ハリー・ポッターと魔法の天災   作:すー/とーふ

13 / 31
第十二話

 深夜に廊下を徘徊することは校則で禁じられている。この校則を破った者に与えられるのは情け容赦の無い罰則の数々だ。

 昔あったような鞭打ち等の痛みを伴う罰則は廃止になったとしても、それでもキツさで言えばそう昔と変わり無い。果てしない労力と精神力を消費することが確定されている罰則に処されるリスクを考えれば、廊下の深夜徘徊は馬鹿のすることだと言えるだろう。

 

「ハリー。今日はとりあえず戻ろう。 昼の内に場所を確かめた方が良いよ」

「でもロン。この辺りのはずなんだ、絶対に」

 

 しかし馬鹿一・二号ことハリーとロンは、ある目的地を求めて深夜の廊下を徘徊していた。

 今までトラブルメーカーの代名詞となっていた双子に、それを上回る天災の登場で全体的な見回りが強化された昨今、廊下を歩き回るのは自殺行為と言って良い。

 それでも徘徊を容易に行えるのは、クリスマスプレゼントでハリー宛に送られたマントの存在が大きかった。

『透明マント』と呼ばれるそれは、その名の通り覆った対象を透明にしてしまう悪戯に最適な夢のアイテムだ。

 今は亡き父の形見のマントに覆われるのは三人。ハリーとロン。それに、

 

「というより姿を隠す必要あんの? 狭いし普通に歩こうよ二人とも」

 

 そして馬鹿三号ことアルフィー・グリフィンドールだ。

 マントは子供三人をギリギリ覆い隠すくらいの大きさしか無く。背の小さいアリィのお陰で若干のゆとりが生まれているにしても窮屈なことこの上ない。

 堂々と歩こう宣言をする怖いもの知らずに、ハリーは大きな溜め息を吐いた。

 

「夜の廊下を怖がらずに歩けるのはアリィくらいだよ」

 

 暗くて怖いという恐怖心ではなく、校則に違反しているので見付かったら大変という意味で。心臓に毛が生えているんじゃないかと思えて仕方が無い。

 

「でもハリーの父ちゃん母ちゃんか。どんなんだろーなー」

「アリィはハリーのパパとママを見たこと無いの?」

「無い。ハリーってそういうの壊滅的だから」

 

 ロンの問いに間髪入れず即答する通り、ハリーは両親の写真を一枚も所持していない。だからハリー達三人は、ハリーの両親が映るという不思議な鏡を見に行くために、迷子になりながらも鏡の置いてある部屋を求めて何十分も廊下をウロウロしているのだ。

 しかし、その苦労も漸く報われる。今は使われていない教室を見て、ハリーは声を弾ませた。

 

「あった! ここだよ、二人共!」

 

 喜びのあまり突撃するように部屋へ雪崩れ込む三人を待ち受けていたのは背の高い姿見鏡だった。

 金の装飾に鉤爪状の足が付いているソレは不思議な鏡という前情報を与えられていた所為か、何とも言えない独特の雰囲気と不思議さを纏っている気がする。

 一度ハリーが鏡の前に立って両親が映るのを確認してから、全身が映るベストポジションをロンに譲った。

 

「どう? 鏡には――」

「僕が見える!」

 

 しかしロンに見えたのはハリーの両親ではなく自分自身。それも首席とクィディッチのキャプテンを兼任している優等生の姿だ。

 

「そんなことない! ……ホラ、やっぱり両親が映ってる!」

 

 反論するためにハリーがロンと立ち位置を交換して確かめ、やはり両親が映っている鏡を見て二人は困惑する。

 故人の姿と未来の姿では接点が無い。

 その疑問を払拭する声を上げたのは、ずっと鏡を観察していたアリィだった。

  鏡に小さい文字で詳細が書かれていたのだ。

 

「『顔ではなく心の望みを映す』だってよ。どんな仕組みなんだろ」

 

