前々回の後書きで終わりとか言ったんですけどまだ続いてます ってことを言いたかったんです
後前回タイトルつけ忘れてました
とあるファミリーレストランにて初春飾利と白井黒子は二人で事件の発生に備えていた。 ・・・ただ、今日一日は今のところ何も起きていなかったため、ファミレスで雑談をするだけにとどまっていたが。
「本当、暇ですわね... ここまでやることがないのならいっそ風紀委員の訓練所でトレーニングでもしていたほうが良いんじゃありませんの?」
初春のキーボードを叩く音と店が流しているラジオが聞こえてくる店内で、テーブルの上に頭を乗せ、冬の寒さによるものなのか人通りの少ない店の外をながめながら黒子はそう言った。
「暇なのはいいことって風紀委員の先輩も言ってましたよ? それに白井さんは真面目過ぎるというか・・・ワーカーホリックってヤツなんですよ こういう時は私みたいにしっかり休憩しておけばいいんです」
ノートパソコンから顔を移さないままにそう言う初春に黒子は呆れながら言った。
「・・・なら、それは今、何してるんですの? やたら熱心じゃありませんこと?」
「仕事じゃないので息抜きです ・・・実はちょっと調べものをしてまして... 最上さん、って覚えてます?」
初春はやっと手を止めてほんの少しの伸びをしてから、少し考え、そう言った。
「最上さん、といいましたら、2週間ほど前の?」
「はい、そうです その最上さんなんですが・・・」
初春は先程まで操作していたノートパソコンを黒子の方へと向け、初春自身も席を移動してから話し始めた。
「あのとき最上さんって、気にしなくてもいいですよ頑丈だから大丈夫です、って言ってたんですけど、なんだかその理由が違うように感じたっていいますか... それがどうしても気になっちゃいまして、なにか特別な理由があるんじゃないかなーって感じでちょっとだけ調べてみたんです」
「・・・それにしては情報が多くありませんこと? ・・・ストーカーは嫌われますわよ」
黒子が見ている画面には無数のウィンドウが表示され、最上のプロフィールが書かれたページを表示している一つのもの以外は乱雑に置かれていた。
「人聞きの悪いこと言わないでくださいよ まずこのページが目に入ったんですけど、これが大分おかしなもので... ここです」
そう言って初春がさす場所を黒子は見た。
「最上アオイ・・・カタカナですのね 無能力者、備考には名前の由来まであるんですの、ね・・・? これは・・・!」
「はい、そうなんです・・・! どうも最上さんは置き去りよりもひどい状態で、名前もなしに名字だけでこの学園都市にいたようなんです」
「拾ってもらった研究者に名前が付けられたとも・・・でも、これがいったいなんなんですの? 確かに酷いものだとは思いますけれど...」
そんな風には全く見えなかった最上の姿を思いながら、それでもわざわざここまで調べ上げるほどの必要性が見えてこない、と黒子は思った。
「この写真を見てください ・・・少しあのときと違って見えませんか? ここは住む場所のない子供たちの情報をまとめて、それをデータ化した場所なんです 一般的に公開されているものではありませんが、それなりに更新されているものでもあるようで、このページは1年に数回程度ですが情報が更新されているようです」
初春はそう言いながら、最上と同じ施設に住む他の子供のページと最上のページの情報を黒子に見えるように画面に出した。
「ですが、最上さんのページは5月、他のページはその後に9月や10月、と最上さんのページだけが5月から今まで、ページの更新が行われていないんです それで私は最上さんがいた研究所を調べて何があったのかを確認しようとしたんです そしたら・・・」
初春は画面に何らかの実験について書かれたレポートを出した。
「説明は省きますが、この研究所で11月に実験が行われたんです 結果、この実験では多数の犠牲者が出たようです ですがその中にも、片方は植物人間、もう片方は行方不明、となっている方たち、どちらにも最上さんの名前がなかったんです」
