ラブライブフェス、素晴らしかったじゃないそうですかー……
ぜーんぶこの話でぶっ壊しに行くんでご覚悟を
追加されたタグでお察しかと思いますが苦手な方はプラウザバックを推奨します
《天空の暴れん坊! ホークガトリング! イエェェイ!》
『ウアァァァァッ!!』
上空から理性のないバーンスマッシュ…及び小原鞠莉と距離を取りつつ、必死に思考を巡らせる。
消えかかる身体をものともせず・・・・・・いや、己が消滅しかけていることすら認知できないのだろう。熱量を増した火球は放つたびに肉体の綻びを加速させ、その命を削っている。
早急に手を打たなければ文字通り彼女の命が燃え尽きてしまう。
『・・・言っただろ、何をやっても無駄だ。そいつはもう助からねぇ』
「元はといえばテメェのせいだろ!!」
戦兎の考えを見透かしたスタークが地上から突きつけてくる現実。
元凶であるくせに平然と始末を促そうとするそのふざけた態度ごと打ち抜こうとホークガトリンガーの引き金を振り絞るが、銃弾は尽くスチームブレードによって弾かれてしまう。
『ったく、頑固だねぇ・・・』
「うるせぇ! 見殺しになんてするわけねぇだろうが!」
・・・しかし、その言葉を否定できないのが事実。
ガスを注入された人間がスマッシュ化するのは、細胞を異様に活性化させるガスの成分が細胞分裂を引き起こすから。
身体が消滅を始めるということは異常速度で分裂を繰り返した細胞が死に絶えているということ。ハザードレベルの低い者が死に至るのも同じ原理だ。
つまりスタークの言う通り今更ガスを抜いたところで死んだ細胞は蘇らないし、消滅も止まらない。
助からない。いくら感情が否定しても理性がそう考えてしまう。
『仕方ねぇ。自分で出来ないってんなら俺がやってやる』
《ライフルモード》
《コブラ!》
絶対に答えなどでない模索の中で葛藤する戦兎を嘲笑うようにして、スタークは再度二つの武器を組み合わせたライフルを手に取った。
その銃口が向けられた先は勿論―――、
『せめて・・・・・・一撃で死なせてやらねぇとなァ…』
《スチームブレイク!!》
「っ・・・! やめろ!」
トリガーが引かれ、おおよそ銃弾とは思えない大きさのエネルギー弾が放たれる。
咄嗟に撃ち落としに掛かるが、チャージすらしてないホークガトリンガーではとても威力が足りず焼け石に水にもならない。
なら、もう既にバーンスマッシュの眼前にまで迫っているそれを直撃させない方法は―――、
「ぐっ・・・・・・ああぁぁぁぁッッ・・・・・・!!」
自ら盾となったビルドの身体が派手に吹き飛び、地面をバウンドしながら転がるうちに変身は解除されてしまう。
軋む身体に鞭打って上げた視線でバーンスマッシュにダメージが及んでいないことを確認して安堵しつつ、同時にスタークの次の動向に警戒心を巡らせる。
『・・・無駄だと言ったはずだぞ?』
ビルドの装甲がない現状ではスタークに対抗する手段は皆無に等しい。
そんなことは奴も分かっているのか、再度防ぎようのない大技のチャージに入り―――、
―――それを遮るようにして緊張感のない軽音楽のメロディが静かな朝焼けの浜辺に舞い降りる。
『チッ・・・、もうそんな時間か・・・』
何か不都合な連絡事でもあったのか。
ライフルに集約していたエネルギーは突如霧散し、手に持ったそれをトランスチームガンへと持ち替えたスタークは舌を打って悪態付く。
『・・・残念ながら俺の出番はここまでらしい。あとはお前等の好きにしろ。チャオ』
黒煙が紅い身体を包み、スタークの身体をどこかへと転送させる。
一番の脅威は唐突に去っていった。しかしその事に安堵するでも理由を探るでもなく、戦兎は自身が庇った黒い怪物へと意識を向けた。
『ウ・・・アァァァァ・・・・・・!!』
スタークがいなくなったからと言って鞠莉の状況が好転する訳ではない。
当の本人は消える自分の身体を認知もせず、スマッシュとしての本能に従って視界に入る者を攻撃せんと火炎を噴出し続ける。
「鞠莉ッ!」
バーンスマッシュが戦兎を視界に定め、一歩、また一歩と距離を縮める。
そしてその射程圏内に入っただろうというその時、進行を阻むようにして立ち塞がった少女の青い髪が揺れた。
「松浦・・・・・・、何やってんだお前さっさと離れろ!」
「やだ」
戦兎の忠告をバッサリ切り捨て、果南は真っ直ぐバーンスマッシュを見つめる。
