ダイヤ「落ち着きなさいな。作者はネタが浮かばなくて前書き描く度に困ってるにも拘らず、一度ビルド本編の真似し始めた以上は後戻りできなくて真面目に悩んでるのですよ!?」
戦兎「いやそれ自爆じゃねーか!あとネタがメタい!」
ダイヤ「だまらっしゃい!とにかく、近いうちにこのビルド紛いなコーナーは消滅する可能性があるという事だけ伝えておきますわ!さあどうなる第十話!」
戦兎「…遂にあらすじ紹介ぶん投げたよコイツ」
「おおぉ・・・らっ!」
『ウアア・・・ッ!』
仮面ライダービルドの装甲を纏った戦兎の放った蹴りが、プレス機のような形をした器官を全身に持つスマッシュ―――プレススマッシュの頭頂部を襲う。
「・・・どう判断していいのか微妙な時に現れやがって・・・」
研究室にて鞠莉と不穏な空気になっていたタイミングでスマッシュの出現を知らせる警報が鳴り、逃げるように飛び出してきてしまった。
もう少し腹の内を探りたかったのは事実だが、あまり刺激すると何をしてくるか分からない威圧感が今の鞠莉にはある。今スマッシュが出現したのはある意味では好都合だろう。
『アアアァァァァッ!』
「うおっとぉッ⁉」
はっと全てを押し潰すかのような圧の籠った一撃に気が付き、間一髪で回避。
そうだ。今は戦闘中だ。悠長に考え事をしている場合ではない。
鞠莉の事は気になるが・・・今はコイツの殲滅と素体となった人間の救出が最優先だ。
「ハッ! フウゥッ! ウラァッ!」
形成したドリルクラッシャーを右手に握り、反撃の隙も与えない程に剣戟のラッシュをプレススマッシュの身体に浴びせてゆく。
コイツは以前出現したストロングスマッシュと同じだ。力はあれどスピードや機動性に欠ける。
能力値の偏りがそれほどなく、最もバランスが取れていると言ってもいいこのラビットタンクフォームの敵ではない。
「勝利の法則は・・・・・・決まった!」
単眼から伸びたアンテナのような突起物をなぞり、決まり台詞を一つ。
ドライバーのレバーを回して力をチャージしつつ、小回りの利いた動きで奴を撹乱。そして―――、
《Ready Go!》
地表を突き破って出現した巨大なX軸のグラフで奴を拘束し、高く飛翔。
《ボルテックフィニッシュ‼》
「ハアァァァァァァァァァッ‼」
右足を伸ばし、グラフの頂点から急降下。
『アアアァァァァ・・・・・・ッ!』
猛烈な破壊力の籠った一撃をモロに受け、プレススマッシュは例の如く緑っぽい炎を吹き出して真後ろに倒れ込んだ。
『ウゥ・・・アッ・・・ァァ・・・・・・!』
「・・・今助けてやる」
ゴロゴロと地を転がって苦しみ続けるスマッシュを開放すべく、エンプティフルボトルのキャップ口を向けて成分を吸収。
怪物の肉体が光の粒子となって掻き消えてゆき、改造される前の姿へと戻る。
「―――なっ・・・⁉」
その姿を見て、思わず目を剥く。
乳白色と灰色を基調とし、胸元を赤いリボンで飾っているセーラー服。
紛れもなく、浦の星女学院二年生徒の制服だ。
そして何より目を引くのは、見覚えのあり過ぎるシンプルなバレッタがいいアクセントを醸している長く綺麗なワインレッドの髪に、華やかな印象を抱かせる端正な顔立ち。
彼女はここ最近千歌が迷惑をかけまくっている転校生―――桜内梨子だ。
「・・・出て来いスターク。見てんだろ」
瞬時に犯人を弾き出し、その名を周囲に四散させる。
そしてそれに対する答えは、一拍の間も置かずに返ってきた。
『・・・ほぉ・・・、そこまで把握済みとはねぇ・・・』
愉快そうな口調と共に、まるで散歩の最中に偶然会ったかのような体で歩み寄ってくるスターク。
別段、スマッシュが出現する毎にスタークとも接触している訳ではない。
だが桜内梨子のようなあからさまに悪意のある人選をしておいて、それに対する戦兎の反応を伺わないなど奴の性格上あり得ないと判断しただけ。それだけの話だ。
「・・・・・・で? コイツは一体なんの嫌がらせだ?」
気を失って倒れている梨子を一瞥し、高圧的な姿勢で奴の意図を問う。
『嫌がらせとは心外だな。俺はただ協力しようとしてやっただけだよ』
「・・・なんだと?」
含みのある返答に眉を寄せる。
『スクールアイドル・・・だったか? その活動にその女が必要らしいじゃねーか。それで、この俺が一役買ってやったわけだよ』
「はぁ・・・?」
