Build The Sunshine   作:がじゃまる

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千歌「火星で発見されたパンドラボックスが引き起こした、スカイウォールのさんげきから十年! 我が国は、東都、北都、西都の三つに分かれ、こんとんをきわめていたぁ!」

戦兎「台本ひらがなに書き換えてようやく読めたか・・・・・・。えっと、仮面ライダービルドであり、てぇんさい物理教師の三海戦兎は、真面目に授業を行ったのにも拘らず頭の固い生徒会長に説教された上、休学中の生徒の家に家庭訪問しろというめんどくさい仕事を押し付けられてしまう。さらにスタークはスタークでまた何か動いていて・・・・・・さあどうなる第七話!」

ダイヤ「誰の頭が固いと!?それに元はといえば貴方の教師としての態度が―――」

戦兎「呼ばれてないくせにいきなり入って来るんじゃないよ!そっちこそ生徒会長ならルールくらい守れってんだ!」

ダイヤ「主役がどうのこうのとか言って無理矢理渡辺さんと交代した貴方にだけは言われたくありませんわ!大体貴方は―――」

戦兎「うるせぇ硬度十!お前だって―――」

千歌「あはは・・・・・・めちゃくちゃだぁ・・・」



七話 ブラッドの底巧み

 

 

 

 

「ふーん・・・。そいつも幼馴染なのか」

 

 時と場所は移る。

 千歌と曜からその休学中の生徒の話を聞きつつ、戦兎は海を渡り淡島まで向かっていた。

 

「怪我した家族のために休学してまで店の手伝いするたぁ・・・健気だねぇ」

 

「なんでそんな上から目線なんです・・・?」

 

 曜にはこう言われてしまったが、感心しているのは事実である。

 反面あの金髪エセ外国人ときたら・・・・・・その殊勝さを少しでも見習ってほしいものだ。

 

「で? その休学生の家はどのへんなんだ?」

 

「新しい単語創造しないでください・・・・・・。もう着きますよ」

 

 曜が立ち上がった直後、連絡船が船着き場に到着する。

 本来ならばマシンビルダーで海を渡ってくるつもりだったのだが、この二人もついてくるというので仕方なく船で渡航する羽目に。

 正体がバレない為には仕方ないとは言え、こう余計に時間が掛かってしまうというのはあまりいい気分ではない。

 

「果南ちゃぁーん!」

 

 船から降りるや否や、笑顔で船着き場に隣接されたダイビングショップに駆け込んでゆく千歌。

 

「やけに元気だな・・・」

 

「まあ、果南ちゃんに会うの久しぶりなので・・・」

 

 つくづく小動物のような少女だ。帰宅してきた飼い主に駆け寄っていく犬を連想させる。

 それにしてもまさか件の生徒の家がまさかマシンビルダーの改造が終わるまで利用していた連絡船乗り場と併設されていたとは、今までそんな若い子がいるような気配は感じていなかったので驚きである。

 

「果南ちゃーん? いるー?」

 

「んー?」

 

 千歌の呼びかけに返してくる声が一つ。

 その直後、ダイビングスーツを着こんだ少女が酸素ボンベを抱えながら店内から姿を見せた。

 

「あれ? 千歌? 今日回覧板回ってくる日だったっけ?」

 

 すらりとしたスタイルの良い身体に、ポニーテールに束ねられた長く伸びた青い髪。

 千歌や曜とはまた違う、強いて言うならば姉御肌といった感じの雰囲気を持つ、これまた美少女だ。レベル高すぎやしないだろうかこの幼馴染達。

 

「ああいや、今日は果南ちゃんに会いたいって人を―――」

 

「言い方考えろアホ」

 

 千歌の頭に手刀を落としつつ、「果南ちゃん」と呼ばれたその少女と目を合わせる。

 

「・・・お前が松浦果南か?」

 

「・・・・・・そうですけど・・・、あなたは・・・?」

 

