とある船の甲板を三人の男女が歩いていた。
「船長のやつ、勘弁しろよな。いつまで尋問するつもりだったんだよ」
アルヴィンはげんなりしながら悪態をついた。
「あーゆうのはテキトーに答えてればいいんだって」
「それに致し方あるまい。身分を示すものが無いのだからな」
「おたくらが、だろ」
それに対しユーリが手馴れたような事をいい、ミラはしょうがないと言外に言う。アルヴィンはそれに肩をすくめて言い返した。三人が甲板に着くと
「ア・ジュール行きだなんて・・・。外国だよ・・・」
「ワウゥ?」
海を眺めて落ち込んでいるジュードと寝そべっているラピードを見つけた。アルヴィンはジュードに近づいていくと
「見ろよ。イル・ファンの
ジュードに話しかけ、空を見上げた。ジュードとミラも同じように空を見上げ、
「
ユーリも疑問を持ちながらラピードと共に空を見上げると、さっきまで夜だったのにも関わらずいきなり昼になってしまった。
「うおっ! 何だこりゃ。いきなり明るくなったぞ?!」
「バウッ」
その現象にユーリとラピードが驚いていると、
「どうしたの? そんなに驚いて。イル・ファンの夜域は確かに始めは珍しく感じるけど、そんなに驚くことでもないけど」
「・・・・・・・・・。そうだぜ、今のじゃまるで初めて見た様なリアクションじゃねーか」
ジュードとアルヴィンがユーリの驚愕ぶりに疑問を持つ。
「まるでも何も、俺こんなの見るの初めてだぜ」
ユーリは二人の言葉に対して、初めて見ると答える。
「ふむ? 私はイル・ファンに入る時に一度見ているが、
とミラもユーリに対して違和感を覚える。
「いや、まず
「ええっ!
「それはおかしい、
ユーリの言葉に今度はジュードとミラが驚く。
「おいおい、嘘はいけねーよ。リーゼ・マクシアに住んでる以上、
アルヴィンも同じように驚きながらも軽口を叩くが、
「それ以前に俺、この世界の人間じゃねーからよ。俺とラピードが住んでた世界はテルカ ・リュミレースってゆうんだよ」
『テルカ ・リュミレース?』
ユーリの発言にジュード達は戸惑いながらも口を揃えて言う。
「えっ、それって、その・・・つまりは異世界って事!?」
「アハハハ、なんだその冗談。笑い話にもなんねーぞ」
「他の世界。・・・そんなが存在するのか」
ジュードは驚愕し、アルヴィンは笑い飛ばし、ミラは興味を持った様にそれぞれ喋り出す。
「嘘じゃねーよ。そもそも俺だって自分の意思でこの世界に来たわけでもねぇんだからよ」
「へぇ~。じゃあ、どうしてこの世界に来たんだ?」
「それはだな・・・・・」
ユーリはアルヴィンにリーゼ・マクシアに来た理由を尋ねられて、皆に簡単な経緯を説明した。
「・・・・・と言うわけだ」
「じゃあ、研究所の地下で会った時って」
「そう、俺が此処に飛ばされた直後って事」
ユーリの説明を聞いて、ジュードは研究所の地下でのことを思い出した。
「あの時迷ったって言ってたけど、本当に迷ってたんだね」
「そういえば研究所で会った時も妙に物珍しそうに周りを見ていたな」
「ははは。ま、そうゆうこった」
ジュードとミラは研究所でのユーリの行動に納得したという感じで話した。
「で、話しを聞く限り行く当ても無いみたいだし、どうするんだ?」
「まぁ、とりあえず船下りてから考えるよ」
話しを聞いたアルヴィンの質問し、ユーリは肩をすくめながら答えた。
「そっか。そういえばジュードが医学生だったとは。こっちにもちょっと驚いたよ」
アルヴィンは納得するとユーリの話題からジュードの話題に持っていった。
「ユーリの話の後だと、驚いてるようにみえないよ。・・・ねぇ、聞いていい?」
アルヴィンはジュードの問にどうぞというポーズを向けた。
