ブレイブヴェスペリアが行く   作:だしィー

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天才少女

「あの女がマクスウェルか」

 

ニ・アケリアを出発し、ハ・ミルに向かうミラたちを丘の上から見ている紅い炎をあしらった様な服の男がそう言った。男はさらに

 

「プレザ。確かに力を失っていたのだな?」

 

と、プレザと呼ばれたキジル海瀑にいた眼鏡の女性に聞く。

 

「はい」

 

プレザは男に頷く。

 

「既に『カギ』もどこかに隠された可能性があるとなると、少し面倒だな」

 

黒い服の男がプレザの話しを聞いてそう言う。

 

「ごめんなさい。侮ったわ」

 

プレザは黒い服の男の言葉に対してキジル海瀑のことを謝った。

 

「あの娘がマクスウェルと知っておれば、ワシも『カギ』のありかを吐かせたのじゃがのう」

 

ハ・ミルにいた大男が悔しげに言った。

 

「まぁいい。今となっては、泳がせた方が都合がよかろう」

 

「ええ。ラ・シュガルの目を奴らに向けさせ、我らは静かにことを進めるのが得策かと」

 

紅い服の男がそう言うと、黒い服の男はそれに賛同する。

 

「アグリアから何か連絡は?」

 

「失われた『カギ』を新たに作成するという動きがあるとか」

 

「……捨て置けんな」

 

紅い服の男が黒い服の男から報告を聞くとそう言い、黒い服の男に目配せをした。黒い服の男は頷くと

 

「ジャオ、例の娘の管理はもういい。お前は『カギ』の件を探れ」

 

と大男に言った。

 

「いや、しかし……」

 

「ラ・シュガル兵どもが去ったというのなら、もうお前が直々につく必要はない」

 

「データが無事なんだから、優先事項が変化するのは当然ね」

 

ジャオが思うところがあるのか戸惑っていると、黒い服の男とプレザがそう言ってきた。

 

「う、うむ……」

 

ジャオは渋々納得したような声で頷いた。

 

「プレザ、アグリアとジュディスと連携をとってイル・ファンに潜れ」

 

黒い服の男は次にプレザにそう指示を出した。

 

「あら、マクスウェルはいいのかしら?」

 

「ああ、あの男に任せる。『カギ』のありかも探らせる」

 

プレザがミラたちのことはどうするか聞き返すと黒い服の男はそう言った。

 

「あいつね。大丈夫なの? だって、あいつは……」

 

「もし裏切るのなら別にかまわん。他にも駒はある」

 

プレザが心配そうに言い返すと、黒い服の男は淡々と言い切った。そして、話し合いが終わると一団は丘から居なくなった。

 

一方、ニ・アケリアを出発したミラたちはキジル海瀑を進んでいた。

 

「……ふむ」

 

「どうした、ミラ?」

 

ミラが俯きながら途中で止まったのでユーリが声を掛けると

 

「イル・ファンへ船で行けぬ場合はどうするか考えていたんだ」

 

「そうだな。山脈越えは厳しいから、ア・ジュールからの陸路の線はないだろうな。そうすると、サマンガン海停からカラハ・シャール方面になるんじゃないか?」

 

ミラが航路の心配をしていると、アルヴィンが別のルートを教えてくれた。

 

「なるほど。さすがアルヴィン。礼を言う」

 

「何、別にどうってことないって。傭兵家業で色々な路を知ってるだけだしな」

 

とミラが感心してるとアルヴィンは照れたように言った。

 

「なら、船がダメだった場合はアルヴィンの言った道でってことでいいな。じゃ、行こうぜ」

 

ユーリがそう言うと、一行はキジル海瀑を抜けハ・ミルに入った。

 

「出て行けよ、おら!」「厄病神! あんたなんかいるからっ!」

 

ミラたちが村の広場に入ると大勢の村人が一人の女の子に叫んでおり、さらに道端に落ちている石なんかを投げつけていた。

 

「きゃっ……。やっ……」

 

「やめて、ヒドイことしないで。お願いだよー!」

 

女の子は身を屈めてながら震えて、人形が止めてと叫んでいた。

 

「………」

 

ユーリはそれを見て無言で村人に近づき、村人の腕を掴んだ。

 

「なっ、あんたらは!」

 

「ガキ相手になにやってんだ」

 

村人が驚いてるのもお構い無しにユーリは睨みつけながら言う。

 

「けっ、よそ者には関係ないだろ」

 

「ああ。関係ねぇが見てていいもんじゃねぇんでな」

 

「知るかよ、何なんださっきから」

 

と、ユーリと何人かの村人が争っていると

 

「……ッ! 危ないっ!?」

 

人の拳より少し大きめな石が女の子に投げられたのカロルが見て叫ぶが

 

「えっ!?」

 

女の子は驚いて動けず、頭に直撃する寸前、バシンッ! と石は布で払い落とされた。

 

「………?」

 

女の子が顔を上げるとそこには頭にゴーグルをつけ、服にも色々と物をぶら下げた少女がいた。

 

「……あんたたち。こんな小さな子になんてことしてんのよ!」

 

少女の怒気を含んだ声に村人たちは固まりうろたえた。が、

 

「う、うるせー! よそ者のクセに邪魔すんじゃねー!」「そ、そうだ。関係ないだろ!」

 

何人かの村人は言い返す。

 

「……っ! ムカついたっ! ぶっ飛ばす!」

 

村人の言葉を聞いた少女は持っていた布を回し始めた。すると、少女の周りに術式が現れ、

 

「うわ。ちょ、マズイって」

 

「やべぇな。カロル行くぞ」

 

そんな中、少女の行動を見たカロルとユーリは慌てて村人を掻き分けて少女に向かう。そして、村人たちの前に出たユーリは

 

「おい! 落ち着けリ「ぶっ飛べ!!」…のわっ!?」

 

と、少女に声をかけようとしたタイミングで魔術を放たれ、とっさに横に跳び回避をするも

 

「やっと出れぶわぁび!?」

 

後から出てきたカロルに直撃したのだった。

 

「あ? なに? あんたたち、いたの?」

 

「『いたの?』じゃねーよ。当たるとこだったろ」

 

少女は魔術を放った後にユーリとカロルに気づき声をかけ、ユーリは少女に文句を言う。

 

「知らないわよそんなこと。いきなり現れたあんたが悪いんでしょ」

 

「相変わらずだな、おまえ」

 

「あんたこそ」

 

と、少女とユーリが話していると、ミラたちは安全と判断したのか近寄ってきた。すると

 

「お前たちのせいで、こっちは散々な目じゃ!」

 

と、村長が怒鳴ってきた。ユーリたちは改めて村の様子を見ると、村人たちは怪我をしており、さらに争った形跡も村のあちこちにあった。

 

「ラ・シュガル軍にやられたか」

 

それらを見たミラはそう言った。

 

「やつ当たりかよ。大人げないな」

 

「よそ者に関わるとロクなことにならん! すぐに出て行け!」

 

アルヴィンの言葉に村長は悔しそうにするが、すぐに怒鳴って歩いて行ってしまい、村人たちも広場からどっかに行ってしまった。

 

「なによ、あいつ。感じ悪いわね。悪いのはそっちじゃない」

 

「まあ、確かにそうなんだが」

 

と村長の態度に少女は不快だと言い、ユーリはそれに困った表情をする。

 

「ユーリ。もしかしてその者は」

 

と、ミラがユーリに話しかける。

 

「ん? ああ。俺と同じ世界のやつだ」

 

「リタ・モルディオよ」

 

ユーリはそう答え、少女・リタは簡単に自己紹介をした。

 

「それよりも、ってあれ? あの子は?」

 

リタは先ほど石を投げられていた女の子がいないことに気づき辺りを見渡すと村の西側に走って行ってしまうのを見て

 

「何よ、あの子。走って逃げる必要ないじゃない」

 

と、呟いた。

 

「大丈夫かな、あの子」

 

「う、う~ん。痛たた。もう~! ヒドイよリタ~」

 

ジュードも走って行く女の子を見ながら呟いていると、カロルが意識を取り戻しリタに文句を言った。

 

「大丈夫?」

 

「うん。ありがとうジュード」

 

フラフラしていたカロルをジュードは支え、カロルはお礼を言った。

 

「うっさいわねぇ。ガキんちょのクセに」

 

「ホント、相変わらずなヒドさ」

 

リタが理不尽なことを言い、カロルは呆れてそう言うとガンッ! とリタに殴られた。

 

「で、聞きたいんだけど。ここって何なの?いきなり訳わかんない術式で変なじいさんに飛ばされたんだけど。説明してくれるわよね?」

 

とリタがユーリに聞いた。

 

「あれ? お前っていつこっちに着たんだ?」

 

「いつって、今さっきよ。いきなり見たこと無い場所に放り出されて、人の声が聞こえたからそっちに行ったら女の子が石を投げられてたから」

 

リタに質問するとそう答えが返ってきた。

 

「マジか。つーことは色々説明する必要があるのか」

 

「だから、説明しろって言ってんじゃない」

 

とユーリとリタが話していたら

 

「すまないが、話しは後で頼めないだろうか?」

 

ミラがユーリにそう言ってきた。

 

「ん? あー、そうだな。村の奴らから話しも聞かなきゃなんねぇしな。それに、用事を済ませたいやつもいることだし。それぞれで話しを聞きに行くってことでいいか?」

 

と、ユーリはジュードを見ながら言った。

 

「え? あ、うん。ありがとう、ユーリ」

 

ジュードはユーリにお礼を言って、女の子を追って行った。

 

「あ、ジュード。僕も行く」

 

「ワフッ」

 

と言って、カロルとラピードもジュードと共に追っかけて行った。

 

 

 

 

 

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