Build The Sunshine   作:がじゃまる

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スターク「火星で発見されたパンドラボックスが引き起こしたスカイウォールの惨劇から十年、日本とか言う辺鄙な島国は東都、北都、西都の三つに分かれ、混沌を極めていたァ!」

戦兎「何でお前があらすじ紹介してんだ⁉ ほら、さっさとどきなさいよ。これは主役の仕事でしょうが」

スターク「いいじゃねーか兄弟。一緒に闘りあった仲だろ? まあ、結果は俺の圧勝だったけどなぁ・・・」

戦兎「うっさいよ。スマッシュとの戦いで疲れてたんだよこっちは。本調子だったら簡単に勝ててたっつの」

スターク「ほぉ・・・、それじゃぁ、次に会う時を楽しみにしてるぜ? 俺がプレゼントしたボトルも大切になぁ。チャ~オ~♪」

戦兎「何しに来たんだアイツ・・・。なんかもうあらすじも大体話しちゃったし、第五話、どぞ」



五話 邪なフィーリング

 

 

「それで? 手も足も出ずに負けて帰ってきた訳?」

 

 昼下がり。

拠点に戻ってきた戦兎は帰って来るなり鞠莉に辛辣な言葉を投げかけられているところである。

 

「・・・悪かったな」

 

 スマッシュ騒動により、学校は臨時休校。今は政府が派遣した機関によってスマッシュと、それを倒したビルドの調査が行われている。

 今までは上手く立ち回ってせいぜい噂される程度に留まっていたのだが、こうも大騒ぎになってしまってはもう無理だ。政府によってビルドの捜索が行われるのも時間の問題だろう。

 

「ギリギリライダーシステムが耐えてくれたからよかったものを・・・……、変身解除されたらどうするつもりだったのよ」

 

「・・・・・・だから悪かったって言ってるだろ」

 

「それで済む話じゃありまっセーン!」

 

 突然声を張り上げられ、思わず身体をビクつかせる。

 今の行動への疑問が入り混じった視線を鞠莉に向けると、彼女は普段のおちゃらけた態度とは正反対の、真剣みを帯びた顔で答えた。

 

「いい? もし仮面ライダーの正体が戦兎だってバレたら、戦兎の身の安全なんて誰にも保証できないのよ? 今三国間は何時戦争になってもおかしくないくらい関係が緊迫してるんだし、軍事兵器として起用される可能性だって十分にあり得る」

 

 三国の政府機関のトップに立つ者には、いずれもパンドラボックスが世間に公開され、スカイウォールの惨劇が起こる切っ掛けとなった火星の帰還セレモニーに出席していたという共通点を持つ。

 

 スカイウォールの惨劇が起こった際にパンドラボックスから発せられた謎の光。その光を浴びた者は皆好戦的な気質を剥き出しにされたかのように豹変し、自分の欲望の赴くままに行動するようになってしまったという。

 

 東都、北都、西都の三国がいつになっても纏まらないのはそれが要因だ。

 

 どの国も軍事力を補強し、他の国を制圧するタイミングを虎視眈々と狙っている。そんな状態でライダーシステムなどというものが見つかれば、当然我が物にしたくなるだろう。

 最悪、ライダーシステムが切っ掛けで戦争が勃発する可能性だってあるのだ。

 

「・・・それに、戦兎と私が繋がってる事が知れたら、小原家だって危ないの」

 

 小原家は東都政府とも関りを持っているグループなので、当然そのような事案が発覚した場合は下る処罰も重くなる。

 戦兎を保護した張本人として、鞠莉はそれを恐れているのだろう。

 

「・・・・・・スマン。そこまでは考えてなかった」

 

「ホントに、気を付けてよね。・・・今、そうなる訳には行かないの・・・」

 

 萎縮する戦兎を更に咎めるように言の葉を紡ぐ鞠莉。

 反省の意を抱きつつも、違和感も覚えた。

 

