クリスマスイブの居候   作:ポーター

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ヒロイン不在とか・・・この小説の存在意義何だと思ってんだ バカにしてんのか?


終結

何かがおかしい

 

黒子がそう感じたのは無能力者一人で暴行事件が起こったと聞いたとき・・・つまり、最初の時からだった。

無能力者一人で起こした程度の騒ぎがモール全体から非難するほどまで大ごとになることはなくはないと思った。

しかし、一人で、しかも無能力者で、目的が不明瞭だった。

初春に聞いた時も、犯人と対峙した時も、完全に犯人を拘束した時も、警備員(アンチスキル)がやってきた時も犯人の目的はわからなかった。

 

犯人がやったことといえば、まず民衆の中で拳銃を取り出し、一発の音を鳴らして、爆弾を爆発させると宣言し、体に取り付けていた10数個うちの一つのいかにもといった爆弾を見せびらかすように爆破させたことぐらい。

 

そこに到着した黒子は怪我人がいないことを確認したのちに、相手の出方を見てから戦闘を始めたのだ。

 

(わたくしが犯人は心中や自殺目的ではないことを見抜いて、逃げ回りながら爆弾をばらまく犯人に接近し腕の拘束をしたことで、無力化には成功したのですけれど、それっきり黙りこくっているんですのよねぇ...)

 

黒子が全く見えてこない犯人の目的を考えながら、遅れて到着した爆弾を取り外すために四苦八苦している警備員達の姿を見ていると、突然とてつもない速さで金髪に眼鏡をかけた男が警備員達を押しのけ一瞬のうちに爆弾を持った犯人を連れ去ってしまった。

 

犯人が反抗心をかけらも見せなかったため、警備員達はすでに武装解除してしまっていたのだ。

 

「容疑者と連れ去った男は南東方面に逃走!何らかの身体強化を行っている可能性あり!充分に注意せよ!」

 

警備員たちはいっせいにあわただしくなり始めた。

余りの事態に呆然としていた黒子は、急いで犯人達を捕まえるために、走り出した警備員の後を追った。

 

その方向は最上と別れた方向でもあった。

 

 

 

「事件がこのモール内で起こっています!こちらに出口があります!焦らず、押しのけずに避難してください!」

 

最上はそう言いながら、今も爆発音が聞こえてくる方向に進むんでいた。

すると、最上は自動ドアの前で立ち尽くしている集団を見つけた。

 

「どうしましたか!?」

 

最上は集団に駆け寄りながら質問した。

 

「どうしたもこうしたも・・・開かなくなっちまってんだ...やっぱり他もそうなのか?」

 

事件の発生地に走ってきた最上を他のドアが開かなくてこちらに逃げてきたものだと思ったらしく、多少焦ったような高校生ほどの男がそう尋ねた。

 

「開かなくなっているのはおそらくここだけです!自分の来た、こちらの方面は問題なく開いていましたので、こちらに避難を!」

 

そう最上が言うと、「何でここだけ!」という恨み節と「すまん!ありがとう!」という感謝の言葉を残して立ち尽くしていた15人ほどの集団は走っていった。

 

最上がふと周りを見ると、電気がこの周辺に来ていないことに気が付いた。

 

(だからか... あの中の誰かがこの状態から電気が来てないと勘違いしたか それで、むやみやたらに動き回るのも危ないと立ち尽くしていた・・・そんなところかな?)

 

しかし自動ドアというのは大抵電気が通っていなくても開きはするものだ。

それを知っていた最上は自動ドアが開かないことを確認し、手に持っていたCDの入った袋を近くに置いた。

 

(ここはおそらく、事件が起こった場所に一番近い南東のドア 他にも避難者が来るかもしれない あの人たちはおそらく集団心理のようなものでとどまっただけだとは思うけどここに来て、またとどまる人がいないとは限らない そのためにもここで、このドアに施された細工を解くか、ここに逃げてきた人に逃げる場所を伝える必要がある)

 

最上はそう考えてその場にとどまり自動ドアを調べようとしたその時、爆発音が鳴りやんでいたのに気づいたと同時に、大きなクラクションの音と共に大きな車が最上のいる場所にドアを突き破って入ってきた。

 

 

 

ほんの少し前、大きな車の中で、

 

「・・・宮木のやつ・・・うまくやっていると・・・思うか?」

 