『主人公に助けられたヒロインが徐々に惹かれてゆき、その力になりたいと願う・・・・・・ありがちなシナリオだろ?』
どこでその事を知ったのか、どういう風の吹き回しか、それとも何か巧んでいるのか。動機は定かではないが、とにかく梨子をスクールアイドル活動に参加させるためにやったと、スタークはそう言う。
「・・・ロマンチストかよお前・・・・・・アホらし」
考えるまでもなく一蹴。
無理矢理スマッシュに変貌させた挙句、仕組まれた慕情で望んでもいない活動をさせるなど流石に桜内梨子という人間への冒涜が過ぎる。
「アイツ等のスクールアイドルなんてのに興味はねーし、むしろさっさと終わって俺を顧問から解放してくれって思ってるぐらいだが・・・・・・それでも意志くらいは尊重してやるつもりだ」
戦兎が千歌達の活動に口を挟まないのには面倒だからという理由もあるにはあるが、人間誰しも、度が過ぎていない限りはやりたいようにやる権利はあると思っているという部分もある。
「やるもやらないもアイツ等が決める事だ。俺達の私情が介入していいもんじゃねーだろ」
紛いなりにも教師という立場になった以上、生徒である梨子の尊厳を踏みにじるようなやり方でスクールアイドル活動をやらせる訳にはいかない。
例えそれをしたのがスタークでなくても、それは変わらない事だ。
『・・・随分と変わったもんだな』
それを聞き、感心するような、残念がるような。そんな様子でスタークは肩を竦めた。
『前のお前は、そんな事気にも掛けなかったのになぁ・・・。記憶がないだけでこうも違うか』
奴の言葉の中の一句が引っ掛かる。
戦兎が求めていたものの一つが、たった今奴の口から漏れたのだ。
「・・・前の・・・俺・・・・・・?」
『おっと。コイツぁまだ言えないんだったな』
前の戦兎というと、淡島で鞠莉と出会う前。つまりスタークに人体実験をされ、記憶を失う以前の戦兎だ。
「・・・・・・お前、俺の過去をどこまで知ってる」
『知ってるよ・・・全部。何もかもなぁ・・・』
あからさまに胡散臭さを醸しながら、挑発するような態度を取るスターク。
だが不思議と、嘘を言っているようには感じられなかった。
「そうかよ・・・・・・だったら洗い浚い全部話してもらう!」
啖呵を切るや否や爆ぜるように飛び出し、勢いよく薙いだドリルクラッシャーの刀身を煌かせる。
『・・・そーいうところはそのまんまか・・・・・・ったく』
気怠そうな声音とは反面、俊敏な動きでスチームブレードを握ったスタークは軽々とその一撃を受け止めて見せた。
続き、蛇が絡みつくかのような動きでビルドの背後を取ると、耳元で囁く。
『・・・ちょっと頭冷やせよ』
《アイススチーム!》
猛烈な冷気が黒い刀身から噴出され、赤と青の装甲に真っ白な霜が貼り付く。
そしてその霜ごと粉砕するように右足を伸ばしてはヤクザキックを叩き込み、ゴロゴロとビルドを地面に転がした。
『答えが知りたきゃ自分で辿り着け。俺はヒントを与えてやるだけだ』
「・・・な・・・に・・・?」
『ほらよ』
不意にどこからか取り出した物体が投げつけられる。
反射的にキャッチしたそれは、長方形を成した小さな箱のような物体。
「USBメモリ・・・?」
『ボトルが十一本・・・いや、さっき採集したやつで十二本目か。とにかく、その祝いだ。・・・チャオ♪』
巻き散らすかのようにトランスチームガンから黒霧が放出され、辺りを包み込む。
視界が晴れた頃には既にスタークの姿はなく、気絶している梨子だけが静かに横たわっていた。
「・・・なんでボトルの本数知ってんだよあの野郎・・・」
少なくとも現状でそれを知っていたのは戦兎と鞠莉だけだったはず。
スタークが戦兎以上に戦兎やビルドの事を把握している節もあるので、こちらの状況を知っていてもおかしくはないが・・・・・・謎は晴れない。
まあそれはともかく、今はしなくてはならない事がある。真実の究明は後だ。
「おい。桜内。大丈夫か?」
変身を解除して梨子の身体を揺さぶるも、目覚める気配はない。
今までスマッシュにされてきた者ならばすぐ目を覚ましたのだが・・・やはり女子高生には負担が大きかったのだろうか。
とにかく、今は意識が戻るまで安静にさせておいた方が良さそうだ。
「・・・アイツの番号は・・・」
一応脈はある事を確認してからビルドフォンを起動し、最近登録したばかりの番号を選択。