 鏡を見た者の望みを映す『みぞの鏡』。

 誰しも一度は試してみたい魔法の鏡を楽しむため、今度はアリィが鏡の前に立つ。

 あの天災の望み。

 微妙に興味の引かれる事柄に、二人の関心は完全にアリィへと向いていた

 

「えっと……おお! 俺の発明品シリーズ『アルバート・コレクション』が大流行! 三人に一人が俺印の魔法具or悪戯道具を所有!」

「「…………」」

 

 

 

 ――それで魔法界の未来は大丈夫なのか。

 

 

 

 ふとそんな心配が脳裏を過ぎる。

 波乱万丈で危険に満ち溢れた暗い未来しか想像出来ず、二人の口許は引き攣るばかり。けれど鏡に映るのはそればかりではなく、他にも様々なものを映していた。

 

「あ、あと俺がホグワーツで教師やってる姿も見える。携帯ゲームが黒板に書いてあるからマグル学っぽい」

「機種は何? もしかしたら未来で販売される機種かもしれない」

「反応するのはそこじゃないよハリー!? アリィが教師をやりたいって考えていることにツッコミを入れる場面だよここは!?」

 

 仮に教師に成れたのなら、天災を知る者は必ず思うだろう。それで大丈夫かホグワーツと。

 あくまで望みであっても魔法界の未来を心配してしまう。頼むから、まともな未来が訪れてくれることを祈るばかりだ。

 

「あと特別講師でディーンが隣に立ってる」

「「何やってるのディーン!?」」

 

 ただいま帰省中のディーン・トーマス。

 アリィ以上のゲーム好きは魔法界にゲーム文化を伝えるために、どんな努力も惜しまないに違いない。そして最後の望みが、ある者にとっては一番回避しなくてはならないものだった。

 

「それと……よっしゃ! 俺が書いた『ハリー・ポッターの生涯 苦労知らずの笑って楽しい幼少期編』がベストセラーだってよ! 暇を見つけて執筆に励んでる甲斐があったか」

「あのネタまだ引っ張るのっ!? 」

 

 もう何してんのこのショタ野郎は!?と叫ぶハリーの口調が乱れている。普段使わない単語や言葉が乱立しているのが、彼が程よく混乱している証拠だ。

 キャラ崩壊も甚だしい。

 

「俺頑張った」

「燃やして今すぐ!」

「安心しなって。会心の出来だから」

 

 ドヤ顔で胸を張る少年に対する反応と、顔を真っ赤にした少年が取った行動は以下の通りである。

 

『落ち着けハリー! 夜に騒ぐのは良くないからっ!? 誰か人が来るぞっ!?』

『放してロン! 今回ばかりは肉体言語でアリィと話さなくちゃいけないんだっ! ハーマイオニーに出来るなら僕だって……っ!』

『言っとくけど、ちゃんと印税は山分けするつもり。取り分はハリーが7で俺が3。だからそんなに慌てなくても大丈夫だって』

『アリィはもう何も言うな! ああ、 ハーマイオニー……何で君は暢気に帰省しているんだー!?』

 

 ミス・ストッパーにも休息は必要だ。

 寮を問わず天災関係で頼りにされている彼女は、生徒間で最も権力を有していると言っても過言ではない。それは『私の言うことを聞かないと天災を止めてあげないわよ』という恐怖政治ではなく、生徒が自然と向ける敬意と尊重の気持ちによって祀り上げられた故の、謂わば聖女のような扱い。

 マグル生まれを毛嫌いしている蛇寮の者達ですら彼女は別格として敬う気持ちを持っている。

 そんな崇拝対象がロンの叫びに反応して『誰かが私を呼んでいる気がするっ』と寝ぼけながら目を覚まし、電池が切れたかのように直ぐに横たわるという使命感溢れる姿を魅せる時。ハリーの必死さとロンの鬼気迫る説得が実を結んだのか。五分に亘る問答の末に渋々といった感じで天災は頷き、未来のベストセラー候補を処分することに同意した。