その車にいる3人の中の、一番図体の大きい助手席に座る男が茶髪のやや細身で運転席にいる男に尋ねた。

 

「さあ?今日初めて会ったからわからん ただ、うちの大将いるし、逃げるだけならできるだろ なあ柴原?」

 

柴原と呼ばれた二人の中間位の体の男は前のシートに足を乗せながら答えた。

 

「あの金髪が大したことできるとは思えね 宮木の踏み台ぐらいにはなるんじゃね?」

 

柴原がそういうと、細身の男は

 

「またお前はそんなこと言って... あの時なんかお前が独断専行したのを大将が止めてくんなきゃ俺ら巻き込んで血の海ができてたかもしんないんだぞ?」

 

と柴原を咎めるようにそう言った。それから細身の男は

 

「ま、そんなわけで、うちの大将も面倒見はいいんだ どんなバカでも、な だからま、気にすんなよ堀木 それに今は駒場が留置所にいるんだ 今のうちに成功しておけば後々楽だろ?しっかり気を引き締めていこうぜ?」

 

と堀木と呼ばれた男に励ましの言葉を送った。

 

「そうか・・・すまないな... !連絡だ・・・こちら側の避難があらかた完了だそうだ・・・!行こう...」

 

その言葉を聞くと細身の男はしっかりとハンドルを握りこう言った。

 

「りょーかい!お前もそんな座り方してたら落ちても知らんからな!飛ばすぜ!」

 

「お前もビビッてスピード落とすんじゃねえぞ松原」

 

松原と呼ばれた男がスピードをさらに上げながら「余計な心配すんなよ」という言葉を発そうとすると車内に堀木の声が響いた。

 

「・・・まずい...!離れると思ったら一人離れなかったと連絡が来た!・・・止めろ!」

 

「はあ?・・・まあいい!このまま突っ込むぞ どうせ一人なら避けるだろ!」

 

「な!?・・・俺は・・・もう知らんぞ...」

 

堀木のその声とともにショッピングモールのドアを車が突き破った。

 

 

 

(うっはー... 何とか避けれたけど・・・なんだこいつら?というかCD壊れてそうだなー・・・もったいない)

 

と体にいくらかのガラス片とそれによる切り傷をつけた最上は立ち上がってガラス片を落としながら考えた。

 

(ナンバーついてたっけ?というかここの車ってなにで判別するんだ?もう少し普段から気を配っておくべきだったなー おっ 出てきたー・・・まずい)

 

最上は目の前に突っ込んできた、何かを移送するためであろう車から降りてくる人物の一人に見覚えがあった。

 

「アン?・・・てめえ!あの時の!」

 

その男・・・柴原は最上を金目的でさらい、ほぼ失敗したあの男だった。

 

「あー・・・どうも? ここに何をしに来たんです?」

 

最上がなるべく平静にそういうと言われた男ではなく、この場に出てきた3人のうちの一人・・・松原が声を上げた。

 

「柴原!そんな奴とおしゃべりしてる時間はないぞ!金目の物かき集めろ!」

 

「あぁ・・・そういう感じ...」

 

最上がこの状況にどうしようもなさを感じながらそういうと、柴原は笑いながら答えた。

 

「そういうことさ 松原ァ!目撃者はそのままにしておくわけにもいかねぇだろ!その役を俺がやるってだけだ 時間はかけねぇ!」

 

その言葉に松原は呆れながらも頷くともう一人の男・・・堀木と共にどこかへ駆け出した。

 

(多分金目の物、さがしにいったんだろうなぁ... どうしようぶっ倒されてたほうがいいような気がする... 白井さんたちがこっちに来るの願って粘るか...? それよりこの車のタイヤどうにかパンクさせたほうが役に立つか? どっちにしたってあまり大した効果ない気がするけど...)

 

最上が頭を巡らせていると、

 

「さっさと決めさせてもらうぜ!」

 

と柴原が最上めがけて走り出した。

最上はとりあえず地面に残っているガラスの破片を柴原めがけてばらまくと、ちょうど目に入った柴原は悪態をつきながら一旦後ろに下がった。

 

「悪いけど容赦できないからね!」

 

最上はそれだけを言うと、どうにか柴原を無力化するための策を考えた。

 

(こいつがここに残されたってことはそれなりに力があるってこと... そんでもっておそらく無能力者 つまり力勝負はおそらく悪手 それにこいつを無力化してもどこかに行った二人が戻ってくれば、警戒されてさらに状況が悪化するだけ だからこの場合するべきは...)