数回のコールの後、通話に応じた相手に対し緊張感を含んだ声で話題を切り出す。
「・・・松浦。ちょっと手を貸せ」
「っ・・・! っ・・・!」
「・・・・・・なんか気持ち悪い」
相変わらず整頓のせの字も見えない研究室の中。
興奮した様子で鼻息を荒げる戦兎に対し、ジト目をした青髪の少女―――松浦果南が冷たく言い放つ。
「は・・・、お馬鹿なお前にゃこれが如何に貴重なデータか分かんねーだろうな」
異様に輝いている戦兎の双眸が向けられているのは、先程スタークから受け取ったUSBメモリに保存されていた情報を映し出したパソコンの画面。
「ネビュラガス・・・・・・なるほどな・・・」
戦兎の過去について何か情報が手に入った訳ではないが、ライダーシステムに関しての疑問を解決する情報は大いにあった。
おかげで一研究者としての血が騒いで収まらない。
「ネビュラガスって・・・あのスカイウォールから出てるっていう?」
「ああ」
マウスとキーボードを操作し、科学や物理の知識がない果南でも分かりやすいように情報を纏め、ウィンドウに表示。
「・・・どうやら、ネビュラガスを人体に注入すると当人の耐久値によって変化が起きるらしい」
「・・・それが・・・スマッシュ?」
「スマッシュになるかどうかもそいつの耐久値次第だけどな。・・・んで、スターク達はその耐久値を˝ハザードレベル˝と呼んでいるらしい」
別のデータを表示し、まだよく分かっていなさそうな顔をする果南への説明を続けた。
ハザードレベル。
たった今果南に説明した通り、人間のネビュラガスに対する耐久性を段階別に表したもの。
人体にネビュラガスを注入されて間もなく死に至るのがハザードレベル1。体細胞に異常が起きてスマッシュ化するのがハザードレベル2。
スタークの寄越したデータによると、一般的な人間はほぼ全員この部類に当てはまるそうだ。
「・・・だが、極稀にこのハザードレベル2を超える者が存在する」
そこまで果南に理解させた後、目を細める。
「そいつはネビュラガスを体内に入れてもスマッシュ化する事なく人間の姿を保つことが出来る・・・・・・つまり―――」
「先生・・・・・・ってこと・・・?」
果南の声に無言で頷く。
彼女の心根の表れなのか、その視線には懸念の感情が混じっているようにも感じられた。
「・・・心配すんな。薄々勘付いてはいたしな」
多少の不安はあるが、些末な事。
とにかく、戦兎が以前立てた「人体実験を受けてスマッシュ化しなかった者が仮面ライダーになれる」という仮説はこれにより成立した。
「・・・それより、人体実験に使われてるのがネビュラガスって方がマズいな」
「・・・まだ解明されてない部分が多いから」
「いや、そうじゃない。・・・考えてみろ。ネビュラガスが採集されるのはスカイウォール周辺。・・・・・・そのスカイウォールを公に調査している機関はどこだ?」
少し首を捻った後、はっとした顔で戦兎と視線を重ねる果南。
「・・・政府・・・・・・?」
「そう。スカイウォールの惨劇以降、あの壁を管理・・・と言えるのかは知らんが、調査してるのはこの国のお偉いさん達だ」
全貌を把握できていない異物があるならば、自分の手元に置き、管理したくなるのが人間と言うもの。
特に国家という面子が権力で塗り固められたような組織はそれが顕著だ。
「ちょ・・・ちょっと待って⁉ 政府が一般人をスマッシュに改造してるって事?」
「政府っつっても東都政府じゃないだろうがな。多分西都か北都の仕業だ」
西都はともかく、北都は限りなく黒に近いと言ってもいいだろう。
なにせあそこは社会福祉を銘打つ裏で密かに軍事力を強化し、虎視眈々と戦争の準備を進めているともっぱらの噂だ。こちらの防衛力の調査等の名目でスマッシュを送り込んでいても何ら不思議はない。
「まだ東都政府に発見されてない˝スカイロード˝もあるだろうし、そこを使って送り込んで来てると考えるのが妥当だろうな」
スカイロードというのは分断された日本列島を繋ぐ通り道。具体的に言うとスカイウォールの切れ目だ。ここからならば他の地域にも移動出来る。
「・・・話が難しい」
キャパシティの限界だと言わんばかりの目を向けられ、一旦話を区切る戦兎。確かにこちらの事情を知っているとは言え、一介の女子高生に話すような内容でもなかっただろう。