 良い意味でも悪い意味でも有言実行してしまうのは、アリィの長所でもあり短所でもある。約束は守る性分であり素直な部分は信頼しているため、ハリーもこれ以上心配することは無かった。

 

「……つ……疲れた……」

「良かった……未然に防げて本当に良かった……」

 

 度合いは違えど精神疲労を起こしているのはロンもハリーも同じ。そんな二人が荒れた心を癒すために行うのは、自分の理想の姿を見て現実逃避に走ることだった。

 

「というより交代してよ! アリィばっかりズルイ」

「えー、ロンは背が高いから後ろからでも見えるじゃん」

 

 しかしこの鏡は全身を映さないと効果が発揮されないようで。つまり一人ずつしか恩恵を得ることが出来ない。ベストポジションの奪い合いに参戦するため、残りの一人も激戦区へ突撃した。

 

「ちょっと待ってよ! 僕だって父さんと母さんを見たいんだ!」

 

 三者に譲り合いの精神は存在せず、実に醜い争いが勃発した。押し出し、退かし、引っ張り、圧し掛かる。様々な手で鏡の前を奪い合う三人。

 だからコレは、そんな三人に愛想を尽かした神様が下した罰なのかもしれない。

 

『あ』

 

 いったい誰の所為なのか、それは三人にも判断が付かなかった。

 誰かの肘やら身体やらが当たり、倒れ、鏡が砕け散るまで五秒と掛からない。けれど罪の擦り付け合いをしないのは、この騒動で唯一誇れる美点だろう。

 求める物は自分達の愚かな行動で無残にも砕け散ったのだ。

 

「やばっ、『レパロ 直せ!』」

 

 直ぐにアリィが紫壇の杖を出して割れた鏡を修復する。見た目では新品同然の輝きを取り戻したみぞの鏡にハリーが立つも――、

 

「どうだい、ハリー?」

 

 恐る恐る確認を取るロンの言葉に、ハリーはゆっくりと首を振る。横に振るのは否定の証。外見だけは直せても魔法的な効果まで修復することは出来なかったのだ。

 顔中の血の気がサーッと音を立てて失せていくのが分かる。魔法界で育った者ですら知らない稀少な鏡。弁償したら幾らになるのか。

 金持ちとは違い貧乏人の考えはソレしか無く、ロンは死人のように顔を青ざめた。

 

「マズイよ、どうする二人――」

「「逃げるよロン!」」

「即決!?」

 

 ロンとは違い伊達に二人は様々な修羅場を潜っていない。特にその内の一人は、主に一人の天災の所為で警察沙汰になりそうな事態から何度も逃げ延びた猛者だ。

 由々しき事態に陥った場合の決断力は潔く、それでいて大胆。躊躇いや迷いもせずに逃亡を図る苦労人の脳は、過剰なアドレナリンの分泌で異常なまでにフル回転の真っ最中。それは天災に匹敵するほどだった。

 

「ハリー、俺は今日二人と会ってもいないし、ずっと寮でポチ太郎と戯れてた。オーケー?」

「僕だってロンと二人でチェスをやっていた。アリィとは会ってない」

 

 互いに何を考えているかを瞬時に察する。

 上手く付いてこれていない常識人のロンを置き去りに、二人は長年の付き合いから素晴らしいコンビネーションを魅せていた。

 

「アリィ、君の名前を使わせてもらうよ」

「勿論だ親友。共に危機を乗り越えよう」

 

 こつんと拳を突き合って互いの無事を祈ってから、獅子寮と蛇寮では方向が違うため、彼等は部屋を出て直ぐ二つに分かれる。

 一つは透明マントに隠れながら早足で獅子寮に戻り、もう一つは形振り構わない全力疾走。

 彼らが立ち去って直ぐに校長が部屋に姿を現したが、当然その時に部屋は蛻の殻。

 しかも『目くらまし呪文』を使って姿を消した校長と透明マントを使用しているグループが互いに気付かずニアミスしたのだから、もうここまで来ると奇跡だ。

 そしてほぼ同時に自寮へ駆け込んだ二つのグループは、それぞれがアリバイ工作に奔走する。頼ったのは彼等と一番関係の深いゴースト達。アリィは『血みどろ男爵』へ。ハリーとロンは獅子寮憑きのゴーストである『ほとんど首なしニック』の下を訪ねる。

