前に仮面の男がいた。
『ガルルルルッ…』
「ひいっ!?」
思わず飛び起き、後ろに離れようとするが仮面の男は、すぐにサラリーマンを捕まえてしまう。じたばたともがくも、男の手が腕の肉に食い込んでいく。
「ギャァァア!!」
両腕から血を流した痛みからか、サラリーマンは気絶した。男が笑ったような表情を見せ、仮面の形が変貌していく。牙を尖らせたその顔は、吸血鬼のようにも見えた。
そして、男の口がサラリーマンの首筋へかみつこうとしたその時、一台のバイクが彼らの間に割って入ってきた。
「待てェ!!!」
乱入直後に、ライダーはグローブをはめた手で二、三発攻撃を繰り出す。仮面の男はライダーの攻撃を避けながら、その場を離れ、すぐに飛びのく。
そして、怒り狂ったようにライダーを威嚇した。
『ウガァァァァ!!』
やってきたライダーはバイクから降りると、ヘルメットを脱ぎ、すぐに倒れたサラリーマンを起こし、声をかける。
「キミ、しっかりしろ!」
「………ううっ」
ライダーは、反応を示した事を確認すると、一度うなずき、バイクの近くへ青年の身体を移動させた。
「そこで休んでいてくれ……」
『ガァァァァ!!』
今にも襲いかかってきそうな仮面の男に振り向いて、ライダーは独特なポーズで身構える。
「ようやく見つけたぞ、紅渡君。いや、仮面ライダーキバ! ここからは、この赤心少林拳、沖一也が相手になる!」