バイオハザード リターンズ   作:GZL

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今回でIF story 1が終了…かも?
まだ続くかもしれません。
ともかくあと1、2話で終わるので投票の方、よろしくお願いします。


第8話 狂気に飲まれた者

今日この日、竜馬は空港内に隠れることが出来る場所があって助かったと思った。飛行機が墜落して、あちこちに落ちている巨大な瓦礫や岩石でどうにか変異した謙二に見つからずに済んでいる。

今も自衛隊とやりあっているところだが、圧倒的に自衛隊が押されている。J-ウィルスなんだろうが、紫色だったため、恐らく強化したJ-ウィルスなのだろう。ただでさえ、普通のウィルスでさえ充分過ぎる脅威なのに、それを更に強化したとなると、あの謙二を倒せるかどうかはっきり怪しいと竜馬は思わざるを得なかった。

そこで竜馬は“あの2人”に連絡を入れておいたが、彼らが来るまで時間を稼がなくてはならない。要するに竜馬と残り少ない自衛隊員であの化け物を相手にする…ということだ。

隠れてばかりもいられない。自分もやらなくちゃならない。

竜馬はそう思い、自らの身体を奴の前に曝け出させて、その巨眼に弾丸をお見舞いした。謙二の巨眼からは白い体液が漏れ、もがき苦しんだ。しかし、すぐに謙二の目は竜馬に向き、標的とされてしまう。

 

「くっ……こっちだ!来い‼︎」

 

アンデッドと戦い慣れていない自衛隊員たちに代わって仕方なく囮になる竜馬。拳銃を天井に向けて撃ち、今の敵は俺だと挑発する。

謙二は大きく鋭い爪を振り回してくる。それは竜馬の頭上10cmくらいの場所を大きく空ぶった。

食らわなかったことを有り難く思いながらも、竜馬は今自分がどこに向かっているのか分かっておらず、勝手に自滅行為をしていた。

 

「……やば」

 

竜馬の前には墜落した飛行機の胴体部分が空港のロビーを塞いでいた。謙二は荒い息を吐きながら、まだ人語を話した。

 

「逃がさんぞぉ…」

「…こんなことして…妹さんが悲しむとは思わないのか⁈」

 

勢い余って言ってしまった発言だが、謙二の顔が微かに歪んだ。どうやら…こんな怪物になっても罪の意識はあるようだ。

 

「俺は………ぐっ⁈あっ、がああああああ‼︎」

 

何か言おうとしたところで謙二は突然苦しみだした。

 

「もう…ここまでか…」

 

そう……人間としての高崎謙二はこの瞬間に死亡したのだ。

そして…赤く血走った目はいつの間にか黒い瞳に変わり、大きく咆哮した。ここまでかと竜馬が思った時、1台の車が空港内に飛び込んできた。

 

「⁈」

 

車はスピードを緩めることなく、謙二の身体にぶつけ、竜馬が立つ場所より少し離れた壁に追突した。…謙二を巻き込ませながら…。

辺りに砂の粉塵が立ち、中にいる運転手は無事かと思っていると、運転席、助手席のドアが開いた。

そして聞こえてきたのは随分と暢気な会話だった。

 

「いいドライブだったわね」

「……兄さんを殺すのは私だと決めたんだから当然よ…」

 

降りてきたのは玲奈と秊だった。

竜馬はなんて2人だと思いながらも、駆け寄った。

 

「助かった。ありがとう」

「助けるのは当然よ」

 

「竜也の弟なら尚更ね…」と竜馬に聞こえないように付け足した。

秊は車と壁に挟まれた兄の謙二を見ていると、再び動き出した。この数トンの重さがある車を退かそうとする。が…それで車を引き摺って火花を散らしたせいで車は激しく爆発した。

 

「これでさよならか…兄さん……」

 

と秊は小さく呟いた。玲奈と竜馬は何も言わず、3人が背を向けた時…“奴”は更なる進化を遂げ、視界に捉えている3人に襲いかかった。

 

「⁈避けて‼︎」

 

と玲奈がどうにか気付いたが、結局は玲奈が竜馬と秊を押して庇ったような状態になった。

秊は更なる変異を遂げた謙二を見て、目を丸くさせた。

長かった長髪は全て抜け落ち、眼球も消えて、もはや異形としか言いようのない顔になっていた。変異した腕も更に肥大化、もう片方は異様に腕が長くなり、人間にはない尻尾すら生えてしまっていた。

玲奈はその長い腕で身体を掴まれ、思いっきり地面に叩きつけられた。

 

「がっ…!」

 

