Build The Sunshine   作:がじゃまる

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前回の話が原因で他のラブライダー作家さん方にめっちゃ怒られた人です
だが私は謝らない()


二十五話 模索するトゥルー

 

 

「今何個くらい?」

 

「七十くらいかな・・・、まだまだ必要ね」

 

歯車が欠けても、絶えず日常は続いてゆく。

戦兎の傷心など周りは知る由もない。今日も今日とてスクールアイドル部は次のライブの準備だと言い何やら大量のランタンと思しきものの工作に勤しんでいる。

 

「ていうか! 先生も見てないで手伝ってよ!」

 

「知るか。お前等が勝手に始めたことだろうが」

 

毎年の恒例行事である美浜の清掃をしていた際に決まったことらしいが、その裏で起きていた悲劇を・・・・・・いや、そもそも彼女達は鞠莉が死亡したという事実すら知らない。

生徒に混乱を与えないために理事長が退任したということで公表する。それが運営側の決定だった。

 

「そもそも前もって連絡したのに来なかったの先生だよね? 梨子ちゃんも遅刻してくるし、纏まりないなぁ・・・」

 

「集合時間伝え忘れて当日電話で起こしてきたのそっちでしょ!?」

 

もしその一件がそのまま彼女達に伝えられていたならば、このライブ自体が中止となっていたかもしれない。

無論そんなことは鞠莉も望んではいないだろうが…何かこう、モヤモヤする。

 

「ちーか!」

 

「あ、むっちゃん! 皆もどうしたの?」

 

「この前言ってたライブの準備してるんでしょ? 私達も手伝おうかなーって!」

 

「ほんと!?」

 

極力静かにしていたい戦兎の望みに反し、いつの間にか集まってきた他生徒により借りていた空き教室が騒がしくなってくる。

 

「・・・ああもう・・・・・・、お前等で勝手にやれ」

 

この機に乗じ教室を出た戦兎が去り際にぽつりと零す。

いつもに増して気だるげに見えるその瞳の奥に隠した哀愁に気づく者は、ここにはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「三海先生!」

 

「・・・・・・今度はお前かよ・・・」

 

探していた背中を見つけ、黒澤ダイヤは他生徒の模範となるべき立場も忘れてその傍へと駆け寄った。

振り返ったのは三海戦兎。この学校においては最も彼女に近しいであろう人物だ。

 

「・・・何の用だ? 生憎お前の大好きな説教されるようなことした覚えはないぞ」

 

いつもの勢いがない減らず口に確信する。

睨んだ通り、この男は何かを知っている。

 

「聞きたいことがあるんです。今朝の鞠莉さんが理事長を辞めた、という話、わたくしにはどうも納得のいかないことでして。・・・先生なら何か知っているかと」

 

「・・・・・・納得も何も、今朝伝えられたとおりだよ」

 

一瞬迷うように皺を作った後、抑揚のない声でそう言う戦兎。

 

「では鞠莉さんが自らここを離れたと?」

 

「・・・まあ、そんなとこだ」

 

違う。そんなはずがない。

パンドラボックスの光の影響を受けている鞠莉が、こんなところで折れるはずがない。

 

「なら・・・、今鞠莉さんがどこにいるかだけ教えて頂いても?」

 

「・・・海外だ海外。アイツの親父さんが薦める大学行くにゃ向こうの大学で卒業しなきゃいけないらしくてな」

 

とはいえあまり食いつきすぎると逆にこちらの立場を悪くすることになる。

そう思い一度緩急を挟んだが、口達者な戦兎にしてはあまりにも歯切れの悪すぎる回答が逆に疑念を煽った。

 

何か人に言えないことが鞠莉の身に起こった…恐らくはそういうことなのだろう。

 

「わかりましたわ。お時間頂いてしまい申し訳ございません」

 

戦兎に対する詮索は避けたほうがいい。そう判断し、辞令もほどほどに早々と立ち去る。

こうなってくるとスタークが一枚噛んでいるのは間違いない。一度ファウストへ行って確認を・・・・・・と、携帯を取り出せばその途端に最近登録したアドレスからの連絡が入った。

 

「・・・京香さん・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――シャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカ!