「・・・・・・鞠莉。・・・お前、そんな奴だったか?」

 

 純粋な疑問を口にする。

 二年前、留学に出る前の鞠莉はもっと澄んだ目で、その程度の事は気にしないような人間だったというのに。

 ・・・いや、その程度と言える状況ではないし全面的に戦兎が悪いのでこんな事を言えた口ではないが。

 

「・・・二年も経てば、少しは変わるわよ・・・」

 

 あの頃の面影も薄くに、鞠莉は冷たく戦兎をあしらう。

 何故だかその黄土色の瞳に・・・狂気を感じた。

 

「とにかく、これからはもっと慎重に行動してね」

 

 最後にそう言い残し、戦兎の研究ラボから立ち去っていった。

 

「・・・・・・何なんだ? 向こうで友達出来なかったのか?」

 

 留学先で孤独を味わった結果性格にまで影響を及ぼしてあんな事になってしまったのか・・・そんな益体もなければ鞠莉に失礼すぎる想像を止め、懐から一本のボトルを取り出す。

 灰色の、複数の銃口意匠として施されたボトル。奴が・・・あのスタークとか言う奴が残していったものだ。

 

「・・・・・・ガトリング・・・だよな」

 

 見た目と、スタークがこのボトルを用いて繰り出した攻撃からそう結論づけた。

 実際に奴が使って見せた事からして本物、となれば間違いなくライダーシステムでも利用できるはずだ。

 

「・・・まさか俺以外にもボトルを持ってる奴がいたとはな・・・」

 

 いる可能性も欠片程度には考えていたが、実際にこの目で見たのは初めてだ。

 なにせスマッシュから抜き取った成分を浄化しなければ生成できないものと捉えていたため、その技術を有している戦兎しかボトルの所持者は存在しないと思っていたのだ。

 

「・・・んんん~・・・・・・」

 

 鞠莉の様子も気になるが、スタークの件も無視はできない。

 天才とは自負しているが、こういう謎解きのようなものは苦手だ。

 

「・・・・・・よし」

 

 こういう時はボトルの浄化をして頭を空にするに限る。

 丁度浦女に現れたスマッシュから抽出した成分があるし、早速それを浄化するとしよう。

 

「どんなボトルになるのかな~っと・・・・・・」

 

 今さっきまでの曇り具合などどこ吹く風、意気揚々と浄化装置の中に入っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねっむ・・・」

 

 翌日。

 職員室に用意された自分の机に突っ伏し、戦兎は気怠そうに呻く。

 

「学校の登校時間ってなんでこんなに早いんだよ・・・、絶対眠いとか思ってる生徒いるから・・・・・・」

 

 昨日臨時休校になったとはいえ、政府の調査も一日あれば手を引く。

 よって本日は普通に学校がある。夜遅くまでボトルの浄化をしていた戦兎は当然寝不足という訳だ。

 

「・・・まあ、浄化は終わったしいいんだけどさ」

 

 ポケットから取り出した茶色のボトルを机の上に置く。

 彫の深い、勇ましい類人猿の頭部が刻まれたそれは―――、

 

「ゴリラって・・・まんま過ぎるっつの」

 

 ストロングスマッシュの性質上、何かしらパワー系のボトルになるとは予想していたが、こうも捻りなくストレートを投球されると逆に笑えてくる。

 

「三海先生―!」

 

「・・・ガトリングとベストマッチだったりすんのか・・・?」

 

 ストロングスマッシュを差し向けたのはスタークだろうし、ゴリラとのベストマッチを成立させるためにガトリングフルボトルを残していった可能性もある。

 

「三海先生?」

 

 だがどうしてそれを戦兎に託した? ビルドを凌ぐ実力があるなら、自分でスマッシュを倒してゴリラの成分を手に入れる事も出来たはずだ。

 

「三海先生―?」

 

