Build The Sunshine   作:がじゃまる

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Aqours5th最高でした
まさかのスタンド最前列でトロッコがすぐ目の前を通りましよもう……


十六話 シャインの裏側で

 

「どおぉぉりゃッ!」

 

 突進の勢いそのままに獅子の爪を突き出し、スクエアスマッシュを強襲する。

 

「何してんだ松浦! ぼさっとしてねぇでさっさと逃げろ‼」

 

 コイツに襲われていたのか、牽制の追撃を加えつつ何故かスマッシュの目の前にいた果南を背後に隠す。

 

「・・・先生・・・・・・鞠莉が・・・・・・」

 

「あぁ・・・?」

 

 だが避難を促しても暗い表情をする果南は戦兎に顔を向けたまま動こうとしない。

 

「・・・・・・鞠莉があのスタークってのと一緒にいた・・・・・・。スマッシュを作ってたの、鞠莉達だったんだ・・・」

 

「っ・・・・・・⁉」

 

 俯く果南の言葉に耳を疑う。

 

「アイツがスタークと・・・? んなアホな―――」

 

『アアアァァァァッ‼』

 

 動揺で集中が途切れたせいか、気付くのが遅れたスマッシュの一撃が胸部を捉える。

 

「っ・・・!」

 

 今この場で論議している時間も余裕もない。

 信じたくはないが、今この場においては果南の言葉だけが真実だ。

 

「・・・・・・とりあえず詳しい話は後だ。今はここから離れろ」

 

 鞠莉を信じるも疑うも後でいい。

 とん、と果南の背中を押し、校舎の方へ走り出したのを確認してから再度スクエアスマッシュへと突撃する。

 

「フゥゥンッ!」

 

『アアアァァァァッ⁉』

 

 荒々しく、的確に、百獣の王の鋭爪が軌跡を描く。

 とりあえずは被害を最小限に抑えるために小刻みな攻撃を叩き込んで校舎から遠ざけねば。

 

「ったく・・・・・・なんでテメェ等はいつもいつも面倒な時に――――――ッ⁉」

 

 スクエアスマッシュを蹴り飛ばし、決め技を叩き込もうとレバーに手を掛けた刹那。

 ターンッ!と音が響き、高速で迫ってくる黒い点を視認。上体を逸らして回避する。

 

「・・・・・・おいおい・・・冗談だろ・・・?」

 

 今のが銃撃であり、それを放った何者かがいるのはすぐに理解出来た。

 だが流した視界の先で蠢く影を前に思わず硬直してしまう。

 

『『『――――――ッ!』』』

 

「ぎゃああぁぁぁぁぁぁッ⁉」

 

 隊列を組んだ黒い人形兵達の銃口が一斉に火を噴き、ビルドを襲う。

 掃除機のクリーナーで吸引し切れる量ではないのは火を見るよりも明らか。断末魔のような悲鳴を上げながら波のように押し寄せてくる弾丸の雨を掻い潜る。

 

「・・・・・・揃いも揃って職務放棄・・・って訳でもなさそうだな・・・」

 

 たった今戦兎を襲った人形兵の正体は˝ガーディアン˝と呼ばれる、政府によって各地に配置された戦闘用の機械兵だ。

 本来は自身に施されたプログラム通りに配置された場所を警備し、何か事態が起これば搭載されたAIに従って行動する・・・と言うシンプルなものだが、何か様子がおかしい。

 

『ギギ・・・・・・ガ・・・』

 

「暴走か・・・?」

 

 政府の機関などが置かれていない事もあってか、ここら一帯にはあまりガーディアンが配置されていない。

 それが今束となって何の変哲もない学校の校庭へと集結している。不思議に思うなという方が無理があるだろう。

 

『アアアァァァァッ!』

 

「ぐっ・・・!」

 

 しかもコイツ等、本来ならば真っ先に標的にすべきはずのスクエアスマッシュを攻撃する気配が一切ない。

 まるでスマッシュを攻撃しないようプログラムを施されているかのようにビルドばかりを狙い撃ちしてくる。

 

