「これで、いいの?」
「うむ、助かった」
ジュードが最後の
「ねえ、ユーリ。僕、全然事情が分からないんだけど、今なにしてるの?」
とカロルが隣のユーリに聞く。
「ん? ああ、これなミラが精霊の再召喚をやるんだってよ」
「精霊?」
「そ、精霊。イフリートとかウンディーネとかな」
「えっ! それって、あの精霊達?」
「違う違う。こっちの世界のだ」
「だよね」
と、ユーリとカロルが話していると、ミラは術を起動させ、彼女の上に陣が現れて、ソレから光が四ヶ所に置いた
「なっ! ミラ、大丈夫か!?」
ユーリは荒い息を吐きながらふらついたミラを見てすぐに駆け寄る。
「すまない、ユーリ。大丈夫だ」
ミラは駆け寄ってきたユーリにそう言った。その時、
「ミラ様!」
物凄い勢いで、一人の少年が入ってきた。ミラはその少年を見ると
「イバルか」
と、少年の名前を言った。
「ミラ様。心配いたしました」
イバルはそう言った後、顔を上げると、目を見開き
「なっ!? 貴様! なにミラ様とくっついているんだ! さっさと離れろ!」
イバルはミラの隣にいたユーリを見るや、そう叫びユーリをミラから離れさせた。さらにイバルは周りを見て
「これは
慌しくミラに聞いてきた。ミラはイバルの質問にイル・ファンでのことから儀式までの経緯を説明した。
「そんなことが……」
説明を聞いたイバルは沈痛な面持ちでそう言った。
「んで、精霊が召喚できないのって、そいつらが死んだってこと?」
「バカが。大精霊が死ぬものか」
アルヴィンが召喚の失敗に関して聞くとイバルは半眼になりながら言い返してきた。
「あれ。常識?」
「大精霊も微精霊と同様、死ねば化石となる。だが、力は次の大精霊へと受け継がれる!」
「って、言われてるね。見た人はいないけど」
「あー、それね」
アルヴィンの質問にイバルは得意げに身振り手振りで精霊の説明をし、ジュードが最後に一言そえて言う。
「ふん。存在は決して死なない
イバルは最後にそう言って説明を終わらせると、ジュードは指でこめかみ辺りを叩きながら
「だったら四大精霊はあの装置に捕まったのかも」
そう言った。それを聞いたユーリとミラは表情を険しくした。
「バカが! 人間が四大様を捕らえられるはずがない!」
「けど、その四大精霊が主の召喚に応じないんでしょ? ありえないことでも、他に可能性がないなら、真実になり得るんだよ」
イバルがあり得ないと反論するが、ジュードは冷静に言い返す。
「何もない空間で、卵がひとりで潰れた場合、その原因は卵の中にある……」
「え? なにそれ?」
アルヴィンはジュードの言葉を聞いて妙なことを言い、それを聞いたカロルは質問した。
「これは『ハオの卵理論』ってやつだ。意味はさっきジュードが言ってた通りだ」
「へぇー」
カロルに簡単にアルヴィンが説明してやっていると、イバルは悔しそうにして唸っていた。
「四大を捕らえるほどの
ミラはイル・ファンでのことを思い出して俯きながら呟いた。
「ミラ。大丈夫か?」
「…………ッ!」
俯いていたミラを心配しユーリが声を掛けると、ミラは少し動揺しながらも立ち上がり奥の方に歩いていった。
「さぁ! 貴様たちはされ! ここは神聖な場所だぞ! ミラ様のお世話をするのは、
と、ここぞとばかりにイバルは大振りなしぐさでユーリたちの前に立ちはだかるようにし、威張りながら命令してきた。が、
「イバル、お前もだ。もう帰るがいい」
「は?」
ミラがイバルに向かってそう言い、イバルは呆けた表情になってミラに振り向いた。
「そうだな、有り体に言うぞ。うるさい」
「な………」
ミラは振り向きながら続けてそう言い、イバルはそれを聞いてショックを受けて涙目になりながらフラフラとジュードたちと共に社を出て行った。
「四大を救い出すのにも、これがなければならない、か」
皆が出て行ってからミラは懐からイル・ファンで盗み出した物を取り出しながら呟くと
「それって、あの変な装置から取ってきたやつか?」
「……ッ!? なっ」
背後からユーリが話しかけてきた。
「ユーリ。私は出て行けと言った筈なのだが」
「わりぃな。俺、『ほっとけない病』にかかってるからよ。辛そうな面してるお前が心配でな」
ミラは咎めるように言うが、ユーリは気にする事もなく言い返す。
「ほっとけない病とはよくわからんが、私はそんなに辛そうにしていたか?」
「ああ」
「そうか。すまないな、心配かけて」
ミラはユーリの言葉を聞いて心配かけたことを謝った。
「別にいいって。で、お前が狙われてる理由ってそれなのか?」
「ああ。キジル海瀑の女やハ・ミルのラ・シュガル兵。私を追う理由はやはりこれだろうな」
ユーリは聞くと、ミラはそう答えた。
「これからどうすんだ? やっぱり、大精霊とやらを助けに行くのか」
「ああ。私の使命を遂行するには彼らの力が必要だからな」
「でもお前、力を失くしてんだろ。大丈夫なのか?」
「ふむ。多少不安だが、このままでやるしかないな」
ユーリがこの後の事を聞くとミラはそう話す。するとユーリは
「……じゃあ、俺も手伝ってやるよ」
と、言った。
「いいのか? この件はユーリには関係ないことなんだぞ」
「そうか? もうガッツリ巻き込まれてる気もするが。それに、ジュディスの事もあるしな。ミラと一緒に行けばまた会える気がしてよ」
「……そうか。なら、言葉にあまえよう。よろしく頼む、ユーリ」
「ああ、これからもよろしくな」
二人はそう言いながら互いに手を伸ばし、握手をした。
一方その頃、外では……
「貴様らがしっかりしていないおかげでミラ様があんなことに! くそ! 俺がついて行っていれば!」
「イバル、落ち着きなよ。そんな言い方よくないって」
「マジで短気なヤツだなぁ」
と、イバルがジュードたちに向かって怒鳴り散らしていた。そんなイバルを見て、カロルは落ち着くように言い、アルヴィンは呆れ気味に呟き、ジュードはイバルの声を無視して考え事をしていた。
「貴様! 聞いているのか!」
「あ、ごめん。何?」
ジュードはやっとイバルが自分に話しかけていることに気づき反応し返す。
「チッ! いいか。これからはミラ様のお世話は俺がする。余計なことはするなよ!」
イバルはそう言うと、早足で村に戻ってしまった。それを聞いたジュードたちは、呆れたような表情をした。アルヴィンはジュードに近づき、
「もう少しここにいるか?」
「うん」
と声をかけ、ジュードは頷いた。
「んじゃ、俺は先に戻ってるわ」
それを聞いたアルヴィンはそう言って村に戻って行った。
「なすべきこと……自分の力……」
ジュードはアルヴィンがいなくなった後、自分の手を見つめながらそう呟いた。
「はぁ~。なんか変なことになってるね。ラピードもそう思うよね?」
「ワフッ」
と、端っこで見ていたカロルはラピードに話しかけ、ラピードは興味ないとばかりに返事をした。
「あれ? そういえばユーリはどこ?」
とカロルが今更ながらにユーリがいないことに気づき、辺りを見渡していると、
「なにやってんだ。カロル?」
「あ、ユーリ」
社の扉が開きユーリとミラが出てきた。