イラート海停、そこで二人の男女が地図を見ていた。
「ここから北か・・・」
ミラがそう言いながら悩んでいると
「目的地は決まったか?」
と、後ろからユーリが話しかけてきた。
「目的地ならもう決まっているのだが・・・。そうだユーリ、頼みがある。私に剣の手ほどきをしてもらえないか?」
ミラは質問に答えた後、ユーリに剣を教えてくれるように頼んだ。
「どうしたんだ? いきなり」
「今の私は、四大の力をもたない。剣を扱えないと、この先の道は困難だ。・・・お願いできるだろうか?」
ユーリの疑問にミラは答え、お願いする。
「別にかまわねぇが、俺の剣って殆ど我流だから剣術の手ほどきと言うより、戦い方のってことになっちまうけどそれでもいいか?」
「ああ構わない、助かる」
ユーリはそう言ってミラの頼みを引き受けた。
「そんじゃあ、出発するか」
「そうだな」
とユーリが言うと後ろから同意の声が聞こえてきた。
「アルヴィン? どうしたの」
後ろから話しかけてきたアルヴィンにジュードが聞くと
「いやー、ほら。俺も仕事探さなきゃいけないし、見つかるまで一緒にと思って。よく言うだろ、旅は道連れって」
アルヴィンは仲良くしよーぜと言ってくる。が、
「つまりは、たかりに来たってか?」
「おいおい、ひでぇ言い方するなよ。ただ俺は旅は人数多いほうが楽しいだろうなぁって」
ユーリの辛辣な言葉にアルヴィン苦笑する。
「別にいいじゃない。大人数の方が楽しいってのはその通りだし」
「ふむ。私もかまわないぞ」
2人のやり取りにジュードとミラも別にいいじゃないかと擁護した。
「ほらな。二人もこう言ってることだし、仲良くいこーぜ。な、ユーリ」
「はいはい、好きにしろって」
アルヴィンはユーリの肩に手を回しながら言うが、ユーリはその手を払い言い返す。
「ふむ、それでは行くとするか」
「ちょっと、待った」
ミラが歩き出そうとしたらアルヴィンが止めた。
「なんだよ。まだ、何かあるのか?」
ユーリが面倒臭そうにアルヴィンに言うと
「いや、行く前に少し腹ごしらえしてこうぜ。俺腹へっちまってよ」
「何を悠長な事を言っている。私には「グゥ~」やらなければいけない使命があるのだぞ」
アルヴィンの言葉にミラが言い返すが途中でミラの腹が鳴り、ユーリ達は呆れた顔をした。
「ミラもお腹減ってるんじゃない」
ジュードが困ったような表情でミラに言うと
「ふむ? 先ほどから妙に力が入らないと思ったが……ああ、なるほど。これが空腹か。ふふ、興味深い。む、自覚をしたら余計に力が……」
ミラはお腹を押さえて、その場に膝をついてしまった。
「おいおい、大丈夫か?」
「ねぇ、ミラ? 最後にご飯食べたのはいつ?」
ユーリとジュードが心配して声を掛けると
「……食べた事はない」
そう言い返した。ジュードは驚き
「……一度も?」
そう聞くと
「シルフの力で大気の生命子を……、ウンディーネの力で水の生命子を……」
「何、いってんの?」
「ジュード、解説頼む」
「えっと、つまりは栄養を精霊の力で得てたってことなんだと思う。ミラ、これからは、ちゃんとご飯をたべなきゃね」
ミラは今までどうしてたか説明をするがアルヴィンとユーリは解らず、ジュードが二人に解り易く説明した。
「はーい。俺に提案がありまーす」
「はい、アルヴィン。どうぞ」
「今日のところは宿で休んでから明日あらためて出発したほうがいいと思うんだが?」
「奇遇だな。俺も同じ事考えてたところだ。とゆうことでミラ、出発は明日でいいよな」
アルヴィンとユーリがおちゃらけながらもミラに休もうと提案し
「ふむ、確かにこれでは出発するのは無理だからな。休むしかあるまい。……おっと」
「……! ったく、肩貸してやるよ」
「すまないな、ユーリ」
ミラも提案を受け入れ、宿に向かおうとしたらふらつき、それをユーリが支え、皆で宿に向かった。
「いらっしゃい」
「四人と一匹だ。とりあえず、すぐに食事だけもらっていいかい?」
アルヴィンが宿の店主に話をして、食事を先に貰おうとするが
「すまないね。料理人がまだ来てないんだよ」
料理人が居らず、店主が申し訳なさそうにしていると
「だったら、厨房使わせてもらっていいですか?」
ジュードがそう願い出た。店主はミラのことを見て
「お連れさん、ぶっ倒れそうだしな。好きにしてもらっていいよ」
と、笑いながら許可を出してしてくれた。ジュードはそれを聞くと一言お礼を言い厨房に向かった。