 青紫色の瞳に疑念を含ませ、注意深そうに戦兎を見やる件の生徒―――松浦果南。

 まあそりゃ、今まで会った事もない男がいきなり用があると言って目の前に現れれば誰だって警戒はするだろう。

 

「・・・黒澤の奴に連絡貰わなかったのか? 三海戦兎、お前のクラスの担任だよ」

 

 人に仕事押し付けておいて自分は連絡入れるのを忘れるとか・・・ひょっとしてポンコツだったりするのだろうかあの硬度十。

 

「担任になったからには一応挨拶くらいはしておけってな。あといくつか書類渡しておけって、黒澤の奴が」

 

 荷物の中からファイルに纏められた新学期の際に提出する書類等を取り出し、果南に差し出す。

 そこでようやく戦兎を教師だと認識したのか、少し改まった態度でそれを受け取った。

 

「あぁ、わざわざありがとうございます」

 

「・・・まあ、俺も住んでんのこっちの方だし、全然いいけどさ」

 

 これが他の生徒だったらぶつぶつと文句を言っていたところだが、流石に休学してまで家業を支えている苦労人に対してそんな事を言う気にはなれない。戦兎だってクズではないのだ。

 

「それで、果南ちゃんはいつ頃から学校これそうなの?」

 

「うーん・・・どうだろ? 父さんの怪我の具合にもよるけど・・・・・・もうちょっとかかりそう」

 

「結構前から休学してるっぽいが・・・・・・出席日数とかは平気なのか?」

 

「あはは・・・・・・ちょっとヤバいかもです・・・」

 

 家族のための休学が原因で留年などと言う事態になってしまっては彼女が浮かばれないし、ご家族も悲しむだろう。

 まあ、その辺は無敵の理事長小原鞠莉様がいるから大丈夫だとは思うが・・・。

 

「そっかぁ・・・果南ちゃんも誘いたかったなぁ・・・・・・」

 

 果南の事情を聞き、残念そうに息を吐く千歌。

 

「誘う?」

 

「うん! 私達、スクールアイドルやるんだ!」

 

「っ・・・・・・!」

 

「・・・?」

 

 千歌が曇りのない笑顔で自分達の活動を口にした、その刹那。

 ボンベを並べる果南の動きと表情が一瞬フリーズしたのを、戦兎は見逃さなかった。

 

「へぇ・・・そうなんだ・・・」

 

 それに返す言葉にも先程までとは違い、気の抜けたような、力のないもの。

 

(・・・・・・ひょっとしてコイツ・・・・・・)

 

 脳裏に日頃自分を振り回しまくっている金髪娘の顔が浮かぶ。

 果南は鞠莉と同じ三年生だ。二年前のあの出来事に関わっていたとしてもおかしくはない。

 

 丁度いい、そろそろ鞠莉も帰ってくる頃だろうし、果南の事を問うてみるとするか。

 

「まあ、用は済んだし俺はもう帰るぞ。じゃ―――」

 

『おいおい、もう帰っちまうのか? せっかく来たんだしダイビングでもしてったらどうだ?』

 

「っ・・・・・・⁉」

 

 不意に掛かった声に猛烈な悪寒を感じ、戦兎の警戒心が最大ボリュームで警報を鳴らす。

 反射的に顔を上げてみれば、何の脈絡もなく現れた赤い存在に目を見開く事となった。

 

「スタークッ・・・⁉」

 

『おぉ、覚えてくれてたとは嬉しいねぇ』

 

 忘れる訳もない。

 まるで町でも歩くかのように悠然とした様子でスタスタとこちらに歩み寄ってくるのはブラッドスターク。

 人体実験や、失われた記憶。戦兎の過去を握る・・・確認している限りでは唯一の存在だ。

 

「あれって・・・・・・」

 