 

そう考え、周りを観察し、目的のものを見つけた最上は走り出した。

ようやく目に入ったガラスをなんとかした柴原は、

 

「クソッ!バカみてぇに逃げるだけか!?次はねぇぞ!」

 

と怒鳴り、何らかの店の近くへと逃げていった最上の後を追った。

 

「へっ!自分から逃げ場をなくすとは、そんなに自信があったのか?残念だな!そんなことすりゃあよお!俺にぶん殴られてオシマイなんだよ!」

 

最上は和菓子店を背にしながら、殴りかかってきた柴原に向かってお土産用の和菓子が置かれている布を、和菓子ごと投げた。

 

「てめえ!舐めた・・・おごっ!?」

 

柴原が地味に角が当たった和菓子の箱と布を払おうとすると、最上は素早く2回、蹴りを体のどことも決めずに放ち、十歩ほど離れた車のほうへとまた戻り、落ちているガラスの破片をタイヤに突き刺し思い切り引っ掻いた。

 

(ここが狙われたのはこんな非常時でもシャッターを下ろさない店員が多いからか!それはともかく、これで逃げ足は...)

 

ここが狙われた理由に辺りをつけた最上を、いつの間にか戻っていた堀木が無表情のままに殴り飛ばした。

 

「・・・油断しすぎだ... こんな一般人相手に...」

 

そう堀木が柴原に向かって言うと、柴原は布と格闘しながら、

 

「うるせえ!すばしっこく動き回るから殴れなかっただけだ!お前だって俺がいなきゃ殴れてねえよ!」

 

と布によってくぐもった声でそう言った。

 

「タイヤが2個・・・破裂か... あいつならできるか?」

 

堀木がそう聞いても、柴原は答えず最上への怒りを燃やしていた。

 

「柴原、もう時間がない... 車に乗れ」

 

堀木は会話をあきらめ、立ち上がることのできない最上を車の進行方向からどかすと、布を取っ払った柴原を引っ張って車に乗せた。

 

堀木が車を動かしやすいように進行方向からガラスをどかして暇つぶしをしていると、ATMを荷台に乗せて運んでいる松原が返ってるのと同時に、すさまじい速さで金髪に眼鏡の男ととそれに抱えられた男がやってきた。

金髪に眼鏡の男がその場にいるものに対して

 

「全員いるか?」

 

と短く確認をとると、車に乗り込んだ。

 

「・・・随分と少ないように見えるが、儲けはどのぐらいだ?」

 

と金髪の男が車の後ろの物品を見やると、丁度物を持ち帰った松原が答えた。

 

「自分はこのATMとついでに近くにあった募金箱を、他は適当な宝石と高そうなネックレス、ぐらいだぜ」

 

と積まれた物品を軽く説明した松原に合わせて金髪の男に抱えられていた男・・・宮木

 

「オレも適当にレジから金盗んできたぞ ・・・お札しかないけどな」

 

と答えた。

松原は荷台を閉め、車の運転席に座った。

それに合わせて堀木は自分が悪いわけでもないのに、黙りこくっている柴原の代わりに謝罪をした。

 

「・・・悪い、松原・・・左後ろのタイヤが・・・二つ・・・壊された...」

 

それを聞いた松原は固まり、顔を白くしながら、

 

「えっ... ウソ...?動かないよ?・・・そんなの・・・?」

 

と言うと、できるものだとばかり思っていた堀木は松原よりもっと顔を白くしながら、言った。

 

「は・・・?10個あるのに...?動かないのか...?まだ8個あるんだぞ...?」

 

「動くわけないじゃん!もっと早くいってよ!なんで皆普通に座ってるの!?今から直して逃げれるか...?」

 

やけになりかけながらも頭をフル回転させる松原に、宮木は

「タイヤパンクした状態で運転したことあるの?ないんだったらもう挑戦したほうがよくない?今からタイヤ直して間に合わないより、よっぽどいいと思うし」

 

と楽観的な言葉を口にした。

松原は頭を悩ませながら、今から間に合う気がしないのでその宮木の案に乗っかることにした。

 

