Build The Sunshine   作:がじゃまる

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戦兎「てぇんさい物理学者の三海戦兎の住む東都の街で、スマッシュと呼ばれる謎の怪人が市民を脅かしていた。そこに現れたのは我等がヒーロー、仮面ライダー!」

鞠莉「自分で天才とかヒーローとか痛いと思わないの? ただの記憶喪失の無職でしょ? 何学者名乗ってんのよ」

戦兎「うっさいよ。てかなんだこれ、ビルド本編のアバンちょっと弄っただけじゃんか。ちゃんと考えなさいな」

鞠莉「仕方ないでしょ。今作者が劇場版の余韻で語彙力と思考力失ってるんだから」

戦兎「メタい。ネタがメタいよ。・・・・・・まあとにかく、そんな天才でありヒーローである俺は、心ない成金金髪娘によって無理矢理教師に就職させられそうになっているのだった・・・。さあどうなる第三話!」

鞠莉「・・・・・・あとで覚えときなさいよ(素敵な微笑み)」


三話 教師なヒーロー

 

 ―――――――チーン!!

 

 散らかった薄暗い部屋を満たしていた静寂が突如打ち壊され、同時に部屋の奥に設置されている巨大な装置の小窓から一本のボトルが姿を現す。

 

「おおおぉぉぉぉ~~・・・・・・!」

 

 遅れて装置の扉が開き、中から興奮した様子の青年が飛び出してくる。

 そして煙の立ち昇る小窓からボトルを取り出すや否や、気持ちの悪い声で歓声を上げた。

 

「ほほほ・・・・・・! 最っ高だな!」

 

 ぴょこ、と跳ねた髪の毛を直そうともしない青年―――三海戦兎は小躍りしながらまじまじとボトルを見つめる。

 ボトルには無数の棘を生やした小動物のような意匠が刻まれており、更に好奇心が沸き立つ。

 

「ハリネズミか・・・。今度はどんな能力が使えるんだ・・・・・・⁉」

 

「朝からGood feelingだね~♪」

 

 早速試してみようと思ったその時、耳に滑り込んだ声が一つ。

 視線をずらせば、昨日この東都に戻ってきた金髪の少女が笑みを作って佇んでいた。

 

「おぉ~、鞠莉か。丁度いいとこに来たな。見てくれよこれ!」

 

「Oh! これがスマッシュの成分を浄化したっていうボトル? 綺麗なWhiteデース!」

 

 手に取ったハリネズミフルボトルを興味深そうに眺める鞠莉を見て、自慢気に胸を張る戦兎。

 

「どうよ! この俺の発・明・品!」

 

 スキップするように装置の前へ移動し、手を掛ける。

 自身の表情が相当気持ちの悪いものになっている事にも気付かず、戦兎は続けた。

 

「この装置でスマッシュから検出した成分を浄化して、ボトルにすることが出来る。そして・・・」

 

 白い筐体に恍惚とした視線を注いだ後、机の上に置いてあったビルドドライバーを手に取り、鞠莉に見せつけた。

 

「そのフルボトルを最大限に活かせるのがこのライダーシステム! 俺のはt―――」

 

「発明品でしょ? ちょっとBragがしつこいよ。ていうかその話何回目?」

 

 呆れたようにハリネズミフルボトルを投げ返される。

 慌ててそれをキャッチした後、戦兎は子供のように膨れて返した。

 

「いいじゃんかよ。いい発明品は何度自慢したって悪くはならないんだし。それを発明した俺の頭脳は、もっと評価されてもいいと思うのですよ」

 

 とは言うが、戦兎がやったのは偶然手にした設計図を形にしただけ。それも劣化版として。

 元の設計図にはもっと高性能なドライバーのデータが記載されていたのだが、とても地球文明の技術で再現できる物ではなかった。ビルドドライバーはその模造品だ。

 

 その設計図の元となったドライバーの原品もどこかにあるはずなのだが・・・・・。

 