 背後で千歌と曜が声を震わせているのが分かった。

 奴は先日、ストロングスマッシュと戦ったビルドとしての戦兎を狙って浦の星に襲撃してきている。

ほんの少し前にスマッシュに襲われた彼女達が怯えるのも無理はない。

 

「・・・何の用だ」

 

 そんな彼女達を背後に隠しつつ、相変わらずの余裕然とした様子のスタークに突き刺さるような睨みを向ける。

 

『そんな怖い顔すんなって。今日はお前に見せたい物があって来たんだよ』

 

 だが奴はそんな視線を一切気に留める様子もなく、どこかふざけているようにも感じる口調で言葉を続けた。

 

「・・・見せたい物・・・?」

 

『あぁ・・・、まあ見てろよ』

 

 おもむろに動かした右腕から黒いコードのような縄状の触手が伸び、奴の背後に向かって一直線に進んでゆく。

 

「きゃああぁぁッ⁉」

 

 一拍置いて悲鳴が聞こえたと思えば、しゅるると音を立てて戻ってきた触手の先端には声の主と思われる女性が拘束されていた。

 

「さっきのお客さん・・・⁉」

 

「待て! 何するつもりだ⁉」

 

 声を上げる果南と、血相を変えてスタークに詰め寄ろうとする戦兎。

 そんな二人をあざ笑うかのようにスタークは取り出した拳銃―――トランスチームガンの銃口を捕らえた女性に向け・・・・・・引き金を引いた。

 

《デビルスチーム!》

 

「ぁあああああぁぁぁぁあああぁぁぁッッ!!!!!」

 

 噴出された黒い霧が女性を包み、みるみる内に彼女のシルエットが膨張、そして変貌してゆく。

 やがて晴れた霧の中から姿を現したのは―――、

 

『ウアアアァァァァァァァァァッ!!!』

 

「なぁっ・・・⁉」

 

 ステンドグラスのような光を反射する紋様のあるスレンダーな身体に、奇怪な形をした細長い頭部。そして頭部と似たような形状に盛り上がった両肩。

 見た事のない形状だが、ハッキリ言えることは一つ。

 

「スマッシュ⁉」

 

 背後から千歌の悲鳴混じりの声が聞こえた。

 驚愕と混乱に脂汗を流しているのは彼女達だけではなく、戦兎も同じ。

 

「お前・・・、まさかスマッシュを生み出せるのか⁉」

 

 スマッシュが人間が変貌させられた怪物だという事は元々認知していたが、まさかそれまでもスタークによって生み出されたものだったとは。

 

「この前学校を襲ったのも・・・・・・いや、ずっと前から東都に出現したスマッシュも全部お前の仕業か⁉」

 

『ビンゴだ。ご褒美に遊んでやるよ・・・このミラージュスマッシュでなァ!』

 

『ウアアアァァァァ!』

 

 スタークに背中を蹴飛ばされたミラージュスマッシュが勢いそのままに戦兎目掛けて突進を仕掛けてくる。

 

「こんの――」

 

 咄嗟にビルドドライバーを装着しようとしたが、その寸前でこの場には自分がビルドだという事を知らない少女が三人いるという事を思い出す。

 

「ちっ・・・!」

 

 仕方なく一本だけボトルを取り出し、素早く上下に振る。

 フルボトルは何もライダーシステムがないと活用できない訳じゃない。こうして振る事でボトルの力を自身に付加することが出来るのだ。

 例えばこの、ラビットフルボトルならば―――、

 

「はああぁぁ!」

 

 人間離れした瞬発力で迫りくる攻撃に対応し、ミラージュスマッシュを撹乱する戦兎。

 

「先生!」

 

「何ボサッと突っ立ってんだ! さっさと逃げろバカ!」

 

(お前等いると俺が変身できないでしょうが!)