「恨むなよ...?すげえスリップとかすると思うし、下手したら車が横になるからしっかりつかまってろよ!」

 

そうして動き出そうとした車の前に、先程柴原の目くらましに使われた布が突然現れた。

 

もうどうにでもなれ、と最初に突っ込んできたときに、すぐ出ていけるように外向きにしていたため、アクセルのみを踏んで布を払わぬままに飛び出した。

 

確かこの辺に路側帯、この辺に植物、と自分の頭の中では松原は完璧に進むことができていた。

しかし、タイヤがパンクしていたこと、騒ぎを聞きつけた警備員が横合いから車をぶつけたことで木にぶつかり、車は完全停止した。

 

「・・・大将...」

 

「・・・こりゃ無理だ 罪を増やしたいやつは俺が手伝ってやるが...」

 

その言葉に答えるものは誰もいなかった。

 

 

 

「最上さん?大丈夫ですの!?最上さん!」

 

黒子は初春から自動ドアが開かなくなる細工がしてある場所が二か所あるという情報を受け取り、自動ドアを開かなくすることで絶対に一般人がいない状態を作りたかったのではないか、という推理にいたった。

 

黒子はあまりにも速いスピードで南東へと去ったために見失った犯人を、手分けして探そうとする警備員達を無視し、独断であの場所へと先行した。

 

おそらく犯人であろうグループが車を発進させようとしていることは見えたので、たまたま落ちていた布を目くらまし程度にでもなれば、と車の前へとテレポートさせていたのだ。

 

そのまま出たら後を追うほどのスピードはないので断念しようとしていた矢先に、犯人が動けなくなり、他に被害はないかと周りを見渡すと、先ほど避難誘導を頼んで分かれた最上があおむけになって倒れていたのを見つけた。

 

「いや、まあ、呼吸が,さっきまで、できてなかった、ので、ちょっと、深呼吸、させてもらえば、だいぶ...」

 

最上は堀木に腹を殴られてから犯人が捕まる今まで強く背中と腹を打ったことで呼吸困難に陥っていた。

 

(呼吸ができないのは小学生のころ滑り台の一番上の柵を乗り越えて、足を滑らせて背中からおちたとき以来だな)

 

と最上はわりと心中は穏やかなまま酸素を欲していた。

 

顔自体はかなり苦しそうな笑顔を浮かべる最上を黒子は心配そうに見ながら、

 

「大変申し訳ありませんの... あなたに町の平和を願われたというのに、そのあなたをこんな危険に巻き込んでしまって... 何と言われても返せませんわ...」

 

と気分を沈ませた。

そんな黒子に呼吸を大分整えた最上は起き上がって、不安そうにする黒子の顔を見ながら、ねぎらいの言葉をかけた。

 

「いや、自分が避難誘導でこっちまで来なければ起こらなかったことです むしろこっちの自業自得というか... 白井さんたちが頑張らなければあの犯人たちも運転を成功させて、捕まらなかったかもしれません 白井さんたち風紀委員、警備員の方々のおかげです 絶対に」

 

そういって最上が笑顔で締めくくると、黒子は多少元気になったのか

 

「ありがとうございますですの その言葉を糧にわたくし達も頑張らせていただきますわ」

 

と最上に微笑みで返した。

 

 

「白井さーん!」

 

そんな二人を見つけて笑顔で駆け寄ってくるのは初春、先程何かの助けになれば、と端末からこのショッピングモールに関する情報を見ていたところ、自動ドアが開かなくなっていること、その場所の監視カメラにアクセスし、車が入ってきていることを確認し、黒子に伝えた少女である。

 

「あっ最上さん!実は私、さっき見ちゃったんです!最上さんがあの強そうな男の人をシャシャっとどけてタイヤに穴をあけちゃったのを!最後はあの人に思いっきり吹っ飛ばされちゃいましたけど、なんだかプロレスみたいで、とってもすごかったです!」

 

と少し興奮気味に話す初春に最上は苦笑しながら

 

「ほんとはあそこで気絶でもさせて、後から来た人も倒せればよかったんだけどね... それはそうと、もしかして見てた、ってことは白井さんだけあんなに早く来たのも初春さんのおかげってこと?」

 

おそらく頑張ったのであろう元気いっぱいな初春にそう質問をした。

急に自分に矛先が向いたことでテレテレし始めた初春に代わって黒子が答えた。

 

