オレを驚かせる奴はいないのかっ?!
オリジナル・ノ・セッテイだっっ!
木虎視点。
イヤ、なんか二宮さん以外が
覚悟を決めた顔してるんだけど?
「・・・どうやら最終戦で二宮さん以外の
メンバーは玉砕をするつもりだな」
「玉砕ですか?!」
つまりはA級の隊長たちが決死で
囮になるって事?!
それならあの表情もわかるんだけど、
二宮さんは納得していないってこと?
・・・確かに、いくら模擬戦でも、
仲間を犠牲にするのを前提とした
作戦なんて、本来はやりたくないわよね。
「最終戦は外道の限りを尽くされるからな。
玉砕出来なければ、最後に残ったヤツが
一番長く地獄を見ることになる」
ババ抜き?!玉砕って早抜けってこと?!
もしかして今は二宮さんにジョーカーが
来てる感じなの?!
「えっと、向こうはかなりトリガー制限されてますよね?それでも勝てないんですか?」
普通に考えたら二宮さんだけでもかなりのモノよ?それにハンデなんかつけて勝てるの?
「勝てんな」
言い切った!
「た、隊長には何か確証が?」
言い切るだけのナニかがあるの?
「確証か・・・そうだな。
もう木虎にもわかっていると思うが、
基本的に外道魔王は何でもできる」
「そ、そうですよね」
鋼糸も催眠術も火力蹂躙もソナーも
出来るんですもの。
あの調子なら旋空弧月や幻踊も
当たり前にできるでしょうし、
合成弾だって思いのままよね。
何なら剣から光の波が出てくる
可能性だってあるわ。
『約束された外道の剣』とか言って。
「前回の決め技は、約束された外道の剣。
・・・流石にアレは予想外だったよ」
やってた?!
えっ?ソレを予想できた私も外道なの?!
「えっと、ソレは剣から光の波が出てきたり?」
しないわよね?!
「よく知ってるな?もしかして
何か元ネタがあるのか?」
外道がっ!貴様がマフィア○田かっ!
キノコに謝れっ!
「えっと、まぁ、そうですね」
きっと隊長はN○Kしか見てないから
わからないのね。
「なんか妙な同情をされてる気がするが、
とりあえずいいか。
あの技は大量のトリオンを放出して
光の波のように見せる技で、
効果的には単なる目眩ましなんだが・・・」
「なんだが?」
何か有るのかしら?
「光が突き抜けた後、髪だけを消失させたんだ。
・・・つまりは丸坊主にされたんだな」
「そ、そんなことを!」
この外道がっ!!
三輪さんも二宮さんも加古さんも
東さんも丸坊主って!
ちょっと見たいじゃないっ!
「纏まって食らったなら互いを
指摘すれば良かったんだが、
一人一人が離れた場所で食らってな」
「あぁ、丸坊主のまま真剣な顔して
戦闘を継続するんですね」
もう年末特番じゃない!
「作戦に支障があるわけじゃないから、
月見さんもわざわざ指摘するわけにも
いかんし、東さんたちは真顔だし。
解説を含めて俺達は全員が腹筋崩壊だ」
まさか戦闘中の東さんを笑えないわよねぇ。
「忍田さんが言うには、映像を見ていた
城戸司令もずっと下向いて震えてたらしい」
そりゃアウトよねぇ。
「で、魔王がわざと戦闘を長引かせてたのに
気付いた東さんが、二宮さんを見て爆笑」
東さんは笑えるのね。
まぁ、隊長だし歳上だし。
「そのまま三輪や加古さんを見つけて
しまい、腹筋崩壊していたところを
八号に狩られた」
・・・そりゃ隙だらけだったでしょうね。
「んで、東さんが爆笑したまま狩られた
事で不安を覚えた三人が集まって、
全員の頭を指さして固まったところを
魔王に爆撃されて終わりだ」
「あぁ・・・」
最終的な決まり手は爆撃だけど、
丸坊主にした時点で勝負は
終わってるものね。それに何より
「キッチリオチまでつけるのが凄いですね」
お約束までキッチリ押さえたコント
じゃない。めっちゃ見たい。
・・・いや、そうじゃないわ。
落ち着きなさい藍、貴女も外道に
堕ちる気?!
