ラフォート研究所のとある部屋に三人組と一匹の犬がいる。
「微精霊たちが消えたのと関係している?」
三人のうちの一人である女性はカプセルを見ながら呟いた。
「誰と喋ってんだ?」
「さぁ? 分からない」
ユーリとジュードは女性が誰かに対して話しかけてる素振りに疑問符を浮かべる。そうしていると女性がユーリ達に振り返り、
「君たちは早く去るといい。また次も面倒事に巻き込まれるぞ」
そう忠告してくる。ジュードはそれを聞くと、教授が入っていたカプセルを見つめ、ユーリはラピードと顔を合わせた。
「
女性は先ほどの戦いで気絶させた少女の懐からカードキーを探し当てた後そう言って、部屋から出て行こうとする。するとジュードが
「ね、ねぇ、待って」
女性を止めた。そして話しを続ける。
「・・・僕たちあてがないんだ。教授が一緒なら、ここから出られたかもしれないんだけど。僕たちもついていっていい?」
すると女性は
「ふむ、それはつまり迷子と言う奴だな。私についてくるのは構わないが、面倒に巻き込まれるぞ。いいのか?」
女性がそう言ってジュード達を見てくる。
「別にかまわねぇよ、面倒事には慣れてるからな。それにどっちにしろ此処から出ないとそのうち捕まっちまう」
ユーリがそう言って女性に手を出し。
「俺の名はユーリ、ユーリ・ローウェルだ。こっちは・・・」
自己紹介をして、次にジュードが
「僕はジュード、ジュード・マティス」
自己紹介をし、
「そんでコイツはラピードってんだ」
「ワウッ!」
そして最後にラピードを紹介する。
「ユーリにジュード、そしてラピードだな。私の名はミラ、ミラ・マクスウェルだ」
女性・・・ミラはそう名乗った。ユーリ達は自己紹介をし終わるとミラの後に付いて行き部屋を出る。
「む、この光は・・・?」
部屋から出るとユーリ達が持っている宝石が光り始めた。
「リリアルオーブが光ってる」
「なぁ、このリリアルオーブって何なんだ?」
「私も知りたい」
ジュードが宝石・・・リリアルオーブを取り出して確認してると、ユーリとミラがリリアルオーブについて訊ねた。
「えっと、魔物とかと戦えるようになるアイテムだよ。僕も故郷を出る時、念のためにって貰ったんだ」
ジュードは2人にリリアルオーブについて細かく説明し始めて、
「・・・・・・・・・と言うわけ。僕も成長させたのは初めてだけど」
ジュードが説明し終わると
「へぇ~、
ユーリは例のじいさんに言われた事に納得し
「なるほど、潜在能力を覚醒させる道具か。非力な人間には必要不可欠な品だな」
ミラもそれなりに納得したがジュードは
「本当に人間じゃないみたいな言い方・・・・」
と、ミラの言い方に疑問を浮かべる。そして再度ユーリ達はミラの案内のもと、研究所を進んでいく。
「ハウス教授・・・期待してるって言ってくれてたのに・・・あんな事になるなんて・・・」
と、研究所内を進んでいるとジュードが俯きポツリと呟いた。
「・・・・・・・・・」
すると、ミラが突然ジュードの頭を撫で始め、
「え?」
「なにやってんだ、ミラ?」
ジュードは驚き、ユーリはミラの行動に呆れている。
「ふむ、人は元気が無いときに撫でられると喜ぶことがあると本で読んだんだ」
「それ、なんて本だよ」
ミラの説明にユーリは少しニヤケながら聞き返す。
「『魔法の手、瞳は鏡』」
「・・・それ、育児本じゃないか。僕は赤ちゃんじゃないよ」
ミラが言った本の題名を聞いてジュードは肩を落としながらミラに文句を言うがミラは、
「む。君には適さない方法だったか? 難しいな・・・」
と眉を寄せて考え込んでしまう。
「確かに、赤ん坊は撫でると喜ぶが俺達みたいのにはあんま効果はないよな」
「あはは、でも少し気が楽にはなったよ。ありがとう、ミラ」
「ふむ、どうやら元気が出たみたいだな。では行くぞ」
そう言ってユーリ達は先に進んでいく。
「そういえばミラ・マクスウェルって名前、変わってるよね」
皆で研究所内を探索しているとジュードがミラの名前についてそんなことを言った。
「そうなのか?」
「うん。だって精霊の主と名前が同じなんだよ」
ユーリが聞くとジュードはそれに答え、ミラを見る。すると話を聞いていたミラもジュード達を見て、