 

「・・・特に変な感じはしなかったけどな・・・」

 

研究室の椅子に腰掛け、鞠莉の最期の願いの意味を模索して思考を巡らせる。

ダイヤを助けて。その言葉の裏にあるものは―――、

 

―――シャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカ!

 

実際に今日顔を合わせてみたが、特にこれといった違和感は覚えなかった。

若干詮索に熱が入っていた気がするも、それは幼い頃からの付き合い故がさせたものだろう。そう思うと嘘をついてしまったことに罪悪感を禁じ得ない――、

 

―――シャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカ!

 

「・・・・・・」

 

・・・戦兎の知らないところで一体二人に何があったのか。

それを知ることが鞠莉への恩に報いるカギに――シャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカ!

 

「だあああああああああシャカシャカうるせぇ!!! いつまでボトル振ってんだお前は!」

 

流石に我慢がいかなくなり耳障りな音の出どころへと怒声を上げる。

しかしその発生源である松浦果南(ボトルシャカシャカマシーン)は耳を傾ける様子すら見せず、ただただ虚ろな目でボトルを振り続けるばかりである。

 

「ゲシュタルト崩壊するわ! そもそもなんでここで振ってんだ家で振れ! なんだ嫌味か? 俺への嫌味なのか!?」

 

果南の手にあるボトルは先日鞠莉が死に至る切っ掛けとなったバーンスマッシュから摂取した成分を浄化したものだ。

バーンスマッシュから生成された以上あのボトルは鞠莉自身のようなものだし、戦闘に用いるのもあれな気がしたので果南に預けようとここに呼んだのだが……見ての通りこの有様である。

 

「・・・・・・なんで先生はそんな元気なのさ。鞠莉のことどうでもよかったの…?」

 

「んな訳ねぇだろが馬鹿。ただ今はまだその時じゃねぇってことだ」

 

「・・・何言ってんの?」

 

ようやく口をきき始めた果南の言葉が刺々しいのは鞠莉の件で相当気が滅入っている証拠だろう。

直接彼女を死に至らしめたのはスタークとは言え、鞠莉がそのスタークと結託した原因は自分にもある。

 

そんな感情が廻りに廻って行き場をなくし、誰にぶつけたらいいのか分からなくなっている。そんな様子だ。

 

「まだ鞠莉の願いを叶えられちゃいねーし、スタークの野郎もぶちのめせてねぇ。悲しむのはそれを全部終わらせてからだ・・・・・・でないとアイツに顔向けできねぇ」

 

まだ命を救う方法があったかもしれない中、リスクの回避と心の救済を優先し、結果的に鞠莉を手にかけたのは紛れもない戦兎自身だ。

そんな自分がまだ何も果たせていないのにくよくよするなど……許されるはずがない。

 

「・・・大体、俺は鞠莉のおかげで今日まで生き繋げられてんだ。悲しくないわけねぇし何ならお前よりずっと悲しんでるわ」

 

「・・・比べるものじゃないじゃんそんなの。それに私は先生より鞠莉と付き合い長いんだから」

 

「張り合ってんじゃねーか。付き合いが長い如きで偉そうに語るな不登校児俺のが上だ」

 

「休学してるだけって言ってるじゃん! ていうか私だってずっと鞠莉のことで悩んでたんだから私のほうが上!」

 

「へーへーそうかよ。・・・・・・で、随分と威勢がよくなったがちったぁ元気になったのか?」

 

口論の間に身を乗り出していた果南がはっと気づいたように顔を赤く染める。

そしてそこで戦兎の意図を理解したのか、怒り半分自責半分といった様子でもごもごと口を動かした。

 

「・・・・・・ごめん・・・」

 

「気にすんな。・・・・・・それより今は黒澤だな」

 

戦兎が表情を引き締めなおすと、つられて果南も背筋を伸ばす。

 

「救うも何もアイツらに何があったのか全然分からなくてな。お前なんか知らないのか?」

 