「そうですのよ 初春がここで最上さんとあの男たちの戦闘を見つけて、それをわたくしに教えてくれたんですの わたくしも、いつも助かっていますわよ、初春」

 

「そっか うん ありがとう初春さん」

 

普段裏方が基本のためなおさら誉め言葉になれていない初春は、黒子と最上の素直な感謝に顔を真っ赤にし、俯いてもじもじし始めた。

 

「えへへ... やっぱりこうして面と向かってお礼を言われるのって照れちゃいますよねぇ... えへへ...」

 

そう言ってから、声にならない声で恥ずかしがる初春に可愛らしさを感じ、黒子と最上は顔を見合わせて微笑みあった。

 

 

 

「なににしてもあなたのやったことは称賛されるべきことです おそらくわたくしたちのほうからあなたのことを伝えれば表彰もあり得ますの あなたは殴り飛ばされていましたし、もし骨が折れていたりしたら、その時にはその治療費も出るかもしれませんのでそうしたほうがいいと思いますわ」

 

黒子は本当に骨が折れてるかもしれない最上を心配して、そう提案をしたが最上は少し考える仕草をしてから、

 

「うーん... やめときます 目立つのは好きじゃないですから それに、自分、頑丈ですから、そんなに心配しないでください、大丈夫ですよ」

 

と二人を安心させるために言葉を紡いだ。

 

「そうですか... でも、頬にある傷ぐらいは絆創膏貼っちゃいますね?えーっと・・・絆創膏、絆創膏・・・」

 

「・・・それはそうと最上さんはなぜ初春には崩した感じでわたくしには敬語なんですの?」

 

黒子が些細な疑問を口に出すと、右頬にいつの間にかできていた、おそらくガラスによる小さな切り傷に絆創膏を張ってもらいながら、最上は口を開いた。

 

「んー・・・やっぱり何となく・・・ですかね?しいて言うなら、自分は基本敬語なので初春さんが話しやすいから・・・とかですかね?」

 

語尾に疑問が付きまとう最上の言葉に黒子も眉を寄せながら自分のことについて考えた。

 

「・・・わたくしが話しづらかったりしますの・・・?」

 

「あー、でも白井さんはそんなとこありますよね なんか気品が高いっていうかまず話しかけるのは難しいっていうか... 私もよく話すようになるまでは私のほうから話しかけにくかったですし あっ絆創膏はしっかり貼りましたのでもう動いていいですよ」

 

初春が遠慮なくそう言うと黒子も遠慮なく初春のほっぺたを引き伸ばし始めた。

 

「ホントによく躊躇なくいってくれますわねこの口は・・・というかアレ以外にばんそうこうなかったんですの?ピンクは殿方に似合いませんのよ?初春」

 

その黒子の言葉に最上は思わず見えない絆創膏に手をやりながら初春に聞いた。

 

「えっ・・・これピンクなの?初春さん・・・? ・・・まあいいか そういう感じは高根の花っていうか、それも白井さんの良さの一つなんです 白井さんは白井さんらしくいるだけでいいんですよ」

 

最上は少し悩んでいるような黒子にそう声をかけてから、

 

「じゃあ、もう行きますね お二人とも、さようならー」

 

とその場を去ることにした。

しかし、黒子のほっぺた伸ばしの刑から逃れた初春が、大分離れ始めた最上を呼び止めこう言った。

 

「あっ!待ってください!良ければ電話番号交換しませんかー!もっと私も白井さんもお話してみたいことあるんですー!」

 

黒子は勝手に自分も含まれていることに初春に向けて抗議の目を送ろうとしたが、もっと話してみたい、というのは事実だったので、今日は見逃すことにした。

 

「んー・・・実はケータイ持ってなくてさー!ごめんねー!またいつかー!」

 

その言葉に二人は多少落胆しながら最上を見送った。

 

「せっかく白井さんの数少ないお友達になってくれそうないい人だったのに・・・残念ですねー、白井さん」

 

「確かに・・・わたくしの数少ない友達・・・って何言ってるんですの!また頬っぺた伸ばされたいんですの!?」

 

二人はそうしてじゃれあいながら事件の後始末へと向かった。




長編書けないマンだったのでほぼ二話完結の新編でした。(衝撃の新事実)
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