 こうなってくると浮かび上がってくるのはあのコブラだ。

 

「コイツ等・・・・・・全部スタークの野郎が・・・・・・!」

 

 大方奴がガーディアンのプログラムを書き換え、戦兎がスマッシュと対峙するタイミングを見計らって差し向けたのだろう。

 

「解せねぇな・・・俺にちょっかいを掛けるだけにしちゃちと派手にやり過ぎじゃねぇか・・・?」

 

 ガーディアンにまで手を出しては当然政府でも騒ぎになり、下手をすればスタークの存在が露見しかねないのに。

 

『――――――ッ!』

 

「ちぃ・・・! 考えてる場合じゃねぇ!」

 

 何がどうであれ、ぐずぐずしていては被害者が出る。

 標的をスマッシュからガーディアンに切り替え、レバーを回しつつ黒い群れの中へと突撃していく。

 

《Ready Go!》

 

《ボルテックフィニッシュ! イエェェェェイ‼》

 

 多少なり頑丈にできているとは言え、ライダーシステムに敵う程のものではない。

 解き放たれた炎獅子の牙に嚙み砕かれ、ガーディアンの機体が火花を散らして爆散する。

 

『『『――――――ッ!』』』

 

「は・・・? え、ちょ・・・!」

 

 だがビルド側の流れだったのも束の間。

 前触れもなく消えたガーディアンの群れと、その代わりに現れた巨影が再度戦慄を呼び起こした。

 

「おいおいおい・・・確かにロボット合体は男のロマンだがこんな場面で求めてねぇ・・・よッ⁉」

 

 猛烈な圧で迫ってきた足と思しきパーツの横薙ぎをすんでのところで躱す。

 各部位がガーディアンの機体で形成された巨大な合体メカを見上げ、戦兎はマスクの下に隠した表情を引き攣らせた。

 

「クソッ―――――ぐなっ⁉」

 

 ガーディアン単体ならまだしも、合体して格段にパワーの上がったあの一撃を喰らうのはマズい。

 早急に破壊、ないしは機能停止に追い込んだ方がいい。そう思いもう一度レバーを回すも、死角から襲い掛かってきた一撃に身体が弾け飛ぶ。

 

『アアアァァァァッ!』

 

「ぐっ・・・おおぉぉぉ・・・!」

 

 このスマッシュもまた特殊な細工でもされているのか、ガーディアン達には目もくれずにビルドを狙うばかり。それどころか連携しているような様子すらある。

 乱暴に腕を振り回すその攻撃自体は難なくいなせるのだが、こちらばかりに集中していては当然―――、

 

『――――――ッ!』

 

「がふぁっっ・・・・・・⁉」

 

 猛烈な衝撃が腹部に走り、同時にものすごい速度で景色が流れる。

 それが合体したガーディアンの一撃によって吹っ飛ばされたのだと理解した時には、その先にあった何かに轟音を立てて衝突していた。

 

「ぴぎゃァァァァァァ⁉」

 

「な・・・、なんずら・・・⁉」

 

 すぐ近くで悲鳴を思しき声が聞こえる。

 

「ぐ・・・・・・ぁ・・・」

 

ライアチェストアーマーの防御力により致命傷は避けられたが、それでもダメージはある。

軋む身体に鞭を打って上げた視界には、つい先程まで戦兎が長めていた光景があった。

 

「・・・・・・体育館・・・?」

 

 スマッシュの襲撃によって暗転した空間の中に、戸惑う人々の顔。間違いない。

 どうやらあの一撃によってこんな所まで吹き飛ばされてしまったらしい。

 

「あれって・・・この前テレビで言ってた仮面ライダー⁉」

 

「ホントにいたんだ・・・・・・でもなんで・・・?」

 

「ねぇ! あれッ!」

 

 ビルドを見て困惑する人々の中で、また別の悲鳴交じりの声が上がる。

 声の主はたった今ビルドが突っ込んできた事によりぶち破られたドアの外を指差しており、その先では体育館に向かって進行してくるスクエアスマッシュとガーディアンの姿が確認できた。

 