 ボトルの浄化が出来ないから・・・と言うのも考えにくい。既にガトリングフルボトルを所持していた事からその筋は薄いと思われる。

 だが一部のもボトルが浄化を要するだけで他のボトルは元々存在していたという可能性も捨てきれない―――、

 

「三海先生‼」

 

「うぉわっ⁉」

 

 真横からの呼びかけに反応し、慌ててボトルをポケットにしまう。

 ここは学校だ。自分一人の世界に入り込める場所ではないのだ。

 

「何回も呼び掛けたのに・・・、悩み事ですか?」

 

「いや、そういう訳では・・・。俺に何か・・・?」

 

 勤務し始めて日が浅いのでまだ全員の顔は覚えられていないが、この女性教員はそれなりのベテランだった気がする。下手に反感を抱かせるのはマズいだろう。

 

「話があるから、新理事長が至急生徒会室に来いと・・・」

 

「・・・何で生徒会室・・・・・・て、ああ昨日の・・・」

 

 そう言えば昨日のストロングスマッシュの襲撃で理事長室の壁が吹っ飛んだのだったか。スタークの奴も傍迷惑な事をしてくれたものだ。

 

「了解です。伝言どうも」

 

 無難なお礼もほどほどに、職員室を出る。正直職員室の居心地が悪かったので助かった。

 

「てか、さっき就任式やってたんだからそん時伝えろよな・・・」

 

 他の教職員の前ではしにくい話だったのかもしれないが、だったら学校でするなという話だ。

 だが鞠莉が考え無しに動くとは考えにくいし、とりあえず向かうとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この方が貴方の仰っていた天才教師・・・・・・ですの?」

 

 生徒会室に顔を出した戦兎を出迎えたのは、鞠莉一人ではなかった。

 凛とした印象を与える整った顔立ちに、艶のある切りそろえられた黒髪。さながら日本人形のような華やかさを持つ、もう一人の少女。

 

「そうだよ~。性格にちょこ~っと難はあるけど、実力はマリーが保証するから」

 

「・・・大丈夫なのですかそれは・・・」

 

 形のいい眉と翡翠色の瞳を吊り上げた彼女は、訝しむような視線を戦兎に向ける。

 大方鞠莉が何か吹き込んだのだろうが、それにしても初対面の人間に対してここまで高圧的な態度を取るだろうか。

 

「・・・・・・おい、鞠莉? 話が見えねーんだけど・・・。てかその子誰だ・・・」

 

 気まずさが職員室の比ではなかったので、鞠莉に助け舟を求める。

 すると自分の存在を問われた事に反応したのか、険しい表情は保ったまま、彼女はぺこりと頭を下げた。

 

「黒澤ダイヤ。この学校の生徒会長ですわ」

 

 ダイヤなどと言う日本国にはまずありえないキラキラネームはさておき、所作の一つ一つが様になっている。

 服装にも一切の乱れもないし、まさに生徒の模範となる会長として相応しい少女だろう。

 

「ご丁寧にどうも。それで? 何で俺をここに呼んだんだ? 生徒会長様もいるって事は何かしら事情があるんだろ?」

 

「察しが早くて助かるわ。実はね、ここに戦兎を呼んだのは訳があるのよ」

 

「訳もなしに呼ばれてたまるか」

 

「そうですわ。わたくしだって暇ではないのです」

 

 普通の理事長ならばこんな心配する必要な無いのだろうが、目の前にいるのは小原鞠莉。普通ではないのだ。

 

「Wait Wait.二人共せっかちさんなんだから~。焦ってもいい事ないよ?」

 

「それが呼び出した人間の態度なんですの?」

 

「あいっ変わらず硬度十ねダイヤは・・・。柔らかいのは胸くらい?」

 

「っ・・・! 殿方の前で一体何を考えているのですか⁉」

 

 何の脈絡もなく突然胸部に実った膨らみを鷲掴みにしてきた鞠莉の脳天にダイヤのげんこつが落ちる。

 

「・・・アンタも大変だな・・・」

 

