白い死神   作:フラット床

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話は進める。面白くもする。「両方」やらなくっちゃあならないってのが投稿者のつらいところだな。準備はいいか?オレはできてないけどとりあえず上げる。


7話

結局、ジュエルシードの暴走が止まった後すぐにフェイト達は居なくなってしまった。私が破壊してしまった以上あの場に留まる意味はないので当然と言えば当然なのだが…

『私、あんなに怯えるような事した…?』

『え…いや、まぁうん。少し…少しだけ、怖かったかなって…』

いまいち自分ではピンとこないがこの()で視られるのは気分の良いものではないようだ。昨日のフェイト達も完全に異常な物を見る目だったし。生物の勘と言うものか、私が視ているもの()を感じ取っているのかもしれない。そうでなくとも仕組みはよく分からないが()凝らす(使う)と蒼に鈍く光るのだ。それだけでも不気味さは十分だろう。改めて考えると相当奇妙な()を持ったものだと思う。おまけにそうやってモノを視た後は大抵酷い頭痛がする。おかげで今日は朝からどんよりムードである。

『それにしてもだいぶ辛そうだけど大丈夫?』

『半日くらいしたら良くなると思う…』

 

『そういえばごめんね、ジュエルシードまた壊しちゃって』

『いや、昨日のは仕方ないよ。あのまま放っておいたら間違いなく大きな被害が出てただろうし、あの場での戦闘は避けられなかった。それにあの子達の事は僕も気になるしね。』

『ユーノ君…ありがとう。でも今度から気を付けるから』

『うん、僕も封印の時には気を配るようにするよ』

ジュエルシードの破壊は二つ目であるがもう「またか」という空気になっている。というのもジュエルシードはそもそも危険物でありそのうえユーノが

(むしろ僕としては魔力暴走を起こしたロストロギアを完全に停止させたなのはのレアスキルの方がどうなっているのか知りたいけど)

と思っているためである。実のところ既に半分くらい()の方に興味が移ってしまっていて、ジュエルシード集めは最優先ではあるがその処遇に関しては被害が出ない形ならあまり気にしないようになっているらしい。危険の種を蒔いてしまった責任感から回収を始めたとはいえそんな調子で良いのか疑問だが、放っておいてもいくつかなのはが壊していただろう事は想像に難くないのであまり変わらないだろう。

 

*

 

それはともかく(巻きで行くぞ)、今日も今日とてジュエルシード探索である。今回は自然に発動したようで反応を辿っていけば樹木と一体化した思念体がその奇怪な姿を晒していた。動くようになった根を操って攻撃を仕掛けてくるがそれほど速度は出ていないため難なくかわす。見ればフェイト達も来ているようだ。ひとまず封印を済ませるという意志はあちらも同じようでブーメランのような魔力刃を飛ばして思念体と対峙している。その隙に距離をとって砲撃魔法(ディバインバスター)を撃ち込み、フェイトも砲撃魔法(サンダースマッシャー)を放ち思念体はつつがなく封印された。

「………」

どちらからともなくデバイスを向け会う。前回は色々としゃべったがあちらが譲る気がないのはもうわかっているし、こちらにもない。故ににらみ合った二人は同時に飛び出して――間に割り込んできた光に受け止められた。

「時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。ここでの戦闘行為は危険すぎる、双方武器を引け!」

光のおさまったそこには黒ずくめの少年が居た。二人の中間辺りで両腕でデバイスを受け止めている。

「なに!?」

「…!」

二人ともクロノと名乗った少年から少し離れて様子を窺う。

「封印状態とはいえ不安定なロストロギアの近くで戦闘なんて危険だ。先日の次元震についても聞きたいことがある。二人とも武器を収めて同行してもらおうか。」

その言葉に戸惑いつつもデバイスを心持ち下げるなのは。対するフェイトは対応を考えあぐねているようで警戒を解かない。と、そこへ数発の魔力弾が飛来しクロノが防御する。

「フェイト!撤退だ!」

魔力弾を放ったのはアルフだろう。爆煙に紛れてジュエルシードへ飛びつくフェイトだったが、すぐに立て直したクロノの射撃魔法に撃たれる。

「フェイトッ!」

大きなダメージを負った様子のフェイトを辛うじて受け止めたアルフだったが、クロノは更に魔力球を生成し追い討ちをかける。だが、その光弾が着弾する前にアルフ達は姿を消した。あらかじめ準備してあったのか転移を行ったようだ。その様子を何処かへ報告するのか、なにやら通信をおこなったクロノはなのは達の方に向き直り。

「管理外世界での魔法の無断行使にロストロギアがらみの小規模次元震…重要参考人として、君たちには僕らの艦まで着いて来てもらおう」

 

*

 

連れてこられたのは日本風の似非和室。初めての転移魔法を体験したり近未来的な通路を通ったりフェレット(ユーノ)が人間だったりしたがこの妙な感覚にくらべれば些細なことである。

いかにもな金属製の壁のくせに畳や多数の盆栽、鹿威しとやたら和チックな内装をしている。

(これは…海外の人が日本かぶれになるやつ…?)