「まあいいや。とにかく浄化も終わったし、俺は寝るわ。おやすみ~」

 

「Waitだよ戦兎」

 

 心地の良い疲労と共に布団の中に入ろうとした戦兎を鞠莉が制止する。

 邪魔をするなと非難の視線を向けると、逆にお前が何やってんだと目を細められてしまう。

 

「戦兎は今日からうちの学校の教師でショーウ? もたもたしてると通勤初日から遅刻だよ?」

 

「あ・・・・・・?」

 

 手放しかけていた意識が急速に戻ってくるのを感じる。

 記憶の泥濘の中から心当たりのある節を探すと、昨夜の鞠莉との会話の内容が呼び起こされた。

 

「お前・・・昨日の今日で初出勤かよ・・・・・・」

 

「Off Course! 実は東都に帰って来る前から話は付けてたからね~」

 

「・・・・・・妙に手回りがいいなと思ったらそういう事か・・・」

 

 眠気が覚めていく一方で、途方もない倦怠感が湧き上がってくる。急に働けと言われてもスイッチが入る訳がない。

 無駄だとは分かっているが、せめてもの抵抗として戦兎は口を尖らせた。

 

「そもそも俺教員免許とか持ってないぞ? その辺どうすんだよ」

 

「No Problemデース! 免許ならもう発行済みだよ。小原家の力でちょちょいと・・・ね」

 

「オイ⁉ それを職権乱用って言うんだろ!」

 

「Shut up! あんまりウチの黒い部分に触れるとパパにDeleteされちゃうよ? それに能力から見ても戦兎なら問題ないと思うよ。ね? てぇんさい物理学者さん?」

 

 おだててその気にさせようという魂胆は丸見えだった。

 だがそれでも、日頃自画自賛ばかりの戦兎にとっては誰かに評価されるというのは嬉しいもので。

 気付けば、緩んだ表情と一緒に鼻の下は見事に伸びていた。

 

「へへへ・・・・・・しょうがねぇなぁ~・・・・・・。よっし! ここはいっちょ、てぇんさい物理学者改め、てぇんさい物理教師のこの俺、三海戦兎が天才の恩恵をもたらしてあげるとしますかね~」

 

「じゃあ、浦女の教師になるって事でいいのデースね?」

 

 途端に鞠莉の笑みに黒いものが滲む。

 だがすっかり気をよくしてしまっている戦兎はそれに気が付かず、上機嫌で首を縦に振ってしまった。

 

「まあ追い出されるのも困るし? 俺の才能を世間に知らしめるいい機会だしな。やってみますかね」

 

「Final answer.受け取ったよ」

 

 一瞬にして普段の輝かしい笑みに戻った鞠莉から何かが放り投げられる。

 手元に来たそれを確認してみると、戦兎の顔写真が印刷された証明書のようなものだった。

 

「それが戦兎が浦女の教師である証拠だよ。桐生センセ♪ 初出勤頑張ってね」

 

 そういうとひらひらと手を振り、戦兎の研究室から出ていこうとする。

 

「え? お前来ないの? 理事長なのに?」

 

「I`m so tired.スカイウォールのせいで国内外の出入りも楽じゃないんだから」

 

 スカイウォールの惨劇以降。日本の交通手段は大きく変わった。

 まず単純に領土が巨大な壁により分断されたため、既存の道路等はほぼ全て使用不可能に。

 壁の上部にも振れたもの全てを破壊する光の膜が展開されており、飛行機やヘリコプターも使用不可能。

 各地区から移動するためには船を用いて海路を進むか、スカイロードと呼ばれる壁の切れ目を利用するしかない。

 よって、鞠莉のように海外を行き来するのには多大な苦労が強いられるのだ。

 

「それに私の任期は明日からだからね。今日は戦兎一人で頑張って」

 

「あいっかわらずアバウトだなお前は・・・・・・まあいいや」

 

