ぼっちは魔法科高校へ〜魔法の一雫〜   作:裂猫

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はい。裂猫です。

気づいたらUA20000、お気に入り400件超えしてて
「なんて優しい世界なんだ……ここは」と感動しております。
とても嬉しいですありがとうごさいます。


さて、今回できっと総武編はおしまいです。
あんまり長々とやるのはよろしくないと思いますので(今更)


それでは本編、どうぞ。



鳥はまだ立たないししっかりと跡を濁していく

「ふむ、第一高校かね。」

「はい。」

 

 

四葉家当主様からのありがたいお話があった翌日、

俺は今職員室に来ていた。

真夜さんからの話で俺は第一高校に行くことを決めたので、進路希望調査表の一番上に第一高校の名前を入れて提出しに来たのだ。

 

 

「しかし比企谷が魔法科高校……私の記憶の中では君が魔法を使える様な素振りを見たことがないのたが……失礼、君は魔法を使えたのかね。」

「えぇ、まぁ嗜む程度に。魔法の使用については色々と法律などがありますし、わざわざ見せびらかす様なものでもないでしょう。」

「確かに。まぁ君が真っ当な進路を選んでくれたのは生徒指導としても個人的にも嬉しい事だ。

………君を奉仕部に入れたのはあまり得策ではなかったのかもしれない。すまなかった。」

 

 

先日の一件のことを気にしているのであろう。

実際、雪ノ下や由比ヶ浜とは修学旅行前まではぎこちないながらも上手くやってきたと思う。

俺自身もそれなりに楽しんでいた環境だった。

 

 

「平塚先生の判断が間違っていたんじゃないと思います。

平塚先生の判断を正しくする選択肢もあったのでしょう。

ただ結果としてその選択肢に俺たちが気づかなかっただけであって。」

「そう…なんだろうか、私は結局、君たちに期待するだけ期待して、それを行動に出さなかった。君たちの自主性を重んじる、なんて言いながら君たちの自主性に甘えていたのだろうな。教師としては本来、その選択肢に気づかせてやるべきだったんだろう。」

「まぁ……そうかもしれないですね。けれどそれこそ平塚先生の反省の範囲です。俺の管轄じゃない。自分で反省して次の判断に活かせる様になるならいいことじゃないですか。俺も今回の件では色々と考えらところもありましたし。」

「あぁ、そうしよう。しかしまさか比企谷にそんなことを言われるとは思わなかったよ、ふふっ。」

 

 

平塚先生はやはりいい教師なのだろう。

生徒を見て、自分の反省点をあげられる。そしてそれをそのままにはきっとしない。直すべきところは直す。そんな当たり前のことをしない大人はきっと多い。

ましてや子供に気付かされた事なんて、反発心を出してくる奴までいるだろう。

まぁそれに関しては多くの大人がそうではないのだろうが。

 

 

「ところで比企谷。」

「なんでしょう?」

「いや、なんだ。先程魔法について嗜む程度に、とか答えていたが、第一高校は、というか魔法科高校はそんなに甘い世界じゃないぞ?大丈夫なのか?」

 

 

なるほどこの人は俺の魔法における成績を気にしているのだろう。

 

 

「えぇ、確かに魔法についてブランクはあるにはあります。

けれどそれを差し引いてもあまりある講師を見つけられたので大丈夫だと思いますよ。

先生も知ってる人ですけど。」

「講師?………私も知ってる共通の知人……優秀…あぁ、陽乃か!」

「えぇ。あの人なら申し分ないでしょう。ていうかこっちが申し訳なくなりそうですけど。」

「それはまぁ、しかし…陽乃が動くのか?いやまぁ、確かに君は陽乃に気に入られてはいたが……」

「まぁ色々あって手伝ってくれる様になったんですよ。」

「色々って……いやまぁ、深くは聞くまい。聞いたところで意味はない。それでは比企谷、頑張りたまえ。応援している。」

「はい。それでは失礼します。」

 

 

一言挨拶し、職員室を後にする。

そのまま向かうのは我がホームルーム、クラス教室である。

一応色々あった当事者が集まっているクラスなのである程度の人とは話をしておいた方がいいと思った。

立つ鳥跡を濁さずとは言うが、俺は鳥でもなければ今すぐ立つ訳ではないので今のうちにしっかりと濁していこうと思い、放課後に話がある、とだけ伝えておいたのだ。

 

 

つまり、教室へGOだ。

 

 

ーーーと、俺が教室に入ってまず目にしたものは……

 

 

「姫菜、戸部あんた達かなり最低な依頼したんだからね?

