家には誰もいない
帰るのがゆううつだ
ひとりきりはさみしい
みんなと一緒に居たい
でも、わがままは言えない
わたしは良い子じゃないといけないから
夕方の放送を聞いてゆっくりと家にむかう
町はざわざわとにぎやかだけど
わたしの
どうしてこんなに違うのかな、なんて考えて
ふと、地面のしま模様を見つけ顔をあげる
少し危なかった、とぼんやりしたまま
止めていた足を踏み出して
――電灯が青く光って
世界が赤く染まった
*
暗い、暗い、けれど黒だけではない。
開始点のようで、それだけでもない。
終わりと始まりが同居する奇妙な混沌。
すべてが混ざり合い、すべてが個で、すべてが始まり、すべてが終わる。
それらはここから生まれ、ここに戻り、また生まれるのだろう。
常に流動し、同時に静止している
言うなれば渦。
あらゆるものの
――――根源の渦
*
家にはみんながいる
けれどなんだか、部屋は落ち着かなくて
ひどく頭が痛む
世界にどうして差があるのかなんて
何時かの疑問はすんなりと解けた
静かな世界は私だけなんかじゃなくて
あの喧騒は
ツギハギだらけの薄氷上の世界は
等しく終わりを抱えて黙り込んでいた
――わからない
なぜ、私は
なぜ、こんなにも世界は脆いのだろう
私にはわからない
だけど、きっとそれが
理由はわからなくても、結果は同じ
世界はどうしようもなく脆弱で
私には、《それ》が視えてしまう
ただそれだけの事実であって
ズレた
ただ気づいていないだけだった
ぼぅ、と虚空を眺めていると頭痛も引いてきた
そろそろ部屋へ戻ろうか
暗い空は昼間よりもやさしくて
暗く、黒く、どこかあたたかい
同じ黒でも
視えないというのはやはり落ち着く
それがただ遠いというだけだとしても
視えないのであれば幸せなことだろう
すぅ、と灰色の雲が晴れる
雲間に覗く円は、闇夜になれた目にはまぶしくて
―――――――ああ、気付かなかった。
今夜は、こんなにも
つきが――きれいだ――