「腹と背中がくっつく……、ふふふ。そんなことは不可能だが。なるほど、体験すると、この言葉がよい表現だと感じる。ふふふ」
「ワウッ」
ミラが突然笑いながらそういい始め、それを聞いたアルヴィンとユーリは顔を合わせて互いに呆れたような表情をし、ラピードも同じような感じで小さく吠えた。しばらくしてユーリ達が食堂で待っているとジュードが料理を持ってきたので、食事を始めた。
「お、うまい!」
「ああ、なかなかいけるぜ」
「それだ」
それぞれ料理を食べるとアルヴィンとユーリが美味いと褒め、それを聞いたミラがとても楽しそうに同意した。
「食事というのは、なかなか楽しい。人は、もっとこういうものを大切にすればよいのだ」
ミラはそう言いながら食事を続け、食事が終わるとミラは満腹になったせいかそのまま突っ伏して眠ってしまった。そんなミラを見て、
「もしかすると、寝るのも初めてなのかな」
ジュードがそう呟いた。
「……さっきの飯を食べてなかったってのもそうだが……何者?この
アルヴィンがジュードの呟きを聞き、ミラについて訊ねた。
「マクスウェルなんだって。アルヴィン、知ってる?」
「……マクスウェルだって?」
ジュードの返答にアルヴィンは眉を寄せた。
「なぁ、マクスウェルっての何なんだ?」
「精霊の主、四元素の使い手、最古の精霊、色々な呼び名があるが……。この娘が、精霊マクスウェル? 嘘だろ……」
ユーリが聞くとアルヴィンはそう説明した。
「そんなにすごい精霊なのか?」
「ああ。信じられないよ。ガキの頃から枕許で、マクスウェルの話を聞いて育ったんだからな」
さらに聞くとアルヴィンはそう話した。
「そんなミラが壊そうとしてるものって何なんだろう……?」
二人の会話を聞いてジュードはミラを見ながらそう呟き、それを聞いたアルヴィンが
「壊そうとしてる? 何を?」
と、ジュードに聞いた。
「あ、うん。確か
「……ふーん」
ジュードはそれに答え、アルヴィンは相槌を打ち、ミラを見た。
「ミラにちゃんときいてみようかな……」
ジュードもミラを見つめながらそう言うと
「興味本位で首つっこんだせいで、こっちでも追われる身になったりしてな」
アルヴィンが冗談めかしに言い、それにジュードが俯いて表情を暗くしてしまった。
「そんなに考え込むなって。別にそうなるって決まったわけじゃあるまいし」
「……うん。そうだよね。ありがとう、ユーリ」
見かねたユーリがそう言い元気づけて、ジュードもそれを聞き表情を明るくしてお礼を言う。その後、ユーリ達は部屋へ行き、就寝した。次の日の朝。
「おはよう。みんな」
ジュードは先に宿のフロントにいるユーリ達に挨拶をした。
「おはよう。早速だがジュード、これからのことで話がある」
「……うん」
ミラも挨拶をするが、早々にこれからの事を話す。
「私はニ・アケリアに帰ろうと思っている」
「ニ・アケリア? ミラの住んでいるところ?」
ミラの目的地を聞くと、それにジュードは質問をし
「正確には祀られている。そこに帰れば、四大を再召喚できるかもしれん」
とミラは答えた。
「マジでマクスウェルなのか」
アルヴィンはミラの言葉を聞いて小さくそう呟いた。
「そこでだ、ジュード。君は、これからどうするつもりなんだ? もう私についてこなくていいのだぞ?」
ミラは自分の目的を話し終わるとジュードにそう聞いた。
「……それは」
ジュードはミラの質問に俯いてしまう。そんなジュードにミラは
「ジュード、もし行く当てが無いのなら、私と一緒にニ・アケリアに行かないか?」
と、聞いた。
「え?」
ジュードはミラの言葉に驚き顔を上げる。
「今の君の状況は身から出た錆というものだが、私の責任であるのも、また事実。ニ・アケリアの者たちに私が口添えしよう。きっと君の面倒をみてくれるはずだ」
ミラは顔を上げたジュードにそう言い、一緒に来るか、と誘う。
「へぇ。意外と考えてやってるのな」
「ふむ。お前に、まるで他人事だと言われて、少し反省してみた」
アルヴィンが驚いて言うと、ミラはそのように言い返す。
「で、ジュード。どうするんだ?」
「僕、一緒に行くよ」
ユーリがどうするか聞くと、ジュードはついて行くと答えた。
「わかった。安心するといい」
「それじゃあ、もうしばらくよろしくな」
「ワウッ」
ミラ、ユーリ、ラピードがそれぞれジュードに言う。
「そんじゃ、行くか」
アルヴィンが言葉を掛けると、ユーリ達はイラート海停を出発した。