まぁそれは2人とも反省してるみたいだしあーしからはもう言わないしヒキオ次第ではあるけど、ちゃんと謝んなよ?」

 

 

と、何やら先程までお怒りだった様な雰囲気を醸し出す三浦。

 

 

「今回の事は八幡にも問題はあったけど……2人には僕もちょっと怒ってるからね。三浦さんも言ったけどちゃんと八幡に謝ってね?」

 

 

珍しく怒った顔をしている戸塚。だが可愛い。とつかわいい。

これは揺るがない真実。

 

 

「まぁ、私からは特にいう事は無いよ。

2人とも自分から話してたし、反省してるみたいだしね。」

「うむ、八幡が許すならば我も何も言わぬ。」

 

 

そして以外も以外、川崎も話に参加していたらしい。

材木座は一体どの立場なんだろうか?

 

 

「「はい。」」

 

 

そんな4人に叱られていた正座の海老名さんと戸部。

 

 

「なにこれ?」

 

 

そんな珍妙な景色に呆気にとられ、間抜けな声を漏らす男の姿が、そこにはあった。

ていうか俺だった。

 

 

「あ、ヒキオ……遅かったじゃん。」

 

 

そんな俺に真っ先に気づいたのは三浦だったようだ。

 

 

「あ、あぁ、ちょっと平塚先生にも話があったんだ。

先生はどこにいるのか分からんから確実に職員室にいる時間帯に話しておきたくてな……連絡も入れずに悪かった。」

「いや……まぁ別にいいんだけどさ。姫菜と戸部から事情は聞けたし。」

「正直戸塚と私とそこの男子…ざい、ざ、材木座、だっけ?はその件で呼ばれる意味は分かんないけど、っていうか別件っぽいし。」

 

 

おお、材木座を初見で名前覚えた奴を俺は初めて見た。

まぁ川崎達は修学旅行の依頼に関しては無関係も無関係だからな。

 

 

「あぁ、別件だ。でもすぐ終わる話だから先に済ませようと思ってたんだが………なんかそっちも戸部達から話、聞いたんだろ。こっちとしても話す手間が省けて良かったんだが、どっちの話が先が良い?」

「あー…うーん、と。……よし。」

「…?まぁ別に何もないなら当初の予定通り先に別件の方から話すけ「「比企谷君!!」」うぉぉお!!?な、なんだよビックリした…………突然大声出すなよ。」

「あ……ごめん。驚いたよね。」

「ごめんよ、比企谷君。」

「いやまぁそれは別にいいんだが。で、何?」

 

海老名さんと戸部は大声で急に呼んだことを謝罪している。

何?とは聞いたものの恐らくは「修学旅行での件についての謝罪だろう」とは予想がつく。

当然俺はそんな事を気にした事は無いし、あれは俺のやり方にマズイところがあった。

けれどこの2人はそれでは納得しないだろう。

 

 

「「比企谷君!修学旅行の時、本当に身勝手で最低な依頼をしてごめんなさい!」」

「……いや、別に気にしてないぞ。俺にも悪いところは多々あった訳だからな。お前らだけが悪いわけじゃ無い。」

「そうだね。でもそもそもアレは奉仕部に依頼していいことじゃないよね?それに戸部っちの依頼を受けたのは結衣なのに、比企谷君だけがまともにその依頼に向けて動いてた。もっと言えばそもそも私や隼人君の依頼は君にしか伝わらないような卑怯な依頼の仕方をしたよね。

だから……ごめんなさい。

私の、私たちの勝手な都合に巻き込んでごめんなさい。」

 

 

予想通りの返事だ。

この件に関して悪いのは誰か?と言われれば当事者全員に多かれ少なからず非があったのだ。

しかしながら、何が元々の原因か?と問われれば真っ先に出てくるのは依頼内容、依頼者、そして依頼の仕方。そこに焦点が当たるのは当然だった。

今日この場に葉山隼人を呼ばなかったのは一応その原因になる依頼をしたのが葉山隼人である。そういう事になると色々と面倒が起きそうだからであった。

 

 

「あぁ……まぁそうなんだが。俺は気にしていないんだ。

けどやっぱり海老名さんは気にしてたみたいだな。

戸部はまぁ……多分知らなかったんだろうけど知った以上は気にしてしまうんだろう。

でもというかだからというか、お前らがどうしても謝ると言うとしても俺はそれ対して『許す』と答えてやることしかできん。」

「………わかった。ありがとう。比企谷くん。」

「本当にありがとうな、比企谷くん。俺これまでずっと比企谷君の名前間違えてたし超失礼だったじゃん?それも合わせてごめんなさい。」

「別にいい。それでこそ戸部っぽいし。」

「ちょ、ひどくね!?」

 

 

名前間違えてたのわざとじゃなかったんだな。

奇跡的なまでに俺の名前の認知度が低いだけであって戸部は悪くない。うん。

 

 

「まぁ、俺の依頼って普通に考えて最低にダサかったんだなって分かったんだ。告白を絶対に成功させたい、とか普通に無理っしょ?

