ミラ一行はイラート間道を進んでいた。
「ミラ、確か村は北の方って言ったよな?」
ユーリが前を歩いていたミラに話しかける
「ああ」
「どれくらいかかるんだ?」
ミラがユーリに返事をすると、横からアルヴィンが目的地までの距離を聞いたが
「ふむ、シルフの力で飛んだのなら、半日もかからない距離だろう」
「基準がわからないって」
ミラの答えに、頭を掻きながらアルヴィンは困った表情に言う。
「途中に休めるところが、あるといいんだが」
「地図だと村があるみたいだし、大丈夫じゃないかな」
アルヴィンが心配しているとジュードが地図を見ながら言った。
「いずれにせよ、進むしかないのだから考えてもしかたあるまい。もしもの時は野宿すればいい」
「はいはい。まったく、たくましいねぇ」
ミラの台詞に呆れながらアルヴィンは言った。それからしばらく歩みを進めていると
「そういえばユーリの世界ってどんなところなの?」
ジュードが隣にいるユーリに話しかけた。
「あ? 俺の世界? なんでまた」
ユーリはジュードの質問に何故、と聞き返すと
「なんとなく知りたいと思ったんだ」
「お、それ俺も聞いてみたいな」
「私も興味がある」
ジュードが答え、他の二人も便乗してきた。
「ん~、話しても別にいいが。俺、説明下手だからな。まあ、分かる範囲で教えてやるよ」
ユーリはそう言ってテルカ ・リュミレースのことを話し始めた。帝国とギルド、
「・・・・・・・と、こんな感じかな。色々と細かいことは俺もよく解ってねえから、質問は無しな」
ユーリが話し終わると
「精霊が存在せず、エアルというもので世界が保っていたのか。・・・・・信じられん」
「やっぱり僕たちの世界と全然違うんだね」
「世界を守るために、今までの文明を捨てたって・・・マジかよ」
それぞれ、が思い思いに言葉を発する。
「ってか、おたく、世界救っちゃてるって・・・。凄いことしてんな」
「うん。でも、なんで今もそんな生活してるの? それだけのことしたんだからもっといい生活出来るのに」
アルヴィンが驚き、ジュードは疑問を言うと、
「別に。今の生活の方が気楽でいいからな」
ユーリはそう言った。
「ふむ、ユーリは謙虚なのだな」
「違げーよ」
ミラがユーリに言葉を聞いてそう言うとユーリは半眼になって否定した。そんなこんなでイラート間道を抜けた一行は、村に辿りついた。
「果物がいっぱいだ。甘い匂いがするね」
「酒の匂いもな。果樹園でもやってるんじゃないか」
村に入るとジュードとアルヴィンも匂いを嗅ぎそう言う。すると、
「おやまぁ、こんな村にお客さんとは珍しい」
老婆が近づいてきて話しかけてきた。
「ん? 婆さん村の奴か?」
「村長をやっとります」
ユーリが老婆に聞くとそう答えた。
「ニ・アケリアへ行くにはこの道であっているか?」
ミラが村長に聞くと、村長は
「ニ・アケリアとは、またずいぶんと懐かしい名を」
「どういう意味?」
驚いたふうに言った。それをアルヴィンが不思議に思い聞く。
「忘れられた村の名じゃ。今ではあるかどうかもわからん。子供の頃にキジル海瀑の先にあると聞きましたが……」
村長はミラたちそう説明した。
「キジル海瀑?」
「大きな滝ですじゃ。ニ・アケリアをお探しなら、起伏の激しい岩場を通り抜けるのお」
ジュードが聞くと村長はそう教えてくれた。それを聞いたアルヴィンは
「そりゃあ、ちょっとここで休んでから行った方がよさそうだ」
そう提案し、他の皆も頷く。
「村には宿がないですからの。私の家に空き部屋があるので、使ってくださっても構いませんぞ」
「婆さん、ありがとな」
村長が部屋を貸してくれると言うので、ユーリ達は礼を言い、村長の家に向かった。
「ふぁ~、ん。よく寝たっと、ありゃ? 他の奴等はもう起きてんのか」
翌日、ユーリが目を覚ますと部屋にはユーリしか居らず、
「なんだよ、起こしてくれてもよかったのに」
愚痴り、ベットからおりて部屋を出る。一階に下りるとラピードが隅っこで丸くなっており、他の皆はいなかった。
「散歩でも行ってんのか?・・・むぐもぐ」
ユーリは家を見回しながらテーブルの上にあった果物を手に取り、食べながら家を出て行くと
「それはほら、危ないから」
ジュードの声が聞こえてきて、そちらを見ると、ミラとジュードが何か話し合っていた。
「正しい使い方も知らないだろうし、ケガだってするかもしれない……」
「そういうことだ」