「どうして助けてくれたの?あの状況じゃ、普通助けないよ」
「金になるから」
と、ジュードがした質問にアルヴィンは一言で返した。
「金になるって・・・」
「私達を助けることが、なぜそうなるのだ?」
ユーリはそれに呆れて、ミラは疑問を口にした。
「あんたらみたいなのが軍に追われてるって事は、相当やばい境遇だ。それを助けたとなりゃ、金をせびれるだろ?」
アルヴィンはそう言ってユーリ達を見た。
「でも、僕、お金ほとんどもってないよ」
「生憎、私もだ」
「まず、俺は助けてもらっった覚えがねぇんだが」
とアルヴィンに三者三様に言葉を返す。
「まじか・・・。ってかユーリ、お前尋問のときフォローしてやったろ。値打ちもんでも受け付けるからよ、異世界の珍しいもんとか。二人はどうだ?」
アルヴィンはさらに三人を見るが、
「ないよ。あんな状況だったんだ」
「高く取引されそうな物などないだろうな」
「珍しいもんねぇ、そういえばアレがあったな」
と、ジュードとミラは手持ち無しと答え、ユーリは荷物をあさり始めた。
「ねぇ、アルヴィンって何してる人? 軍人みたいだけど・・・、ちょっと違う感じだしさ」
ユーリの行動に期待した感じで待っているアルヴィンにジュードが何気なしに聞いた。
「へえ、いい線いってるよ。傭兵だ。金は頂くが、人助けをするすばらしい仕事」
「ふむ。それは感心なことだ」
ジュードの質問にアルヴィンが答える。ミラはそれを聞いて感心と頷くが
「気をつけろよ。傭兵ってのは胡散臭いやつが多いからな」
と、ユーリが横から注意をうながした。
「胡散臭いとはひどいねぇ」
「なに、ちょっとした経験則だよ。あんた胡散臭い知り合いと雰囲気が似てるからな。ほれ、これでいいか」
アルヴィンがそれに対して文句を言うがユーリはギルド仲間のおっさんを思い出しながら言い返し、持っていた物をアルヴィンに渡す。
「お。へぇ、綺麗なレンズだな。七色に光ってやがる、結構なもん持ってるじゃないの」
「借りはなるべく早く返すように心がけてるもんでね」
アルヴィンはユーリから受け取った物を見て笑みをこぼす。
「すまなかったな」
「別にたいした事じゃねぇよ。アレもたまたま持ってただけだし」
ミラがユーリにお礼をいうと気にするなと言って、海を眺める。そして時間が流れて、船は海停に到着した。船からユーリ達は降りると、ジュードは周りを見渡し、
「外国っていっても、あんまり変わった感じしないね」
「ん? ああ、ア・ジュールっていってもここら辺はな」
ジュードの言葉にアルヴィンが答える。その後ジュードはもう一度周りを見て、俯こうとしたが首を振り
「へぇ~。あ、地図があるみたいだ。見てくるね」
と元気な声を出し地図を見に行った。
「空元気、かねぇ」
「だろうな。実際、犯罪者にされたわけだし」
ユーリはアルヴィンの言葉に同意する。
「気持ちを切り替えたのか。見た目ほど幼くないのだな」
「おたくが巻き込んだんだろ? 随分と他人事だな」
ジュードの態度にミラはそう言うとアルヴィンが非難する様に言う。しかし、
「確かに世話になった。だが、あれは本人の意思だぞ? 私は、再三帰れと言ったのに」
「あー、確かにそうだな。ただジュード奴はこんな事になるとは思ってなかったみたいだけど」
「は~ん。それでミラに当たるわけにもいかないから、あの空元気ってか」
ミラとユーリが言うとアルヴィンは納得する。ミラはジュードの所まで歩いていき、地図を共に見始め、アルヴィンは
「どっちにしても大人なこと」
と、茶化すように言い
「本人には言うなよ。多分拗ねるだろうから」
とユーリはアルヴィンをたしなめる様に言いジュード達の所へ歩いていった。