「・・・えぇ、二年ぶりでいきなりこれはきついですわ・・・」

 

 自身の胸元を抑えながら鞠莉を睨みつけるダイヤに同情の目を向ける。

 鞠莉が帰ってきてから振り回されまくっている戦兎としても、苦笑いを浮かべる彼女に妙な親近感を抱いた。

 

「・・・それで? 何なんだよ、俺をここに呼んだ訳ってのは?」

 

 ひとしきり鞠莉のお遊戯に付き合ったので、気を取り直して本題に移る。

 ただ暇つぶしに呼んだ・・・という訳でもないだろうし、もしそうだったらダイヤと二人で思いっきり暴れるだろう。

 

「あーうん。それなんだけどね」

 

 表情を引き締め、今朝の就任式の際に見せていた真面目な顔を作る鞠莉に、戦兎とダイヤも聞く姿勢に入る。

 そして次の瞬間、彼女の口から放たれた言葉は―――、

 

「戦兎には、私達のクラスの担任になって欲しいの」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

 水を打ったかのような静寂。

 戦兎とダイヤは共に顔を見合わせ、互いの表情を確認して今の言葉が聞き間違いでもなんでもない事を理解する。

 

「どういう事ですの⁉ 赴任して間もない教師に担任を任せるなんて・・・正気の沙汰ですか⁉」

 

 先に取り乱したのはダイヤだった。当たり前だろう。見るからに規律やらなんやらに厳しそうな彼女が教員歴二日の男に担任を持たせるなどと言う酔狂を簡単に認める訳がないだろう。

 一方戦兎は面こそ打たれたが、先にダイヤが取り乱してくれたので混乱するとまでには至ってない。

 

「勿論正気。Sanityだよ」

 

 ダイヤとは対照的に、鞠莉は至って自分は正気ですと態度で示してくる。出来れば正気であってほしくないが。

 

「・・・・・・勿論理由はあるんだろうな」

 

「Off Course! ほら、昨日スマッシュがウチの学校に現れて、理事長室吹き飛ばしていったでしょ?」

 

「やけに軽いなお前・・・」

 

 普通建物の一室が吹き飛ばされたらもっと慌てるなり焦るなりするはずなのだが・・・、そこは富裕層の余裕と言うものなのだろうか。

 

「で? それが三海先生をわたくし達のクラスの担任に指名する事と何の関係がありますの?」

 

 戦兎の問いたい事を代弁してくれるダイヤ。若干口元がひくついているのは常軌を逸した鞠莉の言動が起因しているのだろう。

 

「大体、まだ二日とは言えわたくし達の担任をしてくださっていた先生はどうなるのですか?」

 

「入院」

 

「は?」

 

「だから、昨日のスマッシュに襲われちゃったみたいで、今入院中。その代打として戦兎を選んだって訳。アンダスタン?」

 

「・・・・・・マジか」

 

 その男性教員というと、ほぼ間違いなく昨日ストロングスマッシュにされていたあの男の事だろう。

鞠莉やダイヤはスマッシュ襲撃事件の裏でスタークの手が働いていた事を知らない為、あくまでも襲われた、という認識になっているらしい。

 

「ですが何も三海先生に任せるなんて・・・他の教職員の方ではダメなのですか?」

 

「ダメって事はないんだけど・・・ほら、この学校、教職員の数結構ギリギリでしょ? 今空いちゃった枠を埋められるのが戦兎しかいないの」

 

 そういえばと、戦兎は職員室の風景を思い出す。

 確かに何も置かれていない空席のデスクは目立っていた気がする。

 

「他のクラスの担任と交代してもらう事も考えたんだけど、戦兎も誰か知ってる人がいた方がやりやすいだろうし、だからそのまま私のクラスを担当してもらおうと思って」

 

「・・・そういう事なら・・・仕方ありませんわね・・・」

 

