双月   作:文月りんと

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現在 某県某市 郊外


1.序曲・暴れる仮面

「だ、誰かー! 助けてくれェ!!」

 

深夜の夜道。

スーツやズボンがボロボロな姿のサラリーマンは足を引きずりながら、周囲に聞こえるような声で助けを呼んでいる。

しかし、誰も助けには現れない。

 

「はぁ、はぁ…」

 

普段は郊外にある閑静な住宅街だったが、

サラリーマン以外の人間は見当たらなかった。家の明かりは点いている家が多いのに、不思議な光景だ。

 

サラリーマンは少しずつ夜道を進んでいく。進んできた後ろを振り返るが、コツコツと足音が木霊している。

 

「!? こ、今度こそ追いつかれたら…」

 

先ほどの状況を振り返る。

自分の仕事が遅れてしまい、なんとか終電で最寄り駅まで帰ってきたのだが、自宅への徒歩での移動中、ふと夜空を見上げると、月の中から現れた謎の影が自分に迫ってくるのを把握した。

すぐに影から逃げたが、逃げている間に影から攻撃を受け、持っていたカバンや荷物は手放してしまった。

 

「!!!」

 

後ろから聞こえる足音があきらかに近くなっている事を把握し、焦って早足になる。

だが、足をつまずき転んでしまい、必死に起き上がろうとする。

 

「なんだって、こんな…」

 

愚痴をこぼしながら顔を上げると、目の前に仮面の男がいた。

 

『ガルルルルッ…』

 

「ひいっ!?」

 

思わず飛び起き、後ろに離れようとするが仮面の男は、すぐにサラリーマンを捕まえてしまう。じたばたともがくも、男の手が腕の肉に食い込んでいく。

 

「ギャァァア!!」

 

両腕から血を流した痛みからか、サラリーマンは気絶した。男が笑ったような表情を見せ、仮面の形が変貌していく。牙を尖らせたその顔は、吸血鬼のようにも見えた。

そして、男の口がサラリーマンの首筋へかみつこうとしたその時、一台のバイクが彼らの間に割って入ってきた。

 

「待てェ!!!」

 

乱入直後に、ライダーはグローブをはめた手で二、三発攻撃を繰り出す。仮面の男はライダーの攻撃を避けながら、その場を離れ、すぐに飛びのく。

そして、怒り狂ったようにライダーを威嚇した。

 

『ウガァァァァ!!』

 

やってきたライダーはバイクから降りると、ヘルメットを脱ぎ、すぐに倒れたサラリーマンを起こし、声をかける。

 

「キミ、しっかりしろ!」

 

「………ううっ」

 

ライダーは、反応を示した事を確認すると、一度うなずき、バイクの近くへ青年の身体を移動させた。

 

「そこで休んでいてくれ……」

『ガァァァァ!!』

今にも襲いかかってきそうな仮面の男に振り向いて、ライダーは独特なポーズで身構える。

 

「ようやく見つけたぞ、紅渡君。いや、仮面ライダーキバ! ここからは、この赤心少林拳、沖一也が相手になる!」

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