「あれってガーディアン⁉」

 

「うそ・・・何で怪物と一緒にこっちに来てるの⁉」

 

 瞬時に人々を恐怖と混乱の渦が飲み込む。

 逃げようとする者、危険だと言ってそれを制止する者、その場で泣きだす者。ほんの直前までこれから始まろうとするライブへの期待で満ちていた体育館は、一瞬にして混沌渦巻く場と化した。

 

(どうする・・・・・・どうする・・・・・・⁉)

 

 多くの人間に仮面ライダーを認知されてしまった焦りもあり、被害を抑えたままこの事態を収束させる方法が思いつかない。

 ライオンクリーナーのままでは使える手が限られるし、ラビットタンクに至っては対抗手段がない。

 

 せめて空中を飛ぶことが出来たら・・・・・・

 

(・・・・・・ん? 飛ぶ・・・?)

 

 ふと数日前の出来事を思い出し、腰から下げたホルダーからオレンジ色のボトル―――タカフルボトルを手に取る。

 

 タカといえば鳥だ。そして鳥といえば?

 

「・・・はは・・・・・・まさかこんなところで役立つとは思わなかったぜ・・・松浦」

 

 その自問に答えを出すより早く手は動き、タカボトルと、もう既に判明しているベストマッチのボトルをドライバーに差し込む。

 

《タカ!》

 

《ガトリング!》

 

 

《ベストマッチ‼》

 

 

 駆け出してはレバーを回し、橙色と灰色の装甲を形成。

 

《Are you Ready?》

 

「ビルドアップ‼」

 

 姿を変えた新たなビルドの背中から、翼が広がる。

 

 

《天空の暴れん坊! ホークガトリング! イエエェェェイ‼》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これを・・・」

 

 校舎外れの倉庫。

 降りつける雨に濡らした肩を揺らしながらその中へと駆け込んだ黒澤ダイヤは、ほこりを被って鎮座していた予備電源の発動機に手を掛けた。

 

「ふっ・・・うぅん・・・!」

 

 体育館の電源へ繋がるようコードを接続し、力いっぱいに発動機のエンジンを作動させる。

 数秒の後にぶるる、と重い音と共に震えはじめた機器を見て、ダイヤは安堵したように息をついた。これで数分もすれば電機は戻るだろう。

 

『へぇ・・・・・・何だかんだ言って後輩想いじゃねーか・・・』

 

「っ・・・?」

 

 妙に馴れ馴れしい声が耳朶に触れ、振り返ってはいつの間にか背後に現れていた紅い影を睨む。

 

『いや・・・、それも妹のためか? まあ今はどうでもいいか』

 

「・・・どちら様・・・・・・ですの?」

 

『ブラッドスタークだ・・・・・・今後、お見知りおきを』

 

 ぺこりとお辞儀をしてみせるスターク。

 至って紳士的な振る舞いのはずなのに、その所作一つ一つからは形容しがたい気味悪さが滲み出ていた。

 

「・・・それで、わたくしに何か用でもございますの?」

 

 嫌な脂汗を浮かばせながらも、決してそれを態度には現さずにダイヤはスタークへと探りを入れる。

 

『あんまり時間もないんでな。手短に用件だけ伝えておくぞ・・・・・・・・お前、俺達と手を組むつもりはないか?』

 

「はあ・・・?」

 

 予想だにしていなかった動機に思わず声が出る。

 

「・・・理由をお伺いしても?」

 

『なーに、ただの親切心だよ。政府に逆らってまで町民の生活を守ろうとするお前等の姿に俺ぁ感動してなぁ』

 

 その言葉が嘘である事、そして狙いは別にある事は考えるまでもなく分かった。

 今注目すべきなのはスタークがある程度黒澤家の内情を理解しているという事だ。

 

「お断りしますわ。生憎、貴方のような如何わしい方の話になど聞く耳を持ち合わせてはいませんので」

 

 当然だがまず表には出ない情報だ。それを知っているとなれば怪しげな立場にあるのは確実。

 そんな奴の言う提案を飲み込むわけにはいくまい。

 

