深夜。
シャッターが降りたバイク店の店内で、一人の男性がバイクの整備をしていた。
「……これでよしっ。アニキ! 整備終わったぜ!!」
オイルまみれの顔をこすりながら、立ち上がった男性は奥に立っていた別の男性に声をかけた。
「こんな時間までありがとう、チョロ。ひとまずはこれで問題無いな」
腕を組み、しみじみと語るその男の名は沖一也。彼はかつて、仮面ライダースーパー1として悪の組織ドグマ、ジンドグマと戦い、日本を救ったのだった。
「いやぁ、アニキがここに来るって事は何かバカデカい事がある直前だろ? 寝る時間くらい惜しんだって、バチは当たらねぇって!」
恥ずかしながら答えたのは、チョロと呼ばれた小塚政夫。彼もまた一也と共に戦った戦友の一人だった。
「本当にありがとう。おやっさん譲りのバイク技術にはチェックマシンでも勝てないからな。本当に助かるよ」
そう言いながら、整備所の壁を見上げた一也の目には老年の男性が笑顔で写った色あせた写真が映っていた。
「へへっ、アニキ! そんなしんみりした顔だとまた夢で怒られちまうぜ?」
「あぁ、そうだな」
写真に写った老年の男性の名は谷源次郎。
スカイライダーとスーパー1を影ながら助けた彼だったが、数年前に他界していた。
「さて、そろそろ出ないと」
一也は近くに置いていた愛用のヘルメットを手に取り、グローブをはめ出発の準備をする。
「あ、アニキ、ハルミには声かけないの!?」
おろおろと慌てるチョロ。一也はヘルメットを被りながら、返答をした。
「…ハルミには、また心配かけると悪いからな。チョロから言っておいてくれ」
「そりゃないぜ、アニキー!」
チョロは必死に止めようとするも、一也は片手をあげ、チョロの動きを止めた。
「……それに今回は人捜しなんだ」
「人捜し? 誰を探すんだ? 今のジュニアライダー隊のメンバーなら、日本全国、いや全世界にだっているんだから、余裕でしょ!」
自分たちが戦っていた時代から数十年が経過し、当時のジュニアライダー隊に参加していたメンバーも大人となっていた。
「確かにその通りなんだが、今回は素晴らしき青空の会のメンバーからの依頼なんだ。だから、これは俺からみんなに伝えておくよ」
「その青空の会っていやぁ、昔アニキに変な約束をしていったヤツが所属していた組織だろう?」
「そうだ。彼との約束だ…」
一也は思い出す。
1986年に紅音也という名の男と出会い、そして、とある約束を結んだことを。