「・・・ま、技術面で言ったら西都がぶっちぎりで怪しいんだけどな。なんせあそこにゃ˝アレ˝の本部が―――」
「ふ・・・・・・んんっ・・・・・・?」
一応西都が黒幕の可能性も浮上させておき、陰険な話も切り上げようとしたその刹那。
丁度いいタイミングで目を覚ました者の声が耳朶に触れ、戦兎はくるりと椅子を回転させてそちらの方を見やった。
「・・・あれ・・・? 私・・・・・・」
「よ、おはようさん」
寝かせてあったベッドから上半身を起き上がらせ、半開きの瞳で室内を見回す少女―――桜内梨子。
スタークが去った後、教師という立場上あのまま路上に放置する訳にもいかなかったのでここに連れてきて様子を見ていたのだ。
「分かるか? お前路上で倒れてたんだぞ?」
「倒れてた・・・?」
ネビュラガスの影響か、はたまたスタークの細工か。これまでの被験者同様にスマッシュ化した前後の記憶は残っていないようだ。
普段なら落胆していたところだが、今回に関しては都合がいい。このまま倒れているところを偶然発見したという事で押し切ろう。
「どっかおかしなところとかないか? コイツに身体見させた感じ怪我とかは無かったらしいが」
「あぁ・・・はい。大丈夫です・・・」
安否の確認とは言え、流石に野郎の戦兎が梨子の身体をまさぐるような事があれば翌日にはセクハラ教師として一躍時の人だ。
果南をここに呼んだのは代わりに梨子の身体を診てもらうためである。というかそれ以外の理由で呼んでない。
「えっと・・・その・・・・・・三海先生・・・・・・ですよね?」
「お? 知ってんのか?」
「・・・高海さんとよく一緒にいるので・・・・・・」
二年生の授業は受け持っていないのにも関わらずどうして梨子に認知されているのかと思ったが、そういう事らしい。
果たしてそれがスクールアイドル部の顧問としてなのか、はたまた例の噂によるものなのかは定かではないが。出来れば前者であると願いたい。
「あ・・・・・・! すみません助けてもらったのにお礼もしないで・・・!」
「俺はただお前を道で拾っただけだ。礼ならお前の看病したこの青髪に言ってやれ」
「・・・ちょっと言い方・・・。あ、私は松浦果南ね。千歌達とは一つ上の幼馴染なんだ~。よろしくね」
「あぁはい! こちらこそ・・・!」
年上相手に緊張した様子を見せる梨子に屈託のない笑みを向ける果南。流石、小さな時からあの女子の皮を被った珍獣(千歌)の相手をしていた分年下の扱いには慣れているらしい。
「・・・とりあえずなんもねぇなら家まで送ってくが・・・大丈夫か?」
「ああいや、流石にそこまでしてもらう訳には・・・・・・自分で帰り―――」
「ここ淡島だけど、三津までの帰り方わかる?」
「・・・・・・お言葉に甘えさせて頂きます・・・」
転校生である彼女はこの土地についてまだまだ疎い。きっと淡島がどこかなのかすらも危ういだろう。
流石にそんな少女を一人で帰らせる訳にはいかない。
「梨子ちゃんはいい子だね。千歌なんかもっとわがまま言うのに」
「むしろアイツはもっと自粛した方がいいだろ」
ここ最近千歌のせいで被った迷惑を思い出して頭痛を覚えつつ、ビルドフォンをマシンビルダーに変形させる。
「え・・・?」
「ほら、行くぞ。お前もさっさと帰れ不登校児」
「呼び出したのそっちじゃん⁉ あと休学してるだけだし!」
携帯端末がバイクになったのを目の当たりにして目を丸くする梨子をずるずると引き摺ってすっかり暗くなった外へと出でる。
そう言えば果南の奴、いつの間にか敬語で接するのを止めてやがるのは何故だろうか。早くも舐められたのだろうか。
「桜内。お前の家どの辺だ? 分かんねーなら近くに何があるか教えろ」
「えっと・・・・・・あ、隣に大きな旅館が」
「旅館・・・十千万か」
この辺では有名な施設の名前が上がり一安心。戦兎もあまりこの辺の事には詳しくはないが、これなら迷う事もないだろう。
「しっかり捕まっとけよ。落ちたら海の底だぞ」
「え?」
まだ少し緊張を醸す梨子を後部座席に座らせ、戦兎はマシンビルダーのエンジンを切った。
平成最後に梨子ちゃんを被害に合わせる男です
なんかスタークのムーブが毎回同じ様な感じだからそろそろ変化持たせたいですね。つってもしばらくはこのままでしょうけど・・・。
そろそろナイトローグの登場も考えてるのでお楽しみに。
それでは次回で―♪ 令和もよろしくです