 

 外面と内面で全く違う態度を取りながら軸足を支点に身体を捻り、回し蹴りで脛を強襲。

 この程度では流石にダメージを与えるまでとは至らないが、牽制、そして千歌達を納得させるには十分だ。

 

「・・・俺なら問題ねぇ。だから行け」

 

「っ・・・・・・でも!」

 

「いいから行けつってんだろ‼」

 

 普段の気怠げな雰囲気とは打って変わって声を荒げた戦兎に三人がびくりと肩を震わせる。

 

「千歌・・・」

 

「千歌ちゃん・・・行こう・・・」

 

「・・・・・・うん」

 

 曜と果南に促され、ようやくスマッシュに背を向けて走り始める千歌。

 やがてその姿が見えなくなったのを確認してから一度距離を取り、戦兎は彼女達の前では取り出せなかったビルドドライバーを構えた。

 

『自分を盾にして逃がしたか・・・生徒想いじゃねーか』

 

「アホ。アイツ等の前じゃ変身できなかっただけだよ」

 

《ゴリラ!》

 

《ガトリング!》

 

 二本のボトルを腰に巻き付けたドライバーに差し込み、手早くレバーを回す。

 

「・・・・・・ベストマッチじゃないか・・・」

 

 だがもうボトルを入れ替える時間はない。このまま変身するしかないだろう。

 戦兎を前後にパイプが伸び、装甲が形成される。

 

《Are you ready?》

 

「変身!」

 

 楽天的な音楽と共に装甲を纏い、トライアルフォーム―――ゴリラガトリングに変身、同時にミラージュスマッシュへと突貫。

 

「オオォラァ!」

 

 ゴリラの能力―――肥大化した右拳で強烈なストレートを打ち込む。

 装甲のサイズが大きく、重量もあるゴリラと華奢なガトリングのボディではバランスが悪い。ベストマッチどころか完全にミスマッチだ。

 

「フッ! ハアッ!」

 

『ウアアアァァァァッ⁉』

 

 乱暴に右腕をぶん回し、ミラージュスマッシュの横腹に強烈なアッパーカットを切り込んでは盛大に殴り飛ばす。

 奴がゴロゴロと地面を転がった隙を突き、ビルドは別のボトルをドライバーに差し込んだ。

 

《鋼のムーンサルト! ラビット! タンク! イエェェイ!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スマッシュって・・・・・・人間だったの⁉」

 

 果南の家のダイビングショップとは逆方向に走りつつ、千歌が信じられないといった顔でそう口にする。

 

「そうみたい・・・前に襲ってきたスマッシュもそうだったし・・・・・・」

 

 以前、今政府によって捜索されているという謎の覆面男によってスマッシュが人間に戻されるのを見たという曜が頷いているのだからほぼ間違いないだろう。

 そうなると今まで東都に現れたスマッシュも全て、人間が変貌させられたもの・・・という事になる。

 

「先生・・・・・・大丈夫かな・・・・・・」

 

 元々人間とは言え、スマッシュは下手な軍事兵器などよりもよっぽど強い。

 あの様子だと戦兎は腕っぷしに自信はあるようだが、一人でどこまで持つか・・・。

 

「・・・ん? 待って!」

 

 あることを思い出し、唐突に足を止める果南。

 

「果南ちゃん・・・?」

 

「どうかしたの?」

 

 このことを千歌と曜、そして戦兎は知らない。知っているのは、三人が来るまで店の手伝いをしていた果南だけ。

 スマッシュは人間が変貌させられた存在。そして先程目の前でスマッシュにされた女性は、果南の家の店を訪れていた客だ。

 

「さっきのお客さん・・・・・・二人いた!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにッ・・・・・・⁉」

 

 マスクの下に隠した目を驚愕に見開く。

 だがそれも無理はない。今の今まで相手取っていたミラージュスマッシュが、一瞬の内に四体へと増加したのだから。

 

「コイツ・・・・・・分身出来るのか・・・!」

 

『『『『ウアアアァァァァァァァァァ!』』』』

 