『はは・・・・流石は黒澤家・・・・・・その辺はしっかり教育されてるみてぇだな』

 

 ダイヤの答えを聞き、スタークは面白そうに笑う。

 

『でもいいのか? 今のまま事が進めばいずれ東都政府はもっと大胆に動いてくる。お前の妹が本格的に巻き込まれるのも時間の問題だろうよ。・・・・・・妹を、黒澤ルビィに自分と同じものを味わってほしくないんだろ・・・?』

 

「っ・・・⁉」

 

 猛烈な悪寒が背筋を伝った。

 どうして黒澤家の事はおろか、誰にも漏らした事のないダイヤの心境までも把握しているのだろうか。

 

「・・・貴方どこでそれを・・・!」

 

『そいつに答えるのはお前が俺の提案を飲んでからだなぁ・・・・・・それで、どうする?』

 

「っ・・・! 答えは変わりませんわ! 早く消えなさい‼」

 

 泣きそうになる程気味が悪くて、柄にもなく荒げた声をスタークに浴びせかける。

 だが交渉が決裂し、ダイヤに拒絶されてもなおスタークの態度が崩れる事はなく、むしろ心底愉快そうに笑いを漏らす。

 

『クク・・・・・・まあいい。その内お前の方から俺に頼み込んでくるだろうからなぁ・・・・・・・・チャオ♪』

 

 発生した黒霧がスタークの身体を包み込み、次の瞬間には影も形もなく紅い身体は消え去っていた。

 

「・・・・・・ルビィ・・・」

 

 話し声が消え再び雨の音が満たした倉庫の中に、今の今まで奴がいた場所を睨みつけるダイヤの声が溶け込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《10! 20! 30!》

 

 高速で空を舞うビルドの手元で、先日開発した片手銃型の機関砲―――ホークガトリンガーが唸りを上げる。

 その下方では直接攻撃が届かなくなったガーディアンとスクエアスマッシュが銃弾だったり謎の立体物だったりを飛ばしてくるが、新たなビルドの形態の方がはるかに速い。

 

《40! 50! 60!》

 

 ホークガトリンガーに備わったリボルマガジンを回転させ、エネルギーを充填。同時に呼応するようにして出現した球状の数式が二体の敵を取り囲む。

 

《70! 80! 90!》

 

「勝利の法則は・・・・・・決まった!」

 

《100! フルバレット‼》

 

 そしてこれで100―――チェックメイトだ。

 

「喰ら・・・・・・えッ‼」

 

 急降下、そしてトリガーを弾き、直後に吹き荒れた銃弾の嵐が360度各方位に飛散する。

 

『ァァッ・・・アアアァァァァッ・・・・・・!』

 

『――――――ッ!』

 

 合体し巨大な体躯となったガーディアンは勿論の事、あれ程の量の銃弾をぶっ放せばスクエアスマッシュだってハチの巣になるのは免れない。

 地表に着地したビルドが背を向けた次の瞬間、巨大な爆発音が雨音を吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――ダイスキだったらダイジョウブ!

 

 

 

 煌びやかに輝くステージの上で三人の少女が舞い、不安に押しつぶされていた観客たちの顔に笑みが戻る。

 

 電気が復興した直後、今からライブをやると体育館中に声を響かせたのは千歌だった。

 思わぬアクシデントや恐怖に襲われたが、せめて最後くらいは笑顔で帰って行って欲しい。そんな彼女の願い。

 

「・・・・・・」

 

 妹のように接してきた千歌の誇らしい姿を見ても、心は一向に晴れる気配を見せない。

 むしろ同じように楽しめていたあの時までの日々の記憶が呼び起こされ、余計に辛くなるだけだった。

 

「・・・鞠莉・・・・・・」

 

 目を背けるように体育館から離れた果南の零した小さな声。

 呟いたかつての親友の名は、誰に聞こえる事もなく歓声の中に消えていった。

 

 




1stライブとは一体……
そしてダイヤさん大丈夫だよねこれ…

とりあえず全部スタークのせいって事で(オイ)

それでは次回で―♪
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