正直なところ違和感がすごいが目の前の緑髪の女性が緑茶に砂糖を入れているのを見てなのはは考えるのをやめた。

「それじゃあ、色々と聞きたいことはあるけど…まずは自己紹介しましょうか。」

そう言って話を始めた緑髪の女性はこの次元航行艦アースラの艦長を務めているらしく、リンディと名乗った。こちらからも名乗りを返し話を進める。

内容はおおむね想定できたもので、ユーノの行動が責任感あるものだった反面向こう見ずだった点の叱責やらロストロギア回収の感謝やらだった。

「それでは、本件はこちらが預かります。あなたたちは手をひいて日常に戻りなさい」

「えっ…」「あっ…」

「?…本来ならこれだけの規模の案件に民間人が関わること自体が問題なんだが…今回は僕達の対応が遅かった事もある。大人しく回収済みのロストロギアを引き渡してくれればそれ以上の事は――」

「それはそうかもしれないけど!私たちが始めたことです!」

「…まあ、あなた達も急に言われても納得できないわよね。一旦時間をとって、明日また話をしましょう」

 

そんなわけで元居た場所まで転移してもらい一時帰宅となったのだが。

「私、ジュエルシード砕いてるの不味くない?」

「…だよね」

先程妙な反応を返してしまったのはこれだ。二十一有る内の二つとはいえ、ロストロギアを完全に破壊してしまっているなどと言えばどんな反応をされることか。ひとまずは特殊なレアスキルと言ってやりすごせるだろうが、体ひとつでロストロギアを破壊できるなど最悪身柄を拘束されかねない。とはいえ砕けた破片が手元に有る(後先考えなかった)以上、管理局とやらの倫理委員会を信じるしかない。

「とりあえず、私は最後までやりたいんだけどユーノ君は?」

「僕もここまでやってきたからには最後まで見届けたいけど…なのはも、いいの?」

「私ももうこんな中途半端なところで投げ出すなんてできないよ。まだ、フェイトちゃんともまともに話せてないし。」

という事で一応の方針としては素直に情報を吐きつつ協力をとりつけることにした。ジュエルシードに関わる以上は管理局とも付き合っていかねばならないだろう。ならば嘘をつくよりも信用を得た方がなにかと動きやすいはずだ。

 

*

 

と、まあ色々考えていたものの案外すんなりと事は運び説得は成功裏に終わった。どうもあちら側もこちらの動きはある程度予想していたようで、「そういうと思っていた」みたいな反応をされた。見透かされていたようで少しばかり不快だったが、流石にロストロギアの破壊までは想定していなかったようで動揺した様子を見ることができたので特に機嫌を悪くしたりはしなかった。もっともそれ(破壊)について詳しく聞かれる事にはなってしまったが、レアスキル()の事を言えば少しばかり首をひねったあと事態終息までは一旦保留とするらしいことを言い渡された。どうやらすぐに判断をつけられる情報は無いようだ。

その後は家族へのしばらく家を空ける旨の説明をした。探索を円滑に行うためにも活動拠点をアースラに移す必要があり、そのあたりの事情を上手いことぼやかして説明したのだ。こちらもすんなり…とは少し違うものの、なのはの意志が固いことが伝わり承諾を得ることができた。

 

細かな調整が終わればあとは局員たちと協力しながらジュエルシードを回収するだけだ。アースラからのサポートもあればユーノと二人だけで探すよりも格段に効率は上がる。時折フェイトらしき反応が見つかることもあるが、警戒しているようですぐに居なくなってしまい、言葉をかわすことはできなかった。管理局としてもフェイトは重要参考人として身柄を確保したいらしいが今のところそれができそうにはない。

しかし、そんなモヤモヤとした心の内とは裏腹にジュエルシードは順調に集まって行った。




ネットで出てこない細かな設定はわからない、私は雰囲気で二次小説を書いている。

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