「・・・ごめんね、鞠莉」
強情にその場から動こうとしない彼女の口から出たのは、今までの鞠莉に対する態度からは考えられない謝罪の言葉。
「・・・たぶん私、逃げてただけなんだ。気持ちを蔑ろにされたのを受け入れたくなくて、私の知らない鞠莉になっていくのが怖くて」
その心情は今まで誰にも吐露してこなかったもの…いや、彼女自身も自覚したのは最近なのだろう。
その言葉の通り、今までの果南は鞠莉と向き合おうとしなかったから。
「もちろん許したわけじゃないよ。でも、そうやって逃げ続けてきた結果がこれなんだよね」
鞠莉の暴走がパンドラボックスの光の影響なのも、果南がそのことを知らなかったのも事実だ。
けれどその根幹にあるのは二人の間に生じた亀裂や、それでも断ち切れなかった慕情。光はあくまでもそれに拍車をかけたに過ぎない。
「もう逃げないよ。ちゃんと向き合って、その上で鞠莉にわかってもらう・・・」
じわりと、青紫色の瞳の端に雫が滲む。
「・・・・・・だからもう一回くらい、本当の鞠莉と話させてよ!!」
その叫びが鞠莉に届いたのか、それは定かではない。
けれどそれに対する返答は、残酷なものだった。
『ウウゥ・・・・・・! アゥァァ・・・・・・!』
「松浦ッ!」
バーナーの先端で燻ぶった炎が肥大化してゆく。
スタークによって過剰強化された熱量は、やがて咄嗟に果南に覆い被さった戦兎に向けられ―――、
『アアァァァァァァァァッッ・・・・・・!!』
―――バーンスマッシュ自身へと炸裂した。
「っ・・・!?」
「え・・・?」
暴発か。一瞬そう思うも、バーンスマッシュは発炎器官で生成させる火球を次から次へと自身の身体へとぶつけてゆく。
その姿はまるで、自分自身を攻撃しているようで・・・。
「なんで・・・・・・?」
普通、スマッシュになれば自我は失われ、目に映るものすべてを攻撃するキリングマシーンと化すはずだ。
それなのに、果南を傷つけまいとでも言うかのように自分を傷つけている。
「・・・お前の声、届いたのかもな」
「え・・・?」
科学的根拠も物理的証拠もどこにもない。けれど確信はあった。
『アァ・・・ウゥ・・・・・・!』
「・・・・・・分かったよ。それがお前の…」
自傷行為で更に己の命を削るバーンスマッシュを前に、決意を固める。
ゆっくりと立ち上がるとその手に赤と青のボトルを手に取り、いつの日かの記憶に想いを馳せた。
「・・・・・・どうする気?」
「最初と変わんねぇよ。ガスを抜いて元の姿に戻す」
淡白に答えたその横目で、果南の顔が驚愕に染まるをが伺えた。
それもそのはずだろう。現状その措置は、鞠莉の命を諦めるということを意味するから。
「なんで・・・? それじゃ鞠莉が・・・・・・」
「・・・だったらこれ以外に今打つ手があるか?」
「それは・・・・・・、でもっ――――」
「見つかるかも分からん方法を探して時間を食い潰すか、ガスを抜いて少しでも元の姿でいられる時間を延ばすか・・・・・・どっちが合理的かなんて考えればわかるだろ」
果南も先程までの戦兎と同じ。理屈は理解していても感情がそれを邪魔しているのだろう。
感情は時に判断を鈍らせる。今この場においては猶更だ。
「・・・命を救えないなら、せめてあいつの心くらいは救ってやりたい」
無論戦兎だって鞠莉のことを助けたい。けど、あそこまで進行してしまっていては例え消滅を止められたとしても、恐らく助からないだろう。
だったらせめて元の姿に、元の鞠莉に戻してやりたい。
それが彼女に救われた身として出来る、最後の恩返しだ。
「・・・お前だって本当の鞠莉と話したいんだろ」
「・・・・・・違う・・・! そんな理由で言ったんじゃない!!」
「・・・分かってるよ。だから、俺を恨みたいなら恨め」
《ラビット!》
「でもこれだけは忘れるな。この事でお前が自分を責める必要なんてねぇ・・・・・・全部、俺のエゴだ」
《タンク!》
ビルドドライバーに装填したのは赤と青、ラビットボトルとタンクボトル。
今の自分を形作った全てであり、彼女と一緒に初めて見つけた―――、
《ベストマッチ!》
いつになく重く感じるレバーがこれから成そうとしていることを物語る。
変身解除直後の再変身は負担が大きい。そんなことは気にもならないほどどうでもよかった。
《Are you ready?》