「僕たちは赤子じゃないよ! どういうものかわかったら、ちゃんと自分で考えて間違わないように……」
ジュードがミラの言葉に対して怒ったような感じで言い返すが
「私にとっては同じなのだ。ユーリの世界のことを聞いただろ」
「…………」
ミラの言葉に切り捨てられた。
「人間は危険とわかっていても、それを使おうとしたがる。だからこそ、世界を守るため必ずクルスニクの槍は破壊する。それが私の使命だ」
「使命……」
ジュードはミラの言葉に表情を暗くし、小さく呟いた。
「安心しろ、ジュード。ニ・アケリアに着けば、君には無縁の話だ」
ミラが話を切り上げようとしたとき、村の入り口が騒がしくなり始めた。
「なんだ?」
ミラとジュードの話を聞いていたユーリは騒ぎに気づきそちらを見ると赤い服の兵士がおり、何やら話し合っていた。
「どうやら、これ以上のんびりしてるわけにもいかなそうだ」
果樹園がある方からアルヴィンが急いで来て、ミラとジュードに話しかける。ユーリも三人の所へ下りていき合流する。
「やっぱり僕達を追って来たんだよね……」
ジュードが不安気に言うと
「さてな。国外捜査には早すぎる気もするけど」
「尋ねるわけにもいかないからな。どちらにしても見つかる前に出よう」
アルヴィンとミラはそう言った。
「なら、早くしようぜ。見つかったら厄介だ」
「村の西に出口があった。キジル海瀑はあっちだろうな」
ユーリが言うとアルヴィンが出口の場所を皆に教え、そこに向かった。一行が出口に近づくとそこには既に兵士がおり、ユーリ達は姿を隠した。
「もう兵士がいる」
「どうすっよ?」
ジュードとアルヴィンがどう対処するか聞くと
「しゃーない、俺が何とかする。幸いこうゆうのには慣れてるからよ。ラピード、いいか?」
「ワウッ」
ユーリがそう言って立ち上がり、ラピードはユーリの後について行く
「よし、ではユーリが隙を作ったら、私たちも行くぞ」
「うん」
「りょーかい。ってかこんなことに慣れてるってどうなのかね」
ミラたちもそれぞれ立ち上がり、突破の準備をしていると
「あ、あの……」
後ろから女の子が話しかけてきた。
「え、えと…………なにしてる……んですか?」
「うむ。邪魔な兵士をどうにかしようとしていたところだ」
「……直球だね」
女の子の質問にミラは簡潔に答え、ジュードは呆れ気味に言う。それを聞いた女の子は
「あの人たち、邪魔……なんですね」
兵士たちを見てそう言った。そして、女の子は何か考えるようなしぐさをすると、彼女が持っていたぬいぐるみが突如動き始め、兵士たちに向かっていった。
「うわ! なんだこれ!」「ひぃ!」
兵士たちはいきなり現れたぬいぐるみに驚き慌てる。
「これは……」
「どうなってるの? ぬいぐるみが??」
それを見て、アルヴィンとジュードも驚いていると
「ここで何をしておる」
また後ろから、今度は大男が話しかけてきた。大男は女の子を見ると
「こら、娘っ子。小屋を出てはならんというに」
そう言い、そして、出口の兵士を見て
「ラ・シュガルもんめ。勝手な真似を」
と言いながら兵士たちのところへ走って行ってしまった。ミラたちがそれを見ていると女の子は走って行ってしまった。
「娘っ子はどこに行った?」
兵士を倒して、戻って来た大男はミラたちにそう聞き
「広場の方に……」
「なに? い、いかん!」
それにジュードが教えると大男は慌てたようになり
「お前たちよそ者だな。なら、とっとと行ってしまえ」
そう言って、広場へ行った。
「おいおい、なんだ今の?まあ、手間が省けたからいいが」
ミラたちが顔を合わせていると、兵士を退かそうとしていたユーリが戻ってきてそう言い
「まぁあれだな、お疲れさん?」
アルヴィンが半笑いでユーリに労いの言葉をかけた。
「ユーリには悪いが、兵士がいなくなったんだ。今のうちに行くぞ」
ミラがそう言って一行はキジル海瀑に入った。
~チャット~
『ナップル』
ユーリ(以後ユ)「むぐむぐ……」
アルヴィン(以後ア)「お、美味そうなもん食ってんじゃねーか。どうしたんだ?」
ユ「ん?これか?上の樹にいい感じで実ってたから、取ってきた」
ジュード(以後ジュ)「それって勝手に取ってきちゃダメなんじゃないの?」
ユ「そうなのか?ミラが取ってたから俺はてっきりいいもんかと……」
ミラ(以後ミ)「もぐもぐ……。ん?どうした?お前たちも食べたいのなら上にたくさんあるぞ」
ジュ・ア「………………」