「そうだな。凄いとしか言えん。
あの四人を、いや、月見さんも
指示を出し辛そうにしてたから、
最高クラスの五人が集まる小隊を
完璧にコントロールしたんだ」
「とんでもないことですよね」
・・・そうよ。笑い事じゃないわ。
真面目に戦ってる相手を冗談半分で
操って掌で転がしてたって事なのよ。
しかも相手は東さん率いるA級一位の小隊!
それに他人事じゃないわ!
「ちなみにソレって、どんな原理なんですか?」
そうよ、コレがわからなければ
私だって丸坊主にされちゃうじゃない!
「ん?あぁ、あれか。あの剣から出た光は、
一つ一つが威力を限りなくゼロに近くした
アステロイドでな」
威力を限りなくゼロに近く?
「それにはどんな意味が?」
強くするならわかるけど、弱くする?
「トリオン制御の実験らしい。
弱くしたトリオンを周囲に放つ事で、
カメレオンみたいに姿を消して近付く
敵や、罠を察知するようにするんだとか」
薄めたトリオンの放出・・・
「あ、それならその技術の完成形がさっきの
ソナーと極散ですか?」
「恐らくそうなんだろうな」
なるほど、真面目に試験はしてるのね。
「それで、その光は限りなくゼロに近いが
決してゼロじゃない。いや、恐らくは
髪の毛を消すだけの力を込めていた
んだろう」
「あぁなるほど、だから光が通りすぎた
あとは、髪の毛が無くなった
トリオン体が残ったんですね」
「そうだ。つまりは、戦いが始まる前
から終わらせるまで、全部外道魔王の
計算の内だったと言うことだ」
あぁ、確かに。そんなの相手には
対策無しでは勝てないわ。
更に新技術の御披露目なんだから、
そもそも対策が不可能。
はじめから詰んでるのね。
「ようやくわかりました。
この試合は新技術が実戦で使える
ことを証明し、試験小隊の存在を
上層部に認めさせる為の場であって、
東さんたちは・・・言い方は悪いですが
所謂当て馬なんですね?」
A級一位のバグ小隊が当て馬だなんて
普通は考えないわよ
「そうなるな。付け加えるなら東さんに外道
の新技を経験して貰うことで、後進に対する
教育に役立てると共に、精鋭部隊でも
勝てない敵が居ることを我々に教えて、
油断や慢心を無くす為の場でもある」
「なるほど」
深いわ。確かに私もA級になったって
浮かれていた部分があったのは事実だし、
緑川くんや双葉ちゃんも自分の戦い方に
可能性を見たはず。
それに私はスパイダーの可能性を知った。
けどそうなると。
「外道魔王は教育者としても一流なんですか?」
本当に15歳?サザ○さん時空の
人間じゃないわよね?
「そうだな。外道八号や唯我を見れば
わかるだろうが、兵士を育てるなら
アイツ以上の男は居ないだろう」
「兵士ですか・・・」
私たちに直接指導を行わないのは、
私たちを兵士として見ていないから?
「少し前に城戸司令から人材の育成を依頼
されたときに、外道魔王が言ったらしい。
俺達は子供だ。子供を殺戮機械にするなってな」
「・・・なるほど」
外道八号さんは良いのかしら?
「年下に子供扱いされるのはアレだが、
俺だってお前や緑川や双葉みたいな
中学生を殺戮機械にしたいかって
言われたら、NOと答えるさ」
ん~聞く限りだと、言ってることは凄く
まともだし、戦いに対する姿勢も凄く
真面目な人なのよね。
「あの、なんでそんな人が外道魔王
なんです?聞いた限りだと、立派な
人格者ですよね?」
「あぁ、基本的にアイツは思想も言動もまともな人格者だ」
「ならなんで・・・」
隊長まで外道で魔王なことを否定しないんです?