 じっくりと今の状況を分析する暇もなく、四体のスマッシュが同時に肉薄してくる。

 いつの間にかその腕には西洋式の長剣が握られており、水平線に沈む夕日を受けて朱く煌いていた。

 

「ぐっ・・・!」

 

 素早くドリルクラッシャーをブレードモードで展開し、次々と迫りくる剣戟を裁いていく。

 一撃一撃が重い上に、数が多い。当然その内守りにも限界が来て―――、

 

『ウオォォォォォォォォォォ!』

 

「ぐあぁっ・・・!」

 

 四体目の攻撃を弾いたところでガードが崩れ、その間を縫うように他の分身によって刀身がビルドの胸元に叩き込まれる。

 さらにまた別の分身が切り下ろした一撃がモロに命中し、火花を散らしながら大きく後方に吹き飛んだ。

 

『クハハ・・・・・・おいおい、大丈夫か?』

 

「っ・・・、うるせぇ!」

 

 スタークの煽りを受けながらも接近戦は不利だと判断し、ドリルクラッシャーをガンモードに移行。

 銃で弧を描きながら連続で引き金を弾き、威嚇の意味を込め、四体のスマッシュ目掛けて大量の弾幕をばら撒いた。

 

『ウウゥゥ・・・』

 

「よし・・・!」

 

 目論み通りだ。スマッシュは理性こそないが、本能は備わっている。

 奴等を取り囲うように銃弾を放てば、恐怖を覚えた本能に釣られて後退し、自然と全ての分身が一カ所に集中する。

 狙うならば・・・そこだ。

 

《Ready Go!》

 

 ハリネズミフルボトルをソケット部分に装填し、狙いを定める。

 最も効率的に、四体均等にダメージが入る角度を目測と暗算で導き出し、トリガーに指を掛けた。

 

《ボルテックブレイク!》

 

『アアアァァアァァ‼』

 

「なっ―――がふあっ・・・⁉」

 

 棘状のエネルギー弾がミラージュスマッシュ目掛けて解き放たれようとしたその瞬間、真上から降りかかった何かがビルドの身体を薙ぎ払った。

 

「なん・・・だ・・・?」

 

『おっとぉ、言い忘れてたぜ・・・』

 

 ケタケタと笑うスタークと共に視界に映る、˝三体目˝のシルエット。

 テンガロンハットでも被ったかのような形状をした頭部に、鋭利かつ巨大な鉤爪が備わった羽のような両腕。

どう見ても人外の姿をしたそれは紛れもなく・・・、

 

『今日のスマッシュは・・・・・・一体だけじゃねぇぞ』

 

 鳥の如く縦横無尽に空を駆けまわるスマッシュ―――フライングスマッシュとでも呼ぶべきか。

 飛行能力を持つスマッシュを相手取るのは初めてだが、こちらには飛び道具がある。打ち落としてしまえばいいだけの話―――とはならなかった。

 

『フウァァァァァァァ!』

 

「ちぃぃ・・・!」

 

 真横に薙がれた剣線を前転で回避。

 単純にフライングスマッシュを打ち抜くだけならば困難な話ではないが、今回は地上にもミラージュスマッシュという敵がいる。

 地上と上空。双方の攻撃を処理しつつ、また双方に攻撃を仕掛けるのはそう簡単ではない。

 

『アアアァァァァァァァァ!』

 

「ぐああぁぁっ・・・・・・!」

 

 急降下と共に振り下ろされたフライングスマッシュの鉤爪が強襲。

 威力を殺しきれなかった身体が浮かび上がり、真後ろへと勢いよく弾け飛んだ。

 

『くく・・・・・・まあ、せいぜい頑張りな。チャオ~♪』

 

「っ・・・! 待ちやがれこの野郎!」

 