 筋の通った論の前にダイヤは首を縦に振ったが、戦兎としてはいまいち腑に落ちない。

 赴任初日に襲撃してきたスマッシュの正体がこの学校の男性教師で、スマッシュ化の反動で入院した彼の代わりに戦兎が、鞠莉のクラスの担任を請け負う事になった。

 

 偶然にしては上手く出来過ぎている。

 まるで何者かの意志が裏で働いているかのような・・・・・・。

 

「・・・・・・」

 

 思い当たるとすれば、やはりあのコブラ男、ブラッドスタークだろう。

 戦兎に人体実験を施したあの男なら、これくらいの事は素面でやってのけそうだ。

 

(・・・だが、アイツ一人の意志ここまで円滑に進むか?)

 

 奴の管轄がどれほど広いかは知らないが、少なくともこの学校の事にまで介入できるのだろうか。

 考えられるとすればこの学校のどこかに奴との内通者がいるという事になるが、教職員や担任の委任権を持つとなると、それなりに力のある者だろう。

 そもそも戦兎をこの学校の教師に任命したのは―――、

 

(・・・・・・まさか―――)

 

 電撃のように迸った推論に身を任せ、輝かしい金色の影を視界に入れようとしたその時、ガタン、と音を立てて生徒会室のドアが開いた。

 

「たのもぉ――ッ‼」

 

 それと同時に飛び込んできた、明るく、あどけなさを感じさせる快活な声。

 釣られるように視線をずらしてみれば、声の主と思われるみかん髪の少女と、その付き添いと思われる銀髪の少女の姿が確認できた。

 

「・・・貴方達、また来たのですか?」

 

「何回だって来ます。その日は絶対来るって、あの人達も歌ってましたから!」

 

 再び高圧的な態度に戻ったダイヤに臆することなく、みかん髪の少女は一枚の紙を見せつけながら生徒会長に歩み寄ってゆく。幼い見た目に反して度胸はあるらしい。

 

「何回来ても規定人数に満たしていないのでは認められません! 大体これ一人が二人になっただけではないですか!」

 

「いやほら、きっと生徒会長は私を試しているんだって!」

 

「だまらっしゃい‼ いいですか? まず部活申請と言うものはですね―――」

 

 犬猿の中すら疑わせる程の瞬間風速で言い争う二人だが、みかん髪の子の方とは面識のない戦兎と鞠莉は首を傾げるばかりだ。

 一歩引いてそのやり取りを眺めている銀髪の少女も苦笑いを浮かべているし、一度止めるのが正解なのだろうか。

 

「なぁおい黒澤。とりあえずこの状況説明してくれ。つか誰だその子」

 

「・・・あれ? 何で新しい理事長と・・・理事長と・・・・・・・・・だれ?」

 

「新任の三海先生です。まあ、まだわたくしと鞠莉さん以外に面識のある生徒はいませんので、知らないのも当然ですわ」

 

 本来は昨日の全校集会で挨拶の予定だったのだが、スタークの仕向けたスマッシュの襲撃によりお釈迦になってしまった為、戦兎の存在はまだ浦女の生徒には知られていない。

 ダイヤの言った事を繰り返すようになるが、知っているのは一部の特別な立場にいる生徒だけだ。

 

「ほぇ~・・・、あ、私は高海千歌! 二年生です! で、この子が親友の渡辺曜ちゃん!」

 

「よ、よーそろー・・・?」

 

 初対面にも関わらず人懐っこい笑みを向けてくるみかん髪の少女―――千歌に、若干抜けた声と共に敬礼を決めた銀髪の少女―――曜。先に千歌に名前を紹介されてしまったので言う事が無かったのだろう。

 

「・・・・・・?」

 

 何を考えたかまじまじと戦兎の顔を見つめだす曜。

 

「・・・・・・どうした?」

 

 改めて見てみればこの渡辺曜という少女、美少女と呼ぶに差し支えない程整った顔立ちをしている。大人びた容姿の鞠莉やダイヤとはまた別の、年相応の可憐さ、とでも言おうか。芸能人だと言われても余裕で信じるだろう。

 そして当然、そんな少女に見つめられれば年下とは言えど多少は照れくさくなるものだ。

 

「・・・・・・前にどこかで会った事あります?」

 

「・・・え? そんなはずは―――」

 

 反射的に否定しかけたが、確かに戦兎も彼女の声には聞き覚えのあるような感覚がある。それもここ最近で。

 

(ッ! コイツ等この前の・・・!)