「それでもヤツが外道魔王なのは、
外れる事を厭わないからだな」
「外れる事を厭わない?」
「人間ってのは何をやるにしても
心にブレーキがかかるもんだろ?」
「それは、まぁ」
多かれ少なかれあるわよね。
「外道魔王にはソレがない。
必要なら必要なら分だけ殺せるし、
敵を捕らえて実験だって出来る」
「・・・実験、ですか?」
それって普通に犯罪なのでは?
「近界への遠征に行ったときにな」
あ~なるほど。医学の発展は戦争中の外道な
人体実験があったからって言うのは有名な話よね。
相手も戦争中の敵で、特に条約とかを結んで
いる訳じゃないから犯罪にはならないのか。
「一切の躊躇なく腹を捌き、泣き叫ぶ
近界民を笑いながら分解していく
様子は、まさに外道」
「えっと・・・」
笑いながら?
「目の前で仲間が生きたまま捌かれて行く
のを見て、猿ぐつわを飲み込んで死んだ
ヤツもいた」
うわぁ。
「アイツに襲われて幾つの国が滅んだか」
「く、国ですかっ?!」
どんだけ殺ってるのよ!
「元々、俺たちの世界を襲ってきた
連中だからな。
『中途半端な同情で生かしても
また襲ってくるだけだから、
二度と襲って来ないように恐怖を
振り撒く』とか言って笑顔で恐怖を
振り撒いた結果が外道魔王だ」
いや、確かにそうなんだけど!
「やってる事は正しい、
言ってる事も正しい。
ただあまりにも躊躇が無い」
「・・・だから誰も訂正しないんですね」
「それになんか楽しそうだしな。
『まだまだ殺れるだろう!諦めるな!
俺を殺せば助かるぞ!』とか敵に言って
命を削って使うような秘密兵器を
使わせるんだぞ?」
あぁ、確かに敵が使う秘密兵器は調査対象
なんでしょうけど・・・
「そんな秘密兵器とか食らっても
大丈夫なんですか?」
普通なら相当ヤバイんじゃないの?
「食らったヤツがあそこで笑ってるな」
そうでしたね!
「む。そろそろ始まるな。
最終戦は外道魔王が外道の限りを
尽くすんだ。お前もよく見ておけ」
「そうですね。怖いですけど、見ないと
対策とか取れないですから」
見れば何かしら対策を
取れるでしょうからね!
「いや、それは違う」
えっ違う?何が?
「あの、違うって?」
「見ても対策なんざ練れん。見定めるのは、
緊急脱出するタイミングだ」
「えぇぇぇぇぇぇ?!」
逃げるのが前提?!
「・・・生きたまま刻まれたいか?」
「絶対嫌です!」
「だろ?まさか最初から投了なんか
出来ないんだ。ある程度戦ったら
逃げる判断も時には必要だ」
なるほど、確かに相手によっては
生き延びて情報を得る事が重要よね
「相手は国を滅ぼす男だぞ、逃げるの
だって簡単じゃない。
だから、東さんたちの動きを「自分なら
どうするか」って考えながら見ろ。
一瞬の油断が命取りになるのが良くわかる」
「はいっ!」
絶対丸坊主なんかゴメンよっ!
~~~
え?なんで?いやそこはダメでしょ?
「隊長っ!アレは何ですか?」
明らかに禍々しいんですけど!
「なんだあれは?」
隊長も知らない?
それなら・・・教えて、唯我さんっ!
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『おおっと、なんと言う外道行為っ!
この有り様はまさに外道っ!
外道魔王はやっぱり外道だったぁっ!』
戦いは次回にしたいなぁ。