 呆れ気味にビルドフォンを取り出し、マシンビルダーに変形させる。

 

「バイクで海渡るの? 沈むよ?」

 

「そんなわけないでしょうが。スマッシュが現れる度に船使うのも何だしな。水陸両用に改造したんだよ。凄いでしょ? 最高でしょ? 天才でしょ?」

 

 再び自慢気に自身の功績を語ると手短に荷物を纏め、マシンビルダーに跨る。

 

「さあ、いざ浦の星女学院へ! レッツ―――」

 

「Goしないでね。自分の寝床吹っ飛ばすつもり?」

 

「・・・・・・そうでした」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・入れちゃったよ。マジで何モンだアイツ・・・・・」

 

 鞠莉に渡された証明書を見せるだけで今まで通りかかった事もない学校の門をあっさりと通過でき、安心しつつも驚愕する戦兎。

 改めて小原家の恐ろしさを実感しながらも、まずは鞠莉に言われた通り理事長室を目指す。

 

「・・・てか、任期今日までの理事長に挨拶して何になるんだ?」

 

 そうは思うが、分からないことだらけなのでここは言われた通りに従っておく。

 用務員の人に教えてもらった道筋を頼りに廊下を進むと、周りと違って多少豪華な造りになっている扉が目に入った。

 

「・・・ここか」

 

 すぐにそこが理事長室だと理解し、入室の許可を取るためにドアを軽くノックする。

 だが待てど暮らせど中から返答が帰って来る様子はなく、何度もドアを叩く音だけが孤独に霧散していく。

 

「なんだ? 任期最終日に理事長様が遅刻か?」

 

 先程自分が遅刻しかけていたことは全力で棚に上げ、ぶつぶつと戦兎は文句を零す。

 一旦職員室に顔を出すのもありだが、もし教職員が戦兎のことを知らされていない場合は少し面倒だ。

 仕方ない。ここは理事長様が出勤するまで待って―――、

 

「・・・・・?」

 

 偶然にも手を掛けたドアノブが下に向かって動き、施錠されていないことが判明する。

 中に誰もいないのなら普通は鍵が掛かっているはずだ。それがされていないとなると、一度誰かが中に入ったという事になる。

 

「・・・まさか無視決め込んでるんじゃないだろうな・・・」

 

 たまたま席を外しているという可能性を除外し、勝手に理事長の評価を大暴落させていく。

次の瞬間、文句でも言ってやろうと勢いよく扉を開いた戦兎は、自身の目に映り込んできたものに驚愕することとなった。

 

「なっ・・・⁉」

 

 まるで嵐でも直撃したかのような惨状。

 室内に物が錯乱しているのは勿論のこと、タンスや額縁の写真などの高価そうな品も砕けていたりと、普通じゃない。

 

「・・・! おい、大丈夫か⁉」

 

 横転した机の下敷きになっている人影を見つけ、瞬時に駆け寄る戦兎。

 顔を覗き込むと老齢の男だということが確認でき、重い机がのしかかっていては辛いものがあるだろう。

 

「一体どうすりゃこんな事になんだよ・・・!」

 

 何か強い衝撃でも加えられ、ぐにゃりと大きくひしゃげた机。

 何があったのかと疑問を抱きながらそれを持ち上げた後、無事であることが判明した男に伺う。

 

「あなたが理事長先生ですか?」

 

「・・・・・・君は?」

 

「三海戦兎。新任の理事から話は聞いてますよね?」

 

 周りに警戒心を向けつつ、手短に必要最低限の事項を済ます。

 本来ならば心意気などを問われたのだろうが、それもこの事態でうやむやにできるだろう。正直言って面倒だったのでそこだけはナイスだ。

 

「ああ、君が新任の・・・・・・次期理事長から話は聞いているよ」

 

 事前に鞠莉が送っていた書類か何かで確認していたのか、戦兎の顔を見るとすぐに納得したような顔になる理事。

 