 

 そうだ。鞠莉が内浦に帰ってきた日。

 あの日三津海水浴場に出現したニードルスマッシュに襲われていた二人組の少女だ。

 

「? どうかしました?」

 

「・・・いや、何でもない・・・」

 

 戦兎が駆け付けた時には既に気絶していた千歌はともかく、無事だった上に普通に会話と言うか押し付けをした曜にはぼんやりとだがビルドの面影を重ねられてしまったらしい。

 

「気のせいだろ。他人の空似って可能性もある」

 

 何かの弾みでビルドの正体が戦兎だとバレてしまったら完全にアウトだ。

幸い彼女の記憶も曖昧なようなので、それの乗じて誤魔化させてもらおう。

 

「・・・で? 二人は何をダイヤに認めてもらえないの?」

 

 鞠莉も戦兎の意図を汲み取ってくれたのか、話題を千歌とダイヤのやり取りに戻してくれる。

 

「高海さんが新しく部活を立ち上げたいそうなのですが・・・・・・規定人数も集まらず、活動場所も曖昧、おまけに顧問の先生も決まっていないという不備だらけなので突っつき返しているのです」

 

「むぅ・・・、多少は甘く見てくれてもいいじゃないですかぁ!」

 

「これが多少と呼べる欠陥具合ですか⁉ 最低でもわたくしが述べた条件を満たさない限り認める事は出来ませんわ!」

 

「ぐぬぬ・・・」

 

 正面から叩き伏せられ、悔しそうに歯嚙みする千歌。だがまだその瞳から闘志は失われておらず、すぐさま反論に移ろうとしているのは見て伺えた。

 

「規定人数はこれから集めるし、活動場所は・・・・・・うちの前の砂浜があるし! 顧問の先生は・・・・・・顧問の先生はぁ・・・・・・・・・」

 

 苦し紛れに掲げた対抗策も、最後の砦で言葉に詰まってしまう。

 確かに、新任の戦兎に担任を持たさざるを得ない程人手が不足している学校だ。この学校にも他の部活は当然存在しているだろうし、殆どの教員は既にそちらの顧問に着いてしまっているのだろう。

 

 まあ俗に言う、詰み、というやつだろう。

 

「・・・!」

 

 だが何を思ったか、急に戦兎の方に視線を向けては目を輝かせては自身に満ち溢れた表情になり、ダイヤに向かって言い放った。

 

 

 

「顧問なら、三海先生にやってもらいます‼」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・は?」

 

 何かまた、面倒くさそうな事に巻き込まれそうな気がしてならない戦兎だった。

 

 




次々と面倒事が舞い込んでくる不幸体質系主人公。良太郎かな?
という訳でもどうも。今年から受験生のくせにサンシャイン劇場版14周した自覚のないアホです。
大体二か月ぶりっすね。すみませんちょっと色々忙しくて・・・。

それはそうと本編。ダイヤさんが登場し、教師としての戦兎にちかっちと曜ちゃんが出会った一方、鞠莉さんが何か怪しい・・・?まさか鞠莉さんがエボry
その辺も楽しんで読んで頂けたらなぁ・・・と。

ちょろっと申した通り自分も受験生なので、思うように執筆時間が取れないというのもあり・・・最悪受験終了まで更新停止という可能性も・・・。
最低限二号ライダーが出てくるまでは書こうと思ってるので、とりあえずはお付き合い頂けると幸いです。

それでは次回で!
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