「・・・それでは、最上さんは・・・?」
黒子は非人道的な研究と不可解な物事とに頭を悩ませた。
初春は首を横に振りながら、
「分かりません 研究所に限って言えば実験の4ヶ月前、つまり7月中に人員入れ替えが行われていて、その結果がこの実験のようです それから、最上さんは年齢で言えば中学生でしたが、学校に通っていたわけでもないようで、ハッキリとした記録は残っていませんでした」
と黒子の疑問に答えることはできなかった。
二人がどうするべきかと対応を考えていると、隣のテーブルに来たらしい女性が二人に声をかけた。
「あっ! 君たちも風紀委員? そんでもってもしかして休憩中?」
黒髪に高校生ほどの背の、見知らぬ女性から突然かけられた明るい声に二人は戸惑い、先に初春が答えた。
「えっと、はいそうです! はじめまして!初春飾利です! こちらの白井さんも風紀委員で、私たちはとりあえず何かあるまでここで待機してたんです」
「それがいいよー 外なんか超寒くってさー、そういうことが起こりやすい路地裏にだって人がいなくって、ほんとに無駄足っていうか・・・あっ!忘れてた!私、守道中子(もりみちなかこ)!風紀委員の高校生!よろしくね!」
守道中子は身長と制服のみを除けばまるで子供の様で、胸に顔、自由奔放な言動には高校生らしさは見えてこなかった。
元気の塊の様な守道は一旦言葉を切ってから二人の反対側に座り、次いでまた言葉を発した。
「・・・それで、なんだけどね・・・?さっきそれを見ちゃって、しかも最後のほう、学校に通ってないって辺りから聞いちゃったの・・・ ごめんね? それでさ、その最上くんって子、私も知ってるんだよね... 私、彼に色々してもらっちゃったから・・・良ければなんだけどー・・・聞かせてくれない?」
申し訳なさそうな顔をしながら最上の顔写真の映っているノートパソコンを指した女性にそう聞かれた二人は、少し悩んでから黒子が答えた。
「構いませんよ・・・と言いたいところですが、まずどんな風に彼と知り合ったのかを教えていただけませんか? ・・・あまりみだりに話せることでもありませんので」
黒子にそう言われた守道は恥ずかしそうに頬を掻きながら話し始めた。
「あー... えっとね? まず私は8月の終わりごろに悪いことしてる人いないかなーって、使われてないビルやあまり表から見えないような路地裏を見回ってたの ・・・見回って何かしてる人を見つけることもあるんだけど、それで通報してからいったん拘束したりして警備員の人たちに会うと決まって「危ないことするな」って言われちゃうんだけどね...」
守道はあははは...と笑いながら次の言葉を発した。
「それでそれで、そんな感じで見回ってたらたまたま最上くんを見かけてね 彼、どこにいたと思う? 使われてないビルの一部屋に電気もつけずに・・・ってつかなかったのかな?まあいいや! それで体育座りしながらウトウトしてたんだよ? 夕方に近かったかな? 私もちょっとだけびっくりしちゃって結構大きな声出したら、完全に目が覚めたみたいで、「あっ...すいません すぐ出ていきます」とか言ってどっか行こうとしたから、詳しくお話聞かせてもらうことにしたんだ」
「体育座りで睡眠・・・しかも誰が来るかもわからないような場所で・・・過酷ですのね・・・」
黒子と初春は思った以上に大変な目にあってそうな最上に憐れみを覚えていた。
「うんうん、だから私も多分住むところがないんだろうなーって感じで可哀そうだし一晩私の家に呼んだんだよね」
「えっ!?たまたま見つけただけなんですよね? 周りの人とかに相談したんですか?」
「私も一応、大人に相談しようかなーって考えたんだよ? でも彼、あんまりそういう風にしてほしくなさそうで「迷惑かけちゃうといけないので...」とか言ってどうにか逃げようとする彼を私が、一晩だけ!なにか手伝ってくれればいいから!誰にも言わないから!とか言って無理やり私の自宅に連れて帰ったの 彼、そうでもしないとまた彷徨うことになっちゃうだろうからね」
(引っ張り方が危ない誘拐犯みたいですの...)
黒子は内心そう思いながらも口には出さず、代わりに
「そこまでして人を助けるなんて、守道先輩は優しいんですのね」
と、確かに本心ではある、褒め言葉のほうを口にした。
「いやーそれほどでもないよ 私元気だけが取り柄とか言われて、それがちょっと嫌だったから、能力もそれなりだったし、折角だしって風紀委員になっただけだもん まあそれでね、家で色々やってもらったんだけど、それがすっごく上手で・・・私、いつも部屋きれいにしてなかったから、散らかってるの一緒にきれいにしたり、冷蔵庫の中にあったからスパゲッティを作ろうとしたんだけどそれもやってもらっちゃって、すっごく美味しかったんだよ? いつもトマトソースをかけるだけだった私のスパゲッティがあの日だけ豪華になったんだ・・・また食べたいなぁ...」
守道のその時を思い起こしているような言葉と表情で、初春は自分が熱中しすぎて何も口にしていないことを思い出した。
「スパゲッティですか!いいですね 私も今食べたくなっちゃいました!」
「えっほんとに? 私も話してたらもう何でもいいから何か食べたくなっちゃって・・・一緒に頼む? っていうかここに来てから何も頼んでなかった...」
「わたくしは遠慮しておきますわ 調べものに熱中してた初春をおいて先に食べましたの」
三人が軽く雑談をしたり、黒子と初春がドリンクバーのジュースを取りに行ったりしてから、店員に二人が注文をするとまた守道が話し始めた。
「それでね? 彼に掃除に料理・・・流石に洗濯は任せてないよ?やっぱり女としてそこまで任せちゃアカンですよ」
「何キャラですのいったい... まあ洗濯は確かにあり得ませんけど」
「えへへ... それで色々任せて、最上くんがお風呂に入ってる間に机の上で寝ちゃって・・・まあすぐに上がってきた最上くんに起こされたんだけどね... ・・・その時私ほんっとうに寝ぼけてたから抱き枕にしてそのまま寝ちゃったんだよね...」
「・・・それも十分あり得ないと思いますわよ」
恥ずかしがりながらそう言う守道に黒子は呆れの目と、先ほどまでとは違った意味で最上に憐れみの目を向けた。
「そうだよねー・・・えへへ... やっぱりその頃色々あってさみしかったから・・・つい、ね? 朝起きて顔が目の前にあった時はちょっとびっくりしたけどね それから最上くんも起こしたら朝ごはんも作ってくれたんだ! でも、一晩だけって言っちゃったからなのかなー、それだけしたらどっか行っちゃって一応引き留めようともしたんだけど「これ以上迷惑かけられませんから」って私が支部に顔出すために外に出たらそのままね・・・彼がいなくなってからの数日は耐え難いさみしさでいっぱいだったよ...」
その時のことを思い起こしたのか、顔を下に向けた後、あっ今は全然平気だけどね!このとおり!と元気いっぱいに体全体でアピールした守道には確かにそんな影は見えなかった。
「まあ、そんなわけで、彼には私のつらい時期、少しだけ救ってくれた大切な人なんだよ... だから!何か彼に返したくって... 是非!私もそれに一件噛ませてください!」
テーブルに頭が付くほどに頭を下げて懇願する守道に黒子と初春は
「構いませんわ!でしょう?初春」
「はい!あっ!でも情報源を言いふらしたりしなければ、ですけど」
と了承の言葉を口にした。
すると守道は目を輝かせ、先ほどまでの活発さを更に強めた。
「やった!それは約束するよ!むしろ彼のためになることなら何でもするから!それじゃ、これからよろしくね!」
こんなにも時間がかかるとは思っていなかった。
仕事は予定では夜中の間に終わるはずだったというのに今はもう太陽が昇って6時間ほどたっている。
遅れた理由なんてどうせ、こちらが警戒しているという情報を掴まれたせいで相手方も様子見に回ったとかそんなとこだろう。
(寝ててもいいからとりあえずいてくれとか・・・超早く帰らせろて感じです どうせ相手が様子見に入ったらそのまま何日かは何も起こらずに居れるでしょうに...)
大して暗部で長く過ごしていなさそうな依頼主だったからある程度のアドバイスはしてやったのだが、結局「朝までは頼む」の一点張りでこんな時間まで私を引き留め、無駄に私に報酬を払う羽目になっていた。
(ある程度名前も知れてて実力もあるこの私をお金に糸目もつけず選んだのは超いい判断ですが、あれじゃあ先にお金がなくなって事業を続けられなくなるのがオチでしょうね)
4時間ほどの仮眠と、帰れずにイライラしている私にせめてと研究員が出してきた菓子類を原動力にして、私はやっと家へとたどり着いた。
(眠いわけではありませんが超疲れました... 最上には悪いことをしましたかね 朝には帰ると言っておいたのにこんな時間まで連絡もできずに... 彼のことですし夜明け近くまでは待たせてしまったでしょうね)
心優しい居候のことを考えながら部屋へと入り、いつも食事をしているテーブルの上に明らかに夜用のものではない食事が置かれていた。
彼のことだ、朝になっても戻ってこない私を気遣って古い作り置きの晩御飯を処理して、朝御飯用の食事を新しく作ったのだろう。
(・・・それにしては彼が来ない・・・というか生活音がしませんね 起きっぱなしだったから今寝てるんでしょうか?)
いつも彼が寝床としているソファと、テレビ、その前に低いテーブルがある場所で、やはり彼は寝ていた。
(疲れていて声を出せなかったんですが、超出さなくて良かったです 余計に起こすわけにも超いきませんからね)
最初に寝顔を見たとき、今も写真データとして残っていて自由に見れるようになっているそれと変わらない、安らかな顔で、彼は寝息を立てていた。
その姿は私が起きる前に朝食を作り、私が寝た後に就寝するためなかなか見れない、そこそこ貴重なものでもあった。
(こういう時、ほっぺたつついても起きないんですよね、この人 無理やり上に乗って寝ても起きませんし、もしもの時が超心配ですね)
上に乗って寝ると大抵起きたときに自分の部屋にいるのだが。
起きるまで待ってくれればいいのに、なんて思いながらすやすやと寝息を立て続ける彼に何もせず、食事のために手を洗うことにした。
(何はともあれ超起こすわけにはいきませんね まあ、仕事で一緒に食べれないこともありますし、折角超家にいるのだから一緒に、とは思いますけど ・・・超ただのわがままですね)
そんなことのために彼を起こせない、でもたまたま今起きてくれたりしないかな、なんて思って洗面所を出ると、その願いが通じたかのように彼は起きて、こちらに挨拶をした。
「あ、おかえりなさい 帰ってたんですね 良かったらそれにおかずとか足しましょうか?」
さっきまで寝ていたとは思えないほどはっきりと受け答えをする彼に内心驚きながらも、おかずを足してくれるように頼んだ。
テーブルの上で、彼が追加のおかずを作るのと冷めた朝食を温め直すのを待っている間、彼が「何もなしに待たせるのは気が引けるので」といって出してきたサラダを私は食べていた。
「ところで、超さっき寝てましたよね? 起きたばっかりなのに、なんで超そんなに眠くなさそうなんです?」
彼の動作に注目していてもあくび一つ聞こえてこないことが気になり、そう質問した。
「んー... 自分、寝てる時にたまにパッと起きる時があるんですよ そうやって起きると眠気もほとんどなくって普段普通に起きた時よりも動けたりするんですよ それから、そうやって起きた時は大体自分のことを誰かが起こそうとしてたり、やらなきゃならないことがあったりーみたいな事がありますね」
随分不思議な体質だ。
それあたりが理由でここに放り込まれたのかもしれない、と思いながら彼に言葉を返した。
「随分都合がいい力ですね 私にも超欲しいです ・・・ということは私が起きてほしいと思ったからこうなったってことですかね?」
「そうだと思います ただ、良いものではなくって、例えば誰かが部屋に入って僕の代わりに小さいゴミ箱の中のゴミを捨てようとしたらその人が入ってくる前に起きたりしますし、目を覚ましても何もないだろう、って起きようとせずにいるとあと少しでもう一度寝れるぐらいになった時に結局やらなきゃいけない事がでてきたりする、ってこともあって・・・そうなるとまともに頭が動ないんですよねー」
そうなのか。
能力のように切り替えがないというのはなかなかに大変そうだ。
まあ、そのおかげで私は彼と一緒にこの微妙な時間帯に食事をすることができるのだから正直感謝しかない。
「できました! 今持っていきますー」
そう言って料理を彼の分と私の分を合わせて作った彼を労る気持ちも込めて、料理を運ぶのを手伝った。
食事も終わり、本来ならばここから自堕落に遊ぶところなのだが、流石に今日は疲れのほうが先に出た。
「私、超眠いのでこの後シャワーだけ浴びて夕方ごろまで寝ることにします 晩御飯出来ても起きなかったら起こしてください」
食器を洗い始めた彼に眠気を抑えながら、簡潔にそう伝えてお風呂場へ向かおうとすると彼に呼び止められた。
なんだろうと思って振り返ってから思い出した。
「ああ、パジャマ...」
「あっ思い出しました?何も持たずに行こうとするから少しビックリしましたよ」
眠気がだんだんと増してきた私に、彼はそう言ってから手をタオルで拭き、私の部屋へと行き、パジャマを持ってきた。
彼に任せてからは着替えの用意もだいぶ楽になった。
私はもともと、面倒だからと服と下着をひとまとめにしていたから、たまに下着が服の間に挟まったままになってしまい、その下着を見つけるために畳んである服をすべて広げるようなこともあった。
今は彼の提案で下着が洗面所、服などが私の部屋のタンス、となって一人の時も服を探しやすくなっていた。
「ありがとうございます これはお礼です」
私は眠気が頭にあるまま、半ば深夜テンションのようなものでパジャマを持ってきた彼の腕を引き頬に軽く口づけをした。
私はそのままお風呂場へと向かった。
・・・なにかおかしなことをした気もするが気のせいだ。
多分大したことでもない。
私はそう思いながらシャワーを浴びた。
前回から今回までの間に感想をいただいたんですが、その返し方がへたくそで初めて感想に返信した時と違って大分後悔してます
具体的に言うとビックリマーク多用することしかできませんした
それと大分投稿が遅れて申し訳ないです
今までは早めに投稿してましたけど、これからも遅れることになると思います
二週間・・・って思ってたんですけど感想返したときに早くするとか言ったので10日以内ってことでお願いします