掛け声が遠く、反芻して聞こえるのは、きっと気のせいなんかじゃない。
今問われている覚悟は―――そういうことだから。
「・・・出来てるよ」
《鋼のムーンサルト! ラビットタンク! イエェェイ!!》
「―――ねえ、こんな所で何してるの?」
暗闇の中に差した、一輪の少女の表情。
記憶をなくし、この場所で目覚めた俺が、最初に認知したもの。
「・・・・・・誰だお前・・・」
「私? 私は鞠莉だよ? 小原鞠莉。あなたは?」
どうしてこんなにも元気なのかと鬱陶しさすら感じつつ、どこか眩しくもあった。
過去の記憶など無かったはずなのに、屈託なく笑うその笑顔は、自分と対照的に思えた。
「俺は・・・‥俺は・・・・・・?」
「・・・覚えてないの?」
何かないかとボロボロの服をまさぐってみるも、出てきたのは後に例のドライバーのデータが発見されたUSBメモリと、二本のボトル。
ポケットから転がり落ちた赤と青のそれを拾った彼女は、それらに刻まれた意匠をまじまじと見つめて何やら唸り出す。
「ウサギと・・・戦車・・・・・・? う~ん・・・・・・」
こんな事をしている場合じゃない。こうしている間にも、自分の中の何かが、失ってはいけないものが零れて落ちてしまう。そんな感覚が身体の底から湧き上がってくる。
けれど―――、
「・・・じゃあ戦兎! 戦兎って呼ぶね!」
温かい。
確かに、そう思った。
何故今になって思い出すのか。
走馬灯、ではないのだろうが、そんなものよりよっぽどタチが悪い。
《Ready Go!》
無数の数式と共に展開したX軸のグラフで拘束したバーンスマッシュを跳躍した上空から見下ろす。
何時もは一瞬の内に過ぎ去るはずのこの時間が、今は永遠にも感じた。
むしろ永遠であって欲しいとすら思う。
この時が進まないなら、あの思い出は綺麗なまま変わらないのに。
進んでしまえば、自分は自らこの思い出を壊す事になるから。
―――じゃあ戦兎! 戦兎って呼ぶね!
・・・やめろ。
―――聞いて戦兎! 私ね、スクールアイドル始めたんだ!
やめろ。
―――仮面ライダービルドかぁ・・・・・・じゃあ戦兎は正義のHeroって事だね!
こんな時に・・・・・・流れてくるな。
《ボルテックフィニッシュ!!》
「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!」
魂の叫びも、拭い切れない悔恨も、何もかもを乗せて一撃は炸裂。
爆炎の中で崩れるバーンスマッシュを確認すると急いでエンプティボトルを取り出し、その開閉口を彼女へと向けた。
「・・・鞠莉ッ!」
倒れこむ鞠利を抱きとめる果南。
しかし鞠莉が元の姿に戻ったことに安堵する様子はなく、むしろ光と共に綻んでゆく彼女を見て言葉を失ってしまう。
「・・・か、なん・・・・・・」
そんな果南の頬に、文字通り今にも消えそうな鞠莉の手が触れる。
途切れ途切れのか細い声で何かを伝えようとする彼女は、消えかかる身体に反しどこか憑き物が取れたようにも見えた。
「・・・ごめん、ね・・・」
人体実験を受け、仮面ライダーとなれた者はパンドラボックスの光の影響を受けなくなる。
二度に渡る人体実験に、それに伴う大量のガス投与。ビルドである戦兎以上にネビュラガスを浴びた彼女には、擬似的だが仮面ライダーと同じ作用が働いたらしい。
つまり今の鞠利は正真正銘、偽りも歪みもない本当の彼女。
「・・・・・・私のワガママで、迷惑かけて・・・」
「・・・・・・そうだよ。いっぱい悩んだし、ずっと苦しかったよ・・・」
だが現実は皮肉だ。ようやく光の鎖から開放され、真の意味で再開できた二人のすぐ隣にまで迫っている別れ。
鞠利は既に事を悟って受け入れている様子だが、果南は認めない。認めたくないと言ったように俯いたままでいる。
「なんで・・・? やっと元の鞠利が帰ってきたのに・・・・・・また前みたいにって思ってたのに・・・・・・なんで・・・・・・!」
「・・・・・・ねぇ、果南・・・。初めてライブやった日のこと、覚えてる・・・?」
ポツリと零れた鞠利の呟きに、果南が下を向いたまま小さく頷く。
「・・・いつもかったいダイヤが小さな子みたいにはしゃいでるし、逆に果南は緊張して真っ赤っかだったし・・・・・・ほんとに楽しかった…」
輝いていた思い出を想起する鞠利の懐古は、同時に取り戻せない空白の二年への後悔も含むもの。
