ブレイブヴェスペリアが行く   作:だしィー

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久々に書いたからちゃんとした内容になってるか心配ですね。


不整合大地バーミヤ峡谷

クレインと街の人たちを助けるためにミラたちはカラハ・シャールからクラマ間道を抜け、バーミヤ峡谷へと到着した。

 

「すごい地層だね……」

 

「ここは、ラ・シュガルでも有数の『境界帯』ですからね」

 

ジュードが峡谷の岩肌を見て驚いているとローエンがそう補足をする。

 

「……? 境界帯って?」

 

「えっと、複数の霊勢がぶつかってる場所のことだよ。あ、霊勢っていうのは精霊の力のことね」

 

「へぇー」

 

リタの疑問にジュードは説明し、それを聞いたリタは納得したというような声を出して峡谷を観察するように見渡し、

 

「もしかして、ここ登るのー? 疲れちゃうよー」

 

「確かにちょっと大変かも」

 

ティポとカロルは峡谷の岩山を見上げてながら面倒そうな声を出した。他の皆も辺りを見渡していると、

 

「ガウッガウッ!!」

 

ラピードがいきなり吠え出しエリーゼを突き飛ばした。と、同時にどこからか鉄の矢が飛んできて、先ほどまでエリーゼが立っていた場所へと突き刺さった。さらに何発と矢が放たれてミラたちを攻撃し続ける。

 

「なっ!?」

 

「隠れろっ!」

 

ユーリが叫び、それぞれ近くの大岩の影に隠れて相手からの狙撃を回避する。ミラたちが隠れると、相手も攻撃が届かないと理解したらしく、一旦攻撃が止む。

 

「軍か」

 

「よほど見られたくないことをしているのだろう。……アルヴィン」

 

アルヴィンが呟くとミラが冷静に辺りを見渡し、アルヴィンに指示を出して敵を撃ち抜かせようとするが、アルヴィンが立つと敵はすぐさま矢を放つ。

 

「だめだ、場所が悪い」

 

ドスッドスッドスッとその後も、牽制のためか散発的に矢を放たれミラたちは動けないでいた。

 

「わーなんとかしてよー!」

 

「リタ、術でどうにかできねーのか?」

 

「さすがに見えてない相手に攻撃当てんのは無理よ」

 

ティポの叫びとユーリの提案にリタは無理と言い返す。

 

「なんとか隙をつくれれば……」

 

「俺が出て注意をひきつける。その隙にたのむぜ」

 

「……囮になる気か。大丈夫なのか?」

 

「任せろって」

 

ミラの言葉にユーリがそう言い返し、武器を構えて岩陰から飛び出す。敵は飛び出したユーリに気づくとすぐさまユーリに向かって矢を放つが、

 

「そりゃ! はっ! せいっと」

 

ユーリは飛んできた矢を叩き落したり、さばいたりして回避する。

 

「すごい……」

 

「あの若さで……。見事なものですね」

 

矢をさばいているユーリを見て、ジュードとローエンは感嘆の声を上げる。兵士たちはユーリに攻撃が当たらないことに焦りを感じ、さらに攻撃を加えるがそれすらもかわされ、そして

 

「はあぁっ!」

 

「なっ、しま…ぐあぁっ」

 

背後から忍び寄っていたミラによって敵の兵は倒された。他の兵士達もいつの間にか近づかれたミラに動揺し隙を見せた瞬間にアルヴィンの銃撃によって瞬殺される。

 

「大丈夫かユーリ」

 

「おう、平気だ。二人ともごくろーさん」

 

そう言ってユーリはミラの言葉に軽く手を振って答えた。

敵兵がいなくなったあと、周辺を探索すると洞窟の入り口らしき場所が見つかり、中を覗くと

 

「これは……、イル・ファンで感じた気配……?」

 

ミラが顔をしかめてそう言った。

 

「まさか……ここにもあの装置が?」

 

「もしそうなら急がねーとな」

 

ミラの言葉にジュードとユーリも表情を曇らせ、急いで洞窟へ入っていく。

洞窟の中をある程度進むと魔法陣によって道を遮られており、その奥には大きな広間が在った。そして広間の中を見ると奇妙な装置が稼動していていた。

 

「なに、あれ……」

 

カロルが装置を見て不安そうな声を出した。さらに広間をよく見ると壁際の牢屋のような物の中に街の人たちやクレインが苦しそうにしていた。

 

「クレイン様! ……やはり人体実験を行っていましたか」

 

ローエンは中に様子を見ると忌々しそうに声を出した。ミラは広間に入るために魔法陣に触れようとすると、

 

「よせっ、手が吹き飛ぶぞ」

 

アルヴィンがそれを止めた。

 

「おいジュード。ありゃぁ……」

 

「うん、研究所でハウス教授を殺した装置と似てる!」

 

ユーリとジュードは中の装置を見ると表情を険しくしてそう言い。

 

「ここでも黒匣(ジン)の兵器をつくろうというのか? それほどたやすくつくれはしないはず……」

 

二人の言葉にミラは驚き、再度広間の装置を見ていると、何かに気づいたように懐からイル・ファンで入手した物を取り出してそれを少し見てからまた懐に戻した。

 

「ミラ?」

 

「……私たちを追うのをやめた理由がこれか。くだらぬ知恵ばかり働く連中だな」

 