 そんなビルドを嘲笑うかのように手を振り、発生させた黒い霧の中に消えて行くスターク。

 いきなり現れてスマッシュを召喚したと思えば、それで満足したかのように撤退してしまう。一体何が目的なんだか。

 

「ぬっ・・・・・・ぐううぅぅぅ・・・!」

 

 だがそんな事を考える暇もなく二体のスマッシュはビルドに襲い掛かってくる。

 ミラージュスマッシュの分身による果てのない連続攻撃と、空を舞うフライングスマッシュによる視覚からの急襲。

 流石に攻撃を受け過ぎたか、ぴしぴしと紫電を走らせる装甲がライダーシステムの限界を知らせてくる。

 

「こうなりゃ・・・!」

 

 この状況を打破する方法は一つ。

 腰のホルダーからボトルを二本取り出し、ラビットタンクと入れ替えるように装填。

 

《ライオン!》

 

《掃除機!》

 

 

《ベストマッチ!》

 

 LとSの文字が浮かび上がったのと同時にレバーを回し、ラビットタンクとは別の装甲を形成。

 あまり手の内を晒したくなかったのでスタークの前では使えなかったが、奴がいないのならば躊躇う事はない。

 

《Are you ready?》

 

「ビルドアップ!」

 

《たてがみサイクロン! ライオンクリーナー! イェェェイ!》

 

 黄色と緑を基調とし、左腕に掃除機アームを装備した獅子と成りて地面を蹴り飛ばし、ミラージュスマッシュへと一期に肉薄。

 奴も咄嗟に反撃の一太刀を浴びせてくるが、ライオンの成分で形成されたライアチェストアーマーには通用しない。

 

「はあぁッ! うおらぁ!」

 

『ウウウゥゥゥウゥゥッ・・・・・・!』

 

 ビルドを攻撃するどころか逆に殴り飛ばされ、二体の分身がぶわりと宙を舞う。

 

『ッ―――⁉』

 

 内の一体が降下してきていたフライングスマッシュと衝突したその瞬間をビルドは見逃さなかった。

 

《Ready Go!》

 

『『『『『ウ・・・ウウゥゥゥゥゥゥッ・・・⁉』』』』』

 

 レバーを回すことで竜巻のような風が発生し、ミラージュスマッシュの分身たちとフライングスマッシュ。計五体分のスマッシュが左腕の掃除機アームに吸い寄せられていく。

 

《ボルテックフィニッシュ‼ イエェェェイ!》

 

 そして全ての個体が攻撃範囲に入ったその瞬間、右腕に収束した爆発的なエネルギーを開放。

 猛烈な熱波が迸り、獅子の形を成したエネルギー弾がその牙でスマッシュ達をまとめて嚙み砕いた。

 

「ぐっ・・・ううぅぅぅ・・・!」

 

 緑色の爆炎を噴き上げたスマッシュが倒れ込み、動かなくなったのを確認して安心したのも束の間。

 蓄積したダメージに加え必殺技を放った反動もあり、ビルドの装甲は掻き消えるようにして解除されてしまう。

 

「・・・え・・・・・・」

 

 その瞬刻。

背後からと、呆気にとられるような気配と声を感じた。

 

「・・・・・・せん・・・せい・・・?」

 

 振り返った先で揺れていたのは海のような青い髪と、青紫色の瞳。

 

 そこにいるのが松浦果南だと理解した戦兎は、形容し難い焦りを覚えるのだった。

 

 

 




とりあえず果南ちゃんがスマッシュにされなくて一安心・・・・・・とか言ってる場合じゃねーなこれ。
まあ、ここまで来たら大体お察しだとは思いますが、今作のヒロインは果南ちゃんです。
で、そのヒロインとエンカウントして速攻で正体がバレた我等が仮面ライダーですが・・・・・・。


それでは次回で~。いつになったら2号ライダーはでるのやら~。

P.S
ゼロライブが行き詰まりまくってるので解決するまでこっちメインで進めます
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