-1-
暗い。暗い闇の中。自分はそこにずっといる。時折、光を求めてもがくように過ごした事もあった。延々と続く闇の中、いつしか諦めを感じていた。
結局、どのくらいこの場所でじっとしているのか判らない。次に目の前が光る機会はかなり先になるだろうと思い、眠りにつく。
「…い!! はや…来いよ!」
ふと、声が聞こえた。目を開くと目の前に魔法陣のようなものが現れている。
「俺たちに……よこせぇぇぇ!!」
必死に叫ぶその声がなぜか愛おしく感じ、ゆっくりと魔法陣に手を伸ばす。すると、魔法陣は禍々しく輝いた。風を感じ、魔法陣に吸い込まれてしまう自分。
この先に待ち受けるのは、一体なんなのか。
魔法陣を通る間、自分の身体が作り直されるような感覚を感じ、それまで精気を感じられなかった身体から不思議な力が満ち溢れてくる。
(……あぁ、この感覚は“懐かしい”というのか)
気がつけば、口角が上がり、笑っている表情になっている自分に気づく。絶対的な自信と力。この力を使っ
て、自分は何がしたいかを夢想しながら、魔法陣の移動は終わりを告げた。
-------------------------------------------
-2-
「この場所に来てから、どのくらい経った?」
自分一人しかいない空間で、独りごちる男。
「焦っても仕方ないか。ひとまず道が開くのを待つしか無いしな。…ふわぁ」
地面もないからか、常に空中に浮いたままの感覚があった。男は眠気に襲われ、空中であぐらをかいて、眠りについた。
彼の名は門矢士。仮面ライダーディケイドとして、幾多の世界を仲間達と旅をしてきた。
仮面ライダーのいる世界、戦隊ヒーローのいる世界、仮面ライダーのいない世界。様々な世界を旅する自分と仲間達。旅はまだまだ続くそんな事を思っていた。だが、最期に旅をした世界に現れた敵の手によってこの空間に放り込まれてしまった。
この空間に吸い込まれる瞬間、自分の半身が欠落したような感覚を覚えた。漠然としているが、考えても仕方ない。ひとまずは身体を休め、いつでも出られる準備をする。
(そういえば、夏みかんも、ユースケも、じいさんも、海東もどこ行った…?)
まどろみの中でそんな事を思い浮かべる。
(それに、この狭間に来る前に戦っていた相手は“誰”だったんだ?)
海東から連絡を受け、集合した光写真館から敵のアジトに向かった所までは覚えている。でも、いくら長考しても、その答えは出ない。
(待っているのは性に合わん。それなら、俺が出来ることは…)
短い溜息をついて、胸ポケットからカードを一枚取り出すと、腰にディケイドライバーが出現する。
ドライバーの左右のサイドハンドルを引くと、中央にあるバックルが回転する。
≪カメンライド≫
士は、持っていたカードを差し込んだ。
「変身!」
≪ディケイド!≫
ベルトから音声が鳴り響く。士は一瞬で仮面ライダーディケイドへと変身した。腰のカードフォルダから新たなカードを取り出す。
『旅の途中で貰ったものだ、使わせてもらうぞ』
再びベルトの左右のサイドハンドルを引き、持っていたライダーカードを差し込んだ。
≪カメンライド フォーゼ!≫
『フンッ!』
仮面ライダーフォーゼへとカメンライドしたディケイドは、右腕をロケットに左足にドリルへと変化させ、何もない空間に向かって突撃した。
すると、空間に穴が空いた。
『よし。さて、何が出るかな…ひとまず行ってみるか』