それを何度となく食らった玲奈は最後に投げ飛ばされ、壁に投げ飛ばされる。

 

「がはっ……」

 

力なく地面に倒された玲奈を助けようと、竜馬はやけくそになって拳銃を乱射するが、全く効くことはなく、竜馬は爪で上半身を軽く裂かれて吹き飛ばされた。

 

「ぐあっ…!」

「竜……馬……っ」

 

頭部から流れ落ちる血液の感触を感じながら、玲奈は遠くに倒れる竜馬に手を伸ばした。だが…その手が届くことはない。

2人があっという間にやられ、自分1人だけ残ってしまった秊。彼女が出来ることは銃を向けることだけだった。しかし、その引き金を引くことはない。秊でも何でか考えていた。

秊の頭では2つの可能性が回っていた。

1つは撃っても倒せるはずがない。

もう1つは…兄さんに弾を食らわせることに抵抗があるから…。

どっちが本当なのか分からないが、前者ははっきりそうだろうなと思っていた。怪物の域を超えてしまった謙二をただの銃しか持っていない秊一人で止めるなど…不可能だろう。

どうにかしてこの状況を打開する案はないかと考えていると、自分の無線から声が聞こえた。

 

『玲奈!玲奈⁈聞こえる?聞こえるなら応答して!』

 

薄れゆく意識の中、玲奈はその無線を取った。

 

「さ……え……」

『玲奈⁈大丈夫⁈時間ないから用件だけね!早く空港から出て‼︎空港は間もなく爆破される!』

 

それを聞いて、玲奈は意識を覚醒させようとする。ここで…死ねない…。その意識が増していき、限界に近い玲奈の身体を無理やり動かし出したのだ。

その頃、秊は相変わらず銃を向けたまま、硬直状態が続いていた。謙二はゆっくり…のったりと秊に近づいて来るが、不意に秊から視線を外し、地面に落ちている一枚の紙に目が行った。

それはあの焼け落ちた実家の外で拾った家族写真だった。いつの間にかポケットから出てしまっていたようだ。

それをじっくり見ている謙二だったが、再び苦しそうな咆哮を上げると、その声の中には謙二としての声が混じっていた。

 

「兄さん⁈」

「来るなぁぁ‼︎」

 

秊が駆け寄ろうとしたところを止める謙二。勝手に動く右腕を左腕で抑えたりと、もう意識は飲み込まれる寸前のようだった。

 

「止めろぉ!俺は…ぁ……こんな…秊を、殺したく……ぐ、あああああああああああ‼︎」

 

謙二の意識は再び怪物に飲み込まれ、秊はもう無理だと思い、構えていた銃も下ろしてしまった。謙二は右腕を高々と上げて、秊の命を奪おうとしている。そして振り下がろうとされた時、玲奈が2人の間に割り込み、ナイフを肩から生えた巨眼に投げた。

 

「玲奈!」

「今の高崎謙二にとって…あなたは種を繁栄させる唯一の鍵…。もう……彼は高崎謙二じゃない!彼は……死んだのよ…」

 

秊はここで始めて、謙二の死を悟った。

謙二は刺さったナイフを抜き、玲奈と秊を睨む。

 

「竜馬!」

 

玲奈が叫ぶと、竜馬は閃光手榴弾を投げた。3人は目と耳を塞ぎ、閃光手榴弾備えた。だが、怪物となった謙二にはあれが何なのか分かっていなかった。数秒後に、キィーーンという音が響き、謙二はその音に大きく怯んだ。

その隙に玲奈と秊、竜馬は空港の出口へと駆け出した。

暫く怯んでいた謙二も玲奈たちの後ろ姿を見て、周りの瓦礫や死体を吹き飛ばして追いかけてきた。

玲奈たちは懸命に走るが、間に合うかどうか…。

竜馬と秊で重傷を負った玲奈を抱えて、最後に一気に加速して、出口の方へと飛び込んだ。

 

「間に合えええええ‼︎」

 

竜馬はそう腹の底から叫んで、玲奈共々飛び込んだ。謙二の一撃は竜馬たちの背中の上で空振りに終わった。

その刹那、空港の天井が爆破によって崩れ、その瓦礫が謙二の身体に落下してきた。地震と思い違ってしまうほどの揺れが起き、秊は出口の方を見た。もう謙二の姿は見えない。

これで終わったのだと…秊は思いながらも、最後の家族の死に…まだ向き合えていなかった。




この章が終わったら、アンケートで1番多かったストーリーを執筆します。
それと後にまた新しいアンケートを取るかも…。
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