一行がサマンガン海停を出て、サマンガン街道をしばらく進んでいると複数の兵士とそれに停められている複数の馬車が見えてきた。
「検問か」
「ま、当然だな。そんなにうまい話はないって」
ミラとアルヴィンが仕方ないというような感じで口に出した。
「どうすんの。あんた他に道知らないの?」
「んー、あるにはあるんだか……」
リタの質問にアルヴィンはある方向を向いて答える。
「あっちには何があるのー?」
「あっちは樹界なんだ。上手く抜けるとカラハ・シャールの街に出られるが……」
「迷う必要はないな」
ティポが聞くとアルヴィンは簡単に説明し、それを聞いたミラは樹界がある方に歩き出した。
「滅多に人が立ち入らないんだよ? エリーゼには……」
樹界に行こうとするミラに驚き、ジュードは咄嗟に声をかけるが、
「こうなることは予期できただろう」
ミラは冷たく言った。ジュードはそれを聞いて言い返せず、二人は黙ってしまい、空気が重くなっていると
「……わたし……あの、だいじょうぶ……です。だから……」
「けんかしないでー。友達でしょー」
エリーゼとティポがそう言った。
「エリーゼ……」
「エリーゼも了承した。これで文句はあるまい」
エリーゼの言葉を聞いたジュードは心配そうにエリーゼを見て、ミラは早く行くぞと歩き出した。
「ね、ねえジュード。ほ、ほら危険なんだったら僕たちでエリーを守れば何の問題もないじゃん。だから、そんなに落ち込まなくていいんじゃないかな。あははは……」
「……うん。そうだね」
カロルは落ち込んでいるジュードに励ましの声をかけるが、ジュードは気落ちしたまま皆の後について歩いていった。
「深そうな森だな」
「はぐれないように気をつけないとな」
森に入ってミラとユーリはそう言った。他のみんなも森の様子をそれぞれ見渡していると
「ガウッ!」
ラピードが突如吠え、皆そちらを向くとそこには一匹のウルフがミラたちをジッと見ていた。ウルフはミラたちをしばらく見続けていたが、特に何かするわけでもなく森の奥に行ってしまった。
「何だ? ありゃ……」
「警告……だったりして」
「これ以上立ち入るなってか。だがその警告も、ミラには効果がないみたいだな」
「ここからいけるみたいー! みんな早くー」
アルヴィンとカロルはウルフが去った後、ミラたちを見るとミラは植物で出来た小さいトンネルを進んでおり、エリーゼもティポを抱いて入ろうとしていた。
「臆病なのは俺たちだけのようで」
「アホなこと言ってないで早く進むわよ」
アルヴィンの発言にリタが一蹴してエリーゼに続いてトンネルに入っていった。その後を男性陣も追って森に進んでいく。
魔物に注意しながら森を進んでいき中ほどまで来た頃、高所から何人かが飛び降りたその時、足元に群生していたキノコを踏んだとたん、ボフンッ! とキノコが破裂し中から大量の胞子が噴出した。
「ごほごほっ! みんな無事かっ!」
「クゥ~ン」
「勘弁してくれ。この煙はなんだ?」
「いたた、目が……」
先に下に飛び降りたユーリとラピード、ミラにジュードがキノコの胞子にまかれて咳き込んだ。
「みんなー、大丈夫!?」
「ありゃ、キノコの胞子か?」
カロルとアルヴィンが飛び降りたメンバーに声をかけ安否を気にしていたら、
ギャアアアアアアアア!!
キシャアアアアアアアアアァァァ!
上の木々から大量のモンスターが降ってきた。
「なっ! やられた!」
「うわー! いっぱいきたー」
「えええっ! なんでこんな時に!」
「こんな時だからだろ? こいつら張ってやがったんだ」
上にいたリタ、エリーゼとティポ、カロルにアルヴィンは落ちてきたモンスターに対し戦闘態勢を取る。さらに下に降りていたメンバーも胞子にやられながらも武器を取ってそれぞれ構えた。
「エリー! 危ないから僕の後ろに」
カロルはそう言ってエリーゼを背後に庇いながらモンスターと戦うが敵の数が多く、エリーゼを守りながらのため防戦一方になってしまっていた。そして
「うわっ!」
ついに防御を破られ直撃を食らい、吹っ飛ばされてしまった。
「……カロル!」
「エリー、……危ないから、下がってて……」
近づいてきたエリーゼにカロルはフラフラと立ち上がりながら言い、再度武器を構えてモンスターたちの前に出る。そんなカロルを見て、エリーゼはカロルに近づき、
「エリーきちゃ「ピクシーサークル!」ふへっ?」
術を発動させ、カロルを回復させた。
「わ、わたしも……カロルと戦い……ます。足手まといには、なりたくない……です」
「ぼくだってやるぞー!」
「エリー、ティポ。……わかった、援護をお願い!」
「……はい!」
「いくぞー!」
エリーゼとティポの言葉にカロルは昔の自分に似たものを感じて二人に援護を頼んだ。
「いくよ! 剛招ビート!」
カロルが赤いオーラを纏い、敵に向かっていき、
「お願い。ティポライジング!」
「いくぞー!」
エリーゼが命じると、ティポは地面に潜って敵に突っ込んでいく。
「あの二人は大丈夫そうだな」
「そうね。じゃ、こっちもちゃっちゃと終わらせましょ」
アルヴィンとリタは二人を見て安心だとわかり、自分達の戦闘に集中する。
「援護たのむぜ。リタ」
「あんたこそ私の盾として頑張んなさい」
「盾とはひでーなっと」
ドンドンッとアルヴィンは銃を撃って、遠くの敵を攻撃し、近づいてきたモンスターは剣で斬り捨てる。
「よっ、はっ、よいしょ!タイドバレット!」
アルヴィンがリタの詠唱を守りながら戦っていると
「退りなさい! 一気に吹っ飛ばす。来たれ、爆炎! 焼き尽くせ! バーンストライク!! 」
上空より複数の炎の弾が降ってきてモンスターたちを殲滅していった。
「うっわ、こえ~」
その光景を見てアルヴィンはボソッと呟いた。
「はぁっ!」
「せやっ!」
下ではユーリたちがおのおの戦っていたが、
「キャウン!」
「ラピード!大丈夫?」
「クゥーン。グルルル」
先ほど吸い込んでしまった胞子のせいで目や呼吸がままらなくなり、さらに敵の数も多かったので苦戦していた。
「ったく、こうも目がチクチクしちゃな。くっ!」
「ふむ、少々辛いな。ファイヤボール!」
「わりぃ。助かった」
そんなふうにユーリたちが防戦を強いられていると、
「ティポプレッシャー!」
上の方から巨大化したティポがモンスターを潰した。さらに
「鬼神超重バスター!」
「スパイラルフレア!」
ブウサギの銅像がジュードの近くのモンスターを吹っ飛ばし、遠巻きにいたモンスターは炎に飲まれた。
「お前ら、無事だったか」
「人の事より自分の心配しなさいよ。あんたらの方がピンチじゃない」
ユーリが上にいたメンバーの安否を確認すると降りてきたリタにツッコまれた。
「今……治します」
「エリーゼ?」
「リカバー!」
ジュードに近づいてエリーゼは術を放ってジュードを治す。さらに他の胞子を食らった二人と一匹にも術を掛け、症状を治す。
「ほう、これは凄いな」
「サンキュー、エリーゼ」
ミラとユーリがエリーゼに感謝して武器を構えなおす。
「へへ、そんじゃあ、ここから本番だぜ」
ユーリはそう言って残りのモンスターを倒しに行こうとしたら、
「これで終わり、レイジングドライヴ!」
リタが全てのモンスターを焼き払っていた。
「まさかこの歳で、あんなに術が使えるとはね」
「エリーゼに救われたな」
全てのモンスターを倒した後、アルヴィンとミラはエリーゼを見ながらそう言った。
「うっう……」
が、何故かエリーゼは泣いてしまっていた。
「ど、どうしたのエリー! どこか怪我したの?」
「違うの……」
カロルが慌ててエリーゼに聞くがエリーゼはそうじゃないと言い
「仲良くしてよー。友達は仲良しがいいんだよー!」
「わたし……邪魔にならないようにするから……だから……」
とティポとエリーゼが泣いている理由を話した。
「……だってさ。エリーゼに免じて許してやれば?」
「免じるも何も別に私は怒ってなどいないが……」
アルヴィンがニヤニヤしながらミラに言うも、ミラ自身は怒っていないと少々困惑気味に言い返した。
「ウソーん。みんな、もっと仲良しだったもんねー!」
「わたし……頑張るから……!」
しかし、ティポとエリーゼは納得いってないのかそんなことを言った。
「いつの間にか私が悪者か……。ふふ、わかったよ」
ミラはしょうがないなと言う感じで、エリーゼの言い分を聞いた。
「ほれ。エリーゼに言うことあるだろ?」
「心配をかけてすまなかったな。これからはアテにするぞ」
「やっぱり友達はニコニコ楽しくだねー!」
アルヴィンがやっぱりニヤニヤしながら言うと、ミラはエリーゼに謝罪とお礼をした。それを聞いてエリーゼは嬉しそうにし、ティポは元気に騒いだ。
「じゃあ、改めてよろしくねエリー」
「……はい」
「そんじゃあ、いい感じになったところで、先進もうぜ」
ユーリの言葉に一行は歩き出した。