確かにフられるのって怖いことだけど、告白って元々そーゆーもんだよなって。」

「………そうだな。」

 

 

確かにな。告白して絶対に付き合える。そんな事は不可能だ。

葉山にだって出来ないだろう。

少なくとも陽乃さんは絶対に落とせない。

うん、不可能。

 

 

「仮に絶対付き合えるような告白があったとしてそれで付き合えるとしてもそれって、俺の魅力じゃなくて告白の魅力で付き合ってるわけだから絶対長続きしないっしょ。

これからは心入れ替えて俺自身の魅力ってのを見つけてそれで勝負するっしょ。」

「…お前、言ってて恥ずかしくないのか?」

「ちょ、それは言わないでよー比企谷君さー。」

「ふふっ、そうだね。戸部っちは戸部っちのまま頑張ってたほうがずっとかっこいいと思うよ。私は。」

 

 

だとさ、良かったな戸部。頑張れ。

 

 

「マジ!よっしゃこれはモチベ上がってきたっしょ!んじゃ俺部活行ってくるな!」

「おう、行ってこい。」

「じゃああーしらも帰ろっか。姫菜。」

「うん。じゃあね、比企谷君。」

「あぁ。」

「バイバイ、三浦さん、海老名さん。」

 

 

手を振る戸塚も素晴らしいものである。

 

 

「それで、私たちへの話は何?すぐ終わるんでしょ?

そんな大した用事じゃないと思うけど。」

「あぁ、その通りだ。俺の中で俺との関わりがそれなりに深かったからな、お前達には一応俺の進路が決まったから伝えとこうって思って。戸塚は親友だが。」

「八幡!」

 

 

あぁ、なんて眩しい笑顔なんだ。浄化されちゃうっ!

 

 

「バカやってないで、早く話しなよ。」

「そうだぞ八幡。して、進路とな?」

「お、おぅ、すまんかった。

俺は魔法科……あー、第一高校に行く事にした。」

「第一?あんた魔法使えたの?そんな素振り見たこともないけど。」

「八幡よ……我と同じ存在になろうとしているのは嬉しいが……魔法は一朝一夕で使えるようになるような代物ではないのだぞ?」

「ちげーよバカ、妄想とかじゃない。質問に答えるが、まぁ魔法は使える。川崎と材木座も戸塚も確か魔法使えただろ?だからまぁ、それもあって伝えとこうと思ってな?」

 

 

というか魔法使えないと魔法科高校に入ろうなんて思わんぞ俺は。

 

 

「へぇ〜八幡第一高校にいくんだね。実は僕も第一志望同じなんだ。」

「奇遇だな八幡に戸塚氏。我もだ。」

「あ、あたしも。」

 

 

えぇ……なにそれこわい。

てかすげえな、全員第一高校かよ。

魔法科高校の中にも他にも選択肢があるのにそこでもかぶってるの奇跡なんじゃないの?

 

 

「わぁ!みんな同じなんだね!一緒のクラスとかになれたらいいなぁ……」

「むぅ……だが我は実技的な事は苦手でな。筆記ならばほぼ満点は取れるのだが……魔法科高校においては実技の方が優先される故に我はおそらく二科生だろうな。」

「あぁ、そういえば材木座は魔工技師志望だったか。」

「然り。よって我以外が実技がそれなりにできる様なら我はぼっちになってしまうぞ!」

 

 

まぁ自分で実技が苦手なのを把握してるので十分だろう。

実際問題第一高校の試験でほぼ満点を取れる材木座の魔工技師としての素質は高いはずである。

 

 

「僕たちは材木座君ほど筆記の点数取れないだろうし頑張らないとね!八幡、川崎さん!」

「そうだな、戸塚。」

「う、うん。そうだね。」

 

 

そんなこんなで他愛ない話をしていると川崎が一番下の妹、けーちゃんを迎えにいくとかで帰るらしいのでそれに合わせて今日は解散した。

 




さて、いかがでしたか?


八幡っぽくない性格になりつつありますが、気にしない方向で。

きっと次から入学編に入れる。そう信じます。

ではまた次回。

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