果南だってそう。その日々があったからこそ、この二年間の葛藤があっただろうから。
「あの日だけじゃない・・・・・・私は、果南とダイヤに会って、色んなことを教わったよ。世界が広いこと、友達といると、時間が経つのも忘れるほど楽しいこと。喧嘩の仕方に、仲直りの仕方・・・・・・・・・それが全部、全部楽しかった・・・」
鞠莉が幼少期から家柄に縛られた窮屈な生活を送っていたのは知っている。
そんな彼女にとって果南とダイヤは友であると共に、まだ見ぬ世界を教えてくれたヒーローでもあったから。
「・・・だから浦女がなくなることも・・・パパに無理矢理イタリアの学校に転入させられた時も・・・・・・本当に嫌で、辛かった・・・」
そんな純朴な想いは光の影響で歪み、鞠莉自身も抑えが利かなくなる程に暴走した。
けれどいくら歪もうとその根幹にあったのは、ただ一途な願い―――、
「・・・・・・二人と一緒に、卒業したかった・・・」
「・・・まさか・・・・・・それで・・・・・・?」
「・・・そんなモンなんだよ。パンドラボックスの光を浴びるって事は」
ゆっくりと首肯した鞠莉に続ける形で声を出した戦兎に二人の顔が向く。
果南の腕の中で灯の消えかかる恩人の、いやに穏やかな顔が、無力感と共に胸を抉った。
「・・・スマン・・・・・・今の俺じゃお前を救えなかった」
「・・・ううん・・・、ありがとう・・・」
こんなに透き通った鞠莉の笑みはいつ以来だろうか。
それが弱々しいものでなければ、こんな痛みは生み出さなかったはずなのに。
「・・・戦兎にも、いっぱいワガママ言ってごめんね・・・・・・ちかっち達にも伝えておいて・・・」
「馬鹿言え。俺も高海達も、お前がいたから前に進めたんだ。・・・・・・利用したとかされたとか、そんなん問題でもねぇ・・・・・・・・・感謝してるよ」
これも皮肉か。
普段口に出せない言葉は、こんな時になってようやく素直に伝えられる。
「・・・優しいね、戦兎は・・・・・・じゃあ、最後にもう一個ワガママ言っていい・・・?」
「・・・・・・内容による」
煮え切らない返答だったが、むしろ鞠莉はそれが満足だと言うかのように微笑む。
「・・・・・・ダイヤを・・・、助けて・・・・・・!」
「・・・黒澤を・・・?」
全く予期もしていなかった名前が挙がり、思わず首を捻る。
だが彼女を心配するように下がった眉を見れば、それが鞠莉の本心なのは分かった。
「・・・それどういう―――ッ・・・!」
訳を問おうと戦兎が身を乗り出したその時、光の粒子が舞う。
それが遂に存在が薄れ始めた鞠莉から上がったものと理解するや否や、果南はその身体を抱く腕に力を籠めた。
「鞠莉・・・・・・まりぃ・・・・・・!」
零れた雫が昇る光に触れ、弾ける。
果南の流す涙で濡れた消えゆく鞠莉の表情は、やはり穏やかで。
「・・・私は・・・、二人と会えて幸せだったよ・・・・・・」
輪郭の翳んだ手が伸び、果南の頬を伝う煌きを拭う。
その温もりすら消えかかっていることを感じたのか、果南は縋るようにもう透けて見えるほど薄れた鞠莉の手へと自分の手を伸ばした。
「・・・ねえ果南・・・。・・・もし、また会えたら・・・あの時みたいに三人で・・・・・・ううん・・・、今度は、戦兎が顧問で・・・あの六人とも一緒に・・・・・・」
すれ違い続けた二人がようやく重ねることの出来た手が、その直後に泡のように消えてゆく。
最期に光を取り戻したマリーゴールドの花は、輝くような笑顔を咲かせ―――、
「・・・・・・スクールアイドル・・・やろうね・・・・・・・・・!」
魂の蛍火が虚空に霧散する。
完全に消滅した鞠莉の面影を求めるように果南が光へと手を伸ばすが、彼女が手の中に何かを掴む事はなかった。
「・・・ぅ・・・ぁあ・・・・・・ああっ・・・・・・!」
決壊した堤防を押し止める気力すらへし折れ、蹲って嗚咽を漏らす果南から思わず目を逸らす。
水平線から昇った太陽が光を差し、町を明るく彩る。
しかしこの場に蟠った暗雲が晴れる事はなく、何時迄も土砂降りの雨を降らせ続けた。
胸糞悪いものを見せてしまい申し訳ございません
一応言っておくと今後も似たような展開が少々…()
完全に自己満足なので無理な方は全然読むのを止めて頂いて大丈夫です…や、ほんとゴメンナサイ
それでは