「・・・全然。スクールアイドル辞めてからあんまり話さなくなってたし、休学してからは顔合わせるどころか連絡も取ってない」

 

「・・・通りで俺に家庭訪問させた訳だわ・・・。・・・そういや、鞠莉が無断でスクールアイドル辞めて海外行ったときはどんな顔してたんだよアイツ」

 

「結構あっさりしてたよ。そりゃ最初は戸惑うなり怒るなりしてたけどさ、ちょっと経ったら何も言わなくなってた」

 

真面目なダイヤのことだしてっきり激怒したものかと思っていたが、案外そうでもなかったようだ。

思えばダイヤもあの黒澤家の長女、鞠莉と程度は違えど立派なお嬢様なのだ。恐らく小原家の事情をなんとなく察していたのだろう。

 

「・・・そうなると直接的な原因はそれじゃないんだな」

 

まあ不貞腐れてた果南と違い普通に鞠莉とやり取りを交わしていた時点で薄々その線はないと分かっていたが・・・・・・だとすれば何が・・・。

 

「鞠莉の奴肝心なとこ言いやがらなかったからな・・・・・・」

 

「もうそんなこと言っても仕方ないでしょ・・・」

 

零す愚痴も意味をなさない。もう鞠莉に真実を聞くことなど不可能なのだから。

 

「仕方ねぇ。とりあえず当たれるだけ当たってみるか・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまないな。学業もあるだろうに呼び出してしまって」

 

「いえ・・・、わたくしもこちらに顔は出そうと思っていたので……それで急用とは…?」

 

京香からの呼び出しを受け、急ぎトランスチームガンでファウストへと移動。

そこでは京香以外にも紫苑が待機しており、目当てのスタークこそいなかったものの何やら重大な案件があることは雰囲気から感じ取った。

 

「ああ。その件なんだが、君には仮面ライダービルドからボトルを回収してきてほしい」

 

「ボトルの・・・、回収?」

 

「そ、このパンドラパネルに填めるためのね」

 

 そう言う紫苑の右手には数本のボトルが填められた幾何学的な文様のパネル。

 精巧な作りであるものの人工物とも思えないそれはパンドラの名を冠していることも相まって本能的な戒心を呼び起こす。

 

「・・・パンドラ・・・? 一体何のために・・・」

 

「決まってんじゃん。パンドラボックスを開けるためだよ」

 

「はい・・・?」

 

 思わず耳を疑った。

 巨大な壁を出現させ日本列島を分断してしまう程の未知のエネルギーを秘めたパンドラボックス。それを開けようというその発言は到底信じられるものではなかった。

 

「待ってください。パンドラボックスを開ける・・・? 閉じられた状態でもスカイウォールを出現させるような箱をですか!?」

 

「君の考えは分かる。だが逆に考えれば、制御さえできればあのスカイウォールをどうにかできる可能性がある・・・という事だ。我々としても可能性の幅は広げておきたいのでな」

 

 その方法が判明するまではパンドラボックスを開けるつもりはないと続ける京香。

 

「・・・それにだな。制御できる状態のパンドラボックスが手元にある・・・・・・これだけで他国に対する大きな抑止力になる」

 

 ファウストは正規ではない軍事組織だ。その上人々を拉致しスマッシュに変えるような真似をするような真似が政府に露呈すればまず間違いなく潰される。

 その時にパンドラボックスがあれば他国の軍事介入を抑えることが出来る・・・そういう事なのだろう。

 

「・・・目的自体は理解しましたわ。ですがどうやって仮面ライダーと接触すれば・・・・・・」

 

「ああ、その辺はあたし達がやるから気にしないでいいよ。ダイヤちゃんはビルドが現れたらボトルぶんどってきちゃって~」

 

 力は貸してあげるといって紫苑から二本のボトルが投げ渡される。

 

「期待してるよー。ダイヤちゃん♪」

 

 その笑みの裏に隠された真実を、この時のダイヤはまだ知る由もなかった。

 

 

 




悲しむ間もなく次の事件が起きようと……
果南がシャカシャカしてたボトルは言うまでもなくアレですね



特に語る事ないのでそれでは次回で
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