 天災は研究対象から外すことを条件に、ハリー達は彼を研究対象にしないよう天災を説得することを条件に交渉を図った。

 万が一の時はアリバイを証言してもらうよう口裏を合わせて懇願した結果は、おそらく大多数の人が想像する通りだろう。

 二人のゴーストは喜々としてお願いを了承するのだった。

 

 ――後日、鏡の所有者が判明した後、連名の匿名希望で所有者宛に謝罪文と大量のお菓子を郵送することになるのだが、それはまた別の話だ。

 

 

 

 

 ◇◇

 

 

 

 

 この歴史ある魔法魔術学校の副校長を務めている彼女――ミネルバ・マクゴナガルにとって、今年は記念すべき年になるはずだった。

 まだ自分が子供であり、この学び舎で青春を満喫していた頃。二十世紀で最も偉大な魔法使いと称される稀代の天才と同期であり、長くホグワーツで教鞭を取っていた自分の恩師。その曾孫が入学すると聞かされ、彼女の心は歓喜に震えた。

 確かにあの破天荒な恩師の下で育てられた子供なので一抹の不安が拭いきれずにいたのは事実だ。

 それでも、その鬼才の孫だとは到底思えない温厚篤実なトバイアス・グリフィンドールの血を引く子供。両親を幼い時に失い、鬼才の下で育てられたトバイアスが彼色に染まらなかったように、同じ環境にあった子供もきっと大丈夫に違いない。

 恩師であるデイモンはとても優秀な魔法使いだが――性格や思考が問題ありまくりなため一先ず除外。きっと入学してくる曾孫は、トバイアスのように真面目で優秀な生徒に決まっている。

 一教師として、優秀な恩人の養い子を生徒に持てるのは大変名誉なことだ。あの日、あの時まで、彼女は子供――アリィのことを信じていた。

 

(それがまさか……あのような子供だったとは……)

 

 予想と理想は色々な意味で裏切られた。

 それもおそらく鬼才を上回るであろう才能の片鱗と厄介さを見せる問題児としてだ。

 軌道修正を図りたくても授業成績は歴代トップの座についても可笑しくないレベルであり、寮が違うために生活態度の指摘も行えない。彼女が出来るのは悪戯や問題行動の現行犯逮捕と言葉遣いの注意くらいで、それでも全く堪えない性格なのだから頭痛がしてくる。

 しかし、あの破天荒ぶりが寮間の確執や溝を取っ払うファクターになっているのも確か。学校へ好ましい変化を齎す彼に感謝している気持ちもあり、無理に矯正をしなくても問題無いかと、若干の諦めも含みながらそう考えている自分がいるのもまた事実。

 

(うっ……胃薬を……)

 

 叱りたくても叱れない。否定したいけど否定仕切れない。個人としては認めているけど教師という立場から見れば認められない。

 なまじ彼女が真面目な性格であり、厳格な授業を心掛けているため、沢山の葛藤とジレンマに苛まされるマクゴナガル教授は、今日もスネイプ教授特製の胃薬のご厄介になる。

 同じ教師という立場なだけに共感出来ることも多く。今学期に亘り二人の仲が改善されて交流が多くなったのも、数ある天災効果の一つかもしれなかった。

 

「おお、副校長発見! ナイスタイミング!」

 

 噂をすれば何とやら。休暇明けの最後の授業を終えたマクゴナガルの下に駆け寄ってきたのは件の天災。背後から声を掛けられ、内心で胃を押さえながら、マクゴナガルは背後を振り返った。

 

「何でしょうか、ミスター・グリフィンドール。それと廊下は走らないように」

「アイサー!」

 

 立ち止まって敬礼。

 姿を見つけて急いで来たのか、健康的な子供の肌は僅かに紅潮していた。

 