「同じも何も、本人だからな」
「え?」
「精霊の主、マクスウェルとは私のことだ」
と言った。ミラの言葉にジュードは驚き、ユーリは怪訝な表情をし、ミラに質問した。
「ってことは、ミラも精霊ってことになるのか? でも他の奴等とは違うみてぇだが、どうなってんだ?」
「うん、どう見ても人間の……女の人にしか見えないよ」
「当然だ。そのように体をつくったのだから」
二人の質問に、ミラは簡潔に答えた。
「体を……つくった!?」
「そりゃまた、精霊ってのはすげぇのな」
ミラの返答にジュードとユーリはさらに驚いた。雑談しながらも研究所内の奥の方へと探索しながら入っていくと、そこには……
「何これ・・・」
巨大な砲台の様な物があった。
「やはりか・・・
ミラはその砲台を見てそう言い砲台に近づいていき、それに二人はついて行く。
「こいつぁ、すげぇな。リタあたりが見たら嬉々として調べ始めるぞ」
ユーリはギルド仲間の天才魔導士の事を思い浮かべながら砲台を見上げ、ジュードは
「クルスニクの槍・・・? 創世記の賢者の名前だね」
砲台下の機械に近づき操作して砲台の情報を見始めたが、
「なっ、おいミラなにしてんだ!?」
ユーリが叫んだのでジュードが振り向くとミラが魔術を使おうとしていた。
「ふん。クルスニクを冠するとは。これが人の皮肉というものか・・・・・・。やるぞ! 人と精霊に害為すこれを破壊する!」
ミラがそう言うとミラの周りに四大精霊達が姿を現す。
「おお!? なんだこりゃ!」
「バウッ!」
「彼らが四大精霊・・・。ミラは本当に精霊マクスウェルなの?!」
ユーリ達がそれぞれ驚愕しているうちにミラは魔力を溜め、精霊達はクルスニクの槍と呼ばれた物の周りに移動して陣を築く。が、突如クルスニクの槍が起動し始め、驚きジュードが上を見ると
「っ! 君はさっきの!?」
「ゆるさない・・・! うっざいんだよ・・・!」
そこにはミラに気絶させられた少女がいた。少女は血走った目でさらに機械を操作し始めると、クルスニクの槍の先端が四つに分かれて開き、
「おい! なんかマズイんじゃねーのか!?」
ユーリがそう言うがすでに遅く、開かれた槍の先からマナを吸収し始め、
「うっく…! マナが…抜け、る…」
「くそっ…! なんだ、これ?!」
「ワフゥ~」
ジュードどユーリ、それにラピードが座り込み、
「バカもの! 正気か? お前も、ただではすまないぞ!」
ミラは少女に対して言葉をかけるが、少女の方は聞く耳を持たず
「アハ、アハハハ! 苦しめ…し、死んじゃえー!!」
そう叫び、そして倒れてしまった。
「
ジュードは上にある術式を見てそう言い
「すこし、予定と、変わったが…いささかも問題は…無い!」
ミラはそう言うと足を引きずりながらも装置に近づいていく
「おいミラ! 無理するな。くっ、無茶のし過ぎだ!」
ユーリは止めようとするがミラはそれを無視してさらに近づき、装置にたどり着くが、
「っ! ミラ、下!」
ミラとジュード、さらにはユーリとラピードの足元に魔方陣が現れ、皆を拘束しさらにマナの吸収が激しくなり、動けなくなる。ミラはそれでも無理矢理体を動かし装置に取り付こうとしている。すると、ユーリ達の頭に精霊達が語りかけてきて、
「な、何? 四大精霊?」
「あ? ミラを…連れて…逃げろ…だって?」
「え? 何、最後の力をって!?」
「まさか、あいつ等!?」
ジュードとユーリが精霊達の声を聞き終わると上空に居た精霊達はその身から大量の魔力を放出し、無理矢理クルスニクの槍を停止させた。精霊達の魔力の放出の余波でユーリとジュードは後ろに吹き飛ばされてしまったが、ミラは
「うっ…ぐぐっ…」
その場に踏み止まり装置に手を伸ばして、装置から何かしらの部品の様な物を引っこ抜く。が、しかし先ほどの衝撃でユーリ達の足元の床も崩れ始めてしまい、ユーリ達は咄嗟に無事な床に掴まる。
「ふん。…なっ?!」
ミラはとっさに魔術を使おうとするが発動せず、そのまま下に落ちていってしまった。
「なっ! くそっ」
ユーリは悪態をつくと掴んでいた手を放しミラを追って落ちていく。その後を追うようにラピードとジュードも飛び降りた。