「とりあえず、今はそんな話をしてる場合じゃありません。・・・何があったんですか?」

 

 不真面目なのはここまで。こうして事件現場が職場な以上、初日から何かあれば鞠莉にどやされる。

 何より無理矢理とは言えようやく手にした地に足付いた仕事だ。荒らされて黙っている訳にはいかない。

 

「・・・・・・あ、あぁ・・・。突然、そこの窓を破って怪物が襲いかかってきて・・・・・・」

 

「・・・・・・怪物・・・?」

 

 指示された先には、その怪物とやらの仕業だという、バズーカ砲でも直撃したかのような大穴が口を開けている。

 とても人間技とは思えないこの現象。こんな事が出来るのは奴等しか――――――、

 

「きゃああぁぁぁぁぁぁッ⁉」

 

「・・・!」

 

 嫌な予感の的中を裏付けるように悲鳴が響き渡る。

 

「・・・・・・理事長先生、早く他の教職員と生徒に避難するよう伝えてください」

 

 それだけ言い残し、確信を抱いて壊された窓枠から校舎の外に飛び出した戦兎の目に映り込んだのは、想像はしていたが、当たって欲しくはなかった光景。

 校庭のど真ん中で今にも生徒に襲いかかろうとしているのは、紛れもなくスマッシュだった。

 

「クソッ・・・・・・出勤初日からハードだな‼」

 

 これ以上の被害の拡大、強いては戦兎の教師生活のためにもあのスマッシュはここで倒す。

 念のため持ってきておいたドライバーを腰に巻き、ボトルを装填。

 

《ラビット!》

 

《タンク!》

 

《ベストマッチ!》

 

 周りの視線がないことを確認しつつレバーを回し、ビルドの外装を形成するスナップビルダーを展開。

 

《Are you ready?》

 

「変身!」

 

《鋼のムーンサルト! イェェイ‼》

 

 素早くファイティングポーズを取るとそのまま臨戦態勢に入り、赤と青の覆面を纏っては地面を蹴り飛ばす。

 

「ったく・・・、こっちの仕事じゃ給料は発生しないっつーのによォ!」

 

 賃金を得るためにここへ来たというのに、どうしてのっけから無銭労働をしなくてはならないのか。

 今更どうしようもない文句をぼやきながら、戦兎は仮面ライダービルドとしての使命を果たさんとするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・・・おっぱじめたか・・・』

 

 学校の屋上で佇む影が一つ。

 コブラの意匠が所々に見られるワインレッドの身体を持つその存在は、目元の毒々しい緑色をしたグラス越しにスマッシュとの戦闘に突入したビルドを見下ろしていた。

 

『まさかこんな田舎に流れ着くとはねぇ・・・・・・。けどまあいいか。その結果、それなりの力添えを獲させることには成功したからな・・・』

 

 シャカシャカと一本のボトルを振りながら、マスクの下に隠した口から愉快そうに笑いを漏らす。

 

『・・・・・・まずはどの程度成長してるのか見させてもらうぜ? ・・・・・・・・・仮面ライダー・・・』

 

 

 




ビルドドライバーを戦兎が作った設定するなら、必然的にあのドライバーの存在もちらつかせないといけないよねって話。

どうも。サンシャイン劇場版で無事死亡したがじゃまるです。
何と言うか、一回目見た時は結構モヤモヤ残ってたんですけど、二回目見たら全てが繋がってその圧倒的エモさを前に砕け散りました。はい。あと十回は見ると思います。普通に無印劇場版より好き。
てなわけで劇場版は複数回見る事を推奨します。最低五回は見ようね?(威圧)

とまあサンシャイン劇場版が最高だったという話は置いておいて、浦女でのスマッシュ出現もあのマッチポンプ下衆野郎が関係して・・・?
設定はビルド本編から弄ってる部分もあるのでご了承を。随時説明は入れます。


それでは次回で!
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