「副校長は昔、お料理クラブの顧問をやってたって本当?」

「まあ、どこでそのことを?」

 

 随分と昔のことを掘り出してきたものだとマクゴナガルは思う。今はもう廃部になってしまったクラブの顧問をやっていたのは三十年も前だ。

 なんとなく言いたいことを察するマクゴナガルに、アリィは推測通り二枚の羊皮紙を差し出した。

 

「お料理クラブを復活させるので顧問をお願い申し上げます、サー!」

 

 差し出される二枚の内、一枚は校長のサインが書かれた新クラブ開設の許可証、ここに顧問となる教師がサインすればクラブは設立される。そしてもう一枚はクラブ加入者のリストだ。

 

「全部で二十人ですか」

 

 そのリストに書かれたのは全員が女生徒。休暇に入る前からアリィに菓子作りの指南をお願いしていた者達だった。

 彼女達の大半が彼と一番交流のある一年生だが、中には上級生の名前もチラホラと見られる。だいたい四寮が同じぐらいの割合でそれなりの人数が集まっていた。

 その中の一人にマクゴナガルは着目する。

 

「おや、ミス・グレンジャーも入っているのですね」

 

 意外そうな声を上げるのも当然だ。自他共に認める本の虫にして勤勉な彼女は、クラブ活動に勤しむ暇があるなら予習復習や本を読む時間に充てている。

 よく授業後も質問に来るハーマイオニーの性格をそれなりに知っている者として、彼女の名前がリストアップされているのが少し意外だったのだ。

 

「ハーさんが俺だけじゃ心配だから私も入るってさ。まったく、タメなのに子供扱いするんだから失礼しちゃうよ」

「グリフィンドールに五点」

 

 身内贔屓ではなく、自ら監視役を買って出た彼女の英断を讃えての得点だ。

 リストの横に小さく副部長と書かれていることに安心し、強張っていた背筋や肩を大きく弛ませた。

 ミス・ストッパーがいるのなら、この問題児がクラブを新設することに異論は無い。クラブを隠れ蓑にした悪戯道具製作場と化す可能性も低いだろう。

 しかし設立を認めても、それで力に成れるかどうかは話が別だ。

 

「事情は分かりました。しかし、私が顧問を務めることは出来ません」

 

 三十年前ならまだしも今の彼女は副校長。

 多忙な日々を送る彼女に顧問まで勤める余裕は無い。目に見えて落ち込むアリィを気の毒だとは思うが、無理なものは無理だ。

 俯いて立ち去ろうとするアリィに謝罪し、マクゴナガルも職員室へ向うために踵を返す。その時、彼にとっての救世主が現れた。

 

「な、なら。わ、私でよ、良ければ、顧問をつ、務めましょう」

「マジで!? 嘘じゃなく!?」

 

 廊下の角から現れたのはクィレルだった。目を輝かせて喜ぶアリィに、本性を隠したクィレル教授は演技をしながら笑いかける。

 勿論、彼が現れたのは偶然でも何でもない。全ては彼のご主人様の指示。彼等は極自然にアリィと接触できる機会をずっと狙っていたのだ。

 

「じゃあ日程や計画を煮詰めたら連絡する! 顧問特権で美味しいお菓子を提供するから期待してて!」

「宜しいのですかクィレル先生?」

 

 周囲に音符と花畑を幻視させる勢いで喜び、顧問就任のサインを貰って走り去るアリィを横目に、マクゴナガルがクィレルに確認を取る。

 

「も、もちろん。私は手が、あ、空いているので」

「そうですか。では、大変だとは思いますが宜しくお願いします。……くれぐれも、油断なさらないように」

 

 最後に一番大事な注意を行い、マクゴナガルは胃薬を求めて職員室へ向う。その際、仮面を剥ぎ捨てた彼の野望に塗れた醜悪な笑みに気付くことはない。

 こうして隠れた策略家は、天災と関わる格好の口実を得たのだった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。