カロルが心配そうに声を掛けるが、ミラの耳には入っておらず、一人忌々しいというように言葉を吐き出した。

 

「……展開した魔法陣は閉鎖型ではありませんでした。余剰の精霊力を上方にドレインしていると考えるのが妥当です。谷の頂上から侵入して、術を発動しているコアを破壊できれば……」

 

ローエンは広間の中央で展開されていた魔法陣や装置の状況から中の様子を推測し、侵入方法を提案した。

 

「それならみんな助けられるの?」

 

「おそらくは……」

 

カロルが聞き返すとローエンは頷きながら返答をする。

 

「……よし。では行こう」

 

ミラがそう言って、一行は洞窟から出て峡谷の頂上へと向かった。

 

「カロル、エリーゼ大丈夫?」

 

「僕は…このぐらい…ハァハァ…大丈夫だって……それよりエリーのほうが…」

 

「私も……だ、大丈夫…です」

 

「ボクはダメかもー」

 

峡谷を登り始めて半ばまで来た頃、ジュードが後ろに居る息が上がっている二人に話しかけた。カロルは見栄を張っているのか気丈に振る舞いエリーゼは迷惑をかけない様と微笑を浮かべた。

「一旦ここで休憩を取ったほうがよろしいですね」

 

「そうだな」

 

先頭の方を歩いていたローエンとユーリが後方の状況に目をやって休憩を取ろうと話し合っていたのだが、

 

「何を言っている。休んでいる暇などは無い。早くあの装置を止めなければならないのだぞ」

 

ミラが不満を呈してきた。

 

「そうは言っても、ガキンチョ共があれじゃあどうしようもないでしょうよ」

 

「それなら置いていけばいい」

 

「あんたねぇ、自分勝手じゃない?」

 

「自分勝手も何も装置を一刻も早く止めなければならないことは分っているだろう?」

 

「そうだけど……」

 

ミラの言葉にリタが食いつき、互いに言い合いを始めてしまった。実際リタもおうとつの激しい峡谷に疲労が溜まっていたので少々イライラしていたのだった。

 

「おいおい、二人とも止めろって。別に長く取る訳じゃないんだ。一息入れようってことだろ」

 

「……仕方ない。少しだけだぞ」

 

二人の言い合いにアルヴィンは肩をすくめながら仲裁に入り説得するとミラは渋々ながら休息を許可した。

 

「ごめんねミラ」

 

「ごねんなさい…です」

 

「休憩を取り終わったら頂上まで一気に上る。しっかりと休むことだ」

 

先頭まで追いついたカロルとエリーゼの謝罪にミラはきつめに言い返して近くの岩へと腰掛け、他のメンバーも思い思いに休憩を取り始める。

 

「それにしても、あのナハティガルって奴は一体なんの実験をしてるわけ? 王様直々に来るなんてよっぽどのことじゃない」

 

と、リタが疑問を口にした。

 

「わかりません。以前の彼は、必ず最前線に出てきましたが……」

 

「なんだ? 王様なのに前線に出るのか?」

 

ローエンがナハティガルのことを話し始めると、ユーリは加わり質問をする。

 

「ナハティガルが王族クセに軍で叩き上げた実戦派だからな。もっとも最近は、権力を独占するための戦いに忙しいみたいだがな」

 

「以前のあの男は……。いえ。とにかく、独裁体制を完全にしようとするナハティガルにとって、人望とカラハ・シャールの財力をもつクレイン様は、最後の邪魔者なのです」

 

アルヴィンの説明に何かしら思うところが在ったのかローエンは表情を暗くして小さく呟いたが、頭を振り話を続けた。

 

「しかし、目を付けられてるのにも拘らずナハティガル王に直に逆らうとは、シャール卿もバカなことするよ」

 

「私も、お止めしたのですが、ああ見えて頑固な方で……」

 

「もー! ドロッセルのお兄さんを悪く言わないでよー」

 

「クレインさんは、いい人……です」

 

アルヴィンの話にローエンは困ったという表情し、会話が聞こえてきたエリーゼとティポは頬を膨らませ睨みながらアルヴィンに抗議すが、残念ながらその表情には怖さがまったく無かった。

 

「もちろんですよ。あの方ほど、民を大切にする領主はいません。……いいえ、領主以前に本当に優しい人なのです。二年前、行く当てのをなくしていた私に、執事という居場所を与えてくださった」

 

「へぇ~、相当信頼してるのね」

 

「はい。とても」

 

クレインに対するローエンの話を聞き、リタが言い返すと笑顔で頷く。

 

「おまけに、アルヴィン君よりカッコイイしねー」

 

「あ? 今、なっつった?」

 

「ふも~~~。あふふぃんふんのぼほ~~!?」

 

ティポは今の話しを聞いてアルヴィンをからかうが、それを聞いたアルヴィンはティポを半笑いで引っ張り回して遊び出す。

 

「なら、絶対助けねぇとな」

 

「もちろんですとも。必ず助け出してみせます」

 

その様子を見て笑いながらもローエンはユーリの言葉にしっかりと言い返した。

 

「おい、お前たち。そろそろいいだろう。頂上へ向かうぞ」

 

そして、ミラの一言で休憩を終え、一行は頂上